141. 催眠
ストーリーはボロボロに破綻している。サスペンスなのかホラーなのか?しかしながら菅野の狂った演技は最高に光っていて映画を観たのは随分前だが未だに忘れられないほど強烈だった。菅野の演技力の幅を知ったという評価で2点。しかし殺し方が安易すぎるのはもう少しどうにかなったのではないだろうか。 2点(2004-01-27 01:01:56) |
142. 突入せよ! あさま山荘事件
事実をより詳しく知るための映画として割り切って観たのだが、それでも退屈してしまう。終始大騒ぎしていてそれがメリハリを失い、これでは警視庁24時となんら変わらない。犯人側のエピソードをもっと盛り込んだほうが少しはドラマチックに演出できただろうに、あえてそれをしなかったということは警察の内輪揉めを皮肉って描きたかったからか?と深読みせざるを得ない。しかしそれでは「浅間山荘事件」を舞台にした意味がない。映画として製作するならば、もう少し事件を掘り下げて取り扱ってほしいものだ。 2点(2004-01-27 00:51:15) |
143. 模倣犯
《ネタバレ》 残された遺族の悲しみや犯人二人の狂いっぷりは丁寧に描かれていてシュールですらあった。そこまでは良かったのだが、オチがあまりにもひどい。B級ファンタジーを観ている気分になる。そこにいくまで丁寧に書かれてきた全てを台無しにしている。ラストの生放送のシーンは展開を急いでいるため緊迫感が薄い。そしてやはり爆発して飛んでいくシーンには興ざめ。0点と言いたいところだが、藤井の意外な好演と中居の無口な悪役がハマっていたので3点。 3点(2004-01-27 00:41:36) |
144. GO(2001・行定勲監督作品)
基本的には原作に忠実なのだが、それぞれのキャラクターが非常にしっかりと個性を発揮しているところがクドカンらしい。イマドキの若者らしい軽妙さと悩み多き生い立ちの間で揺れ動く主人公を思いのほか窪塚が好演している。彼の演技方法とたまたまうまくマッチしたのかもしれないが、重たいテーマでありながら湿っぽくなっていない点が良い。しかし全体的にメリハリに欠けるように思える。しかし今まで敬遠されてきたテーマに真っ向から勝負をかけて成功した映画であることを私は評価したい。 7点(2004-01-27 00:30:04)(良:1票) |
145. CURE キュア
誰の中にでも潜む狂気。ふとした瞬間に芽生えてしまう殺意。殺人は決して特別な人間が特別な感情で犯してしまうコトではない。それがひしひしと伝わってくる恐怖。思わず目を瞑りたくなるようなエグい場面もさることながら、次第に狂っていく周囲の人間たちの描き方が秀逸である。和製サイコホラーとしては成功だろう。飄々としている犯人役の萩原と感情が空回りしてしまう刑事役の役所というキャスティングも適役である。 7点(2004-01-27 00:21:50) |
146. バトル・ロワイアル 特別編
通常バージョンと両方観たが、こちらはバスケの試合シーン等を挿入し、情緒的にまとまっている感がある。もちろん原作小説は素晴らしいのだが、映像化することによって良くも悪くも生々しくなっている。BRの世界は空想の中に投影した現実社会だ。その危うい崖っぷちの世界の中でもしBR法が出来たら城岩中学の生徒のように我々は友人に刀を向け、銃を発射するだろう。誰だって自分が一番かわいい。しかし同時に「この人だけは守りたい」と思うかもしれない。その葛藤がとても人間くさくて共感を覚える。この映画は中学生同士が殺しあうという一見非現実な設定でありながら、人間のエゴイズム、弱さや脆さと同時に懸命に生き抜くことの必要性を強く訴えているのである。日々の生活に疲れた時にこの映画を観れば、おのずと答えが見つかるのかもしれない。 9点(2004-01-27 00:04:41) |
147. 溺れる魚
シリアス具合とバカさ加減の微妙なバランスを、監督独自の演出方法で見事に消化している。サスペンスや刑事物として観てはいけない。ひたすら堤ワールドを堪能すべし。宍戸や野際ら客演キャストをここまでうまく使える手腕に舌を巻いた。個人的には宍戸と椎名の掛け合いシーンが気に入った。しかし堤ワールド全開の為、観る人を選んでしまう作品ではある。 5点(2004-01-26 23:44:36) |
148. 凶気の桜
退廃的な雰囲気がよく出ている。いくらあがいても大きな権力の下ではどうにもできないのだということをひしひしと感じた。RIKIYA等、脇役陣の存在感が光っている。また悪役の江口洋介も新鮮である。後味が悪い。しかしそれはイコール駄作という事には繋がらない。ただ多くの方が書いているようにヒロインとの絡みは必要ないように思う。ひたすらピカレスク映画に徹していれば、中途半端な違和感はもう少し減っていたかもしれない。やくざ映画の入門編といった印象。 4点(2004-01-26 23:35:44)(笑:1票) |
149. 少林サッカー
前半の重苦しい雰囲気が少々つらい。後半のようにテンポの良いギャグで終始突き進んで欲しかった。不衛生な描写も受け入れがたい。サッカーの取り入れ方も中途半端なので、逆にもう少し本格的な試合にしていれば一層面白かったかもしれない。しかし軸となるストーリーは非常にシンプルで、不可能を可能にするという予定調和的な運びは私たちが長年見慣れてきたアニメや漫画の価値観そのものである為、そういう映画が好きな方にはウケるのだろう。終わり方はとても綺麗にまとまっていて好感が持てる。 4点(2004-01-26 23:22:40) |
150. リリイ・シュシュのすべて
まさに「映像」で魅せる映画。これこそ近年の邦画が得意とする手法ではないだろうか?この作品はそれを知らしめた一作といってもいい。派手な音楽も過剰な演出もない。ただ淡々とした日常の中に流れていく様々な事件、マイナスだったりプラスだったりするそのエネルギーがリアルだと私は感じた。環境に負ける者もいれば立ち向かう者もいる。単なる起承転結で終わらない構成は、私たちの人生そのものである。そう思わせてくれる独特の世界観がある。 5点(2004-01-26 23:11:39) |
151. バトル・ロワイアルⅡ 【鎮魂歌】レクイエム
BR1が好きだったので期待しすぎてしまったのだろうか。今作は前作の良さをすべて払拭してしまっている。勿体ない。BR1が何故あれほど支持されたのかわかっていないのでは?という疑問がわいた。BRの魅力は現実社会のデフォルメであり架空世界の中に現代を投影している、そこにあったのではないのか。具体的に言うなれば、制服姿の中学生が友達同士で殺しあう、それが全てだったのだ。今作はただの戦争映画になってしまっている。BRらしい台詞も所々見受けられるのだが、個々の葛藤や内面が見えてこないので胸に響いてこない。キャストが熱演すればするほど虚しく感じられてならない。根本的に設定や構成から練り直したほうがよい。 5点(2004-01-23 17:39:27) |
152. セイブ・ザ・ラストダンス
《ネタバレ》 この手のダンス映画はダンスばかりがメインになってしまいがちだが、これはそうではない。しっかりと人間ドラマが軸となって話が動いている。そして予想以上に重たい内容に私は驚いた。実にシリアスである。人種差別に対するメッセージが盛り込まれている点には感心した。白人のものであるバレエ、黒人のものであるヒップホップ、主人公は黒人の男と付き合い、そしてふたつを融合させたダンスを編み出しダンス界へのステップを登る。話の展開としてはありがちなダンス物だが、人種差別を隠喩したことが何よりこの映画の成功した点だともいえる。白人・黒人にこだわることがいかに馬鹿げているかを観た後しみじみ考えてしまう映画だ。ダンスに国境は無いのである。 8点(2004-01-23 17:25:13)(良:1票) |
153. RETURNER リターナー
確かにどこかで観たことのある映像だと随所で思わされるのは否めない。しかし近未来という設定と効果的に使われるCGはよく出来ている。ストーリーもあっと思わせる意外な展開を用意していて飽きずに観られる。岸谷、樹木らが放つ脇役の存在感が素晴らしい。安易に描かれた宇宙人にはもう少しひねりが欲しかったが、娯楽作品としては素直に楽しめる内容だ。演技力の拙さはアクションやCGでカバーしているのでそれほど気にならない、という程度。 7点(2004-01-23 17:14:13) |
154. あずみ
人物描写が薄すぎる。よってせっかくの見せ場である仲間が死んでいく場面にも感情移入しづらい。アクションで評価された監督だが、そのアクションもいまいち迫力が伝わってこないのが残念。そしてさらに残念なのは映像である。CGの使い方が悪い。視点が変わるカメラワークもこちらを混乱させるだけで斬新とはいえ映画にとってはマイナス要素。ギャグも中途半端で何が言いたいのかまったく伝わってこない。原作を知らない私ですらこう思うのだから、原作ファンが観たら憤慨するのも容易に納得できるわけである。キャスト陣の演技力もバラバラで統一されていないように感じた。特に主演である筈の上戸彩は完全に美女丸(オダギリジョー)とやえ(岡本あや)に食われてしまっている。ただ冒頭からいきなり友人を殺さなければならないという展開を用意している為、二時間半という長さであるわりには話のテンポは良い。 4点(2004-01-23 16:47:10) |
155. 青の炎
主演二人の演技力については期待していなかったが、これがなかなかどうして奮闘している。私は原作も知っているが映画は映像ならではの良さが生かされていたと思う。完全犯罪を狙う高校生という設定だけを見ると安易なサスペンス物と捉えがちだが、この作品が一線を画しているのは主人公の根本にあるのが家族愛だからである。家族の為に犯罪を犯し、家族の為に命を捨てる。原作で終始流れていたそのテーマは映画化されても失われていない。キャストがアイドルだからといって侮ってはいけないことを見事に証明した作品だ。一見の価値はある。 7点(2004-01-23 16:31:49) |
156. 青い春
まさに青春である。青い春である。暴力高校という一般的には馴染みの薄い設定であるが、その裏に隠されているのは将来への不安、現実での葛藤という十代なら誰しもが抱える鬱憤の日々である。それを象徴的に表しているのが主題歌だ。ロックとはそもそも世の中に対する自己主張を表現する手段だった。それらが融合し観た者に深い感動を与えてくれる(私は特別ミッシエルガンエレファントのファンというわけではないが)。音楽と映像が見事にマッチした秀作。刹那さが心地よい傑作である。 9点(2004-01-23 16:19:02) |
157. ピンポン
かなり新鮮な印象である。原作が漫画だからとはいえ特撮が多く使われていても嫌味がない。脇役も含めた個々がそれぞれキャラクター性を存分に発揮していて楽しませてくれる。そして特筆すべき点は音楽である。緊迫感あふれる場面でテクノビートが流れる、その場面の重さと音楽の軽さのバランスが絶妙なのだ。観賞後の後味もすっきりしていて爽快である。 7点(2004-01-23 16:07:47) |
158. 天空の城ラピュタ
《ネタバレ》 これこそ映画史に残る名作、日本が世界に誇れる傑作であると私は自負する。初めて観たのは小学生の時だったが、その頃はシータとパズーの淡い恋愛、スリルある冒険活劇に胸を弾ませていたものだが、大人になって観返すとこれが痛切に自然破壊に対する警告を隠喩していることが理解できる。権力に目が眩んだ利己的な者たちが滅び、決して仲間を見捨てず自然を愛する者たちだけが最後に生き残る。シータとパズーを最終的に救ったものが木の根だったことがそれを象徴的に表しているのではないだろうか。映像・音楽・脚本すべてが素晴らしい。これは名作映画の必須条件だがこの映画はそれらをらくにクリアしている。二十年近くたってもまったく色褪せていない名作中の名作である。 10点(2004-01-23 15:54:57) |
159. ラスト サムライ
時代考証・設定等を疑問視する声が多いが、それだけで辛口な評価をしてしまう方が多いのは残念に思う。だが日本を舞台として描く限り厳しい目で見てしまうことは致し方ないのだろう。 しかしながら日本人の持つ奥ゆかしさ、礼儀正しさ、勤勉さをリアルに描いている点を私は評価したい。日本人の外見をなぞった映画は数多あれど内面を描いた作品となるとなかなかないものである。映像や音楽も素晴らしく、気高く力強く生きていた武士の姿に心を打たれたのが私だけでないことをここに投稿された多くのレビューが物語っている。 鳥肌がたつほど尊厳的な映像、涙を誘う刹那な台詞に「心を無に」して隅々まで味わって頂きたいと願わずにはいられない作品である。 10点(2004-01-23 15:39:17) |