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フィンセントさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 202
性別 女性
自己紹介 閲覧&良票を入れて頂いた皆様ありがとうございます(*^-^*)
良票を頂けると励みになります!作品に対する意外なヨミと、読んでいて楽しいレビューを心がけています。楽しんでいただければ幸いです☆

ジャンルを問わず鑑賞していますが、ホラーを観るときは手で目を覆って指の隙間から観ますw

★好きな俳優★
M.ファスベンダー、E.マクレガー、J.ロウ、D.クレイグ、O.ブルーム、ジョナサン・リース=マイヤーズ・・・・・はい、そうです。イギリス俳優好きですw
さらには、ドナルド・サザーランド、S.ブシェミ、M.フリーマン、フランコ・ネロ、B.ウィリス、H.ジャックマン、C.イーストウッド、女性では、ユマ・サーマン、M.ジョヴォビッチ、C.セロン、A.セイフライド・・・などが好きです。

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161.  クライムダウン 《ネタバレ》 
メリッサ・ジョージ、「トライアングル」って映画が、内容も彼女の演技もすごく気にいっていたので、期待値がガガガーーーっと上がった状態で見ました。   実際、山から下りてからの市街地での三つ巴のシークエンス(犯人チーム、誘拐された親が手配したチーム、事情を知らぬまま少女を助けている主人公たち)あたりは、少女が犯人の手元にないってバレたあたりからけっこう心臓バクバクするほど、盛り上がりました。  こういう映画でバクバクするのってなかなかいので、そのあたりすごく良かったってことかな。  誘拐と無関係の市民をムダ撃ちするブタお面の犯人の行動も、銃撃で気分がハイになっていたからと思って受容の範囲内。   山から街に舞台が移るのがNGという意見も多いけど、私の感覚では、テリヤキチキンの和風ソースと、モッツアレラチーズのトマトソースの2種類が1枚のピザで楽しめるハーフ&ハーフのピザだと似ているなと思う程度で気にはしない。   ただ、逃げ込んだ家が犯人によって火事を起こされ、2階から少女を脱出させるようとしたメリッサが、少女を窓の外に両手をもった状態で出してぶらんぶらんと左右に揺らしてトリャって放りだして1階の庭のクッションのききそうな植え込みの上に落として助ける・・・ってところで、えええええええってなりました。   だって、冒頭で断崖絶壁を命綱1本で登る場面を描いていたんですよ。   だって、少女を市街地に連れていってあげるため、近道である断崖絶壁を少女を連れて降りていく場面を描いていたんですよ。   そもそもこのDVDの表紙も断崖絶壁なんですよ。   もう、断崖絶壁がこの映画のテーマなんですよ。   だったら窓の外の2階から1階という”断崖絶壁”というシチュエーションなら、両手もって放り出すじゃなくて、カーテンひきちぢって綱つくってそれで彼女を片手で抱いて、もう片手でカーテンロープを握りしめ「うりゃーうりゃー!」と、数回壁をけりながら、1階の庭まで降りるとか、断崖絶壁降りのワザを見せて伏線回収しないでどーするの!   ・・・って、私は思ったわけです。  身代金受け渡しのシークエンスでせっかくドキドキしたのに残念です。   彼女を抱いてカーテンロープで降りていたらもっと高評価だったのにw    そうやって残念な気持ちを抱きつつ思い返してみると、犯人は地中に掘った穴に少女を箱に入れた状態で埋めて、空気を通すパイプを地上に出した状態で隠すとか、それはアホじゃないのかと、気づいてしまいました。   こうやって密猟者とかクライマーがやってくるような場所に「たすけて~」って声出そうとおもえば出せるパイプを地上に出させた状態で、なんだかもう、既にそこでアウトじゃないですか。  それに少女の親がけっこうワルっぽい金持ちみたいで、警察を頼らず独自に救出チーム作ってたわけだから、メリッサ一行も、少女を見つけたあとにまた少女を穴に戻して何事もなかったようにしとけば、メリッサ以外の全滅死亡にならず、ほっとけばちゃんと親の作った救出チームが少女と金の交換に成功してじゃんとか思っちゃったりもするじゃないですか。   個人的には、誘拐じゃなくてもっとクレイジーな精神異常者が、山にくる人間を無差別に殺すようなナワバリエリアに脚ふみこんだメリッサ一行を抹殺しようとしてたときに、少女が飛び入り参加してさぁ大変みたいなサバイバルものでも良かった気がする。   それでも6つ☆なのはメリッサのせい。
[DVD(字幕)] 6点(2016-01-29 19:36:49)(笑:1票)
162.  スター・ウォーズ/フォースの覚醒 《ネタバレ》 
ルーカスが無名時代SWを作る際、映画会社に「給料はいらないから、続編を全てを作らせてくれる確約をくれ」と言ったほど、彼の頭で作り上げられたストーリーは完全なものであり、彼が愛し、伝えたかった物語だ。  つまりEPは1~6をもって幕を下ろしたわけで、今さら「フォースの覚醒」といわれても、無理やり覚醒させるなよと、「寝た子を起こすなよ」と、思うわけである。  ディズニーの手に堕ちた今作は、”差別撤廃”をポリシーとするディズニーによって、マイノリティーである”女”と”黒人”をドまんなかに据えられた。  しかしだ。 私は人種差別主義者ではないが、SWは白人男子が主役のジュブナイルでなくてはならないと断言する。  4~6の幕開けとなる4でルークが主役だったように。 1~3の幕開けとなる1でアナキンが主役だったように。 周囲の思慮深い大人達に囲まれて、自らの宿命に従って時に戸惑いながらも成長していく少年や青年の物語でなくてはならない。  今回のような、すっかり成人の、女性と黒人。これはもうSWではない。  またSWには”イケメン枠”が必ずあるべきだ。  3~6では「キャンディキャンディ」(たとえが古くてすみません)の、まろやかイケメンのアンソニーにあたるのがルークであり、不良系イケメンのテリーにあたるのがハンソロである。 王道2タイプのイケメンがセットされていた。  1~3では、ユアンマグレガー、熟男リーアムニーソン、青年期のアナキン。いろいろなタイプのイケメンがセットされていた。  しかし今作ではメインキャラにイケメン枠がなく、パっとしない男ばかりである。  また”イケメン枠”と同時に”姫枠”も必須だ。  3~6ではレイア姫。 1~3ではアミダラ女王。  「強い女」がウケると勘違いされている現代だが、姫を守るイケメン男という構図はSWの”形式美”といってもいいほど重要なものである。  現在のディズニーは、ウォルト時代の「白雪姫」「眠れる森の美女」といった、姫とそれを救うイケメンという構図を「古い!」と切り捨ててばかり。  だから昨今のディズニー映画では、姫が登場しても男まさりでイケメンの活躍に期待しないタイプが多い。 カエル女も、ラプンツェルも、アナ雪も、ヒロイン達は男の活躍をさしおいて、むしろ男をリードしちゃってる。  SWは、時代が変われど、姫と彼女を助けるイケメンという古きよき夢物語を具現化することで、人々の心に「あぁ何かなつかしい。何か落ち着く」というノスタルジーをかきたててくれるのだ。  ジェダイ・ナイト(=騎士)というワードもそれを象徴している。 実際ルーカスは「子供に聞かせるおとぎ話として作ったのがSWのきっかけ」と語っている通り、SWは騎士と姫を軸に愛と冒険が繰り広げられるおとぎ話であるべきなのだ。  対するディズニー版SWは、各所にSWらしさを散りばめてはいるものの、”白人少年のジュブナイル”や”姫とそれを守るイケメン”という枠を超え、不文律を冒してしまった。既にアウト。 さらに「今後は同性愛キャラも否定しない」と、公の場でエイブラハムはシレっと言い放っていたので今後は一層SW本来の軌道から外れていくのだろう。  結論をいえばディズニーは  [SWの世界観が面白いからそういうSF作りたいけどパクリだと言われたくないんでカネにものいわせてルーカスから権利を買い取り堂々と合法的にパクリ映画を作ります♪]  ということであり  [パクリ映画を作るにあたっては白人少年ジュブナイルとか姫とそれを守るイケメンという枠はとっぱらって我々のポリシーである差別反対の象徴でもある”女”と”黒人”を前面に出してまいります♪]  ということである。  そしてその”女”。姫どころかゴミ集め屋・・って、ディズニー映画「ウォーリー」の設定のリサイクルかよ。  制作ドキュメンタリーも見たが「CGでは砂粒一つの表現にこだわってより現実感を出した」と何かのチーフが自慢げに言ったけど、大事なのはやはりストーリーなのだ。 4は、どんなに古臭いチープな特撮であっても、何度見ても引き込まれる。 こうして幾つもの大事な事を忘れた今作は、当然アカデミー賞主要6部門どれひとつかすりもしなかった。  最後にBB-8について。 あの動きがムダに多くてクルクル回転する映像で目を疲れさせるだけの雪だるま、ほんとダサイ。監督のデザインらしいですが、大失敗。  名前もあの雪だるま型を意識してBとか8を使ったのだろうが、「BBクリーム」や「チョコラBB」とかの製品名とかぶってるから、名前までダサイ。
[試写会(字幕)] 1点(2016-01-19 22:13:51)(良:9票)
163.  ビッグ・アイズ
妻の絵はビッグアイズ。   その夫はビッグマウス。   そういうこと。
[DVD(字幕)] 4点(2016-01-19 21:29:34)(笑:1票)
164.  秘密(1999) 《ネタバレ》 
母親が娘に憑依し、夫と仲良くしつつも、学生生活は謳歌し、いいよってくる男とデートを画策するあたりは嫌悪感がつのる。   娘のふりするったって、わざわざ大学で、よりによってヨット部に入るかよ。  (しかもヨット部のイケメンに声をかけられて勧誘されたという流れで)   ヨット部に入ったからって、必要最低限の活動ならともかく夫の帰宅時間に戻らないほど部活で夜遅くなるのかよ。   男とのデートが夫にバレると「ちゃんと会って断るつもりだった」と説明するが、友達にアリバイ画策させてまでデートに行こうとしてたし。フルつもりだったにしてはコギレいな服だし (フルつもりの相手と会うなら、相手が自分にゲンナリするようにノーメイクでオバチャン服着ていくもんだ)  夫のいうとおり、相手からの電話もそもそも出ずに黙って無視すればいいことである。   最終的には、娘の心が戻ってきたフリをして、運転手の息子と結婚することで、夫を自由にしてやろうとするのだけど 、再婚(表面上は初婚だが)するにしたって、なんでよりによって自分ら家族の人生を崩壊させた張本人の息子?ありえないな。   そもそも遺族の補償問題の会議の場で、いかにも不良な態度で、父に代わって謝罪していたその息子に「その態度なんだ!」とエレベーターのところまで追っかけてきたくらいなのに。   そもそも、40のおかーちゃんが20のラーメン屋と形式的結婚とか普通にありえない。   おかーちゃんも見た目は娘世代(20代)なので、40代の男性と再婚するのが逆におもてむき不自然だというのなら、せめて間とって30くらいの相手にしてくれないと。(結婚生活はずっと長いわけで、彼が40のとき、彼女は60だし。)  それに一生涯、夫を思い続けてラーメン男を一生だまし続けるなんて、 ラーメン男は「とにかく再婚して夫を自由にしてあげたい」という理由で利用された、気の毒な男だ。   しかも、夫をだまし続けるならともかく、結婚式の控え室で「実は意識は母のままです」的なネタバラシ。  うそつくなら徹底的に墓場までもちこむ覚悟でうそつかないと、そんな中途半端な状態で嫁入りしたところで、夫は「あーあいつ今頃あの男と・・・」ってもんもんとしちゃって、もっとかわいそうだろ。   うっかり、いつものクセ(夫のアゴ下をさわる)をやっちまって、夫が「あれ?」って言っても「いつもこういうことやってるのを見てたから、マネしてみた!」ってウソつきとおせばいいだろ。   そもそもブーケに、夫との結婚指輪をしこんだミニぬいぐるみを入れておくとか、別にわざわざ結婚式までこれみよがしにする行為か!?そんな思わせぶりなシコミするから、ソッコーで夫が彼女が娘じゃなく母の意識のままだと気づくんじゃないかw   しかももし何かの拍子で母の意識が抜けて娘の意識が戻ってきたとき   「え!?なにこのひとが夫!だれ!!?イヤーーー」ってなっちゃうだろに。   憑依は人の体を間借りしてるんだから、それなりの立場をわきまえて、娘の意識がいつ戻っても困らせないように、自分の考えでアレコレしたい放題で新しい人生を作っちゃったりしないのが、母の娘への愛なのに。それがミジンも感じられない。   てか、そもそも自分におきている憑依を科学的に解明したくて医学の学校を選らんだのに、なんでラーメン屋と結婚するかw  憑依研究なんて、ラーメン稼業のカタテマにできるんかいな。 それとも、若さを得て、やってみたいことをとりあえずかたっぱしから経験したらまた別のことに目移り(ヨット部しかり)みたいなテケトーなノリなのか。(だとしたらさらにゲンナリ)   ●夫へのうそを墓場までもっていかないであっけなくネタバラシ  ●娘が戻ってきたあとのことを考えないで母親本位で勝手に人生作成  ●夫を自由にさせるために、ラーメン男をだまして利用した  ●憑依の科学的研究は置き去り   などなど、ただただ後味が悪い幕切れだった。
[DVD(邦画)] 1点(2016-01-12 11:28:25)
165.  ベイマックス 《ネタバレ》 
ベイマックスが自分がこの世から消えるのを承知でヒロを生かすために身を滅ぼすシーンで、次女(小6)が号泣していたが、私はそれほどでもなかった。  ベイマックスって、かわいいが、しょせんロボットやんという冷めた心があったのかも。   ベイマックスのする事なすことはすべて、ヒロの兄がディスクに書き込んだプログラムによる作動でしかないし、優しさやスキンシップも大切なひとを失った人のケアの仕方をパソコン経由で自主バージョンアップしたり、つまり、ヒロにみせるすべての言動は、ベイマックスの感情ではなく”感情風”なのだと思うと「面白~い」とはおもえても「泣けるぅぅぅ」とまではいかない。   あと日本語ではベイマックスはケアした後に「あなたは大丈夫ですか?」と聞くのだけど(そしてケアした相手が「大丈夫だよ」と言うとミッションコンプリートになって充電用ケースに戻るのだけど)英語で視聴すると、ベイマックスは「Are you satisfied?(あなたは満足しましたか?」って聞き、ヒロが「I'm satisfied」と言うとミッションコンプリートとなる。   私の場合、その”満足”っていうワードが、CMでよくある「顧客満足度ナンバー1!」みたいな、サービス業者みたいな感じで、どうも安っぽく、企業的なノリのベイマックスに感情移入することに違和感があったのもあるだろう。   使用後のご感想は1から10で言うとどれに該当しますか? アンケートのご協力ありがとうございます。 今後の顧客サービス向上のためこのデータを利用させていただきます。的な。  ベイマックスはいったん滅ぶものの最後の場面では、ヒロを救うために放った自分の”ロボ手”にハードディスクを握らせてあって、ヒロがベイマックスの外側を作り直して、そのハードディスクを入れて、はいベイマックス復活♪みたいになっちゃったのも、少ししらける。  「ローマの休日」のアン王女と新聞記者が、最後はそのまま駆け落ちして二人の愛をまっとうしちゃったみたいなストーリーを見せられたような気分だ。   ピクサーは、「インサイド・ヘッド」でリンボンを、命を賭して友を救うという泣けるキャラを投入する勇気があるのだから、ベイマックスを復活させないという筋書きの選択肢は不可能ではなかったと思う。  リンボンはサブキャラだから消してもいいけど、ベイマックスはメインキャラだから消せないという判断だったのだろうが、結果としては私は復活前提で消えたベイマックスでは泣けず、二度と戻れないのを覚悟で消えたリンボンは毎度見るたびに号泣、である。  それに「リメンバーミー」でもほら。。。(ネタバレになるので自重)  ベイマックスはベイマックスが主人公のようでいて、実際の原語タイトルは「Big Hero 6」なのだから、あくまでもベイマックスは主人公ヒロの相棒であって、どうしても途中で抹殺しちゃいけないキャラではないはず。  命は1回きりだからこそ、身を滅ぼして誰かを救うことに価値があり、人を感動させるものではないだろうか?   そして、あれだけ泣いた次女だが、見終わったら 「でもヒロたちは仮面男をやっつけるのにあんな面倒なパワースーツとかベイマックスのバージョンアップするより、マイクロボットを倍の数作って対抗すればよかったじゃんね?」と、これまた冷めたことを言っていた。  私としては、キャラハンの娘を危険にさらし、キャラハン教授を鬼に変え、ヒロの兄が巻き添え爆死する状況を作った、そのそもそもの大凶源クレイが、結局そんな大打撃受けないまま終了しているところに”これでいいのか”感がいっぱいである。  とはいえ、全体としては無難にまとめたダイナミックな映像。  結局ディズニーピクサーはどんな話でもこういうアクション的要素はどこかにすべりこませてくるので、チカラワザで7点をつけさせられた感はいなめないが。  最後に。ゴーゴー・トマゴという名前が「キルビル」のゴーゴー・ユウバリを彷彿させたのだが、英語圏ではゴーゴー・ナントカっていう名前がけっこうあるのだろうか?
[DVD(吹替)] 7点(2015-12-02 12:11:03)(良:2票)
166.  ゴーン・ガール 《ネタバレ》 
話しが進むにつれて   「妻がダンナを犯罪者に仕立て上げてハメるための偽装工作じゃねえか! 」  ってなって   「だったらダンナはかわいそうだな・・・ 」  ってなったと思ったら  「ダンナは浮気してたんじゃねえか! 」  っとなって  「だったらケンカ両成敗だな・・・ 」  ってなって   終盤になってくるとこれはもう   『ゴジラVSキングギドラ』的な、どっちもどっちでどっちもヤバイみたいな、やばいもん同士の戦いという様相になっていくわけなのだが   それはそれで面白かったと思う。  善VS悪ではなく   サイコ悪(妻)VS世俗悪(ダンナ)   という図式は、それなりに新鮮であった。    だが、この映画の脚本がアウトだったのは  妻の浮気夫への復讐が、偽装工作(穴だらけで超へたくそ)をして失踪し、夫を殺人犯として逮捕させて、最後は死刑にさせる(ひょっとしたら死刑にならないかもしれないのに)というかなり面倒くさい遠回りな復讐方法であったことだと思う。   「彼女はそういう面倒くさい復讐方法をするひとなんです」   って言われたらそれまでなのだが   脳内短距離スプリンターな私(つまりまどろっこしいのは苦手)からすると   「どうせバレる偽装工作して詐欺罪で捕まるようなリスクをおかすより、家も車も浮気夫の妹のバーの名義もぜんぶ妻名義なのであれば、名義人の特権をいかして全部売却しちゃって、家ナシ車ナシのスッテンテンにして追い出しちゃえば、そのほうが簡単・確実かつ即効性のある夫への一番の復讐になるんじゃないの」   としか思えなかったのだ。  ラストシーンも、夫か妻のどちらかがどちらかを殺すとか、白黒ハッキリさせて終わることなく   「これからこの夫婦どうなるだろうね~」  というモヤっとした終わらせ方であったが、こういう”後の事は観客に丸投げ方式”は、制作側にとって無難かつ手抜き(なのになんか思わせぶりで秀逸な終わらせかたに見せられる)な終わらせ方だとあえて言わせていただきたい    フィンチャー監督作品は、「セブン」「エイリアン3」「ベンジャミンバトン」「パニックルーム」など好きなものも多いが、この「ゴーンガール」「ゾディアック」「ゲーム」など、おもいっきり私としては落第点な映画もあり、明暗のギャップがかなり激しい。   ということは、これはもう監督がワルイのではなく、とりあげる作品のネタがワルイとしたほうがいいのかもしれない。   ゴーンガールは映像やテンポはとてもよかったので、うん、きっとそうだ、ネタが問題ということにしておく。
[CS・衛星(字幕)] 2点(2015-12-02 11:56:11)(良:1票)
167.  96時間 レクイエム
リーアムニーソンの娘が想定外妊娠。   彼女はそれをニーソンに黙っていて一人で悩んでいるが、刑事に追われるニーソンと学校のトイレで落ち合った際、個室トイレの中で突如ニーソンに妊娠を告白。   ニーソンはそんな娘を抱きしめるが、体育会系とーちゃんの脳内に、「妊娠した女性の体は気づかうべき」という思考回路はない。   母殺しの真犯人をつかまえようと、悪徳ロシア人のアジトに乗り込む際に、胎児の状態が不安定な妊娠初期の娘を同行させ、アジトの地下駐車場でニーソンとの通信係にさせるという、危険きわまりない仕事をさせるのである。母体のメンタルが胎児に与える影響など、体育会系とーちゃんにとってはおかまいなしだ。   さらに、そんな危険な状態においたものだから当然の流れで娘は真犯人に誘拐される。   するとニーソンは娘を人質にして小型ジェットで逃亡をはかろうとする真犯人を阻止しようと、ポルシェで飛行場の滑走路にツっ込み、車輪走行を始めて離陸態勢の飛行機にポルシェごと真横からヒット!  車輪を破壊し、ドカーン!! ! はらばい状態で急ブレーキがかかった飛行機は炎をあげながらガゴゴゴゴゴゴゴ・・・とぐるんぐるん回転しまくる。   ヤッタ!という表情のニーソン。しかし、娘のおなかの赤ん坊も、遠心力で胎内でぐるんぐるんはじき飛ばされているであろうことは、体育会系とーちゃんには想像することは不可能だ。  逃亡は阻止できたものの、胴体着陸の衝撃で、外部からの精神的&肉体的衝撃は避けねばならないデリケートな妊娠初期の妊婦はジェット機の中で座席からスっとび、真犯人にバシバシぶたれたり、銃をつきつけられる事態に。   娘が妊娠していることなど、娘を助けることだけを考えている熱血体育系パパの脳みそからは、完全にはじき飛ばされているのである。    かくして精神的・肉体的にもヨレヨレになった娘であるが、無事最後の場面では海辺で娘とニーソンは妊娠について話し合う。しかし。   「ママは殺されてしまったけど、今おまえのおなかの中にいるのはママのDNAが入っているわけだ。  つまり、唯一ママがいたことを存在する証明だよ。 だからパパはおまえにぜひ産んでほしい。 きっとその子はママの生まれ変わりだから。」   くらいのことを言ってほしかったが   実際は   「パパは寝ないで考えたんだが・・ ・・・       この件はおまえたちに任せるッ!!」       やっぱり熱血体育会系元CIAパパは、そのキャラクターどおり”家庭人”ではないということが立証された本作であった。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2015-11-18 12:23:24)(笑:1票) (良:1票)
168.  ポセイドン・アドベンチャー(1972) 《ネタバレ》 
海洋パニック映画における  "脱出の際必ず一度は水中にもぐらないといけない”  という黄金ルールをつくったのがこの映画なのではないだろうか。   さらには、どの場面でも役に立っておらず、奮闘もせず、誰かを助けもせず、ネガティブオーラ全開で、難所にくるたびに「私はもうムリー!」「私はここにいるー!」などと、いちいち面倒発言を連発するヘタレ歌手のノニー(足手まとい度200%)が生き残り組に入っているのだが   脱出系映画における  ”脱出成功して生き残るのは、意外と、どーでもよいキャラ”  という黄金ルールを作ったのもこの映画ではないだろうか。   「神なんてくそくらえ!」な牧師も小気味よく、仲間が死んでも「神の御許へ安らかに・・・アーメン」なんて言わずに  「どうしてこんな良い人を!」とか「何人いけにえがほしいんだ!」とか、まっこうから神とバトルしている。 かなりパンチのきいたキャラで、このアウトサイダーな牧師のダークヒーローっぷりは 「神父なのに!?」「脱出作戦のリーダーなのに!?」というギャップを生み出し、この作品をより印象的なものにしているだろう。  ところで、この映画は何十回も見てきたけど今回初めて気づいたのが、最後の難関エリア突破の場面(牧師がハンドルをまわして蒸気をとめてストンと落ちるあの場面)で、奥さんが死んで呆然として、もう脱出なんてどうでもいい・・・みたいになってた刑事のおじさんに向かってマーティンが「それでも刑事かよ!」と、言いたい放題のことを言って発破をかけたとき、刑事のおじさんが上目づかいにマーティンをにらみつけ   「オゥケイ、ジュー!」(OK、ユダヤ野郎!)って言ってたことに気づいて   いくらシナリオとはいえ、ユダヤ人差別はなはだしいな・・・と思ってふと調べたらマーティンをやった役者は本当にユダヤ系アメリカ人だった。(よけいやばくないか)
[DVD(字幕)] 8点(2015-11-13 16:26:44)(良:1票)
169.  運命のボタン 《ネタバレ》 
なんやなんや!  この世界で欲深で誘惑に弱く自制がきかなくって自己中心的なのは女やといいたいんかー!  アダムとイブが楽園追放されたのもそもそもイブが悪いっていいたいんかー!   イナズマがあたったあのオジサンが”あの方”の部下になって、人間達をボタン使って”試す”とか、なんか新約聖書のニオイぷんぷんやないか!  神はヒョウ(気象現象のほうの)とイナズマを送って地上に火を放った(出エジプト記9章より)的な、懲罰っぽい設定とか! そういえば時期設定がクリスマスで外にしょっちゅう雪ふってたけど、それがヒョウと関連づけてるんやろ!   そうや、それにあのボタン赤かったから、赤いリンゴのかわりなんやろ!え? で、それを手にしちゃうのは、夫婦のうちのいつも奥さん(女=イヴ)だといいたいんやろ!   じゃぁあの”あの方”の手下のヤケドしている男は、いってみればヘビみたいなもんかいな!    なんやなんや!私も女やけど、ボタンおすのは毎度女のほうでわるかったなー!   そんな、ボタン押したら100万ドルもくれるなんていわれたら、いつも家計がギリギリでサイフとニラメッコしていつも頭かかえて気にもんでいる主婦のほうが、押したい衝動にかられるのは当たりまえやないかー!   あの箱配るのは勝手だがなー!たまには「100万ドルの札束なんてお尻ふき用に使えるわねホホホ」程度にしか思わない大富豪の家に配ってみれや!  ”あの方”がどこのどやつかしらんけどなー!宇宙人だか神だかしらんけどなー! 99%の貧困層の上にいる1%の富裕層が支配するこの格差社会の地球上で、弱小市民が経済的に追い詰められる状況を、神か宇宙人かしらんが、おまいたちに分かるんかー!  カネに左右されない世界に住んどるおまいたちに、オカネの苦労がわかるんかー! ビンボー人の気持ちが分かるんかー! 消費税8%が10%になるのに軽減税率がコメだけ対象だとエンゲル係数ハネあがって日本に中間層が消滅するとかそんな問題抱えてヒィヒィいっとるワレワレの気持ちがわかるんかー!  そうやそうや!おまいたちに、弱小市民に「他人の死かカネか」を選択させる権利などあるんかー!   神が宇宙人かしらんけどなー! 堂々と出てこいやー!!    まじこの作品、世界中の一般家庭の主婦を敵にまわしたな。
[DVD(字幕)] 2点(2015-11-12 19:58:29)
170.  容疑者Xの献身 《ネタバレ》 
「好きな人を助けるための殺人」を美談にした物語ではない。これは、「好きな人を助けるための殺人」をしてしまった男の悲劇の物語であることを見逃してはいけない。     石神は合理的思考を持った天才数学者。普段の彼なら、もし知り合いが殺人を犯してしまったら迷わず「キミの場合自己防衛で無罪になる確率~%だ。もし有罪でも懲役~年の確率が~%だと思われる」と冷静沈着に判断していただろう。しかし相手は片思いの女性。しかも、自殺をおもいとどまらせてくれた恩人とまで思っている相手。どんなに合理的思考を持った石神も、”恋する女性”を前にすれば、非合理的手段にすら出てしまう・・・そう、この映画は、どんな者でも”恋に落ちてしまった人間”は、倫理的に、あるいは法律的に、軌道を外れた行動に突っ走る可能性を秘めていることをこの作品で伝えているのだ。”恋に落ちてしまった人間”の愚かさを、描ききっているのだ。       湯川は「彼は合理的に考えるひとだから殺人は犯さない」と当初言っていた。しかし湯川は石神の恋心を察知する。湯川は、石神と一緒に靖子の弁当屋さんに立ち寄った際、靖子のキャバ嬢時代のお客のオッサンが入ってきて靖子となれなれしく話している時に、石神が「なんだよなんだよ・・・親しげに。どこの男だ・・・」と、いたたまれないようなイジケ顔をしていたのが鏡越しに見て「あれ?」と思うのだ。そのとき、湯川は「いつもの石神なら殺人などありえない。しかし恋をしてしまってる石神なら・・・」と思ったに違いない。  ホームレス殺人については、それを肯定するものでも否定するものでもなく、ただ、合理的思考の石神が”恋”をしてしまったために、犯さないはずの殺人をしてしまった、ということであり、それ以上でもそれ以下でもないのである。そして、”恋”をしていたがために、ルートを誤った(自首をすすめず、罪を隠すほうを選んだ)ものの、その誤ったルートにおいて一番”合理的”な隠蔽工作を画策し、それを実行するにあたってホームレスが一番適当(消えても誰も探さない上に、カネを出せば言うことを聞いてくれる)だったからホームレスを殺害したということであり、それ以上でもそれ以下でもない。 恋してしまった石神の”誤ったルート”によって、「罪をかぶせてしまった」と靖子も不幸になった。無関係なのに殺されちゃったホームレスも不幸になった。この事件を解明した湯川も「靖子を守りたかった石神の気持ちを、すくいとってあげるわけにはいかない・・・」という、葛藤と自責の念にかられ不幸になった。そして何より、自分が罪をかぶることで靖子の幸せな人生を守れると思っていた願いも崩れ去り彼自身も不幸になった。 不幸な悲劇の歯車がグ~ルグル・・・なのである。    そして「隣あう色はけして交わってはならない」という4色配列は、まるでアパートの隣同士である石神と靖子は、この殺人隠蔽作戦によって、どんなに密接に関わりあえる関係になったとしても、けしてそれ以上に交わり結ばれることはない・・・ということを象徴しているのだろう。逮捕された石神が靖子の登場で「ふぁぁ・・・どうして!?どうして・・どうして!?むぁああああ~~ああああああ!」と号泣県議並みのガチ泣きする場面はこちらまでもらい泣きしてしまった。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2015-11-02 13:49:57)
171.  インターステラー 《ネタバレ》 
娘の部屋の本棚にある本の奥はブラックホールの中でしたってのは、のび太君の部屋の机にある引き出しの向こうはタイムマシンでしたっていうのと同じくらい、奇想天外な世界観。  本棚の裏からトンツートントンツーも面白かったが、それ以外に面白かったパートは2つ。   マット・ディモンが来ていた星は住めない星なのに、無駄に信号を送って呼び寄せたあげく、マコノヒーを殺して生き延びようとするという、まさかの展開と  NASAの偉い人による「ゴメン…住める星なんてないんだ」発言からの、ラストでアンハサウェイがたどりついた星でヘルメット脱いで普通に呼吸しちゃって重力も通常な感じでトコトコ歩いてるっていう「えっ…ここに住めるやん笑」というまさかの展開である。   ただ、地球を救う系の作品って、小惑星がドーン!とか派手な理由が多いが、こちらは地球環境変化というリアルな理由で、年を追うごとに悪くなる一方…ってところは、昨今の海水温度の上昇で日本列島に強烈な破壊力の台風が必ず規模の大きさを毎年更新しながらやってくる…っていういやぁな現実と重なって、地味に暗い気持ちにはなる。   とはいえ、地球救済映画は、だいたいにおいて主人公は死ぬのだけど、この映画では死なないっていうところはスゴイ。   娘はおばあちゃんになったがギリギリ生きててマコノヒーと再会できちゃったし。   アンハサウェイに至っては、成り行きでカレシが先に行っていた星でカレシと再会できてるっていうオチだったし、しかも立派ななコロニーまでちゃっかり出来てる景色のシーンを見せて終わるものだから、ここまでハッピーエンド祭りな地球救済映画はなかなかないと思う。
[DVD(字幕)] 7点(2015-10-19 11:41:23)
172.  ハイスクール・ミュージカル2<TVM> 《ネタバレ》 
小学生の娘がお気に入りのディズニーチャンネルではハイスクールミュージカルもそうだし、現在だとティーンビーチムービー、新エピソードはもう出なったがシェキラ!とか天才学級アントファームとか、とにもかくにもティーンの男女が歌って踊る作品がテンコモリである。 で、私てきには、年齢的に、若者のそういった底抜けに明るいハイスクールライフとか軽くて耐えられないジャンルで、「ザックエフロン!?顔がよけりゃいいってもんじゃないよ!高校生役?ティーンとか生理的にムリ!」と思っていた。しかししばらく前に「ヘアスプレー」を見て、「歌って踊るザックええやん!」と、いやほんと、食わずもの嫌いはだめだねと、反省して、ていうかすっかりザックのファンになってしまって、数年前には「ちまたでウワサのハイスクールミュージカル、あれだけは一生絶対に見ることはないだろう」と思っていた作品をいそいそと鑑賞した。はっきりいって、ハイスクールのティーンどもが歌って踊るディズニー映画は、物語の中身についてあーだこーだ言う必要はないのではないかと思った。直感で、そう、右脳でもって、本能的に「イイイイィィィ~!!」って、楽しんだもの勝ちだ。(ということは、歌とか踊りに興味がない人はもうすでにアウトということになるが。)    歌、踊り、私てきには100点満点である。しかしほんとに、ディズニーってアニメでも実写でも、どうしてこうも、音楽がすんばらしいの!?今までほとんどのディズニー映画は見てきたけど、ハズレってのがないのだよね。お気に入りの歌の数の多い少ないの差はあれ、「このディズニー映画の音楽は、どれをとってもいいものが1つもなかった」っていうことは皆無だった。ディズニーおそるべし。 思うのだが、ディズニーのミュージカル映画って、1回見たら、あとはもう、歌って踊る場面だけ見たくてそれ以外の場面は飛ばして見るとか、そういう人多いのではないのか?少なくとも自分はそうなのだけど。  そう思えば、ディズニーのミュージカル映画っていうのは、歌って踊るシーンを盛り込んだミュージックビデオが、ストーリーでつながれたものだと言える気がする。つまり、中身とかはどうでもいい、感動とかそういうのもどうでもいい、とにかく見て聴いてココチいいミュージックビデオ集なのだ。  
[CS・衛星(吹替)] 8点(2015-09-06 19:29:24)
173.  インサイド・ヘッド 《ネタバレ》 
【1】キャラがシンプルすぎる点について☆ 映画観る前は、ヨロコビやカナシミなどのキャラが、これまでのピクサーみたいにグッズ売れるぞ~みたいな個性がないので大丈夫かと心配した。でも実際見てみたら、あの感情5人衆は、どの人物の脳内にもいて、しかもそれぞれの特徴がオプションでくっつけられているのだ。パパの脳にいる感情たちはヒゲ顏。ママの脳には、メガネ顏。他にも、ピアス顏や、髪染めてる顏とか。なるほど、だからあえて没個性にしてオプションつけやすくしてるのね。極力シンプル化されているわけなのね。(ちなみに、ライリー脳はヨロコビがリーダー格なのに、パパ脳ではイカリがリーダー、ママ脳はカナシミがリーダーやってるのも、ピクサーさん考えましたねw私はあの家族ゲンカの脳内のやりとりで大爆笑しましたwあれだけでレディースデイ1100円払った価値が見えたw)  【2】ヨロコビの成長について☆ライリーが生まれた瞬間はヨロコビ一人しかいないのね。そのあと他の感情たちがやってくる。成長するにつれ感情表現が増えるっていうのが可視化されて面白い。そして、「ヤラレター!」と思ったのは、ヨロコビの成長過程。彼女はライリー脳においてリーダー格で「私がすべてを解決できる!」「私がいればライリーを幸せにできる!てゆか、私一人に任せてくれていい!」って言わんばかりの、ワンマンで鼻につく”自信過剰女”なのである。ネガティブ思考でウザったいカナシミを邪魔もの扱いし排除しようとしたりするなどの、カナシミいじめがひどい、いや~なタイプなのである。ある時には「おいおい、脳内の主人公がこれでいいんかい」と思ったり、ある時には「なにしろ、バックリとした思考と、ひたすら明るいのがヨシとされるアメリカ映画だからこうなるんかいな」なんて思ってた。しかしピクサーはそんな無責任じゃなかったのだ。ヨロコビはいくつかの経験を経て成長する。その最初は、ビンボンがカートみたいなのをゴミ捨て場に落とされて「うぇーん」と泣いている時だ。ヨロコビは「そんなの気にしないいいよ~さ~いこ~!」と明るさマックスで励ますが、ビンボンには効き目がない。しかしカナシミがそっと彼のそばにきて「そうだよね、悲しいね」と声掛けすると、ビンボンはすぐに立ち直る。おお!これぞまさに心理学でいう”傾聴”と”共感”による癒し効果ではないか。人間世界でもいるよね、一度も挫折した事なくて、明るくて、落ち込む相手がいれば背中をばんばん叩いて「飲もっ!歌って、遊んで忘れよ!」とか、全然わかってない感丸出しな人がw でも悲しい思いした人は同じ体験してるからこそ、落ち込んでる人に寄り添い、傾聴と共感によって相手の気持ちを全部吐き出させてクリアにさせられるのね。ヨロコビは「どうやってビンボンを立ち直らせたの!?」と不可思議そうな顔するけど、あそこでカナシミの存在価値は示されていた。 で、その後もすったもんだありで、ヨロコビは「カナシミあってこそ、ライリーは幸せになれるんだ」と気づく。かくして、思い出ボールは、それまでは感情ごとに5色のボールだったのが、”うれし泣き”なんかがあると、金色と青のミックスカラーのボールとか、他にも緑と赤のミックスとか、色(=感情)が複雑化するのね。そうか、人間は成長すると幼児期みたいに分りやすい感情表現じゃなくなるのって、こういう5つの感情がミックスされていくからなんだね。恋人がずっと連絡くれなくてしばらくしたら謝ってきて抱きしめてきたときなんて、5色全部混ぜのボールだろうしねw ピクサーの人達、ほんと想像力豊かだわ・・・【3】ビンボンの最後について☆ はい、泣きました。号泣。あれね、たとえ彼が助かったとしても、消えゆく手が治ったとしても、ライリーが大人になればいずれは忘れ去られてしまう自分をわかっていたのね。彼はピーターパンみたいなもの。子供の脳にしか生きていけないの。遅かれ早かれいずれは消えゆく存在。そうやって死期を察して、どうせ死ぬなら人のために命捧げましょう的な展開、もう、泣かずにはいれません。(なので、善玉キャラは全員生還ってのがお決まりのディズニー映画において珍しく復活しないキャラです)そういえば・・・ビンボンの泣きの場面は「グラントリノ」のクリントに泣けた時と同じツボだ。   ピクサー何周年かの記念作品だそうですが、地味に素晴らしい作品です。ピクサーは金あるから、あえていつもの手堅い子供ウケ路線でいかず、何周年かの記念だからこそ、こういう笑えて泣ける哲学映画をドロップしたんじゃないかな。   【短編について】ディズニー映画お約束の、本編前の短編作品。今回は太平洋を舞台にした恋する活火山の物語。こちらも10点!これ、数年前に76歳の高木ブーが26歳差の女性と結婚したニュースを映像化したんじゃないかと推測。
[映画館(吹替)] 10点(2015-08-21 18:23:25)
174.  日本のいちばん長い日(2015)
監督がこの映画公開にあたってのインタビューで、昭和天皇のことを  「監督という最高権力者でも宣伝部が作るポスターに口出しできないのと同じなんですよ」  と言っていて驚愕した。 命の生死を判断する国家権力者と、映画監督と、同じ土俵に上げるのは、戦争で亡くなった方々への冒涜行為だと思う。             「若い世代は戦争を学ぶ事を放棄している部分がある」とも言っていたが、それで作ったのが、ハーバート・ビックスの『昭和天皇』に対しての反論映画というわけで、自慰映画というふうにしか見えなかった。    本気で若い世代に戦争を学ぶことを放棄させないために映画を作るなら、天皇養護論の映画を作るのではなく、もっと戦時中に、食糧が日本から供給されず外地で戦友を食べないと生き残れないほどの状況になったガダルカナル島の映画や、食糧を女子供に食べられて減らないように女子供に自殺を強要したトラック諸島の映画、あるいは兵士が沖縄人の隠れていた壕を奪って沖縄人を追い出したり壕の中で赤ちゃんが泣くと米兵に気づかれるので親に赤ちゃんを殺害させたり、13歳からの少年たちをゲリラ兵として強制徴兵したり、現地の女子供や年寄りには爆弾を背負わせてヤリだけもたせてアメリカの戦車の下にもぐりこむ”斬り込み”という名の特攻を強要していた…そんな沖縄戦といった、本当の戦争の真実を描いてみたらどうなんだと思う。  天皇を国民の好感度の高い本木氏にやらせたのもあざとく、作品全体に「監督の自己満足」の一言に尽きる映画。
[映画館(邦画)] 1点(2015-08-18 20:12:22)(良:2票)
175.  プリズナーズ 《ネタバレ》 
ポールダノは、誘拐されちゃうわ、誘拐犯を疑われて監禁暴行されてボコボコの風船フェイスにされちゃうわ(イケメンが台無しwしかも最後らへんはもはや暗闇のなかで目だけしか映ってないし)、無事保護されて家族のもとに帰ったはいいがPTSDで知能が未発達だわ、ポールダノをイジめたおすドS映画。      やたらと神の言葉が登場しますが、神なんぞいないわけで、どんなに祈っても、助かるときはたすかるし、助かんないときは助からないわけで、「神への挑戦」といって誘拐をくりかえしてきたバアサンも、「神さま娘をお守りください」と穴で祈り続けていたヒューも、どっちも救いがたい、神という妄想にとわわれたプリズナーだなと、皮肉屋な私は結論づけました。  それはそうとして「オチがだいたい読めた」って誰一人言わせまいっていう作者の意地が激しすぎて”迷路”、”ヘビ”、”頭部を砕かれて埋葬されてるマネキン”、”ハエまみれのブタの頭”、”血だらけの幼児の服”、”家の外に落ちていた靴下”、”ミイラ化した何かの死体”・・・・など、すべて【目くらまし】のために散りばめられた演出項目が、えらく頭を使わせる映画でした。 もうね、いっそ、迷路の謎だけで1本映画作れちゃうんじゃねぇのってくらい意味深だったので、「ハイハイ、それね、昔さらった子供のPTSDってことだけです。ね?うまくだまされたでしょ?」ってもし作者に説明されても、「ムダに考えさせやがってコノオ!」ってはったおしたくなるような。 こういう目くらましは、オチがバレない程度の最小限度の数に絞るべきですね。 面白くなくて寝ちゃう映画ってのはありますが、この映画は面白いのに、あまりに頭を使わせる映画で見てて途中でヘトヘトになっちゃって、面白いのに寝てしまい、途中でハっとなってコーヒーをすすりつつ最後まで見たという、なんとも不思議な映画でしたw 
[DVD(字幕)] 6点(2015-07-06 19:08:12)
176.  マレフィセント 《ネタバレ》 
製作総指揮がアンジェリーナ・ジョリーということで  自分が産んだ子ではない子もわが子のように育てているアンジーとして  「自分の子じゃなくても母性は生まれるし真実の愛を与えることができるのよ」  という主張をサブリミナル信号で送ってきている作品。(多分)    ステファンがマレのことを刺し殺そうとしたけど、できなくてトドメをさせなかったことで、アンジーは闇に落ちた。  一方マレもステファンを最後は塔の上まで追い詰めたもののトドメをさせなかったことで、ステファンは塔から落ちた。  つまり、お互いに、殺すところまではできなかったことで、”お互いに落ちました”というオチもうまい。    お姫様を助けるのは王子ではなくそれ以外の女性…という設定は「アナ雪」と同じなわけだが、 女が男化し、”男頼りのハッピーエンドなんて時代じゃねぇ”という世相を受けて、おそらく今後のディズニー映画では男女の恋愛モノを扱った場合でも最後に女を助けるのは女というスタイルが定番化するのだろうか?  それはさておき、この映画を見て「マレフィセントを見る目が変わった」と思う人も少なくないと思うが、 英国俳優が演じたカラス坊がワイルドでステキすぎて、カラスを見る目が変わったのは私だけだろうか。
[DVD(字幕)] 8点(2015-07-06 09:08:14)(良:2票)
177.  A.I. 《ネタバレ》 
マイ号泣映画10選に入る最高傑作。  相当昔見たが、当時「イマイチ」と思った記憶があり、デイヴィッドが海底で観覧車で封印された所で「なんて暗くて重くて寂しい展開なんだ・・・」と、絶望感を抱きつつ見るのをやめていた。 (そしてあの暗くて救いようのない場面から想像して、バッドエンドだと思い込んでいた)唯一、ジュードのロボぶりがイケてた事だけは好印象だったのだけど。  あれから十数年。何も期待もせず「まぁジュードロボをまた楽しむつもりで」と見始めたところ…あれ?なんで?面白すぎる!  多分私、昔見た時には母性が不足ぎみだったのだ。でも母となり可愛い息子がいる今の自分が見ると、母の気持ちもデイヴィッドの気持ちも全て分り感情移入できるではないか。  デイヴィッドを愛している母の葛藤(デイヴィッドをイジメる実息子だが実息子だから大事にしないといけない。返品すべきだと言って譲らない夫も拒めない)も痛いほどわかる。  故障したデイヴィッドを修理中、立ち会った母が彼の手を心配そうな顏で握っていたが、一瞬手を離してその場を離れ、セリフなしで何ともいえない表情をする。 以前見たとき私は「機械部分丸見えな息子のボディを目の当たりにして、やっぱりなんだかんだ言ってもメカの息子だとリアルに感じて気分が悪くなったか」と思っていた。 でもあれは「メカなのに、ナゼこんなにも心配で傍にいてあげたいと私は思うの?私はメカ息子を心から愛してしまっているの!?」と、自分の中にあるメカ息子への愛に自分自身でも戸惑っている、そんな場面なのだと今ならわかる。  (再び戻りメカ息子の手をギュっと握る様子が縦モザイクのガラスを通して写っている印象的な場面を見逃すな!そして、その手を嫉妬の目で見つめるマーティンの表情も。)  肝心のストーリーだが、ハーレイ君のあどけないブルーアイズのせいで感情移入しまくり、海底に沈む遊園地でブルーフェアリーとご対面したあたりから涙が止まらない。  宇宙人が”複製するには体の一部が必要”という所で、デイヴィッドの傍にいたテディがあの髪の毛を出す場面でも号泣。 一日限りの母親復活でナレーターが「母は、夫もマーティンもいない中でとてもリラックスしてデイヴィッドといた」と話したときも号泣(やっぱり、夫やマーティンの手前、メカ息子と親密にはできなかったのだねと)。  そして母がデイヴィッドを抱きながら「ずっと愛していたのよ」と、2000年前には言えなかったことを、当時も愛していた(でも夫やマーティンの手前、素直に言えなかった)ことを伝えた所でまた号泣。  なんと、ハッピーエンドだったとは!  (ちなみに、母によるメカ息子への愛の告白は「I do love you.I have always loved you.」となっていますが、ここ、I love you (大好きよ)じゃなくI do love you (めちゃめちゃ大好きよ)と、高校時代の英文法の時間に習った”強調のdo”が挿入されてるのがミソです。  で、続くI have always loved youは、昔まだ同居してたときに夫や息子の手前言えなかったけど心の中ではあの時からずっと愛していて今もそうなのだよ、という現在完了形を使った愛情深いセリフであることもミソです。 (しかもデイヴィッドを抱き寄せて頬をくっつけ、耳元で囁く…ずっと心に秘めてきたことを打ち明けるように)  ついでにですが、DVDではメカ息子の一夜限りの復活を果たした母への最初の一声が「I found you」で、そのとき字幕では「やっと見つけた」ってなってましたけど、あれは訳ミス。 まだ同居してたとき母親が彼をクローゼットに閉じ込めたあとに罪悪感にかられて開けたときに息子に言った、かくれんぼに見せかけたセリフ「I found you(みーつけた)」の伏線の回収場面なんですね。そこ大事ですね。   ストーリーのテーマは、いたってシンプルな「愛」。それを近未来の、さらにはその後の2000年後で人類は滅亡し宇宙人が来ちゃう時代なんて相当ブっとんだ時空のシチュエーションでも、観るものにとって違和感なく入れる世界観として描ききっている。  2000年先まで描くのは冗長とか、そういう意見も多いが、いやいや、先ほどの母親復活で親子の愛情を確かめ合う号泣場面でもあるし、2000年後こそメリルストリープ様が声を演じるブルーフェアリーや、ベンキングスレー殿下が声を演じる宇宙人スペシャリストの声を聴く価値もある部分ですよ。   ちなみにジュードロウの”首を横に一回カックンしたらミュージックスタート!”は多分、マイケルジャクソンへのオマージュ。
[DVD(字幕)] 10点(2015-06-24 11:27:52)(良:4票)
178.  ヘアスプレー(2007) 《ネタバレ》 
この映画では「コニー・コリンズショー」は最後、黒人と白人が一緒に踊り白人至上主義のヴェルマはクビになって追放!メデタシメデタシ!なエンド。  でもこのショーのモデルになっていた実在の60年代の番組「バディ・ディーンショー」(映画同様2時間ワクで週6日放送されていた大人気番組)では司会者が黒人に対する差別化廃止を訴えたとたん番組が打ち切られたという真逆のバッドエンドだったのだ。  2枚組DVDの特典disc2をぜひ見てほしいのだが、オリジナル版を作ったジョンウォーターズが、その司会者を中心とした出演者(当時は高校生。今はおじいちゃん&おばあちゃん)の同窓会(そんなものがあったとは)で、その番組の不幸な顛末を聞いてこの作品のストーリーを思いついたそうな。  なるほど、それを思えば、社会的マイノリティを描かせたらピカイチのジョンが「美男美女がウケるティーンの番組でもし、チビデブが支持されていたら?」「黒人差別を廃止できず強制終了された番組がもし、黒人差別を廃止を受け入れていたら?」・・・といった、マイノリティーのポジティブな”if”を映画の中で現実化させたらさぞかし痛快になる。   ということで生まれたこのステキなストーリーだが、オリジナル版はB級味こってりだったので<知る人ぞ知る>な作品だったところ、後に舞台でミュージカル化されて知名度がアップ、そしてその<多くの人が知る>ミュージカル舞台版を映像化した今作は、ユニークな物語に実力派ベテラン俳優団と若手新人団が見事に融合した傑作だ。 しかも舞台版よりも多くの曲が追加され、躍動的なダンスシーンのオンパレード。それはアダム・シャンクマン監督が以前はダンサーで振付師でもあったことから来るそうで。とにかく痛快で”動的”な作品なのである。  かくして大量のダンス&歌が詰め込まれていたわけだが、私はまだまだ、あと5曲くらい増やしてくれてもまったく飽きないくらい。ゴスペル、ロック、モータウン、R&B、ラテン、ビッグバンドジャズなどなど・・・カラフルなケーキやお惣菜が食べ放題のように次々と目の前に並べられているような気分になる。  ジョントラヴォルタは、ママ役のオファーが来た時「女装した男じゃなくて本当の女に見えるようにメイクして」と条件をつけてOKしたそう。そういえばウォーターズのオリジナル版では、ディヴァインがママ役をやっていて、それはもう「ピンクフラミンゴのドラァグ・クイーンのまんまやないか!マツコデラックスやないか!」という見た目だったのだが(私的にはちょっとそれはカルト臭がして苦手だった)、この作品のジョントラは、オネエではなく、見事に女性になっていた。その身振り手振りやちょっとした表情も見事に女。やっぱり演技力最高ですね。   ザックエフロンのようなディズニーチャンネルあがりのイケメン若造俳優は私が最も苦手とする部類なのだが、この映画のあの額部分にフックがついているみたいなヘアスタイルといい、何かとウィンクしてくるヤサ男っぷりが素晴らしく、この作品を見てザックが好きになって、思わず「ハイスクールミュージカル」をずいぶんブームが去って今さらの時期に見てしまったくらいだった。  ラティファ女王も余裕の貫録。彼女は終盤あたりで「I know where I've been」という黒人差別についてシヴィアに歌い上げるゴスペルを披露するのだけど、他の曲がすべてアップテンポかミディアムな中で唯一スロー、そして他の曲がすべてオチャラケ系であるのに対してマジメ系・・・という点で、よりいっそう見るものはこのナンバーに心がフォーカスされるのではないでしょうか?  美魔女ミシェルもまた余裕の貫録&美しさ。49歳であのミス・ボルチモア時代の思い出シーンはすごいとしかいいようがない。  ウォーケンは動きが少ない分、細い表情の演技がとても素晴らしい。私は、ジョントラママに家を追い出されて店で寝ていたところにトレイシーがやってきて家のカギを彼に見せたとき「おぬし、やるよのう」みたいな表情をする彼が好きですよ。あと、ジョントラママがフリンジドレスで踊ってデカ尻をウォーケンに向けてブルンブルン振った時に「うっぉーうちの嫁タマンネー!」って表情で口に手をやるとことろも。彼のあの、サラリとした顔だからこそできる、絶妙な顔ワザではないかと。  そして私は「良い演技をするので好き」な黒人俳優は何人かいましたが「デートしたい」と思う黒人俳優はいませんでした。が、この映画のシーウィードには、ヤられました。ブラックベリーの味をお試し希望。
[DVD(字幕)] 10点(2015-06-16 11:15:02)(良:2票)
179.  鑑定士と顔のない依頼人 《ネタバレ》 
ヴァージルはビリーの画家としての才能を否定しつつも、オークションに出品された名画をビリーに安価で落札させた上で買い取り、自らのコレクションを増やしていく。このシステムで沢山集めた女性の肖像画コレクション。それらは、そのビリーを主犯格としたヴァージルと関わる数名のキャラによってあっさりと奪われる。  しかし犯人ビリーは名画が欲しかったわけではない。名画を売り払い大金がほしかったわけでもない。単に”自分の画家としての才能をヴァージルに認めさせたかった”だけなのだ。ここ大事。  そして彼の期待どおり、実際ヴァージルは彼を認める事となる。それはかつて「才能ないよ」といったそのビリーが描いたただのサギ用アイテム”クレアの母親の肖像”(クレアにそっくり)を、ヴァージルが家を売り払っても手放さず、ずっと大事にするほど愛でる事になったことで証明される。  「ビリー天才!」と口にしたわけではない。でも彼の絵が手放せなかった事は、クレアへの思いが前提にあるとしても、彼女を描いた絵が彼の心に訴えかけ、魅了するものである以上、結果的にそうした絵を描いたビリーの才能を認めてる事になるのだから。  見終わった直後は「ヴァージルは皆に裏切られ名画も持ってかれ何も残ってないわ。救いのない悲惨なエンド」と思った。  だが、いや、待てよ。この映画の英タイトルは「the best offer」(最良の出品物)。  とすれば?そう、女の肖像画に囲まれて精神的自慰に浸って、生身の女に恋を抱くことすらなかった、ましてやその肌に手袋を外して触れることもなかった”二次元萌え”のオッサンが一生に一度の恋を味わえたのだ。  それがたとえウソだとしても、あの時の高揚館・・・花束やドレスやメイク品や指輪を、愛する人を想いながら選ぶ時のときめき・・彼女の自分への思いが愛なのかどうなのかヤキモキする感覚・・他に好きな人いるんじゃないのって嫉妬心に燃える感覚、そしてメイクラブした時のあの頭のてっぺんからツマサキまでジワ~ンとする感覚、やっぱり彼女はボクが好きだった!と実感しプロポーズ作戦大成功した時の感激・・・そうした数々の【恋でしか得られないモノ】は、金で何でも手に入れてきた彼が唯一手に入れられなかったもの。これをを得たことは、たとえウソだとしても、そんなバラ色の体験を与えてくれたクレアは、彼にとって  <the best offer>(最良の出品物)  だったのだという結論に到達できよう。  ヴァージルはクレアというニセモノの恋心を持った出品物を見てbid(入札)し、最終的に手に入れた。 ヤフオクでニセモノのヴィトンバッグを買っちゃった人のように、彼女の恋心がニセモノだと後で分かったが、手にしていた間は最高の思いができたのだ。(何百枚の名画の女は、彼に感動は与えることはできても、恋する者だけが得られるこれだけの感情を与えてはくれないのだ!)   年月が経つほどにヴァージルにとっては、彼女が彼を本当に好きかどうだったかなんて、もはや関係なくなっていったのかもしれない。相手が自分を好きだったかではなく、どれだけ自分が相手のことを愛したか。そこが、一生に一度の恋の重要ポイントであることもある。最高の恋愛ってのは、なにも両思いでなくてもいい。片思いでも振られた恋でもいい。いかに深く愛せたかが重要なのだ。  彼は絵を全部持ってかれた後も金はまだあった。引っ越し先の立地(観光名所広場のそば)や内装をオーダーでする余裕などを見れば分かる。まだ”2次元萌え”オッサンであれば改めてまた名画の女性を集め直していただろう。  しかし彼は、ビリーによるサギ絵(ヴァージルにとっては事実上クレアの肖像画)1枚だけで良かった。100年価値を認められ続ける名画の女どもより、二度と会えない思い出の女性のほうが彼にとって100年の恋だったのである。いってみれば  ”2次元萌え専門だったキモヲタおやじが3次元の美女との恋に目覚めちゃってリア充  ~もうあの頃には戻れないボク~”  といったコピーでもつけたくなるような映画である。絵画、オークション・・・といった崇高な世界が舞台になってるから気品あふれる雰囲気の中で進んでいく話だが、要はそういうことだ。(いい意味で)    『適当な恋の3つや4つはしても、心に深く残り続ける一生に一度の恋をしたことのないまま死ぬ人間もたくさんいる中で、金で買えない、プレシャスな恋。それを手に入れたヴァージルは、実は幸せものなんだよ(さぁ、あなたも一生に一度の恋をしましょうか?)』っていうのが、この「the best offer」という映画のメッセージなんじゃないかな。
[DVD(字幕)] 10点(2015-06-14 15:19:19)(良:2票)
180.  サウンド・オブ・ミュージック 《ネタバレ》 
小学生の時  「ドレミの歌が出てるんだよね、見ておくかな」  …と、たまたまTVでやっているのを見た。 でも当時、ドレミの歌以外は興味なく、キザっぽいオジサンが「え~でるわぁいす♪」なんて歌ってるのを見てもピンとこず、ましてや後半の政治色の強いあたりになってきたらわけが分からなくなって、”面白くない映画”のグループ入りになっていた。  (といっても小学生なので、映画といってもTVで淀川さんや水野さんがナビゲーターをしていた映画番組で放送された中でのグループ分けだが…笑)  あれから30年。  今や、ナチスが絡む映画も大好きで、ミュージカルを含めて映画音楽の作品に寄与するパワーも理解し、また最近は若手俳優より渋い熟男な俳優が好みになってきた私が今、この作品がたまたまTVでやっているのを  「昔つまらないと思ったけど、いちおう有名な映画だし、見ておくかな」  程度の期待値であらためて鑑賞した。  それが何という事でしょう!!  見終わって「こんなにステキだったなんて!今日から”面白い映画”のグループに移動!」となった。  小学生の頃は見るのをやめてしまった後半も、ナチス関連の物語が好きな私には何の抵抗もないどころか、政治色が濃いというほど違和感があるものでなくむしろ「ワケあり一家の夜逃げドラマ」のような軽い仕立てになっていてその違和感もなかった。  まず、冒頭の丘の上に立つマリアにはるか上空から俯瞰でグワーっと迫っていく、あの場面でツカミはOK。当時はドローンなんてのもないわけで、ああいった演出を当時やることには相当勇気と予算が必要だっただろう。  「私のお気に入り」という歌は、どこかで聴いたことのある… そう、JR東海のあの印象的なメロディではないか。(この歌が文字通り私のお気に入りとなった)  そして、小学生のときは”キザなオッサンが歌う退屈な歌”だった「エーデルワイス」は、魅力的な熟男(今となってはかなり私好み。うふふ。)が歌うマロヤカなメロディとして私の心をわしづかみ。 (ちなみにこの歌、学校の音楽の授業で日本語で歌った時はシンプルな”お花の歌”だと思いこんでたが、エーデルワイスはオーストリアの象徴であって、反ナチ&オーストリア愛国者の彼が歌う愛国の歌だったのですね)  さらに、「さよならの歌」もまた、子供たちならではのユニークな演出コミでチャーミングなナンバーであった。 当初は子供がなぜ7人も!?と思ったが、ようはコーラス編成や、さよならの歌での演出で、最低7人のセットである必要性があったわけだ。  深読みすれば”7人の子とマリアを足して8人=音のオクターブ(8)”を象徴したかったのではないだろうか?  最後に主人公たちにおとずれた危機からの脱出に、シスター達が一役買っていたのは思わずニヤリ。  あまりにも有名で評価の高い映画だが、歌よし・俳優陣よし・ストーリーよしの三拍子がそろって大傑作であることは、やはり間違いない事実だと分かった。
[DVD(字幕)] 10点(2015-05-23 17:37:51)(良:2票)
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