161. 世界に轟いた銃声
当時はかなり世間を賑わせた、日本人留学生射殺事件。若い人は知らない人も多いのでしょうか?そういう人はぜひこの作品を観てほしいです。関係者の証言を元に構成された本作、元々は裁判の資料用映像だったそうなので「ボウリング~」のような娯楽性はありませんが、その分主観を廃し、事件の本質に冷静に迫っています(そうした意味で、マイケル・ムーアのある種の押付がましさに辟易した人には、本作のほうが興味深いかもしれません)。そうしてあぶり出されるこの事件の―そしてアメリカ銃社会に関するキーワード―は、やはり「ボウリング~」と同じく「恐怖」なんですね。ちなみに加害者の米国人男性も本作に登場するのですが、なんとなく「タクシー・ドライバー」の時のデ・ニーロのような雰囲気を漂わせていて(家に何丁も銃を持ってたりするし)かなり不気味です。 7点(2003-11-24 22:09:49) |
162. 桃源鎮
何の予備知識もなくたまたまBSで観たんですけど(っていうマクラが多いな、我ながら。いや、BS-NHKのミッドナイトシネマって結構掘り出し物が多いのよ)チェーホフの「カメレオン」という短編を思い出させるような内容で、面白かったです。日和見主義のお豆腐屋さんがもの悲しかったです。あのお父さんを非難するのは簡単だけど、そうしなくては生きていけないような社会ではしょうがないと思います。まだ観ていないんですけど小津安二郎の「生まれてはみたけれど」ってこんな感じなのかなーと思いました。 8点(2003-11-23 18:07:14) |
163. 秋菊の物語
うっ・・・皆さん、高評価なのに、申し訳ないです。こういう映画の味わい方とか楽しみ方が、まだいまいち分かってないのかもしれないです。山に籠って修行してきます。 5点(2003-11-21 18:38:07) |
164. 菊豆/チュイトウ
チャン・イーモウの作品っていわゆる「幸せ三部作」しか観てなかったんで、ちょっとびっくり。前半は谷崎作品のような純愛・変態スレスレ話だし、後半はドロドロの情念話になってくし・・・。その手の話は今まであんまり観てなかったんで、そういう意味では面白かったです。 7点(2003-11-21 18:34:34) |
165. 戯夢人生
初めて観るホウ・シャオシェンの作品がこれっていうのと、風呂上がりで集中力を著しく欠いた状態で鑑賞したのが失敗でした・・・以前「フンクイの少年」を知人に薦められてはいたのですが・・・。あんまり説明が親切な映画じゃないのでちょっと入り込めませんでした。とはいえかつての台湾における日本による支配の様子が窺えたのは良かったです(少なくとも欧米の映画みたいなへんてこな日本人じゃなかったし)。ただ、絵の撮り方とか、結構面白かったので、彼の他の作品も観てみたくなりました。 5点(2003-11-19 18:30:53) |
166. ただいま
仮出所の主人公が刑務所から自宅に戻るところは、一種のロードムービーのようでした。17年という刑期(逆算すると1981年~98年位か?)の間に様変わりした街の様子に重みを感じました。しかし、やっぱり最後の家族の邂逅のシーンがいかにも唐突で、しかも悪い意味で古臭い感じがしました(お母さんがお父さんに向かって「馬か牛に生まれかわってあなたに仕えます」というところとか)。あと、付き添っている主任さんがかわい過ぎるんですよねえ。ちょっとキャスティングに難があった気がしました。 2点(2003-11-19 18:24:26) |
167. お引越し
あんまし「天才子役」などという言葉を安易に使ってはいけないと思うのですが、この作品の田畑智子は素晴らしい!ちょっと大人びたところのある少女の悲しみや不安を実に瑞々しく表現しています。後半のお祭りの中を走りぬけて、どこか幻想的な森で一夜を明かすシーンなどはとても良いです。こーゆー邦画の良作を埋もれさせてはいけない。 8点(2003-11-19 18:16:11)(良:2票) |
168. 青空に一番近い場所
大学生の頃映画館で観ました。最近久々にビデオで見直したんですけど、低予算映画にしては結構いい作品だと思うなあ。特に営業の仕事をしている人とかには身にしみる話だと思います。大人になってから観ると、屋上に現れるサラリーマンのおじさんたちの切なさが印象に残ります。ただ、元々鴻上尚史という人は演劇で既成の「物語」の枠組みをこれでもかとばかりに解体してきた人で、そういう人が本作では間口の広いラブ・ストーリーにチャレンジしているので若干のぎこちなさは残ります。ちなみに最初に書き上げた脚本は全然違う内容だったのですが「いくらなんでも、自主制作映画じゃないんですから」という声がスタッフその他から挙がったため、こういう作品になったそうです。でも最近のインディー系邦画では前衛かつ面白い作品も一杯出ていることだし、次回作は思いっきりぶっ壊れた作品を作ってほしいなあ、と個人的には思います。あと、蛇足ですがビデオパッケージにある「日本の『フィールド・オブ・ドリームズ』というキャッチコピーは止めた方が良かったんじゃないかなあ。確かに共通点はあるけど、パクったと思われかねないし。 7点(2003-11-18 19:09:50)(良:1票) |
169. あ、春
地味ですが、いい映画でした。ちょっと淡々とし過ぎの感もありますが、ストーリーの重さと軽さのバランスがいいんですよね。山崎努を始めとする役者の演技も良かったし、何より、「日常の微妙な空気感」とでもいうようなものの描き方が好きです。 7点(2003-11-16 20:15:16) |
170. リサ
うーん、設定はユニークで面白かったんですけどね。主人公、失恋していきなりビル登ってるし(笑)。んでも新しい恋人のサムは何だかマザコンのお坊ちゃまにしか見えないし、後半の展開も「何で?ロッククライミング初心者のはずなのにいきなりマッターホルン登っちゃうの?それが愛の力ってこと?」って感じだったんでねえ。 5点(2003-11-16 20:09:29) |
171. アム・アイ・ビューティフル?
人生、そして人間同士のコミュニケーションのしんどさ、うそ臭さを描きつつもあんましイヤな気持ちにさせられない、ちょっとユニークな群像劇でした。でも群像劇というだけあって人がいっぱい出てくるので(当たり前だ)、ちょっと疲れちゃいます。 6点(2003-11-16 20:01:23) |
172. ウェインズ・ワールド
どーもこのマイク・マイヤーズさんという人とは相性悪いんですよね。ちょっと気持ちが沈んでいたときにみたのがいけなかったんでしょうけど、あの「シュッイーーーン」っていうギャグもなあ・・・。今度やる「Dr.スースの帽子をかぶった猫」はちょっと観てみたい気もしますが(なんたってダコタ・ファニングが出てるもんね!)。<追記>マイク・マイヤーズとダコタ・ファニングの新作の邦題が「ハットしてキャット」であることが判明・・・ふ、不安だ・・・。 4点(2003-11-16 19:56:04) |
173. ハードロック・ハイジャック
僕もアダム・サンドラー、好きなんですよね。ロックに対する愛情と、ちょっと意地悪な気持ちが混ざってる作品だと思います。主人公が集まったロックファンの前で告白するシーンを観てドキッとするロックファンは意外と多いんじゃないかな。 6点(2003-11-14 19:13:56) |
174. ブラス!
泣きはしなかったものの、良い作品でした。ただ、「威風堂々」を聴くとついつい「♪きーてきてあたしーんちー」と歌いたくなってしまうのには困ったもんだ。 7点(2003-11-14 18:52:38) |
175. エイリアン3
確かに「2」の女の子をいきなり殺しちゃってたのとか、「こいつは結構最後まで生き残っていそうだな」と思っていた人がいきなり殺されちゃうのとかビックリしたけど、ヒット作の三作目だし、マンネリ化を避けるためにはそのくらい思い切ったことをしなくてはいけなかったんじゃないでしょうか。今回は銃火器が一切ない状況での戦い、というアイデアが良かったように思います。ただ、あの宗教にハマッた囚人がどうしてそうなったのかとか、人物をも少し描いて欲しかったな~。それにしてもこの作品を「全然恐怖感がない」といえる人がうらやましい。あたしゃホラーに免疫がないもんだからこの程度でも心拍数上がりまくりです。 8点(2003-11-14 17:02:16) |
176. 最愛の夏
この映画に出てくるあれは、台湾のやくざなのかな?いわゆるやくざよりも少し義理人情に篤くて地域住民密着型(?)だったけど。結構わかりにくいところもあったのですが、わからないなりに個性的な作品だったなーという感じでした。 6点(2003-11-14 16:52:33) |
177. ホーホケキョ となりの山田くん
まず内容云々よりも、こういう人を食った感じ、好きなんですよ(そういう意味で「猫の恩返し」よりも「ギブリーズ~」のほうが好きだったりする)。「こんなヒットしなさそうな作品をなぜジブリが?」という意見も多いようですが、そもそもジブリ作品で興行的に成功したのは実は「魔女の宅急便」辺りからで、元々高畑勲も宮崎駿もヒットを狙うようなタイプではないのだと思います(追記:もう少し正確に言うと「ナウシカ」は大成功だったものの、「ラピュタ」と「トトロ(それと併映の「火垂るの墓」)」は興行成績としては大失敗だったらしいです。「もののけ姫」「千と千尋~」がメガヒットを記録した現在からは信じられないような話ですが)。で、内容なんですけど、最近の「サービス満点、観客の皆さんは頭カラッポにして楽しんでくださいねー」的な映画に慣れているとこの映画の良さは分りにくいかもしれません(あら、ぐるぐるサンたら、今日は珍しく毒舌ねっ。ま、たまにはいいでしょ)。こういう日常のささやかなきらめきを描いた作品って今じゃ少なくなっちゃいましたもんね。オッサンくさいという意見もありましたが、それはその通り、これはオトナの、というよりお父さんの映画なんだと思います。これまた酷評されている「月光仮面」のシーンが描いているのは「オトーサンの切なさ」なのです。お父さんだって最初から疲れたサラリーマンをやっていた訳ではなく、子供の時は純粋な正義感だって持っていたはずなのです。あのお父さんの姿をカッコ悪いとか情けないと言えるのは自分の夢を全て実現させているイチローのような人とか、街のチンピラに躊躇(ちゅうちょ)なく立ち向かえる人だけです(ちなみに私は昔一回だけ街のチンピラに立ち向かったことがある。すげー怖かったし膝ガクガクしてたし刺されても致命傷にならないように、と腹筋にすげー力入れてた)。ま、凄い名作とかではないかもしれませんが、僕は結構好きです。迷子のエピソードと雨の日にお父さんを迎えに行くエピソードが良かったな。 7点(2003-11-14 16:26:00) |
178. ネフュー
地味だけど、個人的には結構好きなタイプのシミジミストーリーでした。甥のチャドを演じてた人はカッコよかったなあ。結構人気が出てもおかしくないようなルックスの良さだったけど。 7点(2003-11-12 22:20:23) |
179. ピアノ・レッスン
いや、良い映画だとは思うんですよ。映像も音楽も綺麗だし。んでも正直、主人公の心理とか行動についてがよく分かりませんでした(泣)。しょーがないんで(?)可愛いアンナ・パキンを十分堪能させて頂きました。他の方のレビューを見ると女性の支持が高いようですが、これってつまり、アタクシが女性を理解してないってことでしょうか(しょぼーん)。やっぱナカタニアキヒロやサイモンフミの本でも読んだほうがいいのかなあ(号泣)。 7点(2003-11-07 16:32:50)(笑:1票) |
180. イル・ポスティーノ
良質のイタリア映画を観たなーって感じでした。投げやりな生き方をしていた主人公が少しずつ詩心に目覚めていく過程が良かったです。ただ、主人公がヒロインに告白して、すぐ上手くいっちゃう所とか所々、話の流れが微妙にぎこちないような感じもしました。あくまで想像ですが、主人公役のマッシモ・トロイージ(病気を押して撮影に臨み、撮影終了10時間後に亡くなったそうです)の健康を気遣ったためにある程度撮影スケジュールが変更されたのではないでしょうか?とはいえ時に額に汗をにじませながら演技する彼の姿には心打たれます。何度も観たい映画ですね。 7点(2003-11-07 15:16:51) |