121. 戦争のはじめかた
ブラックだよね、これ。 タイトルがこんなだから、コメディとして気楽に見るぞ、くらいな気持ちで観たら、それが間違いの元でした。ま、たしかにコメディなんだけども、中身は思ったよりもハードなのであたしは正直、戸惑いを隠せませんでした。好きなタイプの映画なのだけど、丁寧さがちょっと足りない気がするんだよね。サスペンスとしても良い出来になっているのだから、もう少し丁寧さを演出していれば、どんなに良かったかと思ってしまう部分があって、それが勿体無い気がします。 [DVD(字幕)] 6点(2011-02-01 17:41:03) |
122. 僕と妻の1778の物語
《ネタバレ》 個人的には好きです。 TVCMの様に別に泣くほどの物語ではありません。しかしながら、眉村卓の小説を読み続けていたあたしには少々感慨深いものがありました。眉村と悦子夫人の実話を元にしたフィクションとして構成されていますが、劇中で使われた小説は全部実際に書いた内容と同じものを使っていて、ここに非常にアジがあるとあたしは思います。SF小説に関して全く分からない人にはあそこに出てくる小説が本当にSFなのかと戸惑う方も多いと思いますが、あれこそがSFであり、SFに内包されるメッセージやテーマが全て朔の心情、節子への想いで重ねられているというのが分かると、この映画が泣かせたり感動を呼ばせるものではなく、死を迎える者に対しての家族のあり方、家族に対しての死を悟った者のあり方、そういうものをひとつの例として見せてくれたもの、それがこの映画では無いかと思います。 映画そのものは思ったほど長く感じなかったのは、全体的に締まった映画である為で、それは良かったと思いますが、草彅剛の演技は残念ながらあたしは評価が出来ません。彼の持ち味はあまり大きく表情を変えない演技で、それが朴念仁的な役として非常に合っているのですが、感情を剥き出しにする演技でそれをアップで捉えた時に、変に浮いて見えてしまうんだよね。声に感情の抑揚が出ないのも残念で、それがあるともっと物語を引き締めてくれるような気がします。それと後半の病院で朔が小説を書いている間に取り巻く患者や病院関係者のあたりのシーンはやっぱり不要じゃないかな?それを奇異な目で見るのは良いとして、それを延々と引っ張るのは、周囲の見方を変えるシーンだとしても本当に必要だったか疑問が残ります。 [映画館(邦画)] 7点(2011-01-31 12:50:16)(良:1票) |
123. キック・アス
面白いなあ。こういうのをもっと配給会社は宣伝すればいいのに、なんて思いました。(町山智弘さんが紹介していなければ、あたしは見て無かったかもしれません。)B級映画かもしれないけど、こういう映画はもっと愛されても良いんじゃないかな?内容はかなりグロイよね。R15指定を受けてしまうのは仕方ないかもしれないけど、もっと宣伝されれば集客を生む映画だと思います。内容もバイオレンスばかりでなく、笑いや涙の要素もキチンと入れてあり、それが良く出来ているから本当に飽きさせないんですね。役者としてはアーロン・ジョンソンが凄いですね。つい最近彼が演じたジョン・レノンを見たばかりだったので、表現の幅の広さにちょっと関心をしてしまいました。ヒットガールのクロエ・モレッツは今後の成長が非常に楽しみな女優になりそうですね。演技が非常に大人っぽく見えるのが秀逸で、それ以外ではやっぱりあのマスクの奥に見えるたれ目だよね(笑)。ギャップ萌えとでも言ったら良いのか、良く分かりませんが、他の映画での演技を早く見たいと思ってしまいました。 [映画館(字幕)] 9点(2011-01-28 12:45:53)(良:3票) |
124. 美女と野獣(1991)
ディズニー映画には少々食傷気味だったのを一気に活性化してくれたのがこの映画って気がします。意欲的にCGも使われていたりして、そのバランスはかなり良い具合だったのではないかな、と。 [地上波(吹替)] 7点(2011-01-27 15:25:35) |
125. [リミット]
《ネタバレ》 正直、かなりの低予算ですよね。でもその低予算というのを逆手に取った非常に面白い映画だと思います。ジャンル的にこの映画はサスペンスになると思うのだけど、これって非常にウェットの利いたギャグだよね。マーク・ホワイトの名前が出たときに助かる見込みは殆ど無いとあたしは思っていたのだけど、ラストのオチを見た瞬間、納得できて大笑いしたんだよね。あの名前を聞いたときに、本来であれば気が付くべきなんだよね。でもそこまでに至らないような様々な工夫(まぁ、ツッコミどころも多いのだけど)がされているというのは見事で、エンドロールのあの音楽も正解だと思います。 [映画館(字幕)] 7点(2011-01-26 08:28:04)(良:1票) |
126. バーレスク
映画というよりは気の利いたミュージック・クリップって感じかな。そのぐらい音楽に関しては抜群に良いですが、映画自体はシナリオが、かなり取って付けた感じが強くて、それを役者の上手さでなんとかカバーしてるかな、という感じが強いですね。映画を楽しむというよりは音楽を楽しむという感覚で観るのが一番いいかな、と思います。 劇場で見た方がショー的な雰囲気や、音楽の力強さを感じられて良いので、テレビで観ると、かなり雰囲気が変わるかもしれません。 [映画館(字幕)] 6点(2011-01-24 12:29:27) |
127. ゲゲゲの女房
テレビドラマで人気があったから映画でも・・・とか思っている人は注意した方が良いですね。内容的にはこっちの方がかなり水木色の濃いドラマに仕上がっています。シナリオだけ読んだときは、かなり辛いんじゃないかとも思ったのだけど、開けてみたらどうしてどうして、物凄く面白くなっていたと思います。演出と役者が上手いのだろうね。吹石の布江役、クドカンの茂役というのは非常に良く出来ていて、こういっちゃ悪いのかもしれないけど、テレビドラマの二人の役とは明らかに見た目の印象が悪いのだけど、魅力は持っていると思うんだよね。演技の上でも特別なことをしている訳では無いのだけど、だからこそ面白く見えるという事もあるのだと思います。 [映画館(邦画)] 8点(2011-01-24 08:15:53) |
128. 酔いがさめたら、うちに帰ろう。
ちょっと撮り方が乱暴だな、と思いながらもアルコール依存症という病気の一端を垣間みさせただけでも成功だったかな、という気がします。ヘンな話ですが吾妻ひでおが「逃亡日誌」で描いたまんまの世界が映画の中にあって、ちょっとした戦慄を覚えました。難しい所だとは思いますよ、多分もっとリアルに撮る事も可能だったでしょうが、あれ以上で撮ると生々しくなりすぎると思う。あにやんさん、おばちゃんさんの言う様に希薄に見えちゃうというのは分かる反面、あれ以上で描くと非常に下衆っぽく見えてしまう怖さもあるとあたしは思うんだよね。だからあたしは永作の演じる所の由紀は西原の非常に達観視した感じは良くインタビューを受けたり、イベントで語る様な西原の姿そのものであっていると思うし、浅野の演じる所の塚原もエッセイや彼の撮った写真で観る事の出来る鴨志田様で良かったんじゃないかと思います。この後公開される「毎日かあさん」と併せて観るとより立体的に西原と鴨志田の夫婦というのが見えて来るかもしれないですね。 [映画館(邦画)] 7点(2011-01-17 01:49:30) |
129. ソーシャル・ネットワーク
《ネタバレ》 多分、この映画を観て褒められた人物では無いという所がこの映画の救い様の無い所で、に嫌悪感を持つ人は多いでしょうね。でもこちらのサイトに来ている方にも、彼の様なオタクは居ると思うんです。あたしもそう。そういう人には嫌悪感を持ちつつも共感する部分があると思うんだよね。ザッカーバーグは典型的なコンピュータ・ナードですよね。ある意味天才的で、社会にも、人間関係にも上手く適合出来ない嫌な奴かもしれない。でも、もの凄く純粋で、彼に私欲はあっても私利は全く無く、ザッカーバーグを酷いと奴とばかり言えないな、という気がします。あたしにとってザッカーバーグ以上に彼の周りにいた人達の嫌な面が浮き彫りにされる感じが面白いな、と思いますね。内容的に「レインマン」に良く似てますよね、褒められた人物では無いという所は違うけど、純粋という意味では共通しているんじゃないかな、そう感じました。本人が映画の様な人物であるかどうかはともかく、あの様なザッカーバーグを演じたアイゼンバーグは非常に良い演技をしてると思います。 [映画館(字幕)] 9点(2011-01-17 00:57:38)(良:1票) |
130. アイルトン・セナ ~音速の彼方へ
《ネタバレ》 あたしは当時、セナに偏ったフジテレビのF1中継に嫌気が差し、F1を離れた身なので、セナの功績は認めるものの、それほどセナに思い入れが無く、この映画に対しても達観して観ることが出来たと思っています。 映像としては予想以上にFIAの公式記録映像以外の映像があって、面白いと思います。 かなりセナ寄りのドキュメントになっていて、特にセナに熱狂的だった母国ブラジルの放送局と日本のフジテレビの映像を象徴的に扱っている部分は大変に興味深いです。セナのファン、セナを知らない人はこうした映像を見せ付けられたら、間違いなく引き込まれるでしょうね。 同時に、編集操作がとにかく上手くて、プロストのセナに対する発言、セナに批判的であったピケの発言や、ジャッキー・スチュワートとの有名なインタビューを入れる事で、セナの考え方の危うさや、精神性なんていうものも皮肉的に見せる所は面白く、さらにセナの死に至るまでの経緯についても、その前段として車の電子化に対する苦言を入れるなど、半ば皮肉にも取れるような映像の重ね方をして、この辺のバランスは上手いな、と思いました。 反面、分かりにくい部分も沢山あって、その典型がプロストとの確執の部分でしょう。 ここに関して言えば明らかにプロスト非難と取れる映像しか使用していなくて、特に90年の日本GPでのリタイヤ劇では一見するとセナには全く過失が無いどころか、ある意味悲劇の勝者という様な扱い方をして、さらにプロストの攻撃的な発言を重ねて悪者に印象付けています。 そうした編集をしておきながら、ラストにセナ財団の管財人としてプロストの名を出すのは、見ている側に不自然さを残す結果となっています。申し訳ない程度にこうしたフォローを見せるぐらいなら、あと数分尺を伸ばして、セナとプロストの最後の公式的な会話やセナへの追悼コメント(これらはマスコミの情報として残っている)を加えるだけで、もっと大きな意味を見出したと思うのだけど、そうしなかった理由がさっぱり分かりません。 あたしみたいに多くの情報を集めた上で分析的に映画を見る人は稀有だと思いますが、セナの実像を捉えるという意味でのドキュメンタリーを期待してたあたしとしては、よく出来たドキュメントではあるけど、十分では無かったと言わざるを得ないので、少々厳しく採点させていただきました。 [映画館(字幕)] 6点(2011-01-12 13:04:34)(良:1票) |
131. ノーウェア・ボーイ/ひとりぼっちのあいつ
ジョン・レノンの青春時代を描いた伝記であるが、描かれているのは彼のビートルズに至るまでの家族について非常に良く捉えた怪作だと思う。ビートルズファンやジョン・レノンのファンであれば彼の家庭環境を知っている人も多いと思うが、そうでない人、或いは全くビートルズを知らない人が見ても楽しめるように出来ているのは好感を持つ。変な話だけど、ジョン・レノン役のアーロン・ジョンソンが非常にジョン・レノンっぽい顔立ちをしていて、それがまた感情移入させる結果に繋がっているように思う。音楽も非常にセンスが良く、どこぞの国のバンドをメインにした話なんて目ではありません。 [映画館(吹替)] 8点(2011-01-12 12:28:33) |
132. アンストッパブル(2010)
暴走した列車を停めるってだけの話で、昨今のハリウッド映画の様にド派手にしない分、リアリティと緊張感を維持できて中々良い作品だと思いました。何しろ見ていて時間を忘れて見れたという映画は最近では少ないんですよ。そうした中で、この映画は時間的にも短いという事もあるでしょうが、あっという間に終わったという感じがあり、良かったと思います。 [映画館(邦画)] 7点(2011-01-12 12:26:46) |
133. 武士の家計簿
ありゃ、思った以上に評価が低いなぁ。 まぁ、元になった話自体が家計簿を基にした話であって、その中をどのような話にしていくかが全てだとは思います。ある意味、ドキュメントだと捉えてみると、非常に面白い映画ではないかと思いますね。森田芳光らしい映画の取り方が存分に出ていたとあたしは思えたし、算盤侍の算盤侍としての誇りとか、上手く表現していたと思うのですけどね。 但し、皆さんが言うとおり、説明不足な感はあります。というか、説明しなくても分かるでしょ、という感覚が無いと分かりにくい撮り方をしている気がします。あたしなんかだとそれが嫌でも分かるからこれで十分とか思ってしまいますけど、分かりやすい映画が増えている昨今、こうした映画は今の人にはなかなか伝わりにくいものがあるのも事実で、この辺が非常に難しい所だと思います。 エンタテインメントで考えると、評価は下がりますけど、エンタテインメントでは無いところでこうした映画もアリかな、と思うので、この点を付けたいと思います。 [映画館(邦画)] 7点(2010-12-28 12:16:09) |
134. 最後の忠臣蔵
《ネタバレ》 原作もテレビ版も知らずに見てきました。今年は時代劇が当たり年だったかな、と思える締めの作品かな?(この時点で「武士の家計簿」は未見) 杉田が監督という事で中途半端に「北の国から」みたいな作りをしないかと、あたしはかなり警戒感を持って見たクチなんだけど、開けてみたら悪くないかな、と思いました。人形浄瑠璃で曽根崎心中を入れたのがかなり効果的で、物語のブリッジの役割を果たすだけでなく、端的に瀬尾と可音との関係性と瀬尾の行末をキチンと補完していると感じました。海外の人が見ても分かりやすい作りにしていると思いますね。 但し、寺坂と瀬尾の友情関係の描き方が薄いとか、切腹の説得力が少ないという【蛇蟇斎狐狸窟】さんの気持ちは分かる反面、時間的には絶対に無理だな、とある意味納得をせざるを得ない部分もあります。どちらも役所広司や佐藤浩市顔や目の表情だけでその辺は十分に補完していると思うのですが、やっぱり分かりにくいですよね。かなり武士の生き方みたいな事を事前に知らないと、”なんで?”と思う箇所は多いと思うし、そう感じる人の為の親切な映画にはなっていないかな、という気がします。でも映画としては瀬尾という人物の生き方に絞って作ったという事が判れば十分なのだと思って解釈するしかないとも思えるんですよね。 あたし的に難点を言わせて頂ければ、あれだけ丁寧に作っているにも関わらず、細かい所で余計な事をしているのが見え隠れする事かな。例えば、瀬尾が旧赤穂藩士に襲われる場面、後々を考えれば必要なのだけど、あれほど時間を必要としたのかに疑問があったり、カットの前後でヘンに見える部分があったりしてね。気にする程の場面では無いのかもしれないけど、こういうのって、良い映画を作ろうとした場合に、絶対大事だと思うんですよね。 [映画館(邦画)] 7点(2010-12-24 17:31:03) |
135. ハリー・ポッターと謎のプリンス
劇場じゃなくて良かった!、中盤から後半にかけて、何度意識を失った事か。 そのぐらい内容が良くありません。多分、映画以上に原作に問題があるんじゃないかな?劇場版のドラえもんシリーズの、のび太クンは成長を見せるのだけど、こっちののび太クンは成長が全く見られ無いんだもんなぁ。 [ブルーレイ(字幕)] 4点(2010-12-23 14:42:20) |
136. ロビン・フッド(2010)
《ネタバレ》 悪くは無いと思います。要はロビンフッドがグリーンウッドに入る前の物語なのね、というのが分かれば、映画としては成功なわけだからね。ケイト・ブランシェットがまた物凄く良い演技で、ちょっと言い方がヘンかもしれないけど、彼女独特の透明感のある演技に加え、メリル・ストリープの演技で見せる母性みたいなのを強く感じました。物語の年齢から考えると、実年齢とは多分10歳以上開きがある筈なのだけど、若さで見せていないという所が上手い所なんだろうね。あと、ロビン・フッド映画であたしがいつもチェックしているのがタック神父なのだけど、この映画でも破戒僧っぷりをいかんなく発揮できていたのもあたしには好印象でした。 但し、難点を言わせて頂ければ、やっぱりラッセル・クロウかな。必要以上にマッチョ感を漂わせすぎです。本来のハンターやアーチャーって、あそこまでマッチョじゃ無いんだよね。付ける筋肉が違う筈なんだけど、彼の筋肉はやっぱり格闘用って感じなんだよね。 それと、フランス軍の上陸シーンなんだけど、あれって「プライベート・ライアン」と「史上最大の作戦」をオマージュしていますよね?レイアウトやカットで殆ど同じものが随所に見られるのだけど、そうする理由が全く分からないんです。もっとフランス軍の侵攻は撮り方があったと思うし、リドリー・スコットなら出来たと思うのだけど、あの撮り方を選んだ理由が全然分かりません。 でも、見ていて時間を忘れられると言うのは物語がしっかりとしているという事の証明だよね。やはりスクリーンで見るのが楽しい映画だと思います。 [映画館(字幕)] 7点(2010-12-23 10:31:58)(良:1票) |
137. トロン:レガシー
《ネタバレ》 どうなんだろうなぁ?あたしは前作の続編と言っていた時点でかなり無理があると感じていて、実際見てみたら、やっぱり無理があったかな、という感じが強いですね。 そもそも、コンピュータの進化が「トロン」の頃から目覚しい状態なのに、擬人化されたコンピュータの世界観があまり大きく変わっているように見えないというのがあったり、機械的に見てコンピュータの進歩の過程が錯綜していたりして、その辺が非常に見ているあたしからすると違和感を感じましたね。ライトサイクルについても平面移動から立体移動に変化するのは確かに進歩ではあるのだけど、そうなると、本当のゲームも進化しているという所を最初に見せておかなければ、その過程が弱すぎる気がします。 ストーリーも弱いよね。いや、弱いというか中身があまりないと言った方が良いかも知れない。途中がだらだらしているので眠くなって仕方なかったです。それと結末の処理なんだけど、これが全く冒頭との繋がりを感じさせないまま終わってしまうので、そこに物語のオチというか、後片付けをしていない感じが強く残りました。ここまで中途半端にしては、最後のシーンが全然良く感じられないんだよね。もうちょっと作り方を考えた方が良くはないかなぁ? [映画館(吹替)] 5点(2010-12-23 09:08:14)(良:1票) |
138. ノルウェイの森
原作は立ち読みで済ませたぐらいだから、ものすごく漠然としていたのだけど、この映画も非常に漠然としていますね。ものすごく純文学っぽい映画なんだけど、本当の意味で純文学にはなりきっていない感じがするのは構成が上手く無いからなんじゃないかな?間の取り方が変だったり、無駄な尺も結構ありましたよね。だから見ていて分からない部分が一瞬出てきたり、ヘンな違和感を感じたりして、不快なんですよね。 それと水原紀子がもの凄くヘタ。この映画のすべてのキャラが淡々と喋る中で、彼女だけが淡々とでは無く、只の棒読みにしか見えませんでした。こういうのだけでもこうした純文学系の映画の場合、現実に引き戻されることになるので、もうちょっと役者を選んだ方が良かったんじゃないかと思いました。 本当はこういう感じの映画って好きな筈なんだけど、どうもコレを観ていても腰の痛いのばっかり気になってしまったのが残念です。 [映画館(邦画)] 4点(2010-12-15 03:56:49) |
139. SPACE BATTLESHIP ヤマト
《ネタバレ》 なんで、こんなに好評なんだろう? 元のアニメの出来を引き合いに出して「原作もああだったから」というのは違うんじゃないかな?むしろ、あれから35年が経って、実写として良くなっているのなら分かるけど、そうではないって事でしょ?それが良いなんて言えるですかね? 別にヤマト世代だからって訳ではありません。勿論、比較してしまう部分ではあるのも事実ですが、この際、その辺を抜きで感想を書く事にします。 先ず脚本が所々変ですよね。 二人のキスのタイミングは必然性を全く感じない。言葉遣いも滅茶苦茶で、軍隊敬語と敬語が混同されていたり、敬語そのものの使い方に不自然な部分があったりと、ちゃんと校正してるのかと疑いたくなるほどです。 演出もダメ、古代を現代風のちょっと突っ張ったリーダー的な風体にするのは良いけど、全然リーダーシップを感じられない訳ですよ。多分、キムタクのイメージをまんまキャラクター化しただけでしょ?もっと別の演技プランにしても、キムタクであれば出来た筈だけどね。 また、14万8千光年をはるばる越えてイスカンダルに辿りついたという割に、その苦労感が全く表現されていなかったですね。イスカンダル星での戦いにしたって、なんで輸送車の改造をするのに装甲に銃眼を付けないのかとか、それ以前になんで密閉型の装甲車両を最初から搭載してないのかとか、この辺の設定の良い加減さを見て、本当に軍事考証されてるのか(小川和久は戦略が専門だから、戦術の分かる他の軍事評論家に協力してもらった方が良かったね)と考えてしまいました。 VFXが凄いなんて話もありますが、動きに不自然さを見せる物もあったし、なによりヤマトがウェザリングを施していない出来立ての模型の様に見える箇所が多かったのも気になります。 また、デスラーを思念体みたいな物にしたのも分からない。地球に遊星爆弾を落としてまで、可住惑星にする理由が無いんですよ。そして放射能除去装置があの形と言う所で絶句しました。この映画、SFとか言ってたよね、ファンタジーの間違いじゃない? 最後に、映画そのものの問題では無いのだけど、なんで主題歌をタイラーに発注したのか分からないですね。映画では日本を強調しているのに、何故、主題歌に外国人を使うんだろう?この辺の良い加減さも腹が立ちます。 あ、ヤマト世代では無い方へ、これを「宇宙戦艦ヤマト」の実写リメイクだと思わないでね。 [映画館(邦画)] 3点(2010-12-10 12:51:29)(良:3票) |
140. 小さな村の小さなダンサー
《ネタバレ》 面白いですね。かなり丁寧な作り方をしていて、特に中国での撮影に関して言えば、物凄く細かい感じがあります。バレエに関してはあたしは全くの素人なんであまり大層な事は言えませんが、ちゃんと作られてますよね。ラストのバレエの一幕なんて、あれ、全編を流すじゃないですか。ロングショットという訳ではないかもしれないけど、あの部分は編集の上手さもあって、盛り上がりとしては非常に良かったと思います。 惜しむらくは、アメリカ部分の撮影。 街中のクラブでダンスを見せるシーンが2箇所あるのだけど、ひとつ目が、ディスコブームの頃の音楽で、これが80年代前半、2度目がMC.ハマーの曲を流しているのだけど、これが確か88年なんだけど、主人公のリーがの研修期間は3ヶ月の筈ですよね。勿論年代に関係なくこうしたダンスミュージックは掛かっているのかもしれないけど、映画を観ている人はそうした事情なんてわからないだろうから、あたしみたいに変に聞き込んでいる人間には非常に違和感がある訳です。こうした時間の流れが全く伝わらないので、リズとの離婚や、両親との再会、ラストでリーが村に戻ってくるまでの期間に時間の流れが全く見えてこないのが非常に残念です。 [映画館(字幕)] 7点(2010-12-06 19:18:24) |