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R&Aさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

●今週のレビュー
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1401.  バンディッツ(1997)
最初から最後までミュージッククリップじゃないですか。音は完全に後から入れた音でライブ感ゼロだし、どこに行ってもギターやらドラムセットがあるし、ラストの屋上ライブなんてアンプ持っていくだけでもかなりしんどいと思うんスけど。でもミュージッククリップだったらそれもアリ、、というかどう見てもミュージッククリップの作りですよ、コレ。それが新しいってこと? キャラはそれぞれがたってたと思いますが、ベースの可愛らしい顔した人は、描かれた限りの人格からはどう見ても凄腕の結婚詐欺師には見えない。「バンディッツ」というバンド自体は雰囲気出てたし、4人とも本物のミュージシャンのようにキマッてました。ライブ感をもっと出して、無理やりなロマンスを端折ってやれば、それなりにアメリカンニューシネマ・ドイツバージョンが出来あがったかもしれない。そこに新しさがあるかどうかは知りませんが。
[DVD(字幕)] 3点(2005-09-21 13:59:24)
1402.  スウィングガールズ
この手の映画って山ほどあります。万年最下位野球チームの快進撃だったり、オカマちゃんたちのバレーボールだったり、ジャマイカのボブスレーだったり、チアリーディングだったり、貧しい子供たちのバイオリンだったり、お坊ちゃまお嬢ちゃまのロックだったり、男のストリップダンスだったり男のシンクロだったり、、、。でも終わり方が様々なんですが、この作品やこの監督の前の作品の終わり方はずるい。エンディングだけを見れば、前の作品は映画ではなくシンクロそのものに感動があった。そして今回も映画ではなく音楽そのものに感動がある。こういう終わり方って実際清清しく映画を見終えることが出来るわけだし、その演技や演奏を見せるためには相当な練習を要したことを想像できるわけで、ド素人たちの晴れ姿に実際の役者たちの晴れ姿がダブるという楽しみ方も出来るわけで、目くじらたてるほどのことじゃないんだろうけど、やっぱずるい。女子高生と山形弁というおいしいアイテムが映画的に昇華されつつある展開だっただけに、あの終わり方には文句を言っておきたい。
[DVD(字幕)] 5点(2005-09-20 13:18:18)(良:1票)
1403.  レイクサイド マーダーケース 《ネタバレ》 
原作はミステリー小説だけど、ミステリーとしては撮らないぞ、と思ったけどプロデューサーがうるさいんで、カタチだけミステリー仕立てにしてみました、、というのは勝手な想像ですがそんな感じ。青山テイストな作家性が原作ストーリーを意識しすぎてあまり出ていない。それでも仰向けの女の顔を上から撮った画で始まり、ストーリーの中の伏線ではなく映画の構成上の伏線としてラストに繋げたあたりに映像作家としての拘りを感じる。子供の犯罪に対して親はどう対応するべきか。『EUREKA ユリイカ』((←ネタバレ有り))で少年を出頭させた役所広司はこの作品でも罪を償うべきであると訴える。しかし役所の演じた役はどちらも本当の父親ではない。本当の親なら子供の未来のために完全犯罪に仕立て上げるのか。『EUREKA ユリイカ』で決着したはずの問題を今度は親の視点でぶり返させる。親に見放された子供たちと親に期待しない子供たち。この2作品、ひとりの親としては考えさせられます。
[DVD(字幕)] 6点(2005-09-16 17:09:46)
1404.  EUREKA ユリイカ
理不尽な暴力を描いた『Helpless/ヘルプレス』に対し、理不尽な暴力がもたらすものが描かれたのが『EUREKA ユリイカ』。九州の田舎町で唐突にして理不尽極まりないバスジャック事件に遭遇した3人は、その後過酷な運命を強いられる。心に深い傷を負った3人に追い討ちをかけるように興味本位で見るまわりの人間たち、そしてどう接していいのか解らない家族たち。本人たちにしか解らない心の葛藤を長すぎるくらいの間をとって丁寧に描き出そうとする。喪失した何かを見つけるために旅に出るというわかりやすい展開へ進み、セピア色がラストでカラーになるというこれまたわかりやすいオチは、シリアスなテーマよりも映画としての構成や時間の表現に拘ったからでしょうか。PTSDや少年犯罪というディープな社会色を前面に出しながらも、やっぱりこの映画の最大の魅力は、こういった「見せ方」にあるような気がします。ラストでカメラは上昇し、主人公たちを支点にぐるぐると廻り出します。『Helpless/ヘルプレス』のオープニングであてもなく空から下の世界を映しながらさまよっていたカメラがようやく何かを発見したかのように感動的に廻ります。
[DVD(字幕)] 7点(2005-09-15 14:22:49)(良:1票)
1405.  WiLd LIFe jump into the dark
エピソードごとの章タイトルが楽曲のタイトルというのは、ミュージシャンとしての経歴を持つ青山監督ならではの遊び。現在と過去を自由に行き来する構成の中で、ふんだんに映画的遊びを盛り込み、そのうえでバイオレンスとアクションとサスペンスとロマンスをミックスさせながら、ストーリーを破錠させずに仕上げた見事な手腕に脱帽。潰れたパチンコ店主との会話をワンシーンで見せる中で主人公をあり得ない場所に移動させてみたり、警察の取り調べをこれまたカットを割らずにカメラがぐるっと回ると主人公と社長が入れ替わってたりという『チンピラ』の過去と現在を同時に捉えた画と同様の遊び感覚の演出も面白い。小手先の演出ととられかねないこういった遊びが個人的に好きなんですよね。だからferoさんのご指摘の車中での心境の語りのシーンも青山監督の遊びだと思って見ていたのでけっこう心くすぐられました。小手先の演出でも映画にしかできない演出ならば、やっぱり惹かれちゃうんです。 
[ビデオ(字幕)] 7点(2005-09-14 12:02:45)
1406.  チンピラ(1996)
冒頭の海の画から惹きつけられ、その後も何度となく映される美しい情景の画を挟んで時間を逆行させる構成が「映画」らしくていい。石橋が殺されるシーンの、パチンコ台のガラス面がフッと暗くなることで誰かが後に立っていることを解らせるという細やかな演出が、同時に青山映画独特の負のオーラをかもし出している。終盤では、ダンカンとの出会いを回想し、そこからカットを割らずに現在の大沢を映し出すという面白い演出も披露されていて、最初の痛いシーンを除けばかなり私好みの映画でした。青山監督は田舎の景色をうまく使って映画に深みを与えるのがうまい。
[ビデオ(字幕)] 7点(2005-09-13 15:53:50)
1407.  Helpless
青山真治、劇場用映画デビュー作にして衝撃作。一見どこにでも転がっていそうなバイオレンス映画でありながら、どこにもないバイオレンス映画。自分の世界の中だけで様々な葛藤や苛立ちを解決するために暴力という手段が選ばれるという、その手軽さと理不尽さという、暴力の本質みたいなものが強烈に描かれる。この作品で描かれる事件は、実際にあればとんでもないニュースになるほどの衝撃的事件だし、妹を射殺しようとするヤクザなんてのは類稀なるセンセーショナルな事件なわけですが、あまりにもその異様な光景が当たり前に存在する世界として目に飛び込んでくる。日常にある暴力ではなく、日常に潜む暴力が描かれる。負のエネルギーがいつでも手招きしている日常、というこの作品の世界観に圧倒されました。こわい映画です。
[ビデオ(字幕)] 7点(2005-09-12 17:02:05)
1408.  今日から始まる
貧困からくる大人たちの心の荒れ、そしてその犠牲となる罪無き子供たちを救うために奮闘する教師の物語。教師と子供たちの関係よりも子供たちの親との関わり、福祉課の役員との関わり、さらにはその上の政府との戦いが描かれ、そのうえ教師の家庭における親としての問題を描いてゆくことで非常に多面的に教育の理想と現実を見せてゆきます。希望らしい希望というのは描かれず、ひたすらに答えの見出せない現実を目の当たりにします。しかし、祭りを彩った子供たちの作ったカラフルなペットボトルの飾りつけがモノトーンの町並みを元気づけ、陽の光や子供たちの笑顔が確かなる希望を演出していた。地元のアマチュア俳優や園児たちの自然な演技が、ドラえもんさんのおっしゃるようにドキュメンタリーさながらのリアリティを創造していました。
[DVD(字幕)] 7点(2005-09-09 11:59:25)
1409.  蝶の舌 《ネタバレ》 
緑が美しく、牧歌的に少年をとりまく環境が映し出され、突然ラストで悲劇を見せるのは、ラストシーンを強調するためなのでしょうが、彦馬さんが書いておられることと似たような感じになりますが、やはり牧歌的描写の中にラストシーンを暗示させるものが欲しい。たしかに兄の失恋や犬の惨殺などが悲劇を暗示させるものとして描かれますが、本筋とかけ離れたエピソードゆえに伏線としては弱いです。<牧歌的→ラストでいっきに悲劇>というパターンでいうと、ミハルコフの『太陽に灼かれて』のほうがはるかに巧い。それでもラストシーンには泣けた。そりゃそうでしょ。スローモーションにしてあんなセリフを持ってくるなんて反則です(涙)。
[DVD(字幕)] 5点(2005-09-08 11:50:27)
1410.  スクール・オブ・ロック
たしかに「Immigrant Song」は笑った。ロック講義もおもわず黒板を凝視した。そんな、ロックファンを嬉しくさせるシーンが盛り込まれているのは良かった。でもこの先生(仮)は、親が巨人ファンだからってなぜおまえ等も巨人ファンなんだー!阪神ファンになれー!!と強要する虎キチみたいなもんで、けっきょくこの先生(仮)がロックマニアなだけで、それを面白おかしくした映画にすぎないのに、妙に子供たちとの交流や成長というドラマが入ることでメッセージなんてないのにメッセージじみた内容になっちゃってるのがなんだかなぁ、、って思う。あと、エンディングでメンバー紹介に伴ってソロ演奏がされるんですけど、ベースソロが無いのは不公平である。ベースソロが難しくてもこの手の作品には無理やりにでも入れるべきです。難しいといったって、アイアン・メイデンなんかベースがリーダーで実際ベースの存在感が凄いバンドだし、タラスっていうバンドなんてベースの速弾きなんかするくらいなんだから、ロック界でもじゅうぶんベースソロはアリなんだから。
[DVD(字幕)] 5点(2005-09-07 15:28:23)
1411.  川の流れに草は青々
オープニング、物語が始まる前に、子供達が電車と競争しているシーンを見た瞬間、この監督が才能有る作家であり私好みの作家であることが確定。いつになったら学校につくんだ?ってくらい自由気ままな子供達のなにげない行いが映し出され、物語が始まっても物語とは関係のない行動ゆえに省かれがちな子供達の日常が常に背景と同化し、そのことによって物語に深みというか味わいが生まれ、同時に少年時代を懐かしむような心地の良いノスタルジーに浸れる。ただ、所々で先生と子供達が戯れたり、大人同志の楽しんでる様をセリフを消して音楽とともにパパッと見せるシーンがあるんですが、どうにもわざとらしい演技なんですよね。例えば、こんなシーンはないのですが、コイツ~っておでこをつついてエヘってするような気恥ずかしさが溢れた感じの。バックに流れる独特の陽気な歌も影響していると思うのですが、ちょっとクサイです。でも、なんか癖になりそうなクサさでもあるんですけどね。その演出自体にノスタルジーがあって。
[ビデオ(字幕)] 6点(2005-09-06 14:01:15)
1412.  モナリザ・スマイル
物語の舞台となる校舎を映し出した画がなんとも美しく、それだけでぐぐっと惹きつけられたんですが、セリフで度々出てくる戦争の話のたびに、あ、そうそう50年代の話だった、、と思い返すくらい画から時代が伝わってこないのはどうしようもなく救い難い。衣裳や町並みや部屋の小道具などはそれなりに時代を演出しているんでしょうが、まるっきり伝わってこない。保守的な思想が時代を反映しているわけでもなく、この舞台となる大学だけが保守的であるかのような描きかたなので、とりわけ主人公が新しい思想を持った人物にも見えない。ところどころに綺麗な画があっても、かえって時代を感じさせない画になってしまってるように感じた。
[DVD(字幕)] 4点(2005-09-05 14:10:50)
1413.  空の大怪獣ラドン
当時の特撮怪獣モノって独特のレトロ感があって好きです。この作品も例にもれずですが、それって特撮であることとかミニチュアの町の再現から成るものじゃなくて、きっと怪獣が出てこない部分で描かれる風景や家屋のセットからくるような気がします。そういう意味でもこの作品は炭坑の現場、工場、事務所、集合家屋、そしてその住民たちの独特の生々しさに溢れていて、ラドンそのものよりも強烈に印象に残っています。かといって、ラドンがダメってことじゃなく、むしろ幼少の頃からゴジラやガメラよりも、ただ飛ぶという行為だけでとてつもない破壊力を見せつけるラドンが好きでした。はっきりと見えるピアノ線は電線がひっかかってるんですよ、きっと。学者や警察を交えた会議はシリアスなくせして怪獣の存在にあまり驚かずに淡々と進むのは怪獣映画全盛期ゆえでしょうか。それはそうとラドンって、プテラノドンだったんですね。
[ビデオ(字幕)] 6点(2005-09-02 15:46:33)(良:1票)
1414.  ケス 《ネタバレ》 
閉鎖的な社会環境が残酷なまでに映し出される。ある時期の炭坑町ゆえの、大人も子供も希望を持ち得ない過酷な社会を冷淡に描き出し、その中で少年ビリーの日常を暖かい眼差しで描き出す。ビリー役の子が容姿も表情もこの役にピッタリで、ついつい小さな身体で過酷な社会に冒されながら賢明に生きるビリーを応援したくなるわけですが、応援なんていらない!とつき返される具合で、それでも見守らせてください、てな感じになるわけです。「ケス」という一筋の光がどんどんと大きな光となってゆく様を良識ある教師と共に感じていたところで、突然荒んだ社会に握りつぶされて映画は終わる。哀しい現実を見せてすぐに終わる。きびしい現実を再認識するとともに、悲しいけど少し大人になったビリーに「負けるな!」とつぶやく、、そんな後をひくエンディングでした。
[ビデオ(字幕)] 7点(2005-09-01 13:59:21)
1415.  リトル・ダンサー
すごーくもったいないと思いました。ものすごくいい雰囲気で炭鉱の町を再現していてその町をバックに歩いたり走ったりしている日常の画がすごく印象的なのに、ここぞというときに人物メインの描写になってしまう。炭鉱閉鎖に向かう時代の荒んだ状況も通り一遍でしか語らないもんだから、父の一大決心のスト破りもいまいち盛り上がらない。これは抑えた演出というものではなく、あきらかに感動を誘うための過剰演出がなされているにもかかわらずにです。家族愛を映し出すところで力を入れている結果として、抑え気味にさらっと描かれたダンス教師の娘とのエピソードなんかはけっこう好きです。あと、「夢」を前面に出さず、本当にバレエが夢なのかどうかも本人にもよくわからないというあやふやな、そしてそれが子供ってもん、という主人公の描き方も自然で好感が持てる。ただ踊ることが好きな少年がいて、その才能を見出したダンス教師がいて、その才能を伸ばしてやりたい父がいる。伸ばしてやりたいけど、それが困難な状況にあるところでこのドラマは生まれるわけで、やっぱりもう少し炭鉱町の悲劇が描かれてもよかったのではなかろうか。
[DVD(字幕)] 6点(2005-08-31 13:43:02)(良:1票)
1416.  ブラス!
アンディとグロリアの会話、ダニ-と近所のおばさんとの食い違った会話など、しゃれたジョークがイギリス映画っぽい。炭坑閉鎖という暗いトーンの中で、こういうジョークや随所に散りばめられたコミカルなシーンが絶妙なバランスを保っている。そのバランス感覚が良すぎて、誰もがそこそこ楽しめる作品になっているかわりに、シリアスとコミカルのどっちつかず感を個人的には感じてしまう。名指しでサッチャー批判をするところは、もちろんこの作品のメッセージではなく炭坑夫たちが当然持っている感情としてなんですが、びっくりしました。こういうところを活かしてシリアス路線で攻めてみても良かったような、、。感動を無理やりに煽らない演出は良かった。
[DVD(字幕)] 5点(2005-08-30 13:09:22)(良:1票)
1417.  遠い空の向こうに
いいお話だと思います。夢を持ちつづけること、諦めないこと、それ以上に大勢の人達の支えと応援があってこそのサクセスストーリーがわかりやすく描かれています。その中でも父と息子のドラマを軸にして感動的に描かれているのですが、父のほうはともかく、主人公の、炭鉱の町という独特の閉鎖社会で外を見ることのうしろめたさだとか葛藤だとかがあまり伝わってこず、そういった深みを見せずに感動だけを持ってくる浅さが気になってしょうがなかったです。要するに作為的に感じてしまいました。もともと私は10代後半から20代の青年と父との間で織り成す感動ドラマ自体が嘘っぽく感じるもんなので、もっと丁寧に主人公の心理や背景を描いてくれなきゃ、素直に感動できません。反対にその部分が丁寧に描けていれば、感動を煽らなくても感動するもんじゃないだろうか。 ..といっても皆さん感動してますね。私がひねくれてんですね。きっと。
[DVD(字幕)] 4点(2005-08-29 17:26:26)(良:1票)
1418.  偉大なるアンバーソン家の人々
『市民ケ-ン』とはある意味正反対の人生を送った男の孤独を描く。アンバーソン家の繁栄と衰退の歴史を、自動車の登場という時代の流れとともにスムースに見せてゆきます。破産後からラストシーンまでのあっさりとした展開とあっけない幕切れ、、もしかしてこれがいじられた個所なのでしょうか。だとしたら、登場人物の描写から時代背景まで実に丁寧に描かれていただけに残念です。時代が動くことを暗示させるダンスシーン、わがままし放題だった主人公の行く末を見届ける気持ちが時の流れとともに薄れゆく様の無情さ、大きな時の流れの中で人間の小ささが際立つ。、、うーん、やっぱりラストが、、。オリジナル版が見たい!
[ビデオ(字幕)] 7点(2005-08-26 19:00:27)
1419.  忘れられた人々
メキシコの貧民街に住む不良少年たちが盲目の大道芸人を襲うその残酷性に衝撃を受け、残酷の中に微かだけど確実に存在する光を何度も垣間見せては、大人たちが叩き潰すという悪循環を最後まで見せつける。「最後まで」というのが重要で、物語性を出しすぎずに現実を冷徹に描いたところに、並々ならぬメッセージ性を感じる。貧困がもたらす悪循環を強調しており、ブニュエルが肌で感じたこの国の抱える問題に真向から取組んだ作品と言える。ヨーロッパ時代のブニュエルの作品からは想像できないほどのストレートな訴えをびんびん感じます。一方で、夢のシーンに代表される幻想的かつ本質をえぐりだすような映像は、その後のブニュエルを彷彿させる。ブニュエル流リアリズムはどこかが違う。
[映画館(字幕)] 7点(2005-08-25 19:02:33)
1420.  パリ空港の人々 《ネタバレ》 
『ターミナル』のレビューでも少し触れましたが、『ターミナル』も『パリ空港の人々』も元ネタは同じ実在の人物です。内容は全然違うのですが、大きく異なるのはこちらは「人々」とあるようにひとりぼっちじゃないということです。何年も空港に住んでいる(出られない)先人たちがいるというところ。その生活感溢れる特異な日常がなんともおかしく、そしてなんとも寂しく描かれてゆきます。マリサ・バレデス(主人公の奥さん)の空港外での奮闘と、意を決して片道キップで空港内に入って出られなくなるオチの面白さを見て、(反対に)スピルバーグのコメディ・センスの無さを痛感しました。パリを見たことがない少年のために皆で外に出るシーンの開放感。夜のパリの情景をバスの窓から映す、そして外を歩く人達に風が吹き付ける。たったそれだけで『ターミナル』ではけして感じることのできなかった開放感をこの作品は感じさせてくれます。
[ビデオ(字幕)] 7点(2005-08-24 15:42:50)
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