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鱗歌さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 3885
性別 男性
年齢 53歳

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1721.  日本海大海戦
日露戦争の開戦から、旅順港封鎖作戦、黄海開戦、旅順攻略を経て、東郷大将率いる連合艦隊とロシア第二・第三太平洋艦隊(いわゆるバルチック艦隊)とが激突した日本海海戦までを、まあ言って見れば再現ドラマを交えたドキュメンタリー番組みたいに語っていきます。日本海海戦を描いた記録文学としては吉村昭「海の史劇」などが圧倒的な描写でその戦況を描き切ってますけれども、この小説が書かれたのよりも、本作の製作の方が先。精巧なミニチュア撮影を駆使しての迫力ある映像に、矢島正明さんの説得力ありまくりのナレーション、そりゃ盛り上がろうってもんです。表向きは、明るく勇ましくいささか素朴な音楽にも見られるように「我らが日本海軍!」というイケイケムードですが、一方で、未曾有の大航海を成し遂げた末に敗れ去ったロジェストベンスキー中将の悲劇なども描いていたり。とまあ、ドキュメンタリー番組を観る気持ちで見たら、確かに面白いのですけれども、経緯を語る、ということに力点を置いている分、焦点が定まらないというか、淡々と先へ進め過ぎるというか。例えば「船が沈んでいくこと」そのものの持つドラマを、もうちょっと描けなかったものか、とも思います。あと、海戦はミニチュアを交えてダイナミックに描く半面、陸戦はどうも迫力が出しにくい。ある程度エキストラを集めて撮影してるんですけれども、広大な荒野を舞台にしては、どうしても、こじんまりした印象になってしまいますが、極力、遠方にも人を配置して撮影しているのは、限られた人数でスケール感を出す工夫なのでしょう。でももう少し頭数が欲しい…。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2014-07-17 23:02:54)
1722.  ジャッキー・コーガン
チンピラ強盗のグダグダなお話と、超然としたようでいて実は常識人臭いところのある殺し屋のグダグダなお話が、グダグダと続き、そこにブッシュ大統領とオバマ大統領の演説が再三にわたって、伴奏のように流される。こういう社会の底辺で繰り広げられているどうしようもないオハナシが、大統領演説の中で語られるアメリカ社会とリンクしたり、あるいはそこで語られる理想とのギャップが浮き彫りになったりと、要するにそういう事なんだろうと思いつつも、これが実に鬱陶しい。さすがにしつこ過ぎる大統領演説、伴奏というより、これじゃあ、解説、ですわな。という訳でグダグダなお話を理屈で固めてしまうのがまず浮いてるし、さらにはそれを「これって一応“スタイリッシュ”だよね???」という映像でご機嫌伺いするのが、さらに鬱陶しくって。リンチを、殺戮を、いかにも意味ありげに華麗に描いてみせて、要するにコレって、『タクシードライバー』とかタランティーノ作品とかへの郷愁に寄りかかっただけ、なんだろうか。もし、リーマンショック前にこんな作品を作っていたなら、別の意味で凄かったかも知れないけれど。
[DVD(字幕)] 3点(2014-07-13 11:18:30)
1723.  夕陽に立つ保安官
これぞまさにパロディらしいパロディ映画。ギャグ映画というのとはちょっと違うので、単純に大笑いしたい、という方には、あるいはご不満が残るかも知れませんが。この映画、表面的にはあくまで正統派西部劇を踏襲していて、ゴールドラッシュに沸く西部の町にやってきた流れ者のヒーローが華麗なガン捌きで悪党どもを懲らしめる、というオハナシ。クライマックスの決闘シーンまで、基本的な西部劇の流れがちゃんと楽しめますが、その一方で、肝心なところがデタラメ。墓穴から黄金が見つかって大騒動となる幕開けから、派手な割にオフビートな決闘シーンまで(さらにはお話の顛末まで)、いちいちズレてます。飄々とするにも程がある主人公に、冴えないにも程がある相棒。悪役たちも何だか憎めないい。ヒロインは手に負えない。これであと、もうちょっと丁寧に撮られていたら良かったんですが、パロディを楽しむには最適な一本でしょう。逆に、間違っても「西部劇を観るのは本作が初めて」なんて事だけは、無いように…。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-07-13 08:34:50)
1724.  軍用列車
列車もののアクション映画と思わせて、まさかまさかのミステリー仕立て。え~チャールズ・ブロンソン主演でミステリーだなんてそんなバカな。いえいえ、ミステリーではありません、あくまでミステリー仕立て。雪原をひた走る軍用列車で、次々に起こる殺人事件。って言っても、事件が起こるたびに大騒ぎになって聴き込みとアリバイ調査、なーんていう展開ではなく、結構、淡々としています。しまいにゃ後部列車が何者かによって切り離され、暴走の末に崖から転落、という大量殺戮。こうなってくるともう、フーダニットとか何とか言ってる場合ではなく、どんどんアクション風味が強くなってきます。で、ここで、ブロンソンが何やら人目を忍んで黙々とアヤシゲな行動に出る。一体彼は何をしようとしているのか、そもそも彼は何者なのか、というサスペンス、背景がわからなければわからない程、彼の行動そのものが見せ場になる訳で、まさにブロンソンの真骨頂。もちろんアクション指数もどんどん上昇し、ダイナマイトを使ったクライマックスへ。というなかなかに魅力的な作品ではあるのですが、やっぱりこれ、ミステリーとしてはどうなんだろうか、ブロンソン主演ってどうなんだろうか。と言う訳で、あくまでミステリー“仕立て”の作品なのです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-07-05 13:09:27)
1725.  チャップリンの失恋 《ネタバレ》 
代表作の一本に数えられる作品なんでしょうけれど、その理由はともかくとして、実際、観てて楽しい作品です。まずは当然ながら、パントマイム。主人公は例の、ボロっちくもシャレた格好の放浪者。道を歩けば車にハネられそうになる、哀れで滑稽なその姿、しかし妙に身なりに気をつかう彼の仕草がまた、滑稽であると同時に、何だか彼のアイデンティティを強く主張しているようでもあります。で、次に、チャップリンの表情。これがまた、ただのドタバタだけではない味わいを作品にもたらしています。弁当を盗まれ、腹立ち紛れにその辺の雑草を食べる時の表情。美人に助けを求められ、ガゼン活き活きと張り切る時の表情。第3には、ストーリーの無茶苦茶さ。やっぱりコレ、あくまでドタバタなんです。泥棒に狙われた美人を助け、家に誘われ、で、なぜかそこで働かされちゃう主人公、脈絡なくどこまでも転がっていくストーリーが新しいシチュエーションをもたらし、ギャグを呼ぶ。まあ、冒頭の泥棒が再登場したりもするのですが、基本的にムチャクチャです。で、ムチャクチャながらも物語は主人公と美人チャンとの恋愛へと移行し、ナルホドこれなら美人はゲットするし定職はゲットするし万々歳、と言う訳ですが、アッサリ、あまりにアッサリ、彼女のフィアンセが登場して、主人公は去っていく。チャップリンは表情豊かにこの映画の物語を引っ張ってきましたが、ラストシーンは、例の「立ち去っていく後姿」で締めくくられます。でも、ションボリしているばかりじゃない、途中で歩みを速め、颯爽とした姿に切り替わったところで映画が終わる、その印象的なことといったら。
[CS・衛星(吹替)] 9点(2014-06-30 23:58:56)
1726.  フリック・ストーリー
凶悪犯ビュイッソンを追うボルニッシュ刑事の姿を描いた作品、とくればいかにも典型的な刑事モノを想像しますが、実際に観て受ける印象は、ちょっと異質。犯人側と刑事側がほぼ均等に描かれていて、とは言っても『ダーティハリー』で映画の視点がハリー側になったりスコルピオ側になったりしたのがストーリー上の要請(要するになるべく盛り上がる描き方をしたらそうなった)だったのに対し、本作では、両者を並行して描くことそのものを主眼においています。で、ボルニッシュ刑事はあくまで常識人で、普通の人間らしく様々な感情を持ちつつもそれを抑制している。演ずるアラン・ドロンも比較的抑え気味で、どちらかというと彼を取り巻く人々との関係を主体的に描きながら、ボルニッシュ刑事自身の苦悩をジワリと表現してます。その一方で、ジャン=ルイ・トランティニャン演じるビュイッソンの、トンデモない冷酷さ。この男、殺人鬼としかいいようのない容赦の無さで、しかもただの無謀な乱暴者という訳ではなく、独自の行動規範と冷静さを持った男、要するに社会一般通念から見れば、規格外の怪物。身近にこんなヤツがいたら困りますが、映画として見れば、カッコいいのはボルニッシュよりもビュイッソン。そんな常識人と非常識人が対決するクライマックス、地味だけどシビレます。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-06-30 23:05:40)
1727.  西部悪人伝
しばしば「007」になぞらえられたりするマカロニ作品ですが、「ルパン三世」を思い起こさせたりもします(札束舞うラストシーンなんか特に)。なにせ、主人公サバタを演じているのが、悪人ヅラのリー・ヴァン・クリーフで、ここでも眼光鋭い寡黙なイメージはそれなりに維持しているものの、どっちかというと悪人というよりはイタズラ小僧みたいな表情でもって、変テコなギミックを駆使しながら悪に立ち向かう。基本的にイイ人です。あと、「変テコなギミック」がポテンシャルとして充実しているマカロニ界において、本作のそれは、まだ小粒な印象(カバンに仕込んだ銃、グリップにも銃口が仕込まれた拳銃、等)。一番イカしてるのは、主人公とライバル(の割りにはイマイチ強いのか弱いのかわからない)のキャラである“バンジョー”が持つ、銃が仕込まれたバンジョー(とりあえず、バン銃(ジュー)とでも呼んでおきましょうか)ですね。で、また本作の「ルパン三世」的な所以に話を戻しますと、二人の助っ人の存在。次元役の“カリンチャ”は、ヒゲが生えてるだけが共通点で、薄汚いデブ男、しかしナイフ投げの腕は一流(彼の方で一方的にサバタに付きまとっているだけなんですけれど、サバタも満更でもないように彼と付き合ってるあたり、サバタの人の良さが感じられますな)。そしてゴエモン役の“野良猫”は、飛んで跳ねて胸のすくアクロバットを繰り広げる、頼もしい男。で、サバタと二人の助っ人(この共闘がイマイチ噛み合っているような噛み合ってないようなところがあるものの)が、マモーのような粘着質のステンゲル率いる悪党軍団と死闘を繰り広げます。小粒なギミックだけじゃなくって、ダイナマイトを使った派手な戦闘も、ちゃんとご用意。さらにはその両者の戦いに“バンジョー”も絡んできて。あと銭形警部がいれば完璧なんですが、そこな大目に見ていただくとして、ハチャメチャさと支離滅裂さ、このマカロニの基本的な二大ツボを押さえた、良くも悪くもお手本のような作品です。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-06-29 08:48:39)
1728.  裏切りのサーカス
ストーリーがわかりづらいのはとりあえずいいとしても(いや、困るんだけど、まあ「物語がワカル」ことが映画を楽しむ必須条件でもないので)、本作、物語がなかなか「動かない」ってのが、もうちょっと何とかならんもんでしょうか。推進力の乏しさ。一方でそれを補うのは、ひとつには入念に描写された各シーンの印象深さであり、またひとつには、抑制されつつもそれぞれの存在を主張する俳優たちの表情であり。大のオトナたちが繰り広げる命がけのスパイごっこ、それを静かにかつ残酷に描きだした作品です。その点では大いに見ごたえあります。しかし、ゲイリー・オールドマン、抑制した演技とは言え、それが何だか“抑えたフリを演技した演技”とでも言いますか、いかにも「実はワタクシ曲者なんです」とアピールしている感じがして、うーむこれでいいんだろうか、とやや違和感が。そうそう、あと、冒頭タイトルが出るタイミングの悪さも違和感ありました(この「いまさらタイトル出すなよ」という間の悪さも、推進力を損なってる一因じゃなかろうか)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-06-24 00:02:31)
1729.  ラルジャン
どういうカットを組み合わせるか・何をどう配置しどう動かしどう撮るか・あるいは撮らずに省略するか。等々。映画作る側はそりゃあ神経使うんでしょうけれど、それがあまりにリキ入ってると、観てて疲れる場合もありますわな。本作なんかもずいぶん「作りこまれた」印象がありますが、それが作為として気になることなく、むしろ我々を圧倒して映画に引き込んでいくのは、その各シーンがまるで、非情なる運命の歩みを刻々と刻んでいくように、我々に迫ってくるから。まさに目が離せない映画(もっとも、目が離せる映画ってのが存在するのかどうか知りませんけれども)。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2014-06-23 17:16:30)
1730.  天国の門 《ネタバレ》 
3時間半を超えるディレクターズカット版、初めて観ました。今までこの作品については、クライマックスの戦闘シーンがグチャグチャな印象で、これはきっとカットされまくった短縮版を観ているからなんだろう、くらいに思ってたのですが……そういう問題じゃなかったようです、今回もしっかりカオス状態でした。だからこその途轍もない迫力、でもあるのですが。映画の元になっているのは、西部開拓時代の“ジョンソン郡戦争”事件、史実に忠実な部分と(相当な)創作の部分があるようですが、それはともかく、この歴史のうねりの中で、二人の男(ジム、ネイト)と一人の女(エラ)の関係がじっくりと描かれます。脇を固めるジェフ・ブリッジスやジョン・ハートも忘れ難いけれど、さらにその脇を固めるのが無数のエキストラ。冒頭の卒業式シーンから、とにかく画面内にたくさんの人々を配置し、このあたりにも「製作費使い過ぎました」感が溢れているのですが(笑)、大規模なセットと無数の人々が、時代の空気を醸し出していて、主人公たちの個人的なドラマを取り囲む時代の空気が、郷愁をもって描かれています。懐かしく、かつ取り戻すことのできない時代の流れ。移民たちを狙う傭兵の群れの登場により、不穏な空気が兆してくる。クリス・クリストファーソン演じる保安官ジムの方が、移民たちの立場に近い、いわばヒーロー役であるハズのところ、彼の腰は意外に重く、視線はイザベル・ユペール演じるエラへと傾きがち。むしろ微妙な立場にいたクリストファー・ウォーケン演じるネイトの方が、決然と矢面に立ち、壮絶な最期を遂げる。戦いの場に赴くジム、そして唐突でカオス状態の凄まじい戦闘シーンへ。最後、騎兵隊が現れて戦いを止めた時には最早、死体の山が築かれており、今頃来ても遅いんだよ、やっぱり見て見ぬふりってのが一番イケナイよね、という展開ではあるのですが、そもそも主人公自身もまた、戦いの場に「遅れて」やってきた身である、という皮肉。そして悲劇の連鎖もまた簡単には止めることができない、もう昔には戻れない、とうことの残酷さ。この長尺版、確かにものすごーく長いですが、それにも充分見合うだけの重みと衝撃力のある、クライマックスと結末です。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2014-06-23 13:58:25)
1731.  エリジウム
空を見上げるとそこにはエリジウム(昔の子供向け科学絵本に載ってそうな、これぞ「宇宙ステーション」という形をしています)。そこに見えるのに、たどり着けない場所、その憧れを感じさせる描写が、いいですね。一方で、エリジウムの側からは、地表の人間の姿が手に取るように監視されてしまう。こうして見ると当然にして、エリジウムが米国で地球が第三世界各国、ってな感じになる訳で、おお、アパルトヘイト批判に続いて今度は(殆どお約束のように)米国批判ですか、と。それはそれで別に悪いとは言いませんけれども、この映画、ピンと来ない部分があって、それはつまりあの、エリジウムへの密航者のエピソードが描かれる中盤の場面なのですが。このシーンによって、「地球の人間がエリジウムに行きたい理由=病気が治せる」というのがわかるのですけれども、このシーンを我々に見せてしまったせいで、後半、エリジウムへ主人公がやってくる場面のインパクトが薄れてしまった気がします。前半で密航者の「エリジウム行き」を見せるのであれば、それは後半の主人公の「エリジウム行き」と韻を踏む形でその先に待ち受けるかも知れぬ悲劇を連想させるものであれば、納得なのですが、どうもこの密航のエピソードが、単なる設定の説明になっちゃってるように思えて。むしろいっそこんなエピソードは削除し、エリジウム内の描写自体を前半は最低限にとどめ、後半の主人公のエリジウム行きにおいて、その未知の世界であるエリジウムに主人公と我々がともに踏み込んでいく、という流れの方が、ワクワクしたんじゃないのかなあ、と。それとも、あくまでエリジウム=米国だから、すなわち映画の観客もまたエリジウム側の立場、という前提だから、エリジウム内の描写を控えめにする必要なし、ということなんでしょうか…。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2014-06-17 23:31:38)
1732.  刑事マディガン
リチャード・ウィドマーク演じる主人公のマディガン刑事。コワモテでまるでギャングのように見える風貌、時には手荒なことも辞さないけれど、「ハミ出し刑事」モノの作品に出てくるような常人離れしたヒーローではなくって、あくまで人間臭い存在。騒動の発端である、拳銃を奪われる顛末も何だか情けないし、しばしば言動にヒトのよさがにじみ出る。何にせよ、悪人に拳銃を奪われてしまったのは彼にとって災難なワケですが、彼に限らず、登場する人それぞれ、何だかうまくいってない。彼の上官として登場するヘンリー・フォンダ、『ワーロック』の頃からすでにウィドマークの手の届かない存在である彼も、色々と問題を抱えている(こちらも善人とも悪人とも言い難く、人間臭い)。この二人の物語がそれぞれ並行して語られていく中で、思わぬところで二人がバッタリ顔を合わせる、いや別にココで喧嘩が始まる訳でも何でもなく、どうという展開にもならないのだけど、ドキリとするシーンです。というワケで、倦怠感を伴う人間臭いドラマの果てに、突如、すべてをナギ払うような銃撃戦のクライマックスがやってくる。このインパクトが凄いんだ。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-06-17 22:52:02)
1733.  網走番外地 望郷篇 《ネタバレ》 
健さん演じる主人公・橘真一が、長崎に帰ってきた。そこでは、安井組が幅を利かせ、旭組を圧迫しているが、安井組組長は、かつて橘がヒットマンとして襲撃しケガをさせた、因縁の相手。で、旭組を取りまとめることになった橘と、いやがらせを繰り返す安井組との対決、と相成る訳ですが。旭組の元に舞い込んだ、港での荷降ろしのビッグプロジェクト、この仕事をやり遂げるためには何とか人手を集めたいが、安井組の脅迫のため、なかなか人が集まらない。荷降ろしの日は近づいてくる、さてどうするか。→→→ここでまさかの展開、何と、邦衛さんを先頭に、網走仲間のポンコツ軍団アバシリーズ(仮称)が、健さんのために一肌脱ごうと、ここに集結。え~~~、そういう「トホホだけどちょっとエエ話」系の作品だったのか、これは。トホホホホ。な~んか、「大草原の小さな家」あたりで登場しそうなほのぼのとしたエピソードですよねえ、これでポンコツ軍団でさえ無ければ。しかしここで登場する、お祭りを背景にした臨場感たっぷりのシーンが見事で、ヤケに盛り上がったり。で、無事、荷降ろしの仕事をやり遂げるも、安井組の怒りも頂点に達し、その怒りたるや、任侠モノへと映画の路線をさらに変更させてしまう。もう何でもあり。だけど、冒頭から引っ張ってきたハーフの少女(途中まで少年だと思ってたぞ)との関係をここで絡めたり、クライマックスの殴り込みも、斬りまくりの大殺戮ではなく、ライバルの殺し屋(変です)との関係に絞って行ったり、映画は意外な纏まりを見せて、やっぱりコレ、なかなかよく出来た作品だったりしちゃうのでした。 なお、あの変な殺し屋の末裔が、カウリスマキの『コントラクト・キラー』なのではないかと。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2014-06-09 23:14:15)
1734.  直撃!地獄拳
千葉真一、佐藤允、郷鍈治という、DNA的にはヒトよりサルに近いと言われている3匹、じゃなかった3人が、国際麻薬組織に戦いを挑むオハナシ。3人を指揮する池部良の真面目な表情と、3人のデタラメ過ぎるやり取りの落差が、たまりません。しかし、先立って公開されている「“○○!○○拳”シリーズ」シリーズである『激突!殺人拳』が、ストーリーそっちのけでひたすらアクション路線であったのに比べると、本作の方が、よりデタラメそうに見えて、実は結構、しっかりした冒険映画スピリットがあるようにも思えるのですが、どうでしょうか。なにしろ敵は国際的な組織ですから、いかにも腕力自慢といった大男の外国人が勢ぞろい(そこには何故か安岡力也の姿も)。そこに、現代に生きるジャパニーズ忍者たる千葉チャンが殴り込み、逆に敵にとっつかまって危機一髪。この辺りでは、敵の首領である津川雅彦が変態ぶりを存分に発揮します(このシーンに限らず、無意味にガイジン女性のハダカが登場する映画です)。千葉チャンの空手アクション映画、ではありますが、もっとスピーディでもっと本格的なアクションも観たいという皆さまのご要望にお応えしまして、倉田保昭兄さんも登場。千葉チャンが少し気の毒になるくらい(笑)見事なアクションを見せてくれます。少年時代の千葉チャンを演じる真田サンも素晴らしい身のこなし。と、見どころの多いバカ映画ですが、中でも、クライマックスの崖での死闘。崖の上のシーンは明らかにどこか山の中で撮影しているのに、崖の下は荒波渦巻く海、という、強引極まりない編集マジック。いやアッパレ。
[DVD(邦画)] 8点(2014-06-08 08:39:44)
1735.  網走番外地(1965)
これぞまさしく男泣き。破れかぶれになりそうな健さんを、丹波が、そしてアラカンが、何とか食い止める。しかしその歯止めをついに突破してしまった時、男はどこまでも破れかぶれになる。そうならざるを、得ない。その破れかぶれ具合が、暴走するトロッコとして、あるいは迫りくる機関車として、執拗に描かれる。そしてその先のどうしようもなくなった最後の最後に、自暴自棄になりかけた男を食い止める、究極の一言。いやあ、みんな、孤独なんだ。寂しいんだあ。
[CS・衛星(邦画)] 10点(2014-06-04 22:43:52)
1736.  飢餓海峡 《ネタバレ》 
この作品では、タイトルとは裏腹に、「飢餓」というものはあまり描かれていません。というのはつまり、三國連太郎演じる主人公・樽見の過去については必ずしも深く描かれてはいない、ということでして。もうひとりの主人公、左幸子演じる八重との出会いから、彼女を中心に描かれる戦後の描写は、貧しさはあるけれど、一種の自由さもあり(無論、犬飼から渡された大金のお陰ではあるものの)、その自由さは例えば東京の光景をどこまでもクレーン移動するカメラで拡がりをもって描く場面などからも感じられます。それに比べると、戦後10年以上たち、過去から決別し封印したはずの樽見が描かれる後半の、不自由さと圧迫感。貧しさイコール悪、とかいう単純な図式ではなく、暗い過去に閉じ込められた人間の姿そのものを、刑事との対決の中で描き(過去に閉じ込められた人間は樽見ばかりではない、伴淳三郎演じる弓坂刑事もその一人であり、その事実がまた樽見を過去に閉じ込める)、また北海道行きの船上という、開放感の光景の中で、「死」という最後の逃避を選ぶ姿を描く。もう、これ以上に追いつめられた三國連太郎を見ようと思ったら、『真剣勝負』の宍戸梅軒を見るしかないでしょうなあ。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2014-06-02 23:33:17)
1737.  ナイアガラ 《ネタバレ》 
ジョゼフ・コットンがナイアガラの滝になぞらえて人生の教訓を語る。と来れば、追われる彼がボートを盗んだ時点で、おいおいおいおい、と思っちゃう。何がおいおいかというと、この後待ち受けている展開はもう明らかで。本当にそんなシーン、撮れるのだろうか、と。と思ったら、はいスミマセン、ネタバレですが、この後待ち受けていた滝からの転落シーン、ちょっとカワユイ合成映像でした。ここ、『ミッション』(86年英)の冒頭シーンでスタントマンを本当に滝から落としたように(と言っても安全のための仕掛けが施されていたそうですが)、豪快な転落シーンに仕上げてくれてたら、もう10点でも20点でも差し上げちゃうんですけれど(笑)。ダメ男が美人の奥さんをもうらうと苦労するよ、というサスペンス映画。マリリン・モンローがもうちょっとカリスマ性というか神秘性というか、とにかく絶対的な悪女ぶりをみせてくれると、映画にもっと凄みが出たかもしれないけれど、いかんせん、イモっぽく見えちゃうのです。しかし、迫力ある滝の光景と矮小な人間の愛憎劇との対比、はたまた、滝の迫力の醸し出す非日常感の中で展開される、「サスペンス映画の殺人シーンの撮影って、つい凝っちゃうよね」という凝った(笑)殺人シーン。見どころイロイロ、楽しめます。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-06-02 22:11:18)
1738.  X-MEN:フューチャー&パスト
さてワタクシ、X-MENの何たるかをまるでわかっていないのだけど(多少知っていても知らないフリをしちゃうのだけど)、今作、ミュータント退治ロボット・センチネル軍団の攻撃により、ミュータントたち大ピンチ!ってところからオハナシは始まったようです。このままでは全滅の危機。そうだ、過去にさかのぼってセンチネル計画を初期のうちに潰しちゃおう。これは名案。どこかで聞いたような作戦だけど。と言う訳で、ウルヴァリンが過去の世界へ向かうのだけど、タイムスリップする訳じゃなくって意識だけが過去の自分へと送り込まれる(ドラえもんの人生やりなおし機みたいなもんか)。だもんで、意識が送り込まれた過去の話と、体が残された危機の迫りくる未来の話が並行して描かれるのですが、ここで色々と問題が。(1)せっかく冒頭からバトル全開で、イイ感じにワケわからん開始だったのに、ここでくどくどと説明セリフを垂れてしまっていきなり失速。説明なんて後でいいんだ。最初は「謎」でいいんだ。(2)もっと問題なのは、過去の戦いが、未来をリセットするための戦いであること。クライマックスでは過去と未来の戦いが同時並行で描かれるけれど、「未来の方、いくら危機に見えても、どうせ(過去の戦い次第では)リセット可能なんだよね?」と思って観ると、これがもう、気分的には見事に盛り上がらない。あはは。差し迫ったもの、サスペンスの、欠落。(3)全編を通じ、ウルヴァリンが大して活躍しない、これは製作サイドの意識的なものでしょう。飛行機の後ろで居眠りするウルヴァリンを意地悪く映し込んだシーンが、それを象徴してます。しかし、あの肉体を見せておきながら、こうも活躍しないとは。(4)そもそも「意識だけが過去に行く」という設定が、単なる設定、オハナシの都合に過ぎず、意外性や驚きを伴った演出が何もないのは、チト寂しいのではないでしょうか。……と色々クサしつつも、ハチャメチャな部分も多くあって楽しめたりもしたのですが、このシリーズ、今後どう迷走するのか、ちょっと心配(エンドクレジット後に次回予告らしきシーンがあり、「あれ誰やねん」と周囲のザワつく声)。
[映画館(字幕)] 6点(2014-06-02 21:25:43)
1739.  殺人拳・2
前作のラストでみんな死んじゃったから、第2作とは言ってもきっと関係ないオハナシだろう、と思ったら大間違い。死んでなかったんですね。前作の続きです。しかし、たかだか80分少々しかない作品なのに、前作の回想シーン(というか前作のアクションシーンの再利用)やら、格闘技のデモンストレーションやらが盛りだくさん。これでは中身が殆ど無くなってしまうではないですか。まあ、安っぽいアクション映画ではよく、ストーリーなんてあんまり無くって“アクションとアクションの繋ぎに申し訳程度のストーリーが挿入される程度”ってコトも珍しくないですからね。そういう意味では本作はさらに洗練されていて、そういう糊シロとしてのストーリーすらもなく、アクションシーンがただ羅列され、ひたすら散らかりまくってます。何故か唐突に雪山行ったかと思うと、刺客たちの襲撃を受け、サウナで山城新伍とじゃれあったかと思うとコワモテ連中の襲撃を受け、外人女性と知り合ったかと思うと即ベッドインし、そして即、襲撃される。ああ、慌ただしい。一応、最初はストーリー上の見せ場を作ろうとしたのか、主人公の好敵手のような位置づけで、武術に秀でた警察官・山上というキャラを登場させたのはよいけれど、まあ単なる思いつきだったんでしょう、主人公と大して絡むこともなく姿を消してしまいます(このヒトと、空手師範との、棒読み感あふれる会話シーン)。あと、主人公のマネージャーみたいな女性が出てきて、主人公との関係が気になるところですが、まあ、ほどほどに予想通りの展開ですね。あと、敵のボスの外国人、どうみてもヒッピー風情で、全く貫禄がないのですが、役立たずの部下をあっさり抹殺してしまう冷酷さ。その際の「オマエハ モウ イラナイ!」という、たどたどしい捨てゼリフとのミスマッチが、見所です。そう、見所は、多いんです。一応。
[DVD(邦画)] 6点(2014-05-28 23:18:10)
1740.  大西部への道
西部へ向かう開拓民たちの旅路を、雄大な自然をバックに、さまざまなエピソードを織り交ぜて描いた壮大な映画。と言う場合は要注意、「物語が壮大過ぎて、映画にまとめ切れなかったね」と陰口を叩かれかねない。でまあ、本作にも、確かにそういう面がありますわなあ。さまざまな登場人物が現れ、さまざまなエピソードが積み重ねられて、それらが絡まり合うことで、ひとつの大きな物語を形成しているのですが、これがうまく噛み合うか、はたまたエピソードの羅列に終わるか。というのは、やはり、登場人物とエピソードをどれだけ印象的に描けるか、に懸かっているのでしょうが、本作、大味な感じは否めません。カーク・ダグラス、ロバート・ミッチャム、リチャード・ウィドマーク、という大物を並べて、とりあえずの貫禄は見せつけるものの、彼らの絡みが特定のエピソードに集中している感じなもんで、貫禄があるように見えた程には、人物像の幅が見えにくい。亡くした妻の話とか、あるいは息子の話とか、様々な膨らみがそこにはありえるハズなんだけど(中でも、カーク・ダグラスと息子との親子関係のエピソードなんて、こんな扱いでいいんだろうか?)。ま、しかし、時には容赦ない残酷な運命をも描きながら、特定の人物に入れ込むことなく、人々の苦難の行程をそのものを物語ること、それが本作の持ち味と言えるかも知れません。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2014-05-24 14:14:26)
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