1341. 椿三十郎(1962)
『用心棒』と同じ映画をもう一本は作れない、ということなのかも知れませんが・・・「桑畑」の方が何を考えているのやら、愉快犯めいたところがあったのに比べ、「椿」はどうもやたらと何でもしゃべりたがる。そりゃま、持ち前の不愛想なそぶりは相変わらずだし、また今回も何らの見返りを求めてはいないのだけれど、これだけペラペラしゃべってしまうと、あまりにも大っぴらな「照れ隠し」で、およそ隠せるものも隠せない。というより、恩着せがましくすら見えてしまう。 とかいうことは、もうこの映画ではどうでもいいことなのかも知れませぬ。学級会のような9人の侍。およそ個性らしいものがなくって、2,3人で充分、いやそれこそ1人だって物語は成立するかのも知れないけれど、あえて9人も並べてみせる。一挙手一投足が9倍に誇張され、すっとぼけた味わいも9倍。確かにこれじゃ隠密行動も隠密に見えず、可笑しくもあれば、ハラハラさせられもします。そしてその対照として、三船敏郎の颯爽とした姿もまたひと際輝くというもの。 冒頭、迫りくる追手と、その中に飛び込んでいく主人公、このシーンからして、もうカッコよくてカッコよくて。 気迫みなぎる殺陣と、なんとも可笑しいのんびりしたユーモア。前作はやたら殺伐としておりましたが、ここではまた一味違う魅力を味わうことができます。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2017-05-20 16:23:11) |
1342. マラヴィータ
フランスはノルマンジーに越して来たアメリカ人一家、実は、自分達を狙うマフィアから逃れて身を潜めるためにここにやってきたのだけれど、一家全員、やることなすことハチャメチャで、目立つまいという気がまったく無い。勿論、後半、マフィアが彼らの居場所を突き止めてやってくる展開となるのだけれど、居場所がバレる原因が、彼らの目立つ所業ゆえではなく、実に実にクダラナイ経路を通じて、というのが人を喰ってます。 この一家のどうしようもない親父が、ロバート・デ・ニーロ。例によって悪乗り演技に走るのだろう、と例によってこちらも身構えるのだけど、そしてまあ実際そういう面はあるのだけど、一家の美人長女のクールな無表情ぶりが、ちょっとした好対照で、面白いんですね。この娘が一番、ヘンです。ヘンタイです。 見どころはいよいよマフィアが襲ってくる場面だろう、という期待を持たせたまま、延々と悪乗りで引っ張り続ける、この厚かましさは大したもの。いささかエピソードを散らかし過ぎた感はあるのですが、それなりに伏線らしきものも散りばめて物語を引っ張っていこうとしていて、こういうオモシロさってのもあるんだな、と。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-05-20 15:51:05)(良:1票) |
1343. アパッチ砦
優等生顔のヘンリー・フォンダが映画の中でヒドい目に合うと、大抵、なんだか溜飲が下がる気持ちになったりするもんで、そういう意味で貴重な俳優さんだと思っているのです。本作でもしっかりラストでヒドい目にあってくれるのですが、本作の場合にはどうにもやり切れなさ、虚しさが残ります。どっちかというと、ここでは超堅物の憎まれ役で、特にアパッチ族との間を取り持とうとするジョン・ウェインの存在により、ますます、困った頑固オヤジぶりが際立ちます(ジョン・ウェインが優等生役でも不思議と憎たらしくは感じませんね。似合わないけど)。 むしろ、中盤のユーモアやロマンスによって、物語に大きな幅を持たせていることで、ヘンリー・フォンダ演じる中佐の存在もうまく物語に包み込んでおります。そして、彼の言動が、単にエキセントリックなものではなく、何か、自らの弱さに裏打ちされた強がり、とでもいうようなものを感じさせるが故に、ラストの悲劇が、ああ、何とかならなかったものか、という虚しさを伴って、心に響いてくる。ま、自業自得と言えばそうなんだけど、それでもなお彼の悲劇を悼むような、このラスト。 これ、ニューシネマの先駆けとか言っちゃあ、ダメですか。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2017-05-16 22:58:27) |
1344. ワイルド・アパッチ
西部劇の時代なのに、野球の場面でピッチャーがアンダースローで投げてなかったり、カーブを投げてたり。ってのがちょっと気になったのですが、調べてみると、なるほどコレ、時代的には別に、おかしな話ではないみたい。 ってのはどうでもよくって、それにしてもこの映画、面白い。自分が中高生の時にワクワクしながら映画観てた、あのワクワク感を思い出させる面白さで、ちょっと感激してしまいました。アパッチ族の一部が保留地から逃走、略奪や殺戮を繰り返す。で、その討伐のために騎兵隊が向かうのだけど、この敵であるところのアパッチ族一味が、とにかく強くてとにかうコワい。彼らが凄まじい虐殺を行うには、彼らなりの理屈や論理らしきものがあって、しかしそれは「こちら側の人間」には何らの共感を覚えることができないもので、従って到底理解できないもの(そういや、sympathyの字幕の翻訳が「同情」になってたように思ったけど、この場合はちょっと変では?)。この素晴らしく得体の知れない相手との死闘、いやもう、コレですよコレ。 悪意のない虐殺、悪意すらもない虐殺、という、その怖さ。その怖さに立ち向かう人々の姿。ああ、そうか、だからパニック映画って、あんなに面白かったんだ。 騎兵隊の追跡に協力する「訳知り」風のオッサンに、バート・ランカスター。さらにアパッチ族の若者も協力者として同行しており、この二人がいわば、騎兵隊と敵のアパッチ族の一味との間に位置している。ま、この味方の二人でさえこんなに不愛想でとっつきにくいんだから、敵はもっと得体が知れん訳ですな。 で、単純に「敵=悪」という勧善懲悪の物語ではなくって、悪意のない敵に対し、恐怖と怒りから、むしろ騎兵隊の中にこそ敵に対するドス黒い「悪意」が芽生えかけてくる、こういう皮肉もまた、本作の怖いところ。 そしてあとは、いかにしてこの恐るべき敵に、いや恐怖そのものに、立ち向かっていくか。その戦いがこれでもかと描かれる。ハラハラしワクワクすることこの上なし。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2017-05-14 23:10:45) |
1345. クレージーモンキー/笑拳
前半は、インチキ道場を舞台に、道場破りにやってくる面々(こんなに頻繁に道場破りが来るのか?)とコミカルな戦いを繰り広げるジャッキー。後半は、真の強敵がやってきて祖父を殺害されてしまい、ジャッキーがトレーニングの末に立ち向かう、という、まあ要するに、このテの映画に必要な一通りのモノはだいたいそろっている感じの作品ですな。 作中のかなりの時間、ジャッキーは戦っておりますが、基本的に、戦っているのやら踊っているのやらじゃれ合っているのやら。とても本気で戦っているようには見えません。が、その分、あまり大がかりにならぬ範囲で、アクションに色々と工夫を凝らしています。戦いそのものよりもトレーニングの場面にそれが出ていて、食べ物の奪い合いの場面とか、床におかれたツボの上を飛び石のように渡り歩く場面とか。 で、オフザケみたいな戦いを延々と見せられ、このまま終わったら、ジャッキー初監督作が泣くというものですが、この前半のオフザケは、クライマックスの戦いを光らせるためのものでもあるのでしょう。強敵・鉄の爪(って言ってもジャッカー電撃隊のアレではなくって、どちらかというとフリッツ・フォン・エリックに近い)との最終対決に先立ち、敵のしもべ3人組との戦い、これが見事。ここで明らかにギアチェンジされた印象です。そんでもっていよいよ、鉄の爪を相手に、ジャッキーが笑拳だか何なんだか、訳のわからない拳法を披露し、これにわざわざ付き合ってあげる鉄の爪が、とてもイイ人に見えてきたりもするけれど、見応えある一騎打ちが展開されるのでありました。 女装姿を見せたかと思えば、贅肉をトコトン削ぎ落した肉体美を見せたり、ちょっとナルシストっぽいところを感じさせたりもしますが、それにしてもこのクライマックスの貧相な背景。もう少しマシな場所でロケできなかったものかと。 [地上波(吹替)] 7点(2017-05-02 12:13:33) |
1346. パニック・イン・スタジアム
どういう作品かと言いますと・・・ ゴジラ現れる ⇒ 逃げ惑う人々 ⇒ 押し合いへし合い突き飛ばしあい、あれよあれよという間に死傷者多数発生 ⇒ 「これってオレのせいなの?」とさすがのゴジラも引いてしまう。 ってな感じですね。ホントに怖いのは、パニックを起こす人間心理である、という教訓でしょうか。はい、一応、確かに、承りました。けれども。 必要以上にドキュメンタリタッチというか、基本、地味です。音楽だけが何とかそこに気合を入れようと、孤軍奮闘しております。アメフトの試合進行に、それを観戦する何組かの人々(互いに関連はなく、最後までお互い関連し合わない)の人間模様を配置して、あと、スタジアムに潜む謎のスナイパー殺人鬼の姿と、それに立ち向かう、あまり頑張る気の無いチャールトン・ヘストン他、警備側の様子が描かれます、それはもう、淡々と。いや、アメフトに興味の無い私も悪いんでしょうけど、そんな私にも少しはアメフトに興味抱かせるくらい、試合の模様をうまく描写してくれたらなあ、と。よくわからん試合と、それを眺めるオジサンオバサンの姿とを、こういう風に見せられると、何だか、田舎の運動会を見てるような気持ちになってきます。 クライマックスの群衆シーンは、大量のエキストラを動員してさすがに気合の見せ所、70年代パニック映画魂の片鱗を見せてくれます。が、「どこかから自分が狙われているかも」という危機感なり何なり、パニックの源泉が特に感じられないもんで(みんなただ走ってただ転んでただ転落してるだけ)、アメフトのルール以上に溶け込むのが難しい、ついていきづらいパニックシーンになっております。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2017-05-02 11:31:21) |
1347. 座頭市物語
居合いの達人だと言われる座頭市、「見世物じゃねえや」とつぶやきつつノラリクラリとかわして、なかなかその凄腕を披露しない。披露しなければしないほど我々の期待も高まり、この後でしょぼい居合いシーンなんか見せられたら承知しないぞ、という気分になってくる、そんな中で、勝新がついに見せる、息を呑む早業。あらゆる期待をさらに上回っていて、もうこの時点でシリーズ化決定でしょう(笑)。 座頭市の盲目の眼の向こうにある彼の内面を、我々は決して推しはかることができない。ただその謎めいた横顔から滲み出る、かなーり胡散臭いヒロイズムに、我々は惹かれるんですな。病でこの先いくばくも無いであろう剣豪・天知茂も魅力的で、かつ彼の存在が、座頭市の謎の人物像の側面にスポットライトを当ててみせる。 クライマックスは、敵対する二つの組の間の一大抗争に発展。スピーディな展開がここに極まって、大いに盛り上がるのですが、同時にそれは、できれば避けたかったが決して避けられぬ、天知茂との対決の時でもある訳で。ここまでのゴタゴタをすべて超越した、神秘的ですらある、対決なんですね。ああ、シビレるシビレる、シビレまくり。ここに至り、ついに、あの座頭市からも一瞬、その内面があふれ出すのです。 映画中盤、夜の場面ではきっとそこに炎があり、その揺らめきや、光源の移動が、事細かに描写されたりして。大映らしいロケ撮影もあわせて、いい雰囲気を作ってます。 [CS・衛星(邦画)] 9点(2017-05-01 11:03:22) |
1348. ワイルド・スピード/ICE BREAK
このシリーズもすっかりめっきりCG漬けになってしまって、CG自動車がコロコロひっくり返るのをただ眺めているっていうのも、多少虚しいものが、無いでは無いんですけどね。何といいますか、裏ビデオを見てみたら逆に、実は疑似本番だったことがモロわかりで腹が立ってくる、ってな感じでしょうか(←だいぶ違うかも知れないけれど)。 前作がシリーズを打ち切る良いきっかけだったかも知れないのに、我々のイヤな予感を決して裏切ることなく、やってきましたシリーズ第8弾。メンバーが抜けては追加して、無理やり何とか引っ張って、もはやポリスアカデミー化していると言っても過言ではありません。そんな私の悪口にもめげず、第9弾もちゃんと作ってよ。たぶん作るんだろうけど。 さて本作の目玉は、主役たるドミニクが「ファミリー」と敵対する側に回ってしまう、という点なのですが、これがもうずいぶんヌルくって、イマイチなのです。突如裏切って我々をビックリさせてくれるんならオモシロくもなるところ、何だかユルユルと段階を踏んで「しょうがないけど裏切ってきま~す」みたいな感じの描写、観てる我々も心の準備しまくり。怖くもないしハラハラもしない。これだったら、「X星人に操られたゴジラ」とか「バイラス星人に操られたガメラ」とかの方がよほどスマートで、我々をハラハラさせワクワクさせてくれます・・・よね? いやホント、主人公が敵に回る、というこの事態を、こんなにサスペンス描くなんて。逆に言うと、これまさに、安心印。展開を心配せず事態を心配せず、乱闘爆破カーチェイスを、打ち上げ花火を楽しむように楽しむ。そう、それは勿論「花火が間違ってこちらに飛んでくるんじゃないか」などとハラハラしながら見るような楽しみ方では決して、無い。映画として観れば物足りないけど、ま、そういう楽しみ方もあるのかな。 クライマックスでは、赤ちゃんネタでユーモアを盛り込んでみたりなんかして。ああやっぱり赤ちゃんネタは鉄板ですなあ。 [映画館(吹替)] 5点(2017-05-01 09:47:48) |
1349. ダウンタウン物語
映画にはリアリティが必須、とか言ってるヒトを完全に門前払いする本作。ギャング映画でミュージカル、ってのがすでに十分すぎるくらいなのに、それを演じているのが全員、子ども。キッザニアじゃあるまいし。ぶっ飛び具合も、ここに極まれり。 血まみれの銃撃戦の代わりに、パイぶつけ。ははは。なめとんのか。 しかしもちろん、こういう映画だからこそ、というか、雰囲気は実にしっかりしてます。で、そのしっかりした雰囲気なのに、登場するクラシックカーは、足漕ぎ式、ってのにまたまた脱力。脱力しつつも、やっぱりミュージカルとして楽しめる。 大人の演技のねちっこさが無いおかげで、サクサクと90分少々の作品にまとめているのも、この破天荒な映画作りの、功績といえば功績。 いや、まあ、全体的に言うと、やっぱりこれじゃ表面的過ぎて物足りないなーとは思うんですけれども、ラストで子供らしさを全開させるメタな構成、結構、微笑ましかったりして。 それにしても子役をこれだけ集めて、さぞかしこの中からスターが生まれていったことだろう、と思いたくなるものですが、ジョディ・フォスターはさておきまして、クレジットの筆頭が「スコット・バイオ」ってのが、もう最大のオチといってよいかも。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-04-30 09:36:28) |
1350. 用心棒
黒澤映画で今のところ、観た回数が一番多いのがコレ。だってオモシロいもん・・・という訳ではなくって、この作品、どうにも違和感があって、こりゃ一体何なんだろう、と確認したくなってついまた観ちゃう。 2大グループが対立する宿場町に、風来坊の侍がやってきて、両者の対立をあおり一気に殲滅しようと企む。ってのはいいけれど、普通なら、その前段階が詳しく描かれ、クライマックスで抗争がピークに達して一大バトルが描かれるところ。七人の侍と同様の作劇であれば、そういう展開になるはず。ところが本作はむしろそれが前フリでしかなくって、三船敏郎演じる主人公、何の理由もなくいきなり作戦に打って出て、いきなり頓挫する。 対立するグループと、その間に挟まれた初代黄門様・権爺の店、というこの宿場町の構図、大変わかりやすく、さらに抗争が進むにつれ荒廃が進んでいく様子など、個人的にはとても好きなのですが、さすがにコレ、図式的に過ぎる気もするし。また、出てくる面々、どいつもこいつも、みんな汚そうで悪そうで、見事なアウトレイジ感(悪そう、と言えば、二代目黄門様も出てますが)。なんと加東大介ですら、この悪人ヅラ(もうヒドイのなんの)。だけどこの登場人物の模様もまた、図式的、機械的で、気がついたらどんどんオハナシが進みどんどん登場人物が増えていってしまってる。妙にドライなオハナシかと思えば、妙に人情話みたいになったり。 奇妙に幾何学的で、実はコレ、結構、実験的な作品なんじゃないの、という気もしてくる。いかにも無国籍な音楽に、やはり無国籍な敵役の仲代達矢。雰囲気も時代劇なんだか西部劇なんだか何なんだか。いや、あのG馬場とリチャード・キールを足して2で割ったような大巨人にいたっては、もう、SFです。 そんなハチャメチャな異常な中で、いかにも飄々とした三船敏郎、やっぱりカッコいいよね。何考えてるのやら、颯爽と歩き、ガツガツ物を食い、ひたすらタフ。やっぱり光ってる。光ってるから、作品が締まる。作品がカッコよくなる。何だかよくわからんけどカッコいい、だからまた観たくなる。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2017-04-29 12:17:48) |
1351. リベンジ・マッチ
こんな試合、採点できるか~~~っ! と、私がジャッジだったら、叫んでいるところですが。 爺ぃボクサー2人の、遺恨マッチ。そもそも、昔々その昔にボクシング映画の代表作を持つ二人を、ボクシング映画で共演させよう、ってな発想が、エクスペンダブルズの縮小版みたいなもんですが、こちらはよりストレートに肉体勝負である分、年齢というものをしっかり感じさせ、ジジイネタ披露大会の様相を呈しております。だもんで、苦笑まじりの、何ともオフビートな笑い。確かにオモロイ。オモロイけど、ノリがあまりよろしくない。 それに、この勝負、どっちが勝とうと負けようと、知ったこっちゃない訳ですが。それでもクライマックスの試合はしっかりと盛り上げて見せ、ジャッジ泣かせとは言え、それなりに納得させてしまう展開。悪くないのでは。 ただ、もしもこれで続編とか作ったら、本気で怒るよ。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-04-29 08:02:22) |
1352. キャノンボール2
無許可の公道レースを題材に、スターをひたすら羅列しお寒いギャグをひたすら羅列するカーアクション映画の第2弾。これ、1作目より好きなのよね~。こちらの方がギャグが冴えてると思う。って、どちらも極寒ギャグであることに変わりはありませんが、若干、冴えてるかと。 久しぶりに観て大いに楽しませてもらいました。ずいぶん久しぶりなもんで、あ、ヘンリー・シルバが出てたんだ、とか、ゴッドファーザーのテッシオさんが出てたんだ、とか。 ジャック・イーラムはさすがにあまりにも強烈な印象なので、忘れようったって、忘れられませんが(もはやこのヒト、普通の映画に出演して普通の役をやってる方が、違和感あったりする)。 いずれにしても、最高の名演は、オランウータン君で決まり。 [CS・衛星(吹替)] 7点(2017-04-24 21:35:58) |
1353. わが青春に悔なし
冒頭、京大事件(滝川事件)をモデルにした物語であることが示されるけれど、内容的にはその後日談のような展開が中心で、弾圧による夫の死と、残された妻が力強く生きていこうとする姿が描かれます。後半、スパイの身内として冷たい視線を浴びつつも、農作業に励む原節子の姿が、これでもかこれでもかと描かれる、このあたりのプロレタリアートな感じが、例によって例のごとく、もうホラー一歩手前なんですけれども。 あまりこの路線を突き進むと、都会生活よりも田舎の農作業の方が尊いんだ、みたいな感じになってきちゃって、胡散臭くもなるのですが、農作業の後、川で休める手と、ピアノを弾く手とが呼応し、うまく回帰していく。いや、それより何より、後半の迫力自体が、そんな胡散臭さなど吹っ飛ばしてしまう訳ですけれども。もの凄い「怒り」のようなものが、感じられます。 そして実際、この泥まみれで働き続ける原節子の美しさ。最初の方でうわー変な髪型だなあと思ってたら(失礼)、その布石だったか、と。 なんと、杉村春子ですら美しく見えてきてしまう、ってそんなアホな(って、そんな失礼な)。 ところでタイトルに「青春」なんていう言葉を入れちゃうのは、どうなんですかね。実際の内容よりだいぶ甘い印象になってしまいますが。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2017-04-23 09:43:07) |
1354. SOSタイタニック 忘れえぬ夜
おそらくはタイタニック号からの生還者の証言をなるべく忠実に取り入れたのであろう、ドキュメンタリータッチの構成。氷山との衝突から沈没までの描写に映画の多くの時間を費やし、主人公の二等航海士を始めとした乗組員たちの救命作業が、克明に描かれてゆきます。さらには救助に向かうカルパチア号や、比較的近くにいながら事故に気づかなかった船(=カリフォルニアン号)の様子なども描かれて。 もちろん、完全にすべてが事実という訳にはいかないでしょうが、40年後にわざわざタイタニック映画を作る必要ない程度には、よく盛り込まれているかと。 またもちろん、ミニチュア感あふれるミニチュア撮影もありますけれども、傾く船、迫る水、転落する人、といったスペクタクル色も十分で、ドキュメンタリー調の語り口と合わせて、クライマックスに向けた盛り上がりは、なかなかのものがあります。 突然思い出したように挿入される仰々しいBGMは、ちょっとどうかと思う面もありますが・・・。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2017-04-22 17:17:09) |
1355. 砂漠の流れ者
愛すべきポンコツ親父の周りには、やはりポンコツな面々が集う。どうにも困った生臭坊主に、三流っぽいけど愛嬌あふれる娼婦。 砂漠を彷徨った挙句に水を掘り当てた薄汚い主人公が、駅馬車相手の薄汚い休憩所を作って商売を始める、っていう、一見何とも素朴なオハナシですが、味わい深くって観始めたらやめられない。それに、これだけ立派に薄汚いと、もはやこれは一種の「哲学」でありましょう。 たかが水だけど、それなくして砂漠に置き去りにされれば死を意味するし、またそれを砂漠の真ん中で見つければ、そこにはひとつの社会が生まれ、ひとつの小宇宙が生まれる。となれば、ラストでは水が枯れてしまって物語が終わるんじゃないか、なんて心配もしてしまうのですが、さにあらず。決してそんな短期的な視点の物語ではなく、もっとゆったりと、大きな流れを感じさせるラストで、いや、さすが。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2017-04-22 16:25:54) |
1356. キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー
冒頭に、船上の戦いを一発カマシてはくれるけれど、それを除くと最初の方は、この作品の中身と関係あるとは思えない、どうでもいい「余韻」に延々と浸り続けているような感じで、もう勝手にせえ、と。ホント、どうでもいいっての。 もちろん途中からはしっかり加速して、金かけてますCG使いまくってます、という訳ですが、こういうCG、この作品でしか見られないものだったら貴重だけど、「昨今、アリガチ」としか言いようがない。それもこれも、戦いの中にサッパリ危機感が感じられないからで、まさに、ただのCG。そりゃま、確かに手が込んでてスゴイし、こういうのをただ眺めてるのも正直、嫌いではないですけれども。 ロバート・レッドフォードに似てはいるけれど、まったくスターのオーラを感じさせないオジサンが約一名、出演しておりました。 [CS・衛星(吹替)] 5点(2017-04-18 22:10:37) |
1357. ミッシング ID
オーメンとオーメン2を合わせたような映画でした。何のこっちゃ。 ちょっとしたきっかけから危機に襲われ、今まで信じていた世界が崩れていく、ってなタイプのオハナシで、もうその時点でオモシロいに決まってるのですが、実際、オモシロいです。ただここでの、敵の仕組んだ罠というヤツ、これ、よほどの偶然でもない限り引っかかるヒトはいないよね、という極めて回りくどいものなんですが、賢明なる我らが主人公は、ちゃんと引っかかって、物語を動かし始めてくれます。 この主人公、大して男前でも何でもない(ついでに、ヒロインもどうにもこうにもイモっぽい)のですが、まず冒頭の、急停止する車のボンネットからクルリと飛びおりてこちらを振り向いて見せるワンカットにて、役者本人の身体能力を見せつけてくれる。中盤の、自動車から飛び降りるシーンにも繋がるしね。 中盤以降、別にこんなに背景を説明しなくてもなあ、とか、主人公のアクションにもう少し「躊躇」などのワンクッションがあってもいいのになあ(そしたらスリルも増すのでは)、とか、若干の不満もあるのですが、それ以上にこの、謎を抱えた中で展開されるアクションでもって、大いに楽しませてくれる作品でした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-04-16 08:59:51) |
1358. ワイアット・アープ(1994)
ワイアット・アープを題材にした映画はこの作品で打ち止めにしてやろう、とでも言わんばかりに、彼の人生をとことん描き切った3時間強。たぶん、史実に忠実たることが優先されているのでしょう、エピソードの組み上げ方がさほどうまくできているとは言えず、やや羅列気味。OK牧場の決闘なども、実際の事件はあっという間に終わったんだそうですが、本作でも、まあ、あっという間です、ハイ。もうちょっとサービスしてくれてもよろしいかと・・・。 とは言え、小規模ながらも随所にガンファイトを織り交ぜて盛り上りを作り、それに付随して雰囲気もよく出ています。この雰囲気を味わうだけでも、充分お腹いっぱいに。 それに、こんなに長い作品にしなくてもいいだろう、とは思いつつも、その長さを利用して、この主人公のいい面も悪い面、すべてを作品に注ぎ込んでる。その結果、主人公に特徴が無くなっちゃった、って? いや、この役だからこそ、特徴のないスター、ケビン・コスナーの出番。 こういう「器用でない映画」も、たまにはよろしいのでは。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-04-15 12:56:42) |
1359. 超高層プロフェッショナル
高層ビル建設工事の、残り9階分の鉄骨組み立て作業を、残された3週間の間に完成させることができるか。美人社長(?)のもと、集まった荒くれ男たちが、さまざまな妨害を乗り越え、不可能ともいうべきプロジェクトに挑む。うわ~、地味な内容。 なーんか、トラック野郎とかを思い出させますね。トラック野郎とアルマゲドンを足して2で割ったような。いやホントに足して2で割ってもこんな映画には到底なりませんけれども。 しかし面白い。いや私だけ言ってるんじゃなく、一緒に観てた小学生の息子も大喜び。地味な内容だなんてとんでもない、実際の高所での撮影はあるし、重機やトレーラーは続々登場するし、そういうものを、こうやって実際に見せてこそのオモシロサ。ラストの痛快さも、まあバカバカしいんですが、こうやってちゃんと見せてくれりゃ、こちらだって興奮するんです。 暴風が吹き荒れる場面の、アホみたいに物が飛んでくる描写。飛びすぎです。でも面白い。 ウチの息子は、「続編が見たい」って言ってるぞ。どうしてくれる。(←まだ骨組みしかできてないのが気になるらしい) [CS・衛星(字幕)] 8点(2017-04-09 21:09:46) |
1360. ランブルフィッシュ
コッポラという人は、たぶん映画に対してもの凄い情熱を持っていて、ワンシーンワンシーン思い入れたっぷりに撮って、でも映画全体を見るとイマイチ何が描きたかったのかよくわかんなくって、ある意味、その壊れっぷりが魅力だったりするのかな、と思うのですが。本作でも凝りまくる。モノクロ映像にパートカラー、表情のアップ、ローアングル。画面にはタバコをはじめとして闇雲に煙が漂い、必要があれば(無いけど)雲まで動かして見せる。背景にはさまざまな音楽が流れるばかりではなく、水滴の音などの効果音までもがまるでBGMのように取り込まれている。はたまた、バイクと人間が衝突して吹っ飛ぶシーンとか、マット・ディロンが額から流血して見せるシーンとか、コケオドシ的なトリックも画面を賑わせる。 とか言う凝りようが、本作の場合、雰囲気をよく出しており、しかも多少神経質ながらもコッポラ流の誇大妄想に染まることなくテンポよく進められて、「壊れる前に90分ほどで切り上げて踏みとどまった映画」とでも言いますか。 それにしても、80年代で(いったん)燃え尽きた男、ミッキー・ローク。いいんですけどね~。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-04-09 20:45:23)(良:1票) |