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鉄腕麗人さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2593
性別 男性
ホームページ https://tkl21.com
年齢 43歳
メールアドレス tkl1121@gj8.so-net.ne.jp
自己紹介 「自分が好きな映画が、良い映画」だと思います。
映画の評価はあくまで主観的なもので、それ以上でもそれ以下でもないと思います。

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1201.  仁義なき戦い 代理戦争
現在(2010.9)放映されている某ビール会社のCMで、御年77歳の菅原文太が、物凄い風格を携えて立ち飲み屋でビールを飲んでいる。 ただのCMだが、菅原文太という大俳優のスター性を改めて感じた。それと同時に、昭和の日本映画史を彩ったスター俳優も、自然の摂理の中で徐々に少なくなってしまったことに一抹の淋しさを覚える。  そんな思いもあって、菅原文太の映画を観たくなった。彼の代表作と言えば、一にも二にも「仁義なき戦い」だろう。数年前に第一作目を観て、その溢れ出る映画のエネルギーに圧倒された。  番外編と評される第二作目を飛ばして、深作監督作品のシリーズ中、最も評価の高い第三作目の今作を観た。  「代理戦争」という副題が表す通り、やくざの組織対組織の思惑がぶつかり合う”かけひき”の様が色濃く描かれた作品だった。 菅原文太演じる広能昌三も、やくざ組織の中の愚かしい欲望の乱立の中で鬱積する場面が多く、一作目のような強大なエネルギーとインパクトは得られなかった。 やくざ映画らしい抗争シーンは何度か挟み込まれるが、トータルすると、どこの世界でもあり得る“政治劇”を観ているような印象を持った。  菅原文太の憤りが溢れる苦悩の表情で映画は終わってしまうので、観ている方もカタルシスが満たされぬまま苦悶してしまう。  どうしてこの作品がシリーズ中、最高評価を得ているのかは理解出来なかったが、シリーズを転換させていくための作品としては重要な人間模様を描いていると思う。  そして、単純に血で血を洗いのし上がっていく様だけを描かず、今作で描き出されたようなやくざ社会の中での“政治”の様や、盃の取り交わしと裏切りが表裏一体であるこの世界の異様なまでの愚かしさまでを、徹底して描き連ねたことが、この映画の孤高の価値に繋がっていると思った。  飛ばしてしまった第二作目も含め、この際、全シリーズ作品を観てみようと思う。
[DVD(邦画)] 6点(2010-12-05 23:08:15)
1202.  名探偵ポワロ 死との約束<TVM>
遺跡発掘現場にて会した“訳ありの一族”。周囲から忌み嫌われる夫人が殺される。 アガサ・クリスティの原作のみならず、もはやミステリーそのものの大定番の舞台設定の中で、物語は展開していく。  はっきり言うと、用意された「真相」も、“定番”であることは否定できない。 並のミステリーであれば、“オチ”の正体を薄々感じさせるストーリーなど、退屈過ぎ馬鹿らしくて追っていられない。 ただこれがアガサ・クリスティの「名探偵ポワロ」である以上、“退屈”なんてものは存在しない。  何となく真相は見えつつも、デヴィッド・スーシェ扮するポワロの推理劇に身を任せることを厭わない。予定調和の中に身を置くことに、むしろ心地良ささえ感じる。  砂漠の灼熱の中で突如発生した謎が、陽炎のように大きく膨らみ、名探偵により束の間の実体を見せ、去っていく。 アガサ・クリスティらしい叙情的なミステリーに、安心して没頭させられる。   P.S.「ハムナムトラ」シリーズのジョン・ハナーが出演しており、明らかに「砂漠の遺跡発掘現場」という舞台設定を意識したキャスティングにほくそ笑んだ。
[CS・衛星(吹替)] 7点(2010-12-05 23:06:01)
1203.  アガサ・クリスティー ミス・マープル2 スリーピング・マーダー<TVM>
アガサ・クリスティの「ミス・マープル」シリーズの映像作品を初めて観た。 謎を解き明かす主人公が地味な老婦人ということで、それほど興味はそそられず恐る恐る観始めたが、冒頭から繰り広げられる上質なミステリアスに途端に引き込まれた。  婚約を機にインドからイングランドへ移ってきたヒロインが、何かに導かれるように訪れた売り家にて、養生時に見た「殺人」の記憶が突然蘇ったことから、それまで眠っていた事件が目覚める。 ヒロインと事件にまつわる人々が入れ替わり立ち替わりし、複雑な人間模様があらわれてくるくだりは、アガサ・クリスティらしいストーリーテリングで、事件の真相と並行して導き出される隠された人間ドラマが秀逸だった。  ソフィア・マイルズが演じたヒロインが、蘇る記憶に苦悩しながらもアグレッシブに過去の人間関係を辿っていくので、ミス・マープルの存在性が薄く感じてしまったことは如何なものかと思う。 が、一つのミステリー作品としての完成度は極めて高く、オールドイングランドを舞台に洗練された文体の世界観を堪能できた。
[CS・衛星(吹替)] 7点(2010-12-05 23:04:13)
1204.  コララインとボタンの魔女
「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」の監督が新たに描き出した独特のアニメーションが印象的な作品だった。 ストーリーは極めてオーソドックスで、特に新しさや興味深いものは無い。が、それを充分に補って余りあるアニーメーションのクオリティーの高さを堪能できる映画だと思う。  外国映画を鑑賞する際、言語が理解できないのであれば、基本的に字幕で観るべきだと思っている。 ただし、アニメ映画の場合は、必ずしもそうするべきではないと思う。 特に、今作のように細やかに作り込まれたアニメーションそのものに魅力がある作品では、日本語字幕を追うことで世界観を堪能し切れなくなる。 声優経験が少ない俳優を吹替え版キャストに起用することには難色を感じるが、アニメのキャラクターたちの見せる言動をそのまま“感じる”ことが重要だと思う。  今作の場合、主人公の声を演じた榮倉奈々のパフォーマンスには、新鮮味と同時に多少たどたどしさを感じたけれど、主人公の母親&魔女役を演じた戸田恵子の声優としての技量が安定して発揮されているので、映画として安定して観られたと思う。  ティム・バートンが絡んでいないので、「ナイトメアー~」や「コープス・ブライド」のような世界観の圧倒的な深みはない。 その部分でやや物足りなさは感じたけれど、卓越したセンスに裏打ちされた完成度の高いアニメ世界を見せてくれる映画だとは思う。
[DVD(吹替)] 6点(2010-12-05 23:03:13)
1205.  名探偵ポワロ マギンティ夫人は死んだ<TVM>
このひと月ほどの間で、「オリエント急行殺人事件」と「ナイル殺人事件」を続けて観た。 両作品とも、アガサ・クリスティが生み出した名探偵エルキュール・ポワロが登場するミステリー映画の秀作だった。  ただし、両作品共においてどうしても物足りない点があった。 それは、ポワロの存在感が“薄い”と感じたことだ。  「オリエント急行殺人事件」も「ナイル殺人事件」も原作はアガサ・クリスティのエルキュール・ポワロシリーズの代表作なのだろうと思う。 それだけ描かれる事件の内容には深い面白味があり、だからこそ映画化もされたのだろう。  ただ「事件」そのものがあまりに魅力に溢れている分、その場に居合わせた”名探偵”に魅力が感じられなかった。 “名探偵”は、起こってしまった事件の顛末を追うための”狂言回し”的な印象が強かった。  そして、二つの映画作品の“ポワロ”に魅力を感じられなかった最大の理由は、彼を演じる俳優がデヴィッド・スーシェでは無かったことだ。映画作品でポワロを演じたアルバート・フィニー、ピーター・ユスティノフという2人の名優の演技が悪かったというわけでは決してない。  が、テレビシリーズで「名探偵ポワロ」シリーズを見慣れていた者にとっては、英国人俳優デヴィッド・スーシェの演じるポワロこそがエルキュール・ポワロであり、更に言えば日本語吹替え版を担当し続けている熊倉一雄の声で、事件を解き明かしていく様にこそ、安心感にも似た爽快感を得られるのだ。  と、大部分が映画作品の評になってしまったが、相当久しぶりに観たデヴィッド・スーシェ版ポワロのテレビ映画に大変満足したという話。
[CS・衛星(吹替)] 6点(2010-12-05 23:02:18)
1206.  名探偵ポワロ 鳩のなかの猫<TVM>
「最も原作に近いポワロ」と評される英国人俳優デヴィッド・スーシェが、エルキュール・ポワロを演じるテレビ映画。こういうレベルの高いテレビ映画をきちんと放映するNHKは、色々問題はあるのだろうが、流石だと思う。  名門女学園内で起こった殺人事件という設定を見て、「古畑任三郎」でも同じような話があったなーと思ったが、もちろんヒントを得たのは三谷幸喜だ。  女だらけの女学園で巻き起こる連続殺人において、容疑者も被害者もすべて勤務する女教師たちという設定が先ず面白い。 それぞれくせがあり、何やら秘密を抱えている女教師たちの人間模様を描いた序盤を観ているだけで、まだ殺人なんて起こっていないにも関わらず、ぞくぞくと恐ろしさを感じた。  ミステリーは、某国のクーデターまでを含みつつ意外な程に膨らんでいく。 ただそれが決してあざとく展開するわけではなく、あくまで学園内の人間関係をベースに、一つの殺人事件としてまとまっていく描写に、原作の上質さを垣間みた気がする。 
[CS・衛星(吹替)] 6点(2010-12-05 23:02:05)(良:1票)
1207.  オーケストラ!
「音楽」に造詣が深いわけではなく、指揮者の違いによるオーケストラの善し悪しなんて、正直分からない。 だけれど、「音楽」という表現には、“幸福”と“狂気”がそれぞれ平等に混在し、携わる人間の人生を導き、支配するということを、この映画は意外な程に深く物語る。  落ちぶれた元・天才指揮者が、かつての楽団のメンバーを寄せ集めて、紆余曲折のコメディ展開を繰り広げながら、爽快感溢れるラストに結する映画だろう……と、思っていた。  映画の“表面的”なニュアンスは、概ねそれに相違ないのだけれど、ストーリーの核心と描き出すテーマの本質は、想像以上に深いところまで踏み込んでいく。  旧ソ連の政治的背景の中で抑圧された主人公たちのバックボーン、現在の生活の中の鬱積と矛盾。そして、「音楽」そのものの本質的な光と闇。 ベタなサクセスストーリーと見せて、映し出された物語と人々の言動には、決して一筋縄ではいかない“思い”の混沌が見え隠れする。  ただ、そういった様々な側面の複雑な問題も、すべてひっくるめて吸収してしまうエネルギーが、「音楽」にはあって、それを表現することの素晴らしさを改めて訴えてくる。  そもそもの設定や展開には大いに強引でチープな部分も多いけど、そんなことどうもよく思わせてくれる「魅力」が色々なところに詰まった映画だと思った。
[DVD(字幕)] 7点(2010-12-05 23:00:06)
1208.  ルパンの消息(TVM)
「三億円事件」時効成立の夜に死んだ一人の女教師。“自殺”として過去に葬られていた出来事が、“殺人事件”として蘇る。時効まで24時間、三億円事件の無念を抱える刑事が、再び時効成立のリミットに挑む。  面白い。こういう過去と人間が絡み合うストーリー展開は堪らない。  某衛星放送で放映されたテレビ映画ではあるが、横山秀夫のミステリーを見事に映像化した中身の濃い作品だったと思う。  過ぎ去った時間の中に埋もれていた幾重にも絡み合った人間模様を軸にして、隠された真相が取調室の密室で明らかになっていく様は、決して派手さはないけれど、娯楽性に溢れた説得力とドラマ性に溢れていた。  様々な人間の思惑の狭間で、徐々に表われてくる隠された心情、そして突如明らかになる悪意。 女教師はなぜ三億円事件の時効成立の夜に死んだのか。 「偶然」が「必然」に転じた瞬間、ミステリーは極上のピークに達する。  上川隆也を主演に配し、パッと見は地味だがよくよく見ると味わい深い豪華なキャスト陣が示すように、じわりじわりと面白味が深まってくる秀作だ。  原作は未読。以前、本屋で手に取って結局買わなかったことが、今更ながら悔やまれる。
[DVD(字幕)] 8点(2010-12-04 23:10:52)
1209.  蛇のひと 《ネタバレ》 
自分のまわりの人間は、良い人か、悪い人か。 その判別を一体どれくらいの人が“正確”に行えているのか。 果たして、「自分自身」はどうなのか?  一人の人間のインサイドに潜む「迷宮」のような闇を、類い稀な人間描写で捉えた秀作だ。 と、永作博美が口笛を吹きながら夜の街を歩くラストシーンを見ながら、思った。  突然自殺した部長。日を同じくして行方不明になった一人の男。 彼の「存在」を追っていくうちに、彼に関わった人間の様々な「不幸」を知る。が、彼のことを心底悪く言う人は一人も居ない……。  人間は一人では不幸にも幸福にもならない。人間は、人間により不幸なり、幸福にもなるのだと思う。 一人の人間の“口車”によって人生が転落してしまうという静かな恐ろしさを、絶妙な人間描写で表している。  某シナリオ大賞の受賞作らしく、人間を描く着眼力と描写力の反面、舞台設定のディティールにはチープさや古臭さも感じた。 あまりに今風でない職場環境や、会社の人間模様、「1億円の横領」なんて設定には、素人臭さも見え隠れすることは否めない。  が、ストーリーが忍ぶように“ひたひた”と展開し、西島秀俊の関西弁の違和感を受け入れ始める頃には、すっかりと一人の人間の「迷宮」に引きずり込まれており、永作博美と共に“出口”を追い求めていた。  ラスト、主人公は自ら“出口”を見誤ろうとする。迷宮の闇の中にそのまま呑み込まれるのか否か…。 最後の最後に絡み合う人間同士の心理の様には、「正論」だけでは説明がつかない本質的な“あやうさ”が含まれていて、とても深淵だった。  浦沢直樹の「MONSTER」の語り口も彷彿とさせる、人間の内面に渦巻く闇にまつわるサスペンスと人間模様を堪能できた。
[DVD(邦画)] 8点(2010-11-30 22:31:55)
1210.  渚にて 《ネタバレ》 
終末戦争の果て、確実に「滅亡」に突き進む顛末を描きながら、この映画では、爆弾が爆発するシーンも無ければ、人が絶命するシーンすら無い。 残された人間たちの、“最後の時”を迎えるまでの僅かな日々を、淡々と描き連ねる。 「悲劇」に対する悲壮感も、感動も努めて排除されているように思う。  だからこそ、異様とも言える「恐怖」をひしひしと感じる。  この映画に“救い”は無い。 核戦争により滅亡を決定づけられた人類。かろうじて直接的な被害を逃れたオーストラリアにて、残された日々を生きている。 すがるように追い求める幾つかの「希望」は、次々と儚く崩れさっていき、全世界を覆い尽くそうとしている放射能汚染により、着実に滅亡に突き進んでいる。  「希望」を失った人類たちに残された道は、ただただ淡々と“その時”まで生きること。 その人間模様をそのまま淡々と描き、ラスト、無人となった街のカットで締める潔さに、映画としての多大な説得力と、テーマに対する真摯さを感じた。  冷戦の最中、核の脅威を描いた幾つかの名作に共通することは、決して安直なハッピーエンドを描かないことだ。 人類が直面する「危機」に対して、極めて真剣に問題提起を試みている結果だと思う。  今、そういう映画はほとんど無い。 冷戦という時代背景はもちろん過去のものだが、だからと言って、“脅威”が消え去ったわけでは決してない。 今日のニュースでも“となり”の国の半島で起こった「愚行」を延々と伝えている。  “脅威”に対する危機感の薄れ。 そのことこそが、今の時代に最も恐怖すべきことのような気がしてならない。
[DVD(字幕)] 8点(2010-11-23 23:03:38)(良:2票)
1211.  オスロ国際空港/ダブル・ハイジャック
例によって往年のハリウッド映画に対する邦題のつけ方には、腑に落ちないものが多い。 原題は「The Terrorists」。大使を人質にとったテロリストが政府にテロリスト犯の釈放を要求し、軍人のショーン・コネリーがそれに対峙する。  「オスロ国際空港」まではまだいい。問題は副題。“ダブル・ハイジャック”って一体何のことを示しているのか?  大使館を占拠するテログループと、彼らを逃がすために仲間が企てた民間機の占拠という二場面構成でストーリーは展開していくが、だからと言って”ダブル~”というのは、大いに焦点がズレているように思う。  映画自体は、決して仰々しくない渋い展開が、ショーン・コネリーの渋さと相まって、いい雰囲気を醸し出す。 ただクライマックスの顛末があまりに力弱く、少々ぐだぐだな感じで事件が収拾してしまい、爽快感がまるでない。  オスロの凍てつく空気感と同様に、段々と寒々しさが増してくる映画だった。
[DVD(字幕)] 5点(2010-11-21 23:31:09)
1212.  フィリップ、きみを愛してる!
この映画が実話だとは到底信じられない。大部分において大袈裟な脚色はあるのだろう。 ただよくよく考えれば、“フィクション”を「この話は真実だ」ということは自由だと思うし、この光り輝く映画に対して、それが真実かどうかなんてもう関係ないと思わせる。  何を置いても、2人のハリウッド・スターのその演技者としてのバラエティーの豊富さが凄い。  まずは、ジム・キャリー。“嘘つき”でゲイの天才詐欺師という役どころの時点で、彼以上にふさわしいキャスティングはないだろう。 彼自身が切望してこの役を演じたらしく、そのキャリアで培ってきたパフォーマンスの総てを余すことなくぶつけている。 飄々と嘘をつき続け、脱獄を繰り返し、ひたすらに愛する恋人に「愛」を伝え続ける様は、どうしようもなく滑稽で、だからこそ人間そのものの愛くるしさに溢れている。  そもそも人間というものは愚かで、滑稽である。その悲哀を投影することにおいて、今ジム・キャリーより秀でた俳優は居ないように思う。  そして、そのジム・キャリーの暴走的な愛を一身に受け止める“恋人”を演じたユアン・マクレガーも凄い。 風貌はいつものユマン・マクレガーなのに、その目つきと物腰のみで、一途な愛に振り回される“少女”を体現している。 伝説のジェダイ騎士役を経てもなお、イメージに固執されることなく、主人公から悪役、あらゆる脇役までこなす彼のスター俳優としての立ち位置は、ある意味“斬新”だとすら思えてくる。   ストーリー自体は、真実とフィクションの境界線を突っ走るようなキワドさを伴い、不安定さを感じなくはない。 ただし、その危ういストーリーの道程を2人のスター俳優が、堂々と、飄々と走り抜けていく。  すべてがハッピーな映画では決してないけれど、不思議な爽快感と幸福感に溢れた良い映画だと思う。
[DVD(字幕)] 8点(2010-11-10 00:17:24)
1213.  バブルへGO!! タイムマシンはドラム式 《ネタバレ》 
もう全編通して「しょうがないねえ」と嘲笑しながら観ることしか許されない“チープ”な映画であることは間違いない。 概ね“酷い”映画であるけれど、同時に、嫌いにもなれない映画だと思う。  あまりまともに改善点を言っても仕方がないけれど、配役をもう少し考えれば、それだけでもクオリティーの差は出たように思う。 出演者の演技や適性に問題があるわけではなく、単純に”実年齢”の問題だと感じた。  “タイムマシンもの”の必然として、メインで描かれる舞台は、当然時間移動をした先、つまりは「過去」か「未来」となり、今作の場合は“バブル全盛”の「過去」がメイン舞台である。 そして、現代と過去の両方に出てくるキャラクターが存在する場合、その配役はメイン舞台である過去の世界で、違和感の無いキャスティングをしなければ、完成度に無理が出てくる。  詰まるところ何が言いたいかというと、阿部寛や薬師丸ひろ子はこの映画の性質にあった俳優だとは思うが、バブル全盛時代を生きる20代を演じさせるのは、流石に無理があるということだ。 “老齢”を表現するメイクはいくらでも可能なわけだから、今20代の若い俳優に主人公の両親役をさせるべきだったと思う。 それと同じ理由で、カメオ出演するラモスや飯島直子らが、ほとんど現在と同じような風貌で登場することも、狙いは分かるがクオリティーを下げるだけの要素になってしまっている。  さらに加えて、主人公が広末涼子というのも、何とも中途半端だ。 22~23歳の設定なんだろうが、どうせなら主人公はバブル当時、生まれるか生まれてないかぐらいの年齢設定にして、もっと若い女優を起用した方が明確な“ギャップ”が生まれただろう。 広末涼子がバブル時代のカルチャーギャップを感じる様を演じても、「それは知ってんだろう?」と思ってしまい、正直なところ説得力が無い。  まあそんなにくどくどと粗を探すような映画ではないとは思う。物凄く暇な時にたまたま放映されていれば、充分に暇つぶしにはなるだろう。 ラストの少々行き過ぎで有り得ない感じは、バブルがあのままはじけなかったらと考えると、逆に有り得そうで良かったと思う。
[地上波(邦画)] 5点(2010-11-10 00:12:15)(良:1票)
1214.  ONE PIECE FILM STRONG WORLD 《ネタバレ》 
「ONE PIECE」は、今一番”熱い”漫画だ。多くのファンと同じように、その漫画としてのエネルギーに溢れた世界観に心酔している。 だからこそ、原作漫画が唯一無二であることは分かり切ったことであり、テレビアニメシリーズも映画作品も見向きもしてこなかった。  なのに今回この映画作品観たくなり、居てもたってもいられなくなったのは、やはり原作者の尾田栄一郎が総指揮を執ったということ。そしてのストーリーのプロローグとも言える20年前のエピソードを描いた“0巻”を読んでしまったからだ。  結論から言うと、「ああそうか。これは子供のための映画なのだな」ということを、再確認させてくれる映画だった。  終始”麦わらの一味”のアドベンチャーの様を楽しそうに描いたアニメ映画だ。これは、子供のために作られた東映のアニメ映画であり、この出来映えに文句を言うのはおかしいのだと思う。  が、決して「批判」ということではなく言わせてもらうならば、大人が観て満足できる映画では到底無い。  “0巻”によって、かつての海賊王と並ぶ“伝説の大海賊”として、たった一つのエピソードの中で丹念に描かれた“金獅子”。彼の20年越しの復讐劇を2時間ほどの尺でおさめることなど無理で、それが子供向けのアニメ映画であれば尚更だ。  ストーリー展開も、台詞回しも、過去に出てきたようなものばかりを羅列している印象で、観ていても決して熱が入らない。  せっかく尾田栄一郎が描き出したキャラクターであり、原作漫画と直接リンクする設定だけに、もっと魅力的な作品に仕上げてほしかったとは思う。  “白ひげ”が逝った今となっては、もはや存在感が薄れることは否めないだろうけど、原作シリーズにも“その後”の金獅子を登場させてほしいものだ。
[DVD(邦画)] 4点(2010-11-09 16:16:12)
1215.  チャーリー
”チャーリー・チャップリン”、この固有名詞はもはや全世界の映画史に残る一つのアイコンであろう。 「波瀾万丈」という言葉がふさわしい彼の喜劇人、そして映画人としての長い人生を、ひとつの「映画」として表現する試みは、「必然」であったと同時に、物凄く高いハードルだったと思う。 145分間のこの映画で、チャップリンという男の人生の本質をくまなく描き切れているとは思わないし、それは到底無理な話だ。  ただ、想像以上に「面白い」映画だった。深夜0時過ぎに鑑賞を始めたが、まったく眠気を覚えなかったほどに。  その“面白味”の大部分は、ロバート・ダウニー・Jr.のパフォーマンスに尽きる。 チャップリンの人生を映画化するハードルの高さは、即ちチャップリンを演じる俳優に与えられる試練の大きさだろう。まともな俳優であれば、その仕事の困難さに尻込みしてしまうはずだと思う。  が、ロバート・ダウニー・Jr.という俳優は、イロイロな意味で、まともではない。  舞台コメディアンとして仕事を始めた10代から、スイスで晩年を迎えた80代まで、チャーリー・チャップリンという男の人生の様を見事に“体現”していた。  冒頭、白塗りのメイクを落としていくチャップリン、その瞳には吸い込まれるような闇が垣間見える。 そこには、世界一有名な喜劇王が抱え続けた“孤独”と“虚無”が描きつけられている。  伝記映画としてその展開にはやや野暮ったい部分もある。アンソニー・ホプキンスが、珍しくあまり個性の無い編集者役で登場するチャップリンの晩年シーンなどは、何度も挟み込む必要は無かったように思う。 それでも、ダン・エイクロイド、ケヴィン・クライン、ダイアン・レインら実力俳優に加え、若く瑞々しいミラ・ジョヴォヴィッチも脇に配し、キャスティング的にも映画ファンとして非常に楽しめる。  チャーリー・チャップリンの人生を描くということは、即ち往年のハリウッドの舞台裏と、当時のアメリカ社会の“闇”描くということでもあった。そういう意味で、この映画はとても多面的な面白さを備えている。  そして何よりも、この映画を観ると、本物の“チャップリン”が観たくなる。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2010-11-07 11:28:22)(良:1票)
1216.  地球爆破作戦 《ネタバレ》 
往年の外国映画、特に娯楽映画においては、その「邦題」に惑わされることが多い。  「地球爆破作戦」とタイトルを掲げ、粗筋に「コンピューターの暴走に対峙する人類の姿を描く」なんてあれば、当然、地球滅亡に向けて暴走し始めたコンピューターを人類が必死に防ぎ切る話なのだろうと思ってしまう。  が、この邦題はまず無視しなければならない。 実際は、「平和」を大義名分とした“国防”のために構築されたコンピューターが想定外に進化し、「平和」を純粋に実現するために、全人類を己の完全支配下に従えようとプログラミングが暴走するというストーリー展開だ。 根本となるその発想が、数多の映画でよくある“コンピューターの反乱”とは明らかに異なっていて、面白い。  冒頭、超巨大なコンピュータールームにて、主人公がシステムを起動させる。 CGなんて普及していない時代の映画である。レトロな美術セットによるコンピューター機器のビジュアルには、チープさを感じる反面、逆に独特の雰囲気があり、“マシーン”の恐ろしさを感じさせる。  もちろんSF映画なので、すべてが現実的なわけではなく、そもそもの設定が突飛である。  ただし、支配力を強めるコンピューターに抗う人類の無力さ、そして娯楽映画の定番を覆すブラックな顛末には、ゾッとするようなリアリティがあり、それがこの映画自体の面白味に直結している。  今日現在に至るまで、人類の進歩は、そのまま科学技術の浸食であると言える。 生活は日々便利になっていくが、いつの時代もそこには、“転覆”の恐怖が表裏一体で存在する。  そして、コンピューターに支配されていない「現実」が、決して「平和」な世界になっていないことも事実。  映画のラスト、人類の支配を成したコンピューターは、主人公らの絶望感をよそに「これで平和な世界となる」と高らかに宣言する。 その宣言に対して、主人公は最後の最後まで必死に抵抗し、「否定」をする。 が、その「否定」が必ずしも正しくないことを、主人公自身が心理の奥底で感じている。  その矛盾こそが、人類の存在価値そのものを脅かす恐怖であろう。  このクラッシックなSF映画は、そういう恐ろしさを40年経った今も雄弁に語っている。
[DVD(字幕)] 8点(2010-11-04 22:46:49)(良:1票)
1217.  殺人ゲームへの招待
先日、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の25周年イベントの映像で久しぶりに“ドク”役のクリストファー・ロイドの元気そうな姿を見た。 また彼の出演映画を観たい、と思っていたところ、今作のオープニングクレジットに彼の名前が出てきて、ささやかに興奮した。  映画は、謎の洋館に招待された何やら訳ありの数人が、繰り返される殺人に巻き込まれる様を舞台調のコメディータッチで描いていく。  「ホームアローン2」の接客係役が印象的だったティム・カリーが狂言回し的立ち振る舞い、濃ゆい顔でドタバタと走り回る。 全体的に“ドタバタ感”が強過ぎて、コメディー要素が強まる反面、ミステリーの趣は軽薄になっていった印象は否めない。  “Clue”というボードゲームを原案とする映画らしく、ストーリー自体に深みがあるとは言えず、ミステリーの真相にもそれほど衝撃は無い。  ただ、まったく違う3通りのエンディングを用意するなど、ボードゲームの映画化らしい趣向には面白味があり、コメディーとミステリーが融合した映画として“まとまり”は良かったと思う。  最終的な感想としては、映画がどうこうの以前に、原作のボードゲームの存在が気になった。 
[DVD(字幕)] 6点(2010-10-31 10:17:15)
1218.  処刑人II 《ネタバレ》 
前作「処刑人」を観てからもう10年も経つ。 先ず思ったのは、あのスタイリッシュな映像センスと冒険心に溢れたアクション映画の続編が、何故このタイミングまで公開されなかったのかということだった。  “万年ネタ不足”に悩まされる今のハリウッドであれば、とうの昔に続編が製作されていて、下手すりゃ「3」とか「4」まで作られていてもおかしくはない。  どうやらその答えは監督のトロイ・ダフィーにあるらしい。 かなりの問題児らしく、前作の製作の段階でも大手製作会社ともめにもめて、結局ほとんど自主製作のような形で撮ったとのこと。  とにもかくにも、根強いファンからの待望論も手伝ってようやく日の目を見た続編。  10年という年月は流石に長くて、前作が「想像以上に面白かった」というインパクトは確実に残っているのだけれど、実際どんなテンションの映画だったかということに対する記憶が正直薄れてしまっていた。  そんなわけで、10年前の記憶を思い起こすように手探りで映画を観始めた。  冒頭から何となくテンポの悪さと、過剰なバタ臭さを感じ、居心地の悪さを感じた。 「何かが足りない」と思い、蘇ってきたのは「彼」の存在だった。 前作で、超個性的な敏腕刑事役として登場したウィレム・デフォーが居ない。  「出演交渉がうまくいかなかったのか……」と残念に思いつつ、中盤に差しかかった。 すると、一転して映画のテンションが加速する。 そこまでどこか遠慮していたようなテンポの悪さが無くなり、前作を彷彿とさせるインパクトが映画を包み込んだ。  そうしてクライマックスまで突っ走り、最後の最後で、唯一欠けていた“ピース”もちゃんとはめ込んでくれた。 過剰で無意味な演出やムラも感じられたが、トータル的には前作のファンも満足できる続編だったと思う。 
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2010-10-30 17:17:20)
1219.  お熱いのがお好き
アンジェリーナ・ジョリー、スカーレット・ヨハンソン……、今現在もハリウッドを彩るセクシーな女優たちは沢山いるけれど、“セックスシンボル”という呼称を聞いて、真っ先に思い浮かぶのは、今尚「マリリン・モンロー」だと思う。 彼女の映画をまともに観たことが無かった僕の世代(1981年生)でもそうなのだから、その「存在」自体が”伝説”と呼ぶにふさわしい女優なのだろう。  ただ、“セックスシンボル”というイメージが余りに強く、「女優」としてはいささか“軽薄”な存在として捉えていたことも事実。なので、これまで彼女の出演映画を観ようなんて思ったことは一度も無かった。 今年、「アパートの鍵貸します」「情婦」と、ビリー・ワイルダーの監督作品を立て続けに観ていなければ、この「お熱いのがお好き」という映画も観ることはなかっただろう。  マリリン・モンローという女優名も、「お熱いのがお好き」というタイトル名も、これまで散々耳に入れてきた名称だ。そして、名前だけ知っていて、大体“知ったつもり”になっていた。 非常に、愚かなことだと思う。  ビリー・ワイルダーの映画術と脚本力は流石に卓越している。トニー・カーチスとジャック・レモンのパフォーマンスも素晴らしい。 が、それらを明らかに”二の次”に押しのけてしまう程、マリリン・モンローという女優の圧倒的な存在感に惹き付けられる。  前述の呼称が示すように、確かにセクシーなことはこの上ない。ただそれと同時に、抜群の愛くるしさに溢れている。 彼女はその短い人生の中で、銀幕で、プライベートで、数多くの男を虜にしてきた。 それは“欲情”によるものだとずっと思っていたが、決してそうではないとこの映画を観て思った。 彼女は、男が女を好きになるという「本質」の様々な要素を集約した存在だったのだと思う。  理屈ではなく、“本能的”に好きにならずにはいられない。その「存在」は、間違いなく映画史に残る奇跡だと思わずにはいられない。  と、マリリン・モンローという“シンボル”の存在感に打ちのめされた深まる秋の夜。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2010-10-24 12:39:37)(良:2票)
1220.  イーグル・アイ
何やら意味深な予告編だけでは、今ひとつストーリーのテイストが分からなかった本作だった。 が、観て納得。これは予備知識を入れずにフラットな状態で観るほど楽しめる映画だと思う。  そういうわけで、ストーリーの詳細は避けたいと思うが、言うなれば物語の本質は異なるが、超現代版「北北西に進路を取れ」的な印象を受けた。  とても面白かったと思う。  このところ大作映画への出演が続いているシャイア・ラブーフのパフォーマンスを初めて観たが、良い意味でスター性が薄い存在感が、エンターテイメント大作においてバランス良いのだと思う。スピルバーグが好んで起用している理由が分かる気がする。  個人的には、ビリー・ボブ・ソーントンの演技を久しぶりに見られたのも嬉しかった。テロに対して信念を持って対峙するFBI捜査官を、相変わらずの曲っ気たっぷりに演じてみせている。  下手をすればもっとコケている作品なのかもしれないという危惧もあっただけに、高いアクション性と、終始緊迫感溢れる展開に満足度は殊更に高い。
[映画館(字幕)] 8点(2010-10-21 22:33:48)(良:1票)
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