121. 一条さゆり 濡れた欲情
登場人物の「やるせない」感じを神代独特の「投げやり」なカッティングと演出で捉えた傑作。ラストで伊佐山ひろ子が見せる芸とその終わらせ方には、開いた口がふさがらなかった。 10点(2003-01-04 16:48:21) |
122. 二十四の瞳(1954)
今の若い人が観るとお涙頂戴な映画だと言われるかもしれないが、これは泣けます。特に、高峰秀子が自転車に乗ってる姿を延々と横移動で追ったカメラワークが、はっきり言って、私は大好きだあ。 9点(2002-12-29 17:32:57) |
123. 雨月物語
《ネタバレ》 嗚呼、田中絹代や哀れ。いつも、彼女が落武者の槍に背中を突かれるところで胸がキュッと痛くなる。「だから、男の身勝手に女は死んでも苦労させられるのよ」と女房が観たら絶対!言われそうな逸品。 10点(2002-12-29 17:20:10) |
124. ルナ
超大作にしてベルトルッチの最高傑作『1900年』の後だっただけに、確か公開当時は"燃えカス"のような言い方で批評家たちから酷評されてたけれど、個人的には好きだな。少年が自転車で田舎道を疾走するシーンとか月夜のシーンとか、相棒ビットリオ・ストラーロの撮影が相変わらず冴えてます。 8点(2002-12-27 18:01:08) |
125. ピアニストを撃て
映画への憧憬が高じて、気の合う仲間と和気あいあいと作ってしまったかのような楽しい一品。シャルル・アズナヴールって、ジャン・ピエール・レオもそうだが、監督のトリュフォーにけっこう似てるよね。 9点(2002-12-27 17:51:25) |
126. 浮草
小津自身のサイレント時代の作品『浮草物語』の忠実なリメイク。土砂降りの雨の中で軒下を挟んで罵りあう有名なシーンもオリジナルに出てくるが、何と言っても違うのは、撮影が宮川一夫で、総天然色!そこら辺に置いてあるビールの空きビンまでもが艶やかなのだ。 8点(2002-12-27 17:42:17)(良:2票) |
127. 都会のアリス
ゆたKINGさんの意見↓に賛成します。あと、私が好きなシーンは、主人公とアリスが海水浴をしているところ。二人の楽しそうな表情が実の親子のようで、観ていて思わず顔がほころびます。 10点(2002-12-24 20:32:29) |
128. 殺人者たち
片田舎の街の食堂にある男を訪ねて二人のやくざ者がやってくるというヘミングウェイの傑作短編小説の設定だけを戴いた犯罪映画の傑作。ヘミングウェイ作品の映画化としてもホークスの『脱出』に次ぐ出来栄えでは。とにかく、ドン・シーゲルのシャープな演出に応える主演のリー・マービンがすこぶるカッコイイ! そういえば、あのレーガン元大統領が出演していることでも話題になりましたなあ。 9点(2002-12-22 15:13:20) |
129. 汚れた血
人差し指を口に当てるという主人公のたった一つの仕草が忘れられない。恐らく監督のカラックス自身も2度と撮れないであろう青春映画の傑作。伝統と新しさとが交錯するところが映画ファンをくすぐる。この後のカラックスと主演のドニ・ラバンが、今ひとつパッとしないのは、この映画の輝かしき成功に引きずられているからではなかろうか。50歳を超えた頃にもう一度この二人のコラボレーションを観てみたい。 9点(2002-12-22 15:00:08) |
130. バード(1988)
JAZZファンからは、バードの人物描写の物足りなさ(本人はもっと破天荒で楽天的だったのではないか)を批判され、イーストウッドのファンからは、演出にいつもの核心に満ちた大胆さが感じられないと批判された感のある本作だが、そのどちらのファンでもある私もうなずけるところが少なからずある。しかし、実在の人物が主役ではなく、かつイーストウッドが監督でなかったら、その評価はどうなっていただろうか? とはいうものの、その後彼が監修した、バードと同時代に活躍したJAZZピアニストの巨人セロニアス・モンクのドキュメンタリー映画『ストレート・ノー・チェイサー』は、文句のつけようのない素晴らしい作品だったからなあ。 7点(2002-12-22 14:29:31) |
131. ザッツ・エンタテインメント
この映画によってミュージカル映画との本格的な出逢いとなったことを、映画の神様に感謝したい。疲れていたり、落ち込んでいるときにこの映画を見るだけで、元気がもりもりと湧いてくる。正に映画のユンケル皇帝液! Part2では、ジーン・ケリー自ら監督し、アステアと共にダンスを踊ってくれる。こちらも必見! 10点(2002-12-17 21:09:56)(良:1票) |
132. 生きるべきか死ぬべきか
ルビッチは誰もが認めるように映画の天才である。あれほど才能が溢れているにも関わらず、彼は自分の仕事に決して満足しようとはしない。一つの些細なギャグでさえも、「まだ足らぬ」と言っては常人のお呼びも付かぬ地点にまでその質を高めようとする。本作でも、ヒットラーとナチスをこきおろすために彼は一切妥協をしない。身を削ってまで練り上げた正に命懸けのギャグの数々によって、ここに映画史上最も笑える(対ナチス)プロパガンダ映画の最高傑作が生まれたのであった。 10点(2002-12-17 20:56:12) |
133. アメリカの友人
いやあ、この頃のヴェンダースは本当に切れがいいっすねえ。小心者の主人公ブルーノ・ガンツが死の恐怖に駆られながら図らずも悪の道に染まっていくのですが、快優デニス・ホッパーはもちろん、ニコラス・レイやらダニエル・シュミットやらジャン・ユスターシュやらといった映画人がちょこっと出てきては、彼に訳の分かんないからみ方をするもんだから、緊張感溢れるサスペンスを観ているというより、子供の探偵ごっこを見ているような気になってきてしまいます。おおっと、あの「美しき」ジェラール・ブランを忘れるところだった。そうか、こいつの童顔のせいかも。 9点(2002-12-13 22:13:14)(笑:1票) |
134. 恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ
最近では、JAZZを歌う映画女優というと『タクシー・ドライバー』に出たシビル・シェパードが有名だが、本作のミッシェル・ファイファーもなかなかどうして、いいもんですなあ。思わず私もサントラ買っちゃいましたよ。「My Fany Valentine」最高!彼女本格的にアルバム出してくれないかなあ。ところで、この映画には気になる女の子がもう一人。そう、オーディションで「Candy Man」を歌ったちょっと素っ頓狂な娘。映画ではもう1度出てきて、J・ブリッジスと会話をするんだけど、その時の彼女の滑稽だが孤独感を漂わせた話しっぷりがなんとも切ない。思わず「俺が面倒みてやろう!」って言いたくなるです。 9点(2002-12-13 21:57:02) |
135. SHOAH/ショア
もはや評価の問題ではない。以前NHKで放送された時、毎夜毎夜歯を食いしばって観た。ここで語られていることは、被爆者の体験(例えば、2002年にやはりNHKで放映された「原爆の絵~市民が残すヒロシマの記録~」というドキュメンタリー番組など)と同様に、本当に耐え難いが、目も耳もちゃんと開いて、心して受け止めるべし! 10点(2002-12-13 21:39:07)(良:1票) |
136. 近松物語
《ネタバレ》 息もつかせぬ恋愛活劇。ある批評家が指摘するには、「途中二人の立場(主従関係)が逆転する」というが、ちょっと違うと思う。なぜなら、古今東西、恋を決した女ほどこの世に強いものはなく、最期は不敵な微笑みさえ浮かべているではないか。 10点(2002-12-13 21:26:47)(良:1票) |
137. 合衆国最後の日
リンカーンと並んで史上最も良心的な大統領であるチャールズ・ダーニングが、冒頭ヒゲをそっていて、誤って頬を傷つけた時から、アメリカの新たな悲劇が幕を開ける。今観ると、エンディングに歌われる曲の歌詞がアメリカの行く末を本気で嘆いているように思われて仕方がない。 9点(2002-12-13 21:15:34) |
138. ロング・グッドバイ
チャンドラーの原作も”泣ける"が、全く視点を変えた本作も”泣ける"。スターリング・ヘイドンのエピソードがヘミングウェイ的というかブコウスキー的というか。監督のロバート・アルトマンは、原作者を含めたこの3人の作家の作風に共通にみられる「やるせなさ」を映画的に旨く表現していると思う。 10点(2002-12-13 21:06:43) |
139. ラスト・シューティスト
公開明けの月曜日、学校をサボってひとり観に行った今は亡きヒビヤ有楽座には、観客は数えるほどしかいなくて、おまけに外は雨。この映画の淋しい終わり方と相まって、とても切なかった思い出があります。それと、この映画の雰囲気は、当時の宣伝コピーにも使われた、やはり今は亡き淀川長治氏のコメントに良く現されていると思います。 『いかに激しくとも、怖いほど静かで、そして悲しい』 10点(2002-12-13 20:52:36)(良:2票) |
140. 眠れる森の美女(1959)
ディズニー・アニメの最高傑作。特にダンス・シーンが素晴らしい(今のスタッフにはちょっと見習って欲しいです)。うちのカミさんに言わせると、「シンデレラ」や「白雪姫」と違って、自ら馬を駆って、お姫様を助けに行くから良いのだそうな。たしかに他の王子様って何もしないよねえ。 10点(2002-12-13 20:08:51) |