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anemoneさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 646
性別 女性
自己紹介 2006年のレビュー本数4本ってあんまりですわね。
2005年には「姑獲鳥の夏」まで見ていたクセに。
ってこういう使い方やっぱ邪道ですよね。来年こそは。

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161.  グッバイガール
ニール・サイモンらしい洒落た台詞回しが心地良いラブ・コメディ。彼の夫人でもあるマーシャ・メイスンが、男に逃げられて奮闘しているシングルマザーを好演。芸達者な子役クイン・カミングスのおしゃまな演技と、リチャード・ドレイファスの朴訥とした俳優志願の若者が、心あたたまるストーリーをクサすぎず、クールすぎずのほどよい場所に着地させた。シンプルでハートウォーミングなストーリーを手がけたら超一流のハーバート・ロスの演出が光る作品。たまたま同居することになった年増の子持ちダンサーと駆け出しの俳優が、反目し合いながらもやがて愛し合うようになって行く様子が、コミカルに絶妙なテンポで描かれている。スーパーで大量の紙袋をかかえたマーシャ・メイスンが、ひったくりにバッグを奪われるシーンは絶品。古き良き時代の余韻を漂わせる、大人のロマンチック・コメディである。
9点(2003-12-10 22:15:37)
162.  オスカーとルシンダ
私は観る前からだいたいのストーリーやオチがバレバレな映画を好まない。間違いなく面白いに決まっている映画をわざわざ観ても仕方がないし、つまらないとわかり切っている映画のために入場料を払うばかはいないだろう。この映画は、観ても観ても、いったいこの先どういう展開をするんだか、皆目見当がつかないという点で滅多にないほど珍しかった。そもそも誰が主役なのかも、かなり終わりに近づかなければわからない。一つ一つのエピソードが、その先のストーリーにどういう影響を与えるものかもわからない。そして物語がどういう方向に走っているのかも、最後まで観なければまったくわからない仕組みになっている。驚くべきことに、なおかつミステリーではない。オーストラリアの山奥にガラスの教会を建てたいという主人公の希望はわかるんだけど、いったい何故そんなことをしなければならないのかもわからない。非常に不条理かつ意味不明の目的に向かって映画は淡々と漂流を続けて行くのだが、何故か観ているこっちまで、何がなんでもガラスの教会を建てねばならんと思い込んでしまうところが恐ろしい。もちろんホラーではない。でもなんか、ワケのわからないなりに不思議なカタルシスのある映画なので、うっかり引き込まれてしまったら最後、どうしてもガラスの教会を建てることが大切なような気にさせられてしまうのである。中途半端な時代劇とも言えるし、オーストラリアの観光映画であるとも言える。あるいは究極の純愛映画とも言えなくもないのだが、泣かせどころがあるわけでもなく、実に意味不明なのに飽きさせずに先を観続けさせてしまうこの映画を作った人ってたぶん本物の天才なんじゃないだろうか。こういうわかりやすい意味不明さってものすごく新しいですね。私は感動しました。
9点(2003-12-09 23:51:17)
163.  エクソシスト 《ネタバレ》 
悪魔払いをモチーフにしながらも、現代の精神医学や心理学を論拠に「悪魔」の存在に徹底的に懐疑的な視点で扱ったところで高い信憑性をかもし出すことに成功した傑作。単に「悪魔がとりついてしまいました。追い払いましょう」ではなく、あくまでも迷信であると仮定して科学的に症状を説明しようとする医者たち。ついにイエズス会の神父でありながら精神科医の資格を持つカラス神父に鑑定の依頼がされるが、彼の目からも実質否定の状態のまま、催眠療法としての悪魔払いが実施されることになる。悪魔であるというはっきりした確信が持てないまま儀式に臨むカラス神父に悪魔が仕掛けるワナは、実は神父の心に潜む罪悪感との対話という形で人間の尊厳にまで言及し、やがてラストに至る人間対悪魔との壮絶な闘いへと展開して行く。カラス神父の心につけ入ったのは悪魔なのか、それとも彼の罪悪感にほかならないのか。実際にははっきりとした説明をしないまま、観客は素直な心を取り戻した少女の笑顔に安堵の吐息を漏らし、亡き神父の親友はひっそりと友の魂に祈りを捧げる。あまりにもセンセーショナルな原作小説にあくまでも忠実に映画化しただけの監督ウィリアム・フリードキンはこの作品を遂に越えられないまま今なお復活のチャンスを狙っているが、これは悪魔の呪いなんでしょうか。
9点(2003-12-08 23:40:02)
164.  エイリアン2
安易に二匹目のドジョウを狙わず、大ヒットした前作のジャンルを完全に変えてしまうという凶悪な手法で、見事に前作とは全く異なる評価を勝ち得たという点で、映画史に是非残すべき作品。閉ざされた空間、姿を見せない敵、一人、また一人と消えて行く乗組員たち、という1作目の独特の世界観とギーガーの創出した奇怪な異星人の姿を思いっきり逆手に取り、わらわらと湧いて出るエイリアンに立ち向かうのは訓練を受けた職業軍人たち。「今度は戦争だ!」のコピーに恥じず、大派手にやってくれた心意気は大したもの。もちろん前作の独特のムードをブチ壊しにされたとリドリー・スコットが鼻血を出して激怒したのも無理はないが、敢えて大ブーイングを覚悟の上でこれをやったジェームス・キャメロンの度胸と自信には頭の下がる物がある。前作で、丸腰とは言えあれほど大勢の乗組員たちをひとたまりもなくやっつけたのがたった1匹であったことを考えると、いかに武装部隊とは言えずいぶんエイリアンが弱くなった気はしないでもないが、前作を完全にネタとして利用し尽くしたという点で、「二匹目のドジョウの正しい狙い方」に新たな境地を開拓したことの意義は大きい。前作の、かなり真剣なファンである私でさえ、これには参りましたと言うほかなかった。ヘタな猿真似に終わるよりは、はるかに有意義な「続編」だったのではないかと思う。ご立派。
9点(2003-12-08 22:44:44)(良:2票)
165.  フォーン・ブース
「オメェ、なんとかせんかいっ!」とハリセン持って駆けつけたくなる主人公泥沼系一人芝居。たまたま鳴っている公衆電話に出てしまったら、電話の向こうから不気味な声が、「切ったら殺す」ですもんね。かような事情で公衆電話ボックスから出られなくなってしまった主人公が繰り広げる緊迫の81分。この短さ、メインキャラがたった1人の密室劇としてはギリギリのところだと思いますが、こういう映画をハリウッドで、しかも監督ジョエル・シューマカーでやっちゃう時代が遂に来たんだナ~と感動しました。無駄にスターが大勢出て来て無駄に爆薬がばんばん吹っ飛び、無駄に長い映画をさんざん見せられた後にこういう映画は新鮮です。面白いと思います。非常に実験的で、なんかやたらインディーズのニオイが漂うんですが監督はジョエル・シューマカーで主演はコリン・ファレルです。この組み合わせが新しいです。人間が集中していられるのは大脳生理学的に見てきっかり90分。だから昔の映画には傑作が多い。この映画は私のようなばかでもちゃんと集中して最後まで観れます。拍手喝采。願わくばディレクターズカット160分バージョンなんか公開されませんように。キチンと整理すれば短くできるのよ。誰とは言わないけど最近3時間以上の映画撮った監督たちはコレを観て思いっきり反省するべき。ビューティフル。
9点(2003-12-07 22:14:46)(良:2票)
166.  シャイニング(1980) 《ネタバレ》 
映画と小説は別、なんてキレイごとは言っていても、なんとなく中途半端に原作と繋がってしまっている映画が多い中で、映画が原作を離れて独り立ちした非常に稀少な作品。まあキューブリックはこれが多いが。原作のエピソードをそのまま使っている部分もけっこうあるわりに、原作の意図したところと完全に別の方向に向かっちゃっているあたりは、あっぱれと言うより他にない。原作もコワイが映画も立派にコワイ、なおかつ両方のベクトルが全然別の方向を向いているのはスゴイ。だいたいキューブリックという人はかなり茶目っ気のある人で、折々のトップスターを主役に持って来て話題騒然なテーマをぶつけて来る遊び心たっぷりな監督であるわりに、映画が独特の重厚感を持ってズシンと迫って来るギャップが凄いんだけど、たぶんこの作品も「ジャック・ニコルソン主演でホラー映画を撮っちゃおう」という楽しいアイデアから出発したはず。斧持って走り回るジャック・ニコルソンはとてつもなくおっそろしいし、逃げ回るタリア・シャイアの表情もおっそろしい。無表情な双子が放つ「Hello, Danny.」は当時ちょっとした流行語になるほどコワかったし、「REDRUM」はアマチュアバンドのバンド名として引っ張りダコになった。とにかく冒頭、コロラド山脈をのろのろと登って行く黄色いフォルクスワーゲンひとつであれだけコワイというのは既に名人芸と言って良いだろう。ワケもわからず巻き込まれるスキャットマン・クローザースの存在感も無駄にコワイし、キューブリックがホラーをとことん笑った映画と考えればこれは傑作の域に入るのではないか。
9点(2003-12-07 14:06:57)(良:2票)
167.  RONIN
これはタイトルがいけなかったですね。モチーフとして日本の武士浪人を持って来たのは、欧米人にとってはおやっ?と思わせるものだったんだろうけど。冷戦終結後にやることなくなっちゃった元諜報部員たちが、テロ組織にお金で雇われて活動しているという設定は面白かったのに、日本人はちょっと白けてしまったんじゃないかな?というのはわかる。でも謎の美女ナターシャ・マケルホーンやクセ者役者のステラン・スカルスゲールドなど、意味深なメンバーを揃えて一応謎解きのレベルも低くはなかったし、一般的な娯楽作品としては悪くなかったと思う。ロバート・デ・ニーロとジャン・レノという組み合わせがスターかくし芸映画的な雰囲気をかもし出してちょっぴり格を下げてしまった。カーチェイスは良く出来てるし、地道にCGが隠し込まれたカメラの躍動感も上手いと感じた。オリンピックウィナーのフィギュア・スケーター、カタリーナ・ビットがスケーター役で出て来るのも楽しい。好みの別れる映画だろうけど、プロっぽい人たちが名人技を見せてくれるのが大好きな私としては、かなり手放しで喜べた作品。
9点(2003-12-06 13:14:47)
168.  ペーパー・ムーン
記念撮影用に作られた張りぼての月と、見せかけの誠実さで聖書サギを繰り返すモーゼの張りぼての人生、一見父と娘に見えるんだけど実際のところは赤の他人かも知れない張りぼての親子。タイトルにもなった「ペーパー・ムーン」の比喩するところが実に上手いな、と思わされた作品。主人公アディは詐欺師のモーゼも手玉に取るほど並外れた頭の回転の持ち主で、たぶんコレは本当の親子なんだろうなぁと思わされるが、最後までこれははっきりしない。美人ではないし愛嬌があるわけでもない、大人びたアディのふてくされた演技に史上最年少のオスカーは納得モノ。残念ながら親娘ともども、一瞬の輝きで終わる過去の人になってしまったが、才能ってそれだけじゃ輝き続けることができないんだよな、という一つのお手本にはなったと思う。でもこの映画のテイタム・オニールはやっぱり上手い。当代きっての色男で実際にも女グセの悪かったモーゼ役のライアン・オニールも、この役が一番のハマり役。このタイミングで敢えてモノクロで勝負して来たピーター・ボグダノビッチの目のつけどころもスゴイと思う。古臭い画面づくりが、独特のノスタルジックな雰囲気を作り出すことに成功している。カラーで撮ったらタダのファミリー映画になっちゃってましたね。
9点(2003-12-06 12:50:17)
169.  オースティン・パワーズ
コメディは嫌いな方ではないが、ココまでスッキリ笑えたものは少ない。徹底してバカバカしさを追及した心意気も見事だが、やはり最大の勝因はヒロインに天下の美女エリザベス・ハーレーをもって来ちゃったこと。その神々しいまでの美貌こそ、思いっきりこの映画がシャレになっている理由そのものだと私は信じる。その証拠に、ちょっと庶民的な可愛らしさのヘザー・グラハムにシフトした途端、オースティンの男っぷりが露骨に下がった。おバカは真剣にやってこそ。色男は美女をはべらしてこそ。マイク・マイヤーズはコメディをナメてない。人を笑わせるって、実は真剣勝負なモノなんですよね。
9点(2003-12-06 01:05:30)
170.  JAWS/ジョーズ
弱冠25歳の若者が撮った、という点を除外して考えても、パニック映画史上でトップレベルのクォリティを誇る作品。姿の見えない巨大サメの影に脅える夏の海水浴場を舞台に、次々と無残な死体をさらし、泣き叫ぶ人々が恐怖に駆られて走り回る前半。孤高の漁師クイントを軸に、科学武装をした青二才の学者と水面恐怖症の警察署長という奇妙なメンバーで大海原をサメ退治に乗り出す後半。老練な漁師は海の男の哲学を語り、水に脅えていた警察署長は英知を駆使して巨大な敵に立ち向かう勇気を手にする。時にはコミカルに、時には壮絶な戦いの姿を、絶妙のバランスで組み合わせたこの作品が、この後どれだけの亜流を生み出したかを考えれば、アニマルパニックという分野を確立するにまで至ったこの作品への支持の高さが伺い知れるというものだろう。実際、この作品から後数年に渡り、クマ、タコ、ワニ、ゴリラなどあらゆる生き物が様々な理由で巨大化し、世界中が巨大生物に湧きに湧いた。こういうことを日本で25歳の若者がやろうとしたら、必ずこの道30年とかいうカメラマンなどが我が物顔で現場を乗っ取り、監督にうるさく指示を出して映画をメチャメチャにしてしまうのだが、そこは分業意識の徹底したアメリカ。スピルバーグの天才ブリもさることながら、アメリカという国の持つ合理性、プロ意識というものにつくづく考えさせられる作品でもある。上昇志向の感じられた頃のスピルバーグは、今とは完全に別人であると言って良いと思うけれど、この頃の活躍はやっぱり無視できないんじゃないだろうか。
9点(2003-12-05 02:04:10)(良:2票)
171.  ファイナル・デスティネーション
80年代には既にコメディの一分野であると誰もが諦めたジュヴナイル・ホラーを、今さら真正直に、キチンと真剣に作ったという点で非常に評価できる作品。スター不在、低予算、見る前から概ね予測のついているストーリーという悪条件に屈せず、一つ一つの惨殺シーンを非常に丁寧に、テレもケレンもなく作り上げているあたりに作り手の誠意が感じられる。物語の引鉄となる空港での飛行機炎上シーンの迫力は、このスケールではちょっと予想外の出来にド肝を抜かれた。予算配分さえ間違えなければ、この程度の予算でも充分迫力のあるシーンは作れるという良い手本。スターかくし芸大会的な作品に無駄金を投じているハリウッドの製作陣は、思いっきり反省する必要があるだろう。ストーリーは、たまたま飛行機事故を予知してしまい、搭乗を拒否した高校生たちが、死の予定をキャンセルしてしまったために死神から一人ずつ命を狙われるというもの。ジェイソンやフレディによる虐殺劇の無意味さにかなりうんざりしていた観客にとって、いかにウソっぽかろうと、とりあえずお膳立てとしての「殺される理由」を与えてくれたところも生真面目な印象を与えるのに役立っている。やればできるじゃん、と思ったホラーファンは、案外少なくないのではないだろうか。
9点(2003-12-03 22:58:15)(良:2票)
172.  ホテル・ニューハンプシャー 《ネタバレ》 
ウィーンとクマとレイプ、ジョン・アービングの3大テーマがここでも炸裂。彼の作品の中では常に、人生では喜びも悲しみも表裏一体、どちらも予想もしないタイミングで人々の前に訪れて、どっちも避けて通ることはできないんだよ、ということを冷徹なまでにはっきりと、次々に具体例を挙げて行く。一家と苦楽を共にして来た愛犬ソローの死は悲しみに包まれながらも家族の中で永遠に語り継がれる爆笑モノのエピソードを残し、新天地ウィーンを目指す家族の、重要なメンバーが飛行機事故によってあっさり命を落とす。たとえば母の死という、普通だったら物語のクライマックスに置かれてもいいようなエピソードまで、アービング作品では「日が昇った、沈んだ」といったレベルで語られる。そしてそれらの不幸な事件を列挙しながらなお、夢多き父親は次なる夢に向かうのである。それぞれが不完全さを抱えながら一個の家族として結束し、大きな力を発揮して行く。語り尽くされた理想論ではあるが、この映画が作られた当時、人々にとって最も見逃されていたもの、「社会」を構成する最小単位としての「家族」の一つのあり方を、人々はこの作品を通して再確認した。そして残念ながら、世の中でこの映画が必要とされない日はない。
9点(2003-11-30 13:28:54)
173.  遊星からの物体X
SFXに特化した潔さが非常に小気味良い快作。20年経っても古びないこの映画の特殊メイクは、まさに金字塔と言って良いでしょう。かなり強烈に好きな作品なのですが、自宅でこのビデオをかけていて犬の顔がぱっくり割れた瞬間に訪れた、当時ちょっと気になっていた同級生は二度と家に遊びに来ることはなかったです。気をつけましょう。
9点(2003-11-30 02:18:13)(笑:1票)
174.  天井桟敷のみだらな人々
日本公開時期が例の「ライフ・イズ・ビューティフル」と重なってしまったために、あまり日の目を見ることが出来なかったことが心の底から惜しまれる。一足遅れて登場したティム・ロビンスの「クレイドル・ウィル・ロック」は明らかにこの作品のパクりなのであるが、もちろんオリジナリティの面でも、無駄なメッセージ性の無さから言っても、圧倒的にこちらの方を私は支持する。結局、タトゥーロが妻のキャサリン・ボロウィッツにベタ惚れだということがよ~くわかるにすぎないんだけど、今世紀初頭のNYという比較的珍しい背景に加えて、各国語を話す有象無象の移民たち、しかも芸人という身分がいかに卑しく怪しかったか、など、物珍しさも加わって飽きずに最後まで観られる。加えて天下無敵のバカ女優に扮したスーザン・サランドンと、女装癖の演劇評論家クリストファー・ウォーケン、この2人はもう確信犯的な友情出演で広告塔を買って出た感じ。思いがけない拾いモノであることは間違いないので、是非もっと注目を集めてもらいたい作品である。
9点(2003-11-30 02:08:11)
175.  ミッドナイト・エクスプレス(1978)
最近の事情はわからないが、少なくとも80年代前半まで、この映画はトルコ大使館の抗議により地上波で放映できなかった。そういう経緯がますますこの物語の信憑性を増してしまうわけだが、公開当時これほどハラハラ、ドキドキしながら観た映画もなかった。普通に脱獄モノとして観ても十分楽しめるし、外国をナメてかかると恐ろしいことになるよ、という一つの教訓にもなっている。オリバー・ストーンはシナリオを書いてた頃の方が芸が生きていた気がする。これは必要な映画だし、葬ってはいけないとも思う。主役の二人はあっさり葬り去られたが。
9点(2003-11-29 23:59:57)
176.  スリーピー・ホロウ
ティム・バートンならではのブリキのおもちゃ感覚に、ノスタルジックな時代劇が見事にマッチした佳作。陰鬱なムードの中、ジョニー・デップのコミカルな演技が絶妙なバランスで溶け込んでいる。伝説の首無し騎士、予言する老婆、謎の美少女を巻き込んで怪しく展開するティム・バートン・ワールド。この独特の世界観は、シンプルに見えるが案外真似の出来ないものだろう。関係ないけどクリストファー・ウォーケン演じる首無し騎士は、首のあった頃の方がずうっと恐い。この年は傑作が多かった気がするが、中でも印象深かった作品である。
9点(2003-11-29 22:45:13)
177.  最後の誘惑 《ネタバレ》 
キリスト教の熱心な信者でない立場から見れば、非常に忠実に聖書を描いたキチンとした映画なのだが、宗教心の強い人には冒涜と映るのも当然だろう。ユダとイエスの関係ははっきりホモっぽいし、この作品を正しく評価できるキリスト教徒がいたら是非一度会ってみたいと真剣に思う。ただし決してキリスト教に対して批判的な内容ではなく、むしろ苦悩した果てに敢えて誘惑に打ち勝つイエスの崇高な姿を描いているので、ハタから見ればそれほど目クジラを立てるほどのものでもないような気がする。デフォーのイエスは相変わらず痛い個性が際立っているが、惜しげもなく裸体をさらしてくれてファンには嬉しいサービス。ジョン・ルーリー、デビッド・ボウイなど、ウィレム・デフォー&フレンズ、といったメンバーなのも楽しい。2週間で撮ったと言われているわりにはキチンと丁寧に作られていると思う。ちゃんと「おぉーっ!」というオチもついているし、観ておいて決して損はない作品。
9点(2003-11-29 18:27:37)
178.  トゥルーマン・ショー 《ネタバレ》 
90年代で最も美しい映画。人間の嫌らしさをとことん暴き出しながら、最後に人間の善意を全面的に肯定してくれる手腕は見事。ジム・キャリーの浮世離れした個性が、生まれた時からセットの中で暮らしているトゥルーマンに見事にマッチした。彼を支配しながら屈折した愛情を見せるエド・ハリスの快演も素晴らしい。ちょっと風変わりなホーム・コメディの様相を呈しながら、ラストで突然号泣の嵐をもたらす不思議な映画。でもこのオチが良い。人間ってみんなが思うほど悪いものではないよ、っていうポジティブなメッセージを、イヤミなく伝えることのできた数少ない映画だと思う。
9点(2003-11-29 17:29:44)(良:1票)
179.  ロレンツォのオイル/命の詩
普通のお涙頂戴モノ、と思って見始めるとけっこう動揺するかも?な、意外性の高い闘病モノ。愛する息子がある日突然、不治の病を宣告される。いかにも普通の闘病モノなんだけど、普通だったら「限りある余生を幸せに過ごさせてあげよう」とか思って心温まる展開が期待されるところなのだが、この両親は戦うことを決意する。ニック・ノルティとスーザン・サランドンという組み合わせも熱いが、この二人が腹を決めて戦闘態勢に入ったらどうなるか。このあたりから映画は異様な盛り上がりを見せて行き、観ている側までうっかり脳の仕組みや効きそうな薬品について妙に詳しくなってしまう。親というのは何とありがたいものなのだろうと驚嘆に近い感動も与えてくれるし、最後の最後にこれが実話だと知って死ぬほどたまげてしまった。いやはや親って子供のためならここまで必死になれるんですね。これ観てしばらくは親に優しくなりました。
9点(2003-11-29 13:45:24)(良:1票)
180.  JFK
渾身の、という表現がこれほどふさわしい作品もないでしょうね。オリバー・ストーンは文字通り命賭けでこの映画を撮った。というよりむしろ、この映画を撮るためにあらゆることをやってここまで這い上がって来た。JFK暗殺でアメリカが何を失ったのか、その全てがここにある。1度でもこの映画を真剣に見たことのある人なら、マイケル・ムーアの何が甘いかわかるだろう。Rolling Stonesが「Sympathy For The Devil」の中で歌う、「Who killed the Kennedys? When after all, It was you and me.」の意味がわかるだろう。ブッシュは再選し、テロとの戦いは続く。大統領が殺されてしまう国で、人々にいったい何が出来るのか。誰も死にたくはない。あなたも私も、出来れば死にたくはない。「これは正義の問題ではなく、システムの問題なんだ」。そのシステムが一握りの正義を殺すことによって、この国は生き延びて来た。あなたも私も、その恩恵に与って来た。あなたも私も、心では戦争に反対しているが、湯水のように電気を使い、石油化学製品に囲まれ、温室で育てられた、空輸された野菜を食べて、1人1台が携帯を持ち5人に1人が大学に行けるこの生活を続けることで全員が戦争に参加している。11月22日、アメリカの正義が死んだ日が、今年もまたやって来る。
9点(2003-11-29 02:45:17)(良:1票)
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