1401. テキサスの五人の仲間
《ネタバレ》 どんでん返しのためのどんでん返しってこの辺から始まったわけですね。「悪」を倒すためには、このあたりまでは許されるのさ、というのが上映当時の痛快さだったのでしょう。でも現代のウォール街での99%デモの時代に観ると、ラストのこの映画の銀行家には不快感を感じます。ジェイソンロバーツが「本当の伴侶をみつけろよ」と娘婿に言うところで映画が終われば、きっと心に残る映画だったのでしょうが、あのようなラストを付け足すと、「騙された方が悪いのさ」「いい奥さんなんかいないのさ」っていうメッセージがあるように感じられて、面白くなかったですね。自分は、勝ち組のポーカー勝負に熱狂し、ギャンブル好きのダメおやじの奥さんが戻ってきた時、帽子を脱いで同情し、心臓発作で倒れると、医者に協力する庶民の側に立ったような映画が好きです。あの銀行家にも奥さんにも失望しました。まぁ娯楽作品なのだから、という意見もあるでしょうが、面白さだけのメッセージなき文化は二束三文ですね。途中まではとても面白かったので、この点数で。 [DVD(字幕)] 7点(2012-01-07 23:39:18)(良:1票) |
1402. セレンディピティ
《ネタバレ》 これに近いことって結構ありますよね。信ずる者は救われるのだ。一時、書店にも特集組んであった「引き寄せの法則」ってやつでしょうか。ただこの映画の二人は、自分を特別に思いたい気持ちが「運命」にすがってしまった、てこともあるのでは?このまま続くか、今まで自分を大事に思ってくれた相手のもとに帰るか、そこは分からない。でもクリスマス前にカップルが観るのには最適でしょう。良い気持ちになりました。 [DVD(字幕)] 7点(2011-12-04 20:41:24) |
1403. ワイルド・ギース
《ネタバレ》 これは分厚い作品だぞ。人を集めて、戦う。「7人の侍」から脈々と引き継がれる戦争アクション映画の「特攻大作戦」のパターンかな?と思っていたが、上層部の裏切りにあい、彼らが戦地に置いていかれるところから、話は変わってくる。韓国映画の「シルミド」テイストだ。(創られたのは本作品がずっと前なのだが・・)個性ある面々が一人また一人と死んでいく。皆、それぞれに見せ場はあるのだが、左とん平に似た男が政治家を背負って逃げて、体に何発もくらうシーンに、政治家を背負う民衆の優秀さを見た。そしてリチャードハリスのあのシーン。泣いたよ。この作品は、政治家の口からさりげなく鋭いメッセージを言わせている。前のレビュワーさんのコメントで知ったが、そうでしたか、「12人の怒れる男」の脚本家でしたか。こういう硬派な作品を描ける人って今、いるだろうか? [DVD(字幕)] 7点(2011-12-03 15:33:27) |
1404. フラッシュバック(1990)
《ネタバレ》 最初は「48時間」や「ミッドナイトラン」かな?でも途中でこれは「さらば冬のかもめ」の逆のようにデニスホッパーが人生の教師役になるのかな?と思ってました。ところが小栗旬君みたいなキーファーちゃんが実はヒッピーの息子と分かります。そこでこれは自分探しの話だったとホロリと来るのです。やんちゃなまま、大きくなったデニスホッパーは実はアメリカの人はみんな好きなんでしょうね。60年代のアレは、実はアレこそがアメリカそのものだったのかもしれません。粋なラストは大人の味わいでしょうか?映像がもうちょっときれいだったら、とも思いましたが、これでいいのかもしれません。前向きに生きるのにちょっと疲れたら、こんな時代遅れな演出の映画に浸るのも一興じゃないですか?デニスホッパーって演技うまいですね。きっと女性にもててる気がします。 [DVD(字幕)] 7点(2011-12-03 05:12:03) |
1405. テレフォン
《ネタバレ》 これは収穫だった。ドンシーゲル作品は面白い!確かにサスペンスとしては物足りなかったし、まとまりから行くと、最近の映画の方がよく出来てる作品が多いが、彼の作品は、次どうなるのか?という引張りがあって、面白い。ワクワクドキドキする。コンピューターオタクの女性秘書とか、任務が終わったら相方を殺さなきゃいけないエージェントとか設定が面白い。ブロンソンの完全記憶とか、残された手帳とか、生かされてない設定が山盛りなのだ。彼の作品を観て、アイデアを真似して、創られた作品もあるんじゃないのかな?何せアイデアを出し惜しまないところがいい。これは2時間枠で収まる設定ではないですね。韓国ドラマみたいに丁寧にこの設定を生かせば、人気ドラマシリーズになったかもしれないなどと思うのだが・・・ [DVD(字幕)] 7点(2011-12-03 02:19:45) |
1406. サイバーネット
《ネタバレ》 「俺たちの時代が来た!」って感じでパソコン世代が弾けます。ふりまわされるのは、いつも大人たち。今まで、いろんな若さの武器(ロックやマンガ)が出てきましたが、最後はいつも抑えられてしまった。が今度のパソコンはちょっと違うぞ!若いっていいね。本当はハッキングは「悪い」ことなので、映倫上、ストーリーは彼らが捕まるようなラストが用意されてしかるべきなんでしょうが、もっと性質の悪い大人(マザコン?)を配して、さわやかなラストでした。楽しい青春映画です。 [DVD(字幕)] 7点(2011-10-17 23:38:08)(良:2票) |
1407. インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実
《ネタバレ》 金融危機の構造をつくった人物が次々と権力の側についているという第5章はちょっと怖かったですね。オリバーストーンの新作「ウォールストリート」もこの辺をついた素材を扱ってほしかった。それにしても印象に残るいいことを言う人はアジア人と女性が多かったな。ソロスも割と面白いことを言う。まぁ結局、自分がクソだと思っている商品(この映画ではサブプライムローン)をより多く売ろうなんていう商売は長いこと持ちません。そう思います。 [DVD(字幕)] 7点(2011-09-18 23:52:14) |
1408. ボーイ・ミーツ・ガール
初めてのレオスカラックス作品。せっかくだから、彼の青春三部作の最初から観ようと思い、この作品を観た。ドラッグなしのパーティでもこんなに夜の闇を描く事はできるんだ。悩める巴里っ子はどんな時でも詩情を忘れない。とても洒落てて、これからの「汚れた血」も「ポンヌフの恋人」も楽しみだ。 [ビデオ(字幕)] 7点(2011-08-20 12:25:23) |
1409. ワーキング・ガール
この頃のアメリカ映画って好きだわ~。歌も伸び伸びしているし、話も爽快だし。この頃のアメリカンドリームは女性に向いていたのだね。ハリソンフォードが中々出てこないので、どうしたんだろう?って思っていたら、この映画はメラニーグリフィスの為の映画のようで、ハリソンもシガニー姉御もそんなに目立たないです。メラ二ーのようなおっとりした女性って意外と、優秀なんですよね。自分も学生時代、のんびりした女性だった人が社会の中でいいポジションにいるってパターン、よく見ます。 でもこの映画のメラニーの演じる女性の、おっとり風は演技かな?数年後の名匠シドニールメットの「刑事エデン」ではちゃきちゃきした女性役をやってますもんね。やるよなぁ。 [ビデオ(字幕)] 7点(2011-08-17 23:22:27) |
1410. 緑色の部屋
《ネタバレ》 トリュフォーの敬愛するヒッチコックを意識した映画なのか、かなり怖い内容。それにしても主人公は勝手なやっちゃなぁ。でもこういうのを好きになる女性がいる(しかも超美人!)というのも一興。この変人ぶりを演じたトリュフォーも押さえが利いていい感じ。最初は変人役とは知らず、やっぱり演技は下手だなと思っていたが、話が見えてくると、なるほど感情移入はできにくいが、中々そんな人物の感じ出てる、と感心しました。この女優、ナタリーバイさんのきらめく美しさに1点プラス!です。 [ビデオ(字幕)] 7点(2011-08-16 00:58:08) |
1411. 霧の中の風景
《ネタバレ》 ロードムービーって大抵、人物が旅の途中で色んな経験をして成長するというパターンが多い中、これは絶望的です。そうですよね。ヒッチハイクってこんな危険、多いに有り得ますよね。お父さんがどんな顔でこの二人を迎えるのか?という期待で映画にのめりこんだら、お金がないと旅は悲惨だ、という現実を容赦なくつきつけられました。こんな小さな無防備な姉弟がふらりと歩いていたら、街の誰かが気をとめるべきでしょう。この映画の場合、警察が早く確保してやってくれ~、と思いたくもなります。最後のほうの兵隊の「俺って馬鹿だよなぁ」と言って、金を置いていくとこは好きなエピソードです。時代が変わりつつある中、世の中の人、みんな余裕がない時のお話ですよね。いつの時代だってこんなもんさ、と思いたくないなぁ。 [ビデオ(字幕)] 7点(2011-08-15 16:44:05) |
1412. 沈黙(1963)
戦時中という不安が覆う世界の中で、肉欲をもてあます姉妹を上品に描く。当時、女優さんがこんな大胆な演技をするというので、ショッキングだったんでしょうか?キネ旬でもベスト10に入ってます。ベルイマンはきれいなとこだけを描かない。そういう作家だと思います。 [ビデオ(字幕)] 7点(2011-08-05 01:49:58) |
1413. 秋のソナタ
《ネタバレ》 どんな女性でも幸福について敏感だ。イングリッドバーグマン演じる母親のピアニストは自分こそが人生の主役と、嬉々として生きている。それに対し静かな人生の娘は母親が好きではない。ある日、ついに娘は爆発する。母親は「助けて」とプライドも捨てて、娘に乞うように言う。が、そこで画面は変わり、母親は自分をヨイショしてくれる男性とまた列車の旅にでている。きっと娘はあの母親の悲痛の言葉に黙っていたのだろう。母親が出て行くまで。そして最後の手紙でまだやり直せると娘は言う。まるで絵画のような光線に照らされる部屋の中で静かな物語はつづられる。タイトルから興味を抱いて、学生の時からどんな映画だろう、と思っていた。そしてある時、NHK教育で観たのだが、静かにでも確かに、今の自分に影響与えている。「~のソナタ」は夏以外全部ある。韓国ドラマの方より、こちらの方が好きだ。エリックロメールのものは大事にとっておいてある。いつか観たい。それにしても自分はシワの多いおばあちゃんの方が好きなんだなぁと思った。 [ビデオ(字幕)] 7点(2011-08-02 19:23:31) |
1414. 刑事コロンボ/忘れられたスター<TVM>
《ネタバレ》 ついにピーターフォークが亡くなってしまった!「デッドロック」で長老のような役をやっていたから、もうかなりのお歳なんだろうなぁとは思っていたけど・・。残念です。「寅さん」が渥美清なら、「コロンボ」といえばこの方だったのに。新聞の天声人語に紹介されていたので、本作品を観ました。そしたら、あぁ覚えている、覚えている。かなり前に観ていた作品だった。警察の同僚に自分の代わりに銃のテストに出てくれと頼むシーンがあったり、ワンちゃんとの絡みもあったり、事件に関係ない場面が挿入されており、それがコロンボのヒューマンなところとして描いているため、ラストの本作品唯一の犯人を捕まえない彼の味として生きてくる。コロンボシリーズの中でもかなり好きな作品。 [DVD(吹替)] 7点(2011-07-06 04:15:32) |
1415. ペルシャ猫を誰も知らない
日本ではごく普通にやっていることが、他の国では逮捕覚悟でやらなきゃいけないんですね。特に文化面での自己表現なんてのは、もう自分でも止めようがないから、日本に生まれてつくづく良かったです。今はツイッターとかでも自由に政治のことなど書ける時代なので、今の日本って凄いんだな、と思います。映画の中でジャーナリストみたいなおっちゃんが熱く歌っている姿は新鮮でした。メロディは聴いたことがある曲もありましたが、歌詞(特にラップの格差についての歌詞)は良いです。文化の違いを知り、日本を知る。まさにそういう体験をさせてもらった映画でした。ラストの二人の死は、現状への絶望の現れでしょうか?そこまで絶望なんでしょうか?そうだとしたら、ちょっと異国の映画とはいえ、信じられないことです。 [DVD(字幕)] 7点(2011-07-02 14:59:21) |
1416. 十三人の刺客(2010)
三池崇史版「七人の侍」。菊千代もいるし。「クローズZERO」で見せてくれた集団対集団の映像の整理されてること。凄いな、と思います。敵があれだけいたら、もう生きて帰れないと覚悟したんでしょうね、みんな。それが侍ってやつですか。松方のおっちゃんがさりげなくスゴカッタ。 [DVD(邦画)] 7点(2011-06-22 02:15:47) |
1417. ウォール・ストリート
《ネタバレ》 ハイセンスな映像で、最先端のビジネスを素材にしてみせる、ってやはりどのジャンルでも作家ならそういう野心って持つんじゃないでしょうか?オリヴァーストーンにはそういうの期待してます。だからこの映画を観られるのを心待ちにしてました。「おぉあのウォール街の感動をまた!」って。でもあれだな。説教されるのは嫌だな。哲学めいたコメント言われてもなぁ。それよりもうちょっと最先端をネタにしてほしかったな。変なクリーンエネルギーなんかに絞るんじゃなく。そして世界中のマネーに群がるアクの強い個性が描かれても良かったんじゃないかな?ラスト、ゲッコーが一億から十一億へと簡単にお金を増やしたのは、ちょっと映画的には古い展開だね。やはり前作「ウォール街」の方がよくできてたので、今作はちょっとがっかりです。前作の主人公が話題程度に出演するのは、サービスですね。また慈善団体のブログの記事が大悪を退治しちゃうなんてありえないでしょ。あの鳥の鳴き声する爺さんがゲッコーに寝返る展開は面白いけど、ちょっとラストを急ぎすぎた感があります。オリヴァーストーンにはまだまだ頑張ってほしい。ユニークな社会派映画のジャンルを築きつつある彼にエールを! [DVD(字幕)] 7点(2011-06-21 03:19:05) |
1418. わたし出すわ
《ネタバレ》 出た!久々の森田芳光節!自分は「ときめきに死す」で面白い監督がいるなぁと思ったもので、何もない生活感のないキャラが好きなんです。企画の妙っていうか、普通の監督では、このような作品にお金を出そうなんて思わないですよね。ストレス映画「バカヤロー」とかパソコン通信映画「(ハル)」とか、時代の先端にある企画を作品にしてしまう森田監督のセンスが大好きなんです。この映画もいいです。真面目な日本映画が多すぎです。もっと楽しく創りましょうよ!って言いたくなる。 [DVD(邦画)] 7点(2011-06-17 20:24:11) |
1419. 稲妻(1952)
お母さんがはっきりしてないから、女性の多い家族に変な男が出入りしたりする。そんな状況で高峰さんの演じる女性はそれが嫌で家を出ちゃう。そんな話ですが、高峰さんって有名な「浮雲」の薄幸の女性を演じたり、「カルメン」ではストリッパー演じたりとどんな役でもこなしちゃうけど、何故だかどういう役を演じても、好い人は裏切らない女性って感じがします。騙すより、騙された方がいい、って感じ。さばさばしてるけど、白けてないっていうか。こんな女優がいたんですね。目のあたりが薬師丸ひろこさんに似てると個人的に思いました。 [DVD(邦画)] 7点(2011-06-15 23:36:45) |
1420. ばかもの
《ネタバレ》 何故、額子が、自分に嘘ついてまで、他の男と結婚したのかがよく分からなかった。主役の青年に、デイトレの女の子の影を見たのかもしれない。自分よりもこの青年を好いている女性がいると、直感で思ったのかもしれない。女性って一人で考え、結論出して、行動しちゃう人もいるから、それに振り回される男はたまったものではない。結果、男はアル中になってしまう。その時に付き合っていた職業が先生の女性も気の毒だった。決して、不幸な家の娘じゃないんだから(むしろ小手川祐子演じる優しいお母さんがいるのに)なんで、額子があそこまでツッパルのかがよく分からなかった。遠回りの人生だったかもしれないが、その為に片腕無くしちゃうし。先生だった女性はどうなったんだ!それに宗教にはまったデイトレの女の子の身に一体何が起きて、ああなったのか?このままで終わったら、ただの身勝手なカップルの物語だよ。でも額子演じる内田有紀は素敵だった。 [DVD(邦画)] 7点(2011-06-12 00:02:30) |