1781. 穴(1960)
《ネタバレ》 絶対うまくいかないだろうなあ。誰かがしくじるか裏切るか。でも5人の信頼関係を見、ひたすら穴を掘る姿を見ていると、うまくいくはず、うまくいってくれ、と変わっていく。だから最初から判っていたはずのラストにショック。他の刑務所映画にあるような刑務所内の悲惨さの描写が無いので脱獄の必然性みたいなのが伝わらず、むしろゲーム感覚で脱獄してるように感じ、それがかえって脱獄ものというより友情ものと感じる。だから余計にショックなのかもしれない。 7点(2004-03-01 17:12:02)(良:1票) |
1782. オー・ブラザー!
素晴らしいアメリカ南部の景観の中にオバカが3人。美しい映像にオバカが3人。これだけでも面白い。ここに銀行強盗のベビーフェイス・ネルソン、悪魔に魂を売ったギタリストのロバート・ジョンソン(ですよね)、白人至上主義集団のKKKとミシシッピ-でその頃活躍(?)した人物たちがコミカルに絡む。ただコーエン兄弟ということもあってか深読みしすぎて疲れた。実際私には深読みして初めて楽しめる作品です。そして自分の無知さにがっかり。原作が「オデュッセイア」?知らない。きっと洗濯女とかカエルだとかも何か意味があるんだろうなあ。なんでもかなり沢山の古典映画を思い起こさせる場面もふんだんにあるらしい。今作を堪能できる人っていいなあ。マジで羨ましい。ジョージ・クルーニ-のケンカする時の構えは大いに笑ったけど。 6点(2004-02-27 12:30:56) |
1783. プレッジ
《ネタバレ》 警察官を退職しても執念深く犯人を追うという表のストーリーが丁寧に描かれてゆくが、その中で、第一線で活躍してきた男の特殊な緊張感の中でしか生きられない悲しすぎる性を描いた裏のストーリーが顔を出す。ショーン・ペンの映画は字幕を見る一瞬が勿体無いくらい映像にスキが無い。冒頭の鶏を追うニコルソンという圧倒的な画が、ラストでまた流される。物語のやるせなさがこの圧倒的な画に深みを与える。監督をはじめとするスタッフ、そして出演陣が完璧に仕事をこなした秀作だと思う。 <追記>ニコルソンはどこから狂っていたのだろう。アレが犯人だとして、さらに事故が無かったとしてたら、狂わなかったのだろうか。もしそうならこの映画はあまりにも面白くない。そうじゃない。あの事故はドラマを皮肉っているにすぎず、ニコルソンの執念はどこかから狂気へと変貌していたのだ。もう一度観たい映画。 [DVD(字幕)] 8点(2004-02-26 12:25:50) |
1784. BE FREE!
へちょちょ様に極めて同感!笹錦ってめちゃめちゃHがうまいんだぞー!アソコの大きさや硬さまで相手の女性に合わせて変化するんだぞー!なんで羽賀研二なんだー!!Hじゃない「BE FREE!」なんてクリープを入れないコーヒーみたいなもんだ!えっ?それって、いつも私がおいしく頂いてるやつだ。違う違ーう!ニンニクの入ってないギョーザみたいなもんだ。コレ、結構あっさりしてておいしかったりするんですよ。ち、違う違ーう! 2点(2004-02-25 11:25:03)(笑:1票) |
1785. 汚れた英雄(1982)
これ、ダビングしてパッケージまで自作したくらいだから結構好きだったんだろうな。今は中身はオジ-・オズボーンのライブに変わってるけど。レースシーン、たしかにあり得ないんだけどかっこいい!女とのカラミのシーンはストーリーの上ではとても重要(プライベートレーサーがワークスに勝つために金持ち女と仲良くなる)なはずなのに、お飾り的にしか映さない。これだったら一切映さないほうが良い。あと伊武雅刀の場内アナウンスも変。でもレースシーンはやっぱりかっこいい。ローズマリー・バトラーの歌う主題歌が懐かしい。 5点(2004-02-24 10:21:46) |
1786. 道(1954)
《ネタバレ》 ザンパノにとってジェルソミーナは妻であるとともに奴隷でもあるんです。お金で買ってるわけですから。なので現代の夫婦関係とは一概に比べられません。ジェルソミーナは何度も逃げようとしますが、ザンパノが自分のことを妻として必要としていることに気づかされザンパノと生きていこうと決めます。人に頼って生きてきたジェルソミーナにとって人に必要とされる喜びは格別に大きいのだろうと思う。お互いに必要としあう人間と出会うということは人生において宝である。ザンパノはそのことに気づくのが遅すぎた。人を人と思わないザンパノがそのことに気づいた時、初めて人間らしく涙する。やるせない。 8点(2004-02-23 12:37:42)(良:1票) |
1787. アメリカの友人
たしかに同じトム・リプリーでもアラン・ドロンとデニス・ホッパーじゃ全然別人ですね。でも「太陽がいっぱい」のリプリーも原作とはかなり違うようです。ニコラス・レイ、サミュエル・フラー、ダニエル・シュミットという巨匠と呼ばれる監督達を出演させたり、回転させると中の絵が動くおもちゃで子供が遊ぶという描写を入れたりと映画そのものへのオマージュを感じます。一応サスペンスになるのだろうか。どちらかというと男の友情物語っぽい感じがします。いや、友情でもないな。よくわからんけどなんかお互い惹かれ合う関係なんです。この”よくわからん”ところがなんとも消化不良感を持ってしまう。淡々と進むヴェンダース節は好きな人にはたまらないのかもしれないが、個人的には今作に関してはサスペンス度を上げて欲しい。移動する列車や自動車を追いかける映像、そしてなにげに映える空と雲がヴェンダースの映画を感じさせる。 6点(2004-02-20 12:44:46)(良:1票) |
1788. まわり道
普通、ロードムービーというのはその道すがらに起こる事件や同行者との葛藤等を通して、そこに主人公の成長が見られたり感動があったりするものだが、この作品にはそういったものが何も無い。実際にはいろいろなことが起こっているのに主人公が起こっていないと思っているから、何かが変わるなんてことがあるわけがない。旅をすれば何かを得れるだろうと思うのはとんだ間違いで、本人が何かを得ようとしなければ何も得ることは無い。最初から最後まで”まわり道”ですべて無駄に終わる。ロードムービーを否定したようなロードムービーである。私にはちょっと難しいのか、良さがあまり解からない。でも嫌いではない。印象に残るのは散歩道での延々と無駄に続く会話と景色。そして終始何も語らないナスターシャ・キンスキーの瞳。 6点(2004-02-19 13:56:28) |
1789. 都会のアリス
都会に毒された男が少女と旅をするうちに癒されていく、という感じだろうか。ヴェンダースのロードムービー三部作の一作目。ヴェンダース映画の子供達は皆純粋で愛らしいが今作のアリスは格別である。おとなぶってもやっぱり子供でそこがなんとも可愛らしいのだが、時々ドキッとするような表情をする。ひたすらに移動していく景色とアリスの表情でこの映画の大半を語っている。ヴェンダースにとって子供というのは天使のような存在なのだろう。大人が子供に触れることで大人も浄化されるのである。つまりこれも人間肯定映画なのだと思う。 8点(2004-02-19 13:08:17) |
1790. ホット・チック
おっさんに変わった女の子、女の子に変わったおっさん、なぜどちらもばか力なんだ?ロブ・シュナイダーのナヨナヨぶりっ子演技、元の女の子ってそんなだったか?まあコメディだから目をつぶるとして。ロブ・シュナイダーの多芸ぶりを観賞する作品です。個人的にはもう少し笑わせて欲しかった。あとこの展開ならもうちょっとお色気シーンがあっても..。もし私があの娘の体になったら...ムフフ..グフフ...デヘへ~....ハッ!失礼しました。一瞬私の体にエロ親父が入り込んでました。友人役のアンナ・ファリスは確かにかわいかった。マジで。 4点(2004-02-18 12:44:51) |
1791. アパートメント(1996)
《ネタバレ》 過去に突然消えた元恋人(らしき人物)を発見。婚約者も仕事もほっぽりだして必死で探す。うんうん、本気で人を好きになるってこういうことなんだろう。私もこういうことあったあった。と思ったら別人?なんか思ってたのと違う展開になってきたな。えーっ!モニカは謎多き女と思ってたらロマーヌの策略?結局ちょっと手の込んだ恋愛ドラマかよ!と思ったら、えーっ!なんでそーなるの?ま、まあ確かに一途な女には弱いもんだが、あんなにモニカに必死だったのに..ええーっ!結局そーなんの?・・・思い返せば結構楽しんで見れた。二人のべっぴんさんだけでも見る価値あり。男って結構ロマーヌみたいな娘に弱いんだよ。 7点(2004-02-17 10:52:55) |
1792. 愚か者の船
数日前にウチの二歳のやんちゃ姫にビデオデッキを壊された。修理に出すとへちょちょ様のプロフィールにてご推薦の今作放映に間に合わない。おそらくその日は飲みに行く。(飲みに行った。)いっそのことBS対応のものに買い換えを進言すると半分出せと。絶句!..でも買って良かった。なんといっても巻き戻しの速いのなんの..ってビデオデッキのレビューしてどうすんの!いやホント良かった。私も食事のシーンで画面の奥のビビアン・リーを発見してから後ろの方ばかり見てました(笑)。登場人物の多い作品では全てのキャラクターを描ききるのに結構苦労が見えたりするのだが、今作はいとも簡単に描ききっているように感じる。へちょちょ様のおっしゃられるように主役級の俳優を特別扱いしなかったからなのでしょう。これだけの登場人物を追っかけるのに疲れないのがなによりいい。うわべではわからない愚か者っぷりが見事にさらっと描き出されている。今作を推薦してくださったへちょちょ様はもちろんのこと、やんちゃ姫にも是非言いたい。ありがとう! 8点(2004-02-16 11:05:48)(笑:1票) (良:2票) |
1793. インディアン・ランナー
《ネタバレ》 白い静寂の画面を唐突に横切る逃走車とパトカーにまず驚いた。かつての悪童ショーン・ペン初監督にして脚本も担当。とにかく丁寧に作られている。映像もそうだが、人物描写が特に丁寧。丁寧すぎるくらいである。ちょっとした脇役にも手を抜かない。どういった町で主人公達がまわりからどう思われているかなどを解からせる重要な役割を担っている為の丁寧さなのだが、変な伏線を期待させるデメリットにもなっている。社会から逸脱した弟と警察官という社会の象徴である兄の物語である。兄は弟に幸せになって欲しい。弟だって幸せになりたい。しかし弟にとっての世間は冷たい。世間自体はそんなもんである。でも世間と接したことがない弟にしてみれば許せないのである。この破滅型の弟に少しでも共感出来る部分があればいいのだが、無ければこの映画は面白くないだろう。ラスト、兄は弟を捕まえない。救えないと察したのだろうか。会話無く別れる。なんともやるせない。 7点(2004-02-13 15:27:15)(良:1票) |
1794. ミラーズ・クロッシング
たしかに行き当たりばったり的にどんどんこんがらがった展開に持っていくストーリーはまさにコーエン流。ただコーエン兄弟の犯罪ものは犯罪とは無縁の人間が犯罪に絡んでいくのが面白いのだが、今作は犯罪組織が舞台のため本来もっと怖いはずなのに複雑なからくりのせいで怖さが半減してしまっているように感じる。せっかくの「コーエン流」が反対に作品を軽くしてしまっているように感じる。変に重厚感を出そうとせず(重厚感は感じないが)いっそのこともっと徹底的に軽いタッチで描いてくれたほうが良かったような気がする。 6点(2004-02-12 11:34:47) |
1795. クライム&ダイヤモンド
脱走方法にはかなり無理があるような気もするが、練りに練りに練りに練った脚本が面白い。ただこれだけなら5点くらい。「クライム」とあるのに全く緊張感や恐怖感が無いから。でもそういうの、要らない映画なんですよね、これって。いちいちニヤッとさせられる毒舌ジムの一言一言が最後までしつこく感じない。ラストは「えっ、やるの?..やっちゃったよ。」いい終わり方だ。毒舌ジムの私生活を覗いてみたい。 7点(2004-02-10 11:27:07) |
1796. ウォーカー(1987)
《ネタバレ》 アメリカの外交官ウィリアム・ウォーカーがニカラグアの自由主義国誕生を大義に軍部を掌握、反対派を虐殺、そしてついには大統領にまでなるという実際にあった話。ウォーカーの背後には運河を利用したいアメリカ運輸会社がおり、一見国家ではなくウォーカー個人の暴走にも見えるが、ネイティブアメリカンから土地を奪い今日まで侵略者であり続けるアメリカの一部であることは間違いない。実際この頃、中米の内紛には情報操作により戦犯も問われない大国アメリカとイギリスが大いに関与していたことは紛れもない事実。今作では国の介在がほとんど示されていない事に不満が残る。一見、愛する人の死がウォーカーを暴走させたようにも見えるが、それならそれでもっとその辺りを掘り下げてほしい。大量の鮮やかな赤の血のりもアクション映画っぽくて不満。興味のある題材であるのでそこそこ面白いとは思う。 6点(2004-02-09 11:48:12) |
1797. ヤング・マスター/師弟出馬
いやというほどジャッキー・チェンの映画は見てきたが、よくよく考えると映画館で見たのはコレだけだ。当時かなり期待して見に行きました。これまでの「○○拳」という題名から「ヤング・マスター」という横文字に新しさを感じたからです。欧米での知名度も上がりつつある中でここで一気にと思ったのではと勝手に想像してました。いざ見てみるとこれまでの作品と同じような内容にがっかりしました。(これまでの作品も面白かったんですよ。) 後に思うに、期待していた新しい試みというのは「ヤング・マスター」以降の作品から登場します。この作品はソコに行くまでにジャッキーがしておきたかったこれまでのジャッキー映画の集大成だったんです。これまでのありきたりプロットにカンフーアクションをぎっしり詰め込んだ、小技大技満載のこれぞジャッキー・チェンの根っこと言える映画です。 6点(2004-02-06 12:25:13) |
1798. アトランティック・シティ
《ネタバレ》 ”古き良き”から”新しき”に変わろうとするアトランティック・シティで”古き良き”思い出の中で生きる老人がある事件をきっかけに新しい人生の再出発を得るという話。登場人物それぞれの想いとアトランティック・シティという街そのものが、うまく、そして解かり易くリンクしながら話が進む。ラストで見せるバート・ランカスター演じる老人の自信に満ちた顔が清清しくなんともかわいらしいのだが、よくよく考えると、アンタずるくないか? 6点(2004-02-05 12:37:09) |
1799. 鬼火(1963)
主人公が自殺を決断し、決行するまでの心理を淡々と描く。絶望感がなんともリアルでやるせない。ただ、出会う人みんながやたら哲学的な会話をしているのに不自然さを感じる。フランスの人たちは一般的にああいう会話をしているのかもしれないが。 6点(2004-02-05 12:26:49) |
1800. 死刑台のエレベーター(1958)
犯行が計画どおりに進んだとして、なぜ犯行後すぐに人目につくカフェで待ち合わせ?ジュリアンの友人の男の存在も必要とは思えない。そういった疑問(不満)はあるがジュリアンと社長夫人の心理描写は秀逸。社長夫人の怒りとも不安とも言える心情をわざとらしい表情で見せず一晩中パリの街を歩き回らせることでうまく表現している。エレベーターに閉じ込められたジュリアンのあせりもこれまた表情では見せない。同時進行する社長夫人の描写、そして若いカップルの一見意味の無いドイツ人夫婦とのエピソードとジュリアンの置かれている立場との対比で展開のある外界と展開の無いエレベーター内をうまく表現している。ラストもなかなか。2つの殺人事件のそれぞれの犯人の行動に目を向けたとたんの、一度間違った発表をしてマヌケと思ってた警察の逆転劇。サスペンスとしては弱いが、秀作には違いない。 7点(2004-02-05 12:19:26)(良:3票) |