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鉄腕麗人さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2593
性別 男性
ホームページ https://tkl21.com
年齢 43歳
メールアドレス tkl1121@gj8.so-net.ne.jp
自己紹介 「自分が好きな映画が、良い映画」だと思います。
映画の評価はあくまで主観的なもので、それ以上でもそれ以下でもないと思います。

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1301.  ジャケット 《ネタバレ》 
精神的な時間移動を主題としたサスペンスというと、どうしても一昨年の「バタフライ・エフェクト」がよみがえる。あれがあまりにも素晴らしかったので、“二番煎じ”という感は拭い切れはしなかったが、それはそれとして中々に面白いストーリーだったとは思う。  湾岸戦争での頭部負傷が原因だったり、ヒロインとの関係性の深まりが唐突過ぎるなど少々強引な点はあるが、エイドリアン・ブロディのあまりに絶望的な目つきの前には勘弁するしかない。 雪に包まれた寒々しい空気感が全編にわたり広がり、そこにあらわれるのが不気味な“拘束衣”と死体安置の“引き出し”。当然主人公は悲鳴に包まれるが、そこからまさに文字通り「未来」が見えてくるという趣向は斬新だ。  ただやはり、ストーリーの掘り下げ部分が浅く、結果的にはあまり説得力は残らないのは残念なところ。 映画の雰囲気の一貫性と統一感に救われていると思う。
[DVD(字幕)] 6点(2007-01-14 00:59:24)
1302.  ラッキーナンバー7 《ネタバレ》 
クエンティン・タランティーノ、ガイ・リッチーらの映画から端を発し流行りはじめてもはや久しい“クライムアクション”というジャンル。多くの場合、「犯罪」を軸にした群像が互いを騙し合い、駆け引きながらせめぎあうことでストーリー展開のイレギュラー性を楽しむ娯楽映画であることが多い。 ただ、最近はあまりにも量産され過ぎて新鮮味は薄れ、すでにB級映画の定番ジャンルとなりつつあることも否めない。  が、この映画は少々侮れなかった。 まず目を引いたのは、映画の中の何気ない小物やインテリアのセンスの良さとこだわり感。椅子や自動車、電話や壁紙に至るまで細かなこだわりが画面に広がる。こういう画づくりのこだわりは、1シーンごとに価値を持たせ見ていて飽きが来ない。 映像的なこだわりに裏づけされるように、ストーリーの展開にも工夫がめぐらされている。 冒頭、衝撃的でミステリアスな暗殺シーンの連続で観ている者にインパクトを与えたかと思えば、主人公の登場と立ち振る舞いはライトに描かれ、一転して違うテンションのストーリー軸に引き込んでいく。 そしてクライマックス、物語の核心へ迫る時には、一気に悲哀と哀愁を漂わせる。そのテンションの転換の仕方が実に無理がなく、巧い。  良かったのは、ジョシュ・ハートネットである。なぜブルース・ウィリスがセカンドネームなのか疑問に思っていたが、映画を観れば彼がこの映画の主人公であることは納得。実に適役だったと思う。 その甘いマスクで一気スターダムにのし上がったのはいいものの、中々これという作品がなかったジョシュ・ハートネットだが、一昨年の「シン・シティ」に続き中々良かった。正統的な二枚目よりも、こういう一クセも二クセもある役柄が合っている。  昨年は欧米の娯楽映画をほとんど観なかった(というか当たりが皆無だった)が、今年はある種の原点回帰でハリウッド映画もよく観たいと思う。幸先は良い。  ※ネタバレ いや、原題の表記は気にはなっていたんだけどね。
[映画館(字幕)] 8点(2007-01-14 00:32:14)(良:1票)
1303.  鉄コン筋クリート
2006年の年の瀬。実はもっとも観たかった映画が、この「鉄コン筋クリート」。 年末公開だったのだが、地方都市の性で年明け一発目の公開とずれ込んでしまった。 というわけで、2007年一発目。新年最初に観る映画がアニメというのも悪くはない。  んで。そういう新しい年の“高揚感”的な部分がないと言えばウソになるが、いきなりの最高点。  とりあえず、あの松本大洋の独創的な原作漫画を“カンペキ”に映画化してみせたということだけで、「スバラシイ」という他はない。 しかも、ただ原作を忠実にアニメ化しただけではなく、その物語と世界観が持つ「深層心理」まで確実に表現してみせたこのアニメーション技術には、もはや言葉が無い。 地獄のような町で、どこまでも純真に、だからこそ狂気的に生きていく二人の少年。 その躍動感を、息づかいを、そして無限に混沌と広がる精神世界を、見事に映し出す。 目の前に際限なく広がっていく映像世界には、ただ呆然とするばかりだ。  そもそもが一つの“カタチ”を持たない物語である。すべてを明確に説明することなど不可能だし、意味がないことだ。 ただただぶつけてくる登場人物たちの感情をそのままに受け止めればそれでいいのだと思う。そこに理屈など存在せず、感情のままに揺さぶられる。   一昨年の「マインド・ゲーム」に引き続き、果てしない精神世界を独創的に表現してみせた“STUDIO 4℃”。 ながらく「ジブリ」によって支えられ発展してきたジャパニメーションは、その停滞と同時にまた新たな“チカラ”を得たのだと思う。
[映画館(邦画)] 9点(2007-01-08 00:16:22)(良:1票)
1304.  江分利満氏の優雅な生活
普通の人生をできるだけ普通に送ろうとする普通な男の、笑いと悲哀。 誰にでも起こり得る、というか誰にでも実際に起こっている人生における事象を、独特の映画のリズムに乗せ“映画感情”たっぷりに描き出す。  オープニングをはじめとする映画のテンポ感は、まるでディズニー映画のミュージカルシーンのようだが、延々と描かれるのは、しがないサラリーマンの酒に酔ったひとりごとである。ただそれが、少しも飽きずクドくもない。むしろどんどんと引き込まれていく。何気ない台詞回しや、それを発する抑揚が絶妙で巧いのだ。  ひたすらに人間の滑稽さを描き連ねたかと思えば、次の瞬間には同じシーンであるのに、じわりと込み上げてくるものが生まれる。 人間とは、滑稽さと悲哀が表裏一体で構築されているものなのだなあと、改めて思う。  主人公・江分利満を演じた小林桂樹の演者としての深みを感じると共に、今更ながら娯楽映画界の大巨匠・岡本喜八の“巨大さ”を感じずにはいられない。
[DVD(邦画)] 10点(2006-12-30 08:05:42)(良:2票)
1305.  殺人狂時代(1967)
レトロなアニメーション調のオープニングから始まり、全編にわたって醸し出されるモダンでハイテンションな映像世界。日本映画界における娯楽映画の巨人・岡本喜八の真骨頂がここにあると思う。  一癖も二癖もある飄々とした大学講師に、変人揃いの殺人集団が問答無用に襲い掛かる。40年近くも前に、こんな突飛な設定を堂々と描き出すその豪快さにまず感嘆する。 そこに軽妙な台詞回しと、ビビットなカメラワークとカット割りが加わり、今尚“新しい”娯楽映画の世界が広がる。 そして、映画の核心は娯楽映画の範疇にとどまらず、「殺人」やその礎の「狂気」にまで哲学的に迫っていく。  一役で、とぼけたユーモア性とスターの風格漂うダンディズムを表現している仲代達矢は、見事という他ない。悪役を演じる天本英世の怪奇ぶりも流石だ。  アクション、コメディ、ミステリー、ハードボイルド……あらゆるエンターテイメント性を併せ持つ娯楽映画の傑作と言えるだろう。
[DVD(邦画)] 8点(2006-12-24 14:30:51)(良:1票)
1306.  犬神家の一族(2006)
映画監督・市川崑、91歳。 はっきり言って、ただそれだけで、日本の映画界における至宝であり、伝説である。 その大々巨匠が、再びメガフォンをとる(この言い方ももはや年季を感じる)。しかも撮るのは「犬神家の一族」、主演は30年前と同じ石坂浩二、否が応にも驚きと期待が膨らむというもの。  実際、映画の内容がどうであれ、齢90を越える“生ける伝説”が撮る映画である。それがすべてだと思わざるを得ない。 そうして生み出された稀代のリメイクは、30年前のそれと同じく、衰えを全く感じさせない日本のミステリーの礎とも言える物語の見事な“再現”だったと思う。  ストーリー構成、キャラクター造形、シーン設定などそのほとんどが30年前のそれと、ほぼ狂いなく描き出されていることは、新しさには欠け、物語としての驚きはあまりない。  が、それでも観客を引き付けるのが、この物語の魅力であり、描き出した市川崑という映画人の絶対的な“力量”だと思う。
[映画館(邦画)] 7点(2006-12-24 02:28:53)(良:1票)
1307.  大怪獣ガメラ
1965年に制作された今作は、大映が東宝の「ゴジラ」に対抗して生み出したということがありありと伺える。 亀の大怪獣「ガメラ」というキャラクター性と発想は、その時すでにスーパースターとなっていた「ゴジラ」のそれと極めて類似はしているが、ユニークではある。 でも、ストーリーという部分において、安直だというか工夫がない気がする。  特に第一弾となる今作は、ガメラの設定自体に腑に落ちない点が多い。 人間の子供を助けるわりには、東京で大暴れし破壊の限りをつくす。人間の敵なのか、味方なのか、曖昧なままストーリーは展開していく。 特撮においても、やはり東宝のそれとはレベルの違いが見受けられ、チープさに拍車がかかる。 人間側の最終手段となる「Z計画」の強引さは嫌いではないが、全体的な陳腐さの上ではそれも許されないところだろう。
[地上波(邦画)] 4点(2006-12-17 16:07:55)
1308.  雪に願うこと
「勝負は勝たなければ意味が無い」 「勝負は勝つことだけがすべてではない」  本当はどちらが正しいのか、僕には分からない。 でも、この映画と、「ばんえい競馬」は、その両方を物語る。  人生の中で挫折し、傷ついた心を、凍てつく北の大地と「ばんえい競馬」という厳しい世界で生きる人のあたたかさが包み込む。 「勝負」に敗れれば、人は立ち止まるしかない。でも、再び歩き出すことは出来る。 そういうことを、主人公は、重いそりを引き一歩一歩を踏みしめながら「勝利」を目指す輓馬(ばんば)の馬に対して感じ入ったのだと思う。  現実問題としては、赤字負債によりその存続が限りなく危ぶまれている「ばんえい競馬」。 なんとか北海道の文化遺産として存続させてほしいものである。 これまで知りもしなかったくせに、にわかじこみの情報のみでこういうことを言うのはあまり好きではないが、凍てつく空気の中、蒸気のような鼻息を大地に吹きつけながら馬場をいく巨大な馬の姿は、他にない高揚感と感動に溢れている。  スピードだけが重視されがちな現代社会において、この競馬の持つ付加価値というものは、尚更に大きくなっていくように思う。   主演の伊勢谷友介という俳優は、最初に出演映画を見た時(確か「ワンダフルライフ」)は、「なんだこの舌足らずなモデル上がりは」という印象だったが、今やすっかり日本の映画界に欠かせない俳優になったと思う。 舌足らずなのは変わらないが、それすらも彼の俳優としての味になってきた。 
[DVD(邦画)] 7点(2006-12-09 16:25:18)
1309.  ただ、君を愛してる 《ネタバレ》 
どんな形であれ、やはり“別れ”というものは、哀しくて、切ない。 奇しくも二週連続で、たまらなく切なくなる“別れ”を描いた映画を観た。  互いに心の中に悩みやコンプレックスを持つ二人が、出会い、惹かれ合い、寄り添う。  ただひとつの恋、ただひとつのキスに、自らの人生のすべてを、そして、“少女”から“女性”へ駆け抜けるように「成長」するヒロインを演じる宮崎あおいは、文字通り可憐で美しい。 対して、主人公を演じる玉木宏は、自らの美貌ももちろんだが、とても良い意味で相手役の女優の魅力を際立たせることができる俳優だと思う。今作でも、宮崎あおいの魅力を最大限に引き立てると共に、コンプレックスを抱えるナイーブで心優しい青年を好演していた。  同原作者(市川拓司)の秀作「いま、会いにゆきます」ほどストーリーにインパクトはないが、二人の姿を描く何気ないワンシーンに心が和み、微笑が生まれる。次第に心から二人の幸せを願いたくなる。 それ故に、殊更に物語の顛末の切なさは膨らむ。  主人公たちの悲しみは、深く果てしないだろう。でも、彼らは決して不幸ではない。 “別れ”とそれによる“哀しみ”がどうやったって避けられないものなら、せめて哀しみの後に微笑むことができる人生を送りたい。
[映画館(邦画)] 7点(2006-11-11 18:13:43)(良:1票)
1310.  虹の女神 Rainbow Song
淡い光の中で、様々な人間たちがそれぞれの思いをありのままに繰り広げる。 こういう映画は、僕自身が映画を見始め、映画を志した頃に好んでよく見たタイプの映画で、好きだし、弱い。 加えて主人公たちも、映画を撮り、フィルムを遺すのだから、もう個人的には“オテアゲ”状態である。  だが、とても良い映画だったと思う。  とても近くにいた人の大切な想いを、その人が遠く離れてしまってからようやく気付く。いや、ほんとうはとっくに気付いていたのかもしれない。でも、近いからこそ、無意識に気付かないふりをしてしまっていた。 プロットとすればよくあるタイプではある。でも、やわらかい光に溢れた映像美の中に、時にシニカルに、時におかしさを含めながら、切なく描き出す。そういうキレイ事だけで留まらない映画の表現的な巧さが光っている。  ヒロインの上野樹里や、その盲目の妹を演じる蒼井優が、当然の如く巧くて、本来もっと主人公として際立つべき市原隼人が(若い二人の女優に)食われすぎている感はあるが、不器用で切ない人間模様を瑞々しさと安定感をもって表現されていたと思う。  この映画は、美しい光に溢れ、“虹の女神”なんていかにもキレイなタイトルがついてはいるが、主人公たちも含め登場する人間たちは、決して“完璧”なんかではない。 優柔不断だし、屈折しているし、虚栄的だったり、臆病者だったりする。 でも、そういうことが人間として当然だし、だからこそ垣間見えてくる“輝き”とその“美しさ”というものをこの映画は認め、映し出す。 失わずに済むものなら、それにこしたことはない。しかし、必ずしもそういうわけにはいかないのが、人間というもの。 そういった人間の根本的な部分での、「儚さ」と「美しさ」を描く作品だった。 
[映画館(邦画)] 8点(2006-11-05 17:50:48)
1311.  サマータイムマシン・ブルース
SF」と聞いて個人的に真っ先にイメージされるものは“タイムマシン”であり“タイムトラベル=時間移動”だったりする。 ストーリーの要素としてとても好きなものだし、故にありとあらゆる“タイムマシンもの”を見てきた。 そもそもが、「空想」の範疇を出ない素材なので、その捉え方や描き方には限界はないハズだが、このところの“タイムマシンもの”にはマンネリ化がつきまとうことも事実。そんな中において、ちょっと新しい“タイムマシンもの”が生み出されたと思う。  タイムマシンとしての概念的な新しさは決して求めず、ある意味ベタベタな設定の中で、「おかしさ」のみを追求した結果、まったく新しいストーリー展開が広がったと思う。 「SF研究会」の大学生グループがタイムマシンを手に入れたにも関わらず、ひたすらに壊れたクーラーのリモコンを巡る騒動のみに終始する様が面白い。 学生たちの、ノリの暑苦しさと悪ふざけぶりが、おかしさに拍車をかけ、本広監督らしい小道具の隅々までに気を配る演出が冴える。  登場キャラクターたちのノリの軽さと若々しさは最後まで徹底されるが、だからこそ垣間見える力強さや、切なさは、まさに夏のブルースを掲げるにふさわしい。
[DVD(邦画)] 8点(2006-10-28 12:43:42)
1312.  クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲
アニメ映画というものは、ふいにとても大きな感動を生むものである。 意外な秀作として評判の高いこの「クレヨンしんちゃん」の映画も、その類だろう。  大人たちの中に大切に残る“懐古感”と、子供たちが生きるべき“未来”との間で奮闘する野原一家の姿に、予想以上に心が揺さぶられる。 古き良き時代を懐かしむことは、決して悪いことではない。その時間へ戻りたいという“願望”は拭い去れるものではないだろう。でも、同時に今生きている時間の大切さも、捨て切れるものではない。 詰まるところ、今の“希薄”な時代が忘れているものは、良き時代の素晴らしさではなく、今この瞬間の素晴らしさなのだろう。  どの時代にも、良い所もあれば悪い所もある。要は、その両方を見極めることだ。 そういう普遍的で深いテーマを、いつものノリとギャグの羅列の中に描きつける巧い映画だと思う。
[地上波(邦画)] 7点(2006-10-15 23:01:24)(良:1票)
1313.  かもめ食堂
くたびれた日々の中の週末、長い秋の夜、とても良い映画を観ることができた。  ほんとうの“やさしさ”とか“やすらぎ”というものは、潔いつよさの上に存在するものだと思った。 フィンランドという国に、そこでさりげなく構える小さな食堂に、そしてこの映画の主人公にそういうことを感じた。 自分が在る場所と存在を見極め、認めるからこそ、有意義でゆったりとした時間が流れるのだと思う。  そのゆったりとした時間が流れる日々の中で、交わされる言葉、たわいもない出来事、少し変わった人々、差し出されるコーヒー、並ぶテーブルと椅子、シナモンロール、食器、おにぎり……そのすべてがいとおしく感じる。  何が起こるというわけではない。食べる姿が大好きな日本人女性が、遠い北欧のフィンランドで小さな和食の食堂を開き、そこに人が集まってくる様子を描き連ねているだけである。 でも、そこに映し出される「幸福感」は、とても大きい。 そういう空気が流れるところでは、もはや言葉が通じないだとか、文化が違うなんてことは、あまり関係なくて、その共有すべき空気の中で、ただただ自然に存在できるのだと思う。  主人公の店主を演じる小林聡美がさすがにスバラシイ。強い潔さと深いやさしさに溢れたその存在感は、舞台となる“かもめ食堂”そのままであり、この映画そのものと言っていい。 特にラストカットのワンフレーズなど、中々あれほど自然に表現できるものではない。  ふと思う。 遠い遠いフィンランドという国へ行きたい。 ヘルシンキという街へ行きたい。 かもめ食堂へ行きたい。
[DVD(邦画)] 8点(2006-10-15 02:53:22)
1314.  好きだ、
どこまでも内気で繊細な二人の男女が、17年の歳月を経て各々の想いを紡ぎだしていく。  下手を打てば、なんともまどろっこしくて、「うだうだやってんじゃねーよ」と言いたくなるかもしれない物語である。が、独特の空気感を持った長回しと、登場人物のキャラクターそのままに映像の中に息づく役者たちの表現力で、ただただすっぽりと包み込まれる。  劇的に何かがどうなるという映画ではない。言葉で説明してしまえば、至極単純なものになるだろう。 でも、映像から伝わってくる“想い”には、奥ゆかしさがある。  どんなときも、「想い」を想いのまま伝えることができれば、それにこしたことはない。でも、人間なかなかそういうわけにもいかない。そして、そういうことを経るからこそ、深まる「想い」もある。  一音一音を確かめるようなギターの音色に乗せて、そういう人間の、ある部分において愚かで、ある部分において幸福な微妙な感情を、冷たく吹き抜ける風のように繊細に描く映画だった。
[DVD(邦画)] 8点(2006-10-09 09:10:39)(良:1票)
1315.  時をかける少女(2006)
原田知世が主演したノスタルジックかつ破天荒な“アイドル映画”から二十年余り、新たに生まれたこのアニメ映画はその“リメイク”というよりも、「時代」を越え、それを踏まえた“続編”である。  「タイムリーブ」を会得した主人公の少女は、当惑や困惑をする間を持たず、ひたすらに走り続ける。その姿と言動が実に現代的で、瑞々しい。 まさにタイトル通りに、時間の波間を“駆け”続ける少女の姿は、「時間を退行する」という行為にも関わらず常に“前向き”である。 そのどこまでも“前を見続ける”少女のスタイルこそ、この映画が物語る「確実に過ぎ去っていく時間を大切に生きる」ということだと思う。  クライマックス、明確な「意志」を持って最後のタイムリーブに踏み切っていく少女の“一歩一歩”には、言葉にならない感情の揺れを覚えた。  ただしかし、少しストーリーに説得力というか完璧に引き付ける“力”が足りないようにも思う。 各所のタイムパラドックス的な描写にもう一つ工夫がなかったり、終盤の核心部分がどこか曖昧だったりということを感じてしまった。 ストーリーの根底的な部分に、あと少しオリジナリティーを持った“軽妙さ”があればもっと良かったと思う。  もちろん悪い映画ではなく、良い映画である。完成度も高いと言える。 が、映画としてのインパクトだけをとれば、23年前のアイドル映画の方が力強い。
[映画館(邦画)] 7点(2006-10-09 01:31:31)(良:2票)
1316.  古畑任三郎ファイナル ラスト・ダンス<TVM>
なんとなく「巧いトリック」という雰囲気は醸し出しているが、よくよく見ると“粗”が多すぎるストーリーだったと思う。 節々で「安易」だったり、「粗末」だったりする印象は否めない。 松嶋奈々子が好きな人ならば、それだけで充分に見応えがあるのかもしれないが、全然そうでないものにとっては、なんとも腑に落ちない“幕切れ”だった。
[地上波(邦画)] 5点(2006-10-02 23:57:24)
1317.  古畑任三郎ファイナル フェアな殺人者<TVM>
語るべきは、やはり“犯人イチロー”だと思う。 結論から言うと、イチローの演技はとても良かった。シリーズのテンションを決して崩すことなく、しっかりとストーリーの上に“イチロー”として存在した彼のバイタリティーは、やはり普通ではない。 ただそれは同時に、三谷幸喜が用意した脚本が非常に巧かったと言えると思う。 “イチロー”が“イチロー”のままに存在することで「古畑任三郎」のストーリーを成立させる脚本が、前程としてあったからこそ、危惧された違和感が生まれなかったのだと思う。 さすが売れっ子脚本家は、用意された「企画」をこなすことも、しっかり「一流」である。
[地上波(邦画)] 6点(2006-10-02 23:54:29)
1318.  古畑任三郎ファイナル 今、甦る死<TVM> 《ネタバレ》 
このスペシャルシリーズ3作品の中では、結局一番完成度が高かったと思う。 藤原竜也はやはり中々の芸達者で、演じたキャラクターの絶妙な“浅はかさ”を巧く表現できていた。ダブル犯人という核心も、巧みだった。 ラストが少々強引だった気もするが、ストーリーの整合性と完成度はやはり高い。
[地上波(邦画)] 7点(2006-10-02 23:49:00)
1319.  僕たちの戦争<TVM>
現代社会に生きる人間が、戦時中にタイムスリップしてしまい、戦渦に巻き込まれていくという設定はよくありがちだが、容姿が全く同じ人間が時代を越えて入れ替わってしまうという設定はちょっと新しい。  そして、その対象をそれぞれの時代を生きる「若者」にすることで、リアルで敏感な感情がダイレクトに伝わってくる。 まったく違う時代と環境を生きてきた二人が、突如として放り込まれた時間と場所の中で、混乱しつつも感情豊かに対応していき、それまでに見出す余地もなかった「意識」を生み出していく様は、実に胸に迫るものがある。  「戦争」というある種の固定概念が定着している題材の中で、決して暗く堅苦しくならず、「若者」を主題にするにふさわしい“瑞々しさ”で描き出した演出と演技はとても良かったと思う。  戦渦の中、特攻として最期を迎える寸前の主人公(現代人)は、猛々しく叫ぶ。  「正しい戦争なんかない」  この作品で描かれるのは、単なる戦争の愚かさではない。「戦争」という時間、「現代」という時間、それぞれに生きる人間たちの「普遍」である。 「戦争」を、そして「現代」を、新たな“世代”と“言葉”によって語られるべき時代がきていると思う。 
[地上波(邦画)] 7点(2006-10-02 23:41:03)
1320.  フラガール 《ネタバレ》 
本当に良い映画というものは、そのファーストシーンから観客を包み込む。 最初のシーン、福島の“なまり”で語り合う少女たちが映し出された瞬間、「ああ、これは良い映画だ」と思った。  毎度のことであるが、映画が“良い映画”であるほどに、こうやって感想を紡ぐことは困難で、むしろナンセンスだとさえ思う。 節々で溢れ出る涙と反比例するように、映画を語るにたる「言葉」は出てこない。  それは、この映画が、その中で描かれる人生が、決して「理屈」ではないということを物語っている。  この映画は、昨今流行りのストレートな“スポコン”では留まらない。 廃れゆく炭鉱のまちで、自分が生きるため、家族を生かすため、まちを守るため、彼女たちは未知なる舞台へと上がる。 まったくの素人集団が、荒涼とする寒空の中ひたすらにレッスンに励み、困難と別れそして数々の笑顔を経て、紛れもないフラダンサーへと成長していく。ただその姿を見るだけで、感情は激しく揺さぶられる。  東京から流れてきた女流ダンサー(松雪泰子)、廃れゆく炭鉱の中で新しい時代に踏み出そうとする少女(蒼井優)、かつての隆盛の時代から炭鉱に生き続けてきた母親(富司純子)、という三様の女性の視点からこの映画の物語は紡ぎだされる。 その他の女性たちも含めて、それぞれの感情がぶつかり合い、混ざり合うことによって、物語は濃厚な広がりを見せる。 変化する時代と環境に対し、しっかりと向き合おうとするそれぞれの“女性の強さ”こそ、この映画がもっとも雄弁に語るものだと思う。  厳しく悲しい実情を抱え、それでも尚、自分たちが立つべき舞台に凛と立ち、ひたすらに踊り、絶えずスマイルを放ち続ける“フラガール”たちの姿そのものに、涙が止まらなかった。スバラシイ。 
[映画館(字幕)] 10点(2006-10-01 18:19:36)(良:1票)
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