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鱗歌さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 3957
性別 男性
年齢 53歳

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1921.  トゥームストーン
本作についてはずいぶん前(多分本サイトが旧システムの頃)に書き込んだ(ハズな)のですが、駄文が行方不明に。もしや映画の神がお怒りになって消したのならゴメンナサイですが(投稿欄のすぐ下に「一度削除されると、該当の作品は二度と投稿できませんのでご了承願います。」と書いてますな…)。さて、我らが『カサンドラ・クロス』の監督でありながら、80年代は御用監督としてボンクラ作品を撮っていた、ジョージ・P・コスマトス。ようやくここではノビノビと楽しんで撮っているようです。史実を意識し、必ずしもヒーロー然とはしていないワイアット・アープ像。銃撃戦もリアルだし、実際、「OK牧場の決闘」なんてのはこの映画の通り、瞬時に終わったらしい。だけど、リアルでさえあればそれで良し、なんていう映画じゃない。ワイアット・アープやドク・ホリデイといった登場人物たちの由来なんかまるで描かず、いきなり、“その道の達人”同士が「おっす」「久しぶり」と顔を合わせる、この辺りは伝記映画なぞとは根本的に違う、むしろヒーロー映画らしさ。登場人物たちの表情をつないでいく演出のもたらす緊張感などは、マカロニ風味とすら言ってもよいかも知れない。後半の断片的な銃撃戦の描写なども、決して史実を再現するためだけの映画じゃない、という意思の表れでしょう。そしてこの“ヒーロー映画”において、ヒーロー中のヒーローは誰かと言うと、何と言ってもヴァル・キルマー演じるドク・ホリデイ、だわなあ。アイスマンとは似ても似つかぬ病弱ぶり、顔色悪過ぎ。この危うさゆえに、一種のモンスターのごとき圧倒的な存在感があります。どこか淡白なカート・ラッセルの飄々とした感じとの差がまた、良いのです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-10-12 01:26:55)
1922.  GANTZ
ええと、オジサンにはついていくのがなかなか大変なのですが。 ●まず、GANTZってのはきっと、がんばれロボコンに出てたガンツ先生のことだな。辛口の採点だし。それがこんな、モノリスの球形バージョンみたいな変わり果てたお姿に。 ●さわやか田中星人、これはさすがに田中星児のことなんでしょうなあ。こんな暴力的ではないハズだが(子供の頃、テレビで田中星児を見かけるとそれだけで無性にうれしかったなあ。そのくらい、サワヤカでしたね)。 ●バトルの合間に、ボソボソと聴き取りにくいセリフの小芝居が挿入される、これは『大日本人』のパロディなのか?まさか? ●仏さんにあんなことさせたら、バチあたりまっせ。面白いけど(笑)。しっかし、戦いをやたらぐずぐずと引っ張る割には、何の作戦も何のアイデアもなく、結局は銃で撃って退治するだけって、どういうこと? ●内容的には、ゲームで淡々とステージをクリアしていくような感じ。行き当たりばったりで、物語が進行とともに深まっていく要素がほとんど無い(無くは無いが、あまりにモノ足りない)。こんな状況で、to be continuedって言われても。……大丈夫か? ●という訳で、続きが楽しみです(笑)。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2013-10-08 00:25:01)(笑:1票)
1923.  ブロンコ・ビリー
『サーカスの世界』でジョン・ウェインがやってたようなコトを、クリント・イーストウッドがやってます。西部劇の世界を見世物興行として現代に蘇らせる。確かにそれは、ミスター西部劇とも言うべきジョン・ウェインという役者の生き様そのものかも知れませんな。そして『サーカスの世界』でのジョン・ウェインは、若い世代を見守るオヤジの立場でもありました。一方のクリント・イーストウッド、確かにこちらも西部劇の世界で重要な仕事をしてきたとは言え、“マカロニ経由”という特殊性もある。その彼が、作った本作は、ジョン・ウェインのようなオヤジの立場ではなく、上り調子の現役バリバリ、兄貴のような立場で、「オレについてこい」と見得を切るかのような。さらには「自分だって生まれついてのカウボーイじゃない」「誰でも、なりたいものになろうとすることが大事なんだ」と我々に呼び掛ける。まあそうは言っても現実の生活で夢を追うには限界があるからこそアナタの映画を観るんですけどね(笑)。とりあえずはそういう、明るい作品で、例によって俳優としては苦虫噛み潰したようなシブい顔してますけれども、映画の作り手としてはユーモリストの面が出ています。またしても助手に逃げられた主人公、「どこかにいい助手はいないかね」というところで場面転換し、およそ助手に最も似つかわしくない女性のエピソードを白々しくも入れてくる可笑しさ(ソンドラ・ロックが演じてるんだから、この後二人が出会うに決まってるし、助手になるに決まってる)。果ては「列車強盗をしよう」なんてくだりは、西部劇というよりは、まるでドン・キホーテ。何ともバカバカしく、ちょっとペーソスも感じさせます。あと、脇役ながら見せ場たっぷり、ジェフリー・ルイスの大活躍も見逃せません。……ところで本作のラストは、「星条旗に包まれる」という誠に結構な終わり方なのですが……コレ、日本に置き換えた場合、「日の丸」でも成立するんだろうか?
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-10-07 00:20:37)(良:1票)
1924.  ターミナル 《ネタバレ》 
昔、『E.T.』って映画があって、これはエリオット君を中心に観るからこそ感動するんですけれども、間違ってE.T.氏の方を中心に観てしまうと、ああ何とマヌケな宇宙人もあったものよ、ってな事になっちゃう。そうは言っても、E.T.氏にだって、地球に来た目的もあれば夢もあり、故郷には親もいるだろうし、ひとり異国ならぬ異星に残された悲しみもあれば、エリオット君と出会いについての感慨もあるんでしょう。という訳でE.T.の方を中心に持ってきたような感じなのが、この作品。故国の動乱のため、空港に9か月も止まることになった男のオハナシ。最初は殆ど英語がわからず会話もままならない、「ええい、筆談すりゃいいやんか」と言いたくなるのはまあ私もヒアリング能力ゼロだからで、いやいやいや、筆談なんかでコミュニケーションできちゃったら、映画として面白くないですから、コレでいいんです。限られた舞台ですが周囲の登場人物たちのユニークさ、エピソードには事欠かず映画は快調に進みます。異邦人たる孤独な主人公、しかし映画が進むにつれ、みんなそれぞれ多かれ少なかれ、異邦人の要素を持って生きてるんだなあ、と。しかし、最後についに空港を後にする主人公、あまりにサバサバしていて、うーん9カ月も住んでたらもうちょっとこの「場所」に愛着が沸かないもんかな、とも思っちゃう。この辺り、映画の描き方自体がサバサバしているんです。人間関係を中心に描いているもんで、この映画の舞台である空港という「場所」への思い入れが、あまり見られない。私はどうも「場所」フェチなのかもしれず、ちょっと肩透かしな感じもしてしまう。しかし、この主人公は、私なんぞの軟弱者と違い、胸を張って決然と空港を後にする。それは父のため……そういや、『E.T.』のエリオット君には父親がいなかったっけ(いるんだけど不在)。エリオット君は一連の事件を通じて成長する、旅立ちの物語でもあったけど、本作の主人公は、父を愛し、故郷を愛し、祖国へと帰っていく。スピルバーグも(当然ですが)大人になっていくのです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-10-05 17:49:11)(良:1票)
1925.  フランケンウィニー(2012)
またまた風車小屋燃やしますか、燃やさなあきまへんか。律義ですねえ(笑)。秘密の実験により、死んだ愛犬を蘇らせてしまった少年、本来であれば、世間から隠れ、追いやられ、つまはじきにされる少年と犬の姿をもっと中心的に描いてしかるべき作品なんでしょうが、途中から完全に違う方向に暴走しちゃって、とってもイイ感じ。怪奇映画であると同時に、少年と犬の冒険物語の要素が、大きく膨らんでます。しかし、ただ暴走している訳じゃなくって、死んだ者を蘇らせるという禁断の行為を、それを戯れに行ってしまった友人たちに関しては否定的に描くための、大暴走クライマックスな訳で、これに対比する形で、主人公の少年のペットに対する愛が肯定的にクローズアップされる。ま、正直、あの犬の造形に関しては、ボンレスハムの類に見えて仕方ないんですけれども。しかし、見事すぎる人形アニメ技術。ここまでくると単に感心しててよいものやら、人形アニメ「らしさ」って一体何だろう、と戸惑いも感じます。昔の、多少ギクシャクしていたストップモーションアニメが懐かしくもあり。本作で、一部(背景の脇役などに)いくぶんギクシャクした動きが見られるのは、あるいは意図的なものなのかも知れないなあ、などと思ったりもします。
[ブルーレイ(吹替)] 8点(2013-10-05 11:54:58)
1926.  ゲットバック
8年前、強盗団のリーダー格だった主人公、1000万ドルを盗み出すものの逃走に失敗、ひとり刑務所へ。刑期を勤め上げ出獄した主人公、しかし彼を恨みに思うかつての強盗仲間が、彼の娘を誘拐し、金を要求する……。こういう題材で、観る者をシビレさせようとしたら例えば、銀行強盗のシーンが前半と後半で2回ある訳ですから、韻を踏むように両者を関連させて描くのがよいでしょう。ただし、2回目は、1回目を踏襲しつつも、より絶望色を強め、悲愴感を伴って描く。しかるに本作。そういう構成上の計算なんて興味無し、「同じコト2回見せてもしょうがねえ」とばかりに、2回目の強盗シーンは単なる「新しい手口の披露」の場と化してます。実にアッケラカンとしてますねえ。とりあえず次から次に色々見せてやろう、これが本作の姿勢。ニコラス・ケイジの姿を描き続けても、そんなカッコよく動ける訳ではないから(彼が「走る」シーンが何度も出てきますが、そのうちのひとつのシーンで、我が家の幼稚園児が「おそい!」と言ってました。私も同感です)、埋め草的に、娘が脱出を試みる描写なんかも適度に混ぜ込んでみる。いや、悪くないと思いますよ、言ってみりゃ、埋め草だけを繋いで映画一本作っちゃった、という感じでもありますから、この手腕、これはこれで大したもんではないでしょうか。こういう映画も世の中に必要なんです、きっと。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2013-10-05 09:55:45)(良:1票)
1927.  増える賞金、死体の山
映画冒頭からいきなり激しい銃撃戦。北軍の部隊が悪党どもに襲われ、大量の武器と軍医の娘が奪われてしまう。その裏には、メキシコで自らを皇帝と名乗る(アホの)ロペス将軍の影が。そこで立ち上がったのが、3人の軍人と、主人公たる謎の賞金稼ぎ“コーラン”。アラーの神を信奉しているらしいけれど、本当にイスラム教徒なのかどうかは怪しいのですが。ま、ストーリーはどうでもよくって、お楽しみは映画に登場する数々のギミックです。まず、主人公愛用の若干オマヌケな日傘。これが実は、マシンガンが仕込まれているという、小学生なら大喜び間違い無しの代物。主人公第2の武器は、やたらに長いライフル銃。いや一種のバズーカ砲みたいなもんで、葉巻のような巨大な弾丸を発射し、着弾すると爆発します。軍人たちも負けじと、水筒爆弾やらパチンコ爆弾やら。ドッカンドッカン、派手にやってくれます。最後は、ハッピーエンドなのやらそうではないのやら、何とも中途半端な気分になる終わり方なのですが、製作者の意向としては基本的に、明るく楽しい痛快作、が狙いなんでしょう。さあ皆さんも頑張って痛快な気分になってみて下さい
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-10-05 09:10:37)
1928.  キラーカーズ/パリを食べた車
ずいぶん昔、劇場未公開である本作がビデオリリースされた時に某雑誌で紹介されてるのを見かけ、掲載されていたトゲトゲカーの写真にいたく興味を引かれたまま、見る機会がなかなか無かったのですが……何となく、デヴィッド・リンチ作品みたいなのを想像してたのですが、当たらずとも遠からず、しかし『2000人の狂人』とかの方が近いかも知れない。そして『マッドマックス』を生み出したオーストラリア映画らしく、クルマを題材にすると、とっても変に(アホに)なっちゃうんですね。そういや、ジャイロキャプテンそっくりな変なヒトが出てるな、と思ったら、本人でした。さてさて、「パリを食べた車」となっておりますが、パリってのは某国の首都のことではなく、映画の舞台となっているさびれた町の名前。別に車に食べられる訳じゃなく、むしろ、この町の方こそが、クルマを食べて生きているかのような。この町を通りかかった車はきっと謎の事故を起こす。車は町の住人によって解体され(どこかロメロのゾンビに繋がるものが)、すべては闇から闇へ。という変な町でして、やはりこの町で事故を起こし、心に傷を負った主人公、町から出ることもままならず、この奇妙な町に取り込まれていっちゃう。で、この後、「しかし住人たちの悪だくみは意外なところから瓦解し…」という展開になるのなら、まあ普通の映画。本作は違って、さらに訳がわからず、そこがまた振るってます。クルマというクルマを食いつくしていくようなこの町でも、さすがにこれは食えんわい、というポンコツ車軍団が登場、住民たちと対立した挙句、ついに、舞踏会の晩、ポンコツ車集団が町に襲いかかる!! で、その中心にいるのがハリネズミのようなトゲトゲカー。このトゲトゲ、一見ウレタンか何かで出来てそうな頼りない感じなのですが(予算的なもんなんですかね)、心配ご無用、我々の期待を裏切らず、ちゃんと人間を突き殺す凶器になりうる優れモノ。まーたいがい訳のワカラン作品ですが、おそらく、このトゲトゲカーを思いついた時点で、ピーター・ウィアーは「これは傑作になる」と確信したのではないでしょうか、実際、私も映画史に残る(残るかも知れない・できれば残してあげたい・やっぱ無理かな)クライマックスだと思うのですが、どうでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-10-05 00:24:42)
1929.  宮本武蔵 巌流島の決斗 《ネタバレ》 
吉岡一門との対決を制し、「後悔せず!」と叫んでみせた武蔵、しかしどうみても後悔しまくりなんですね。身寄りの無い少年の面倒を見るあたりは、罪滅ぼしといったところでしょうか。しかし、これまでの戦いで武蔵が得たものは、何だったのか。剣豪としての名は広まり、細川家指南役という話も舞い込むが、それではまるで、吉岡一門をギタギタにし子供の命まで奪ったのは、就職活動のためだったみたいではないか。と言う訳で、武蔵はスタコラサッサと旅立ってしまうのだけど、いくら逃げても肩書の方が追いかけてくるのが、有名人のツラいところ。一乗寺下り松の石仏、過去の妄執もまた武蔵を追いつめる。ついでにオババも武蔵を追いかけてきちゃったりして、最後の対決の場に武蔵を待ち受けるは、小次郎か、オババか。さあここから先は、ネタバレもヘッタクレもありゃしない、誰もがお馴染みの名セリフに名対決(小次郎が「卑怯」と罵る通り、武蔵は最後まで心理攻撃の手を緩めない。いやあ、卑怯だなあ)。剣の道に対する武蔵の疑念が、一種の諦念の形で確信に昇華されて5部作は幕を閉じます。シリーズ中、特に見所が多い作品でもないかも知れませんが、さすがにこの最終作を見ないことには、落ち着いて眠れませんからね。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2013-09-29 11:58:04)
1930.  シェナンドー河 《ネタバレ》 
『馬上の二人』で、さらわれた人々の救出に向ったジェームズ・スチュワート。今回もまた、同様のテーマですが、作品の中に見られる対立軸は、さらに厳しいものとなっています。今回の彼は、妻を亡くした身とは言え、6男1女、さらに息子の嫁もいて、まさに“大家族スペシャル:アンダーソンさん家が大変だ”状態(ああいうTV番組、観たことありませんが…)。家族というより、プチ国家なワケで、南北戦争時代、南軍にも北軍にも与せず、教会とすらもやや距離をおいて“独立”を保っている。いわば、家族vsそれ以外、という対立軸の中で、末っ子がたまたま南軍兵士の帽子を拾ってかぶっていたもんだから、北軍に捕えられ捕虜になってしまう。で、息子たちとともに、末っ子奪還を目指すのですが、映画に「捜索モノ」というジャンルがあったとして、こんな切り口があったのか、と思わせるテーマです。「内部」から「外部」へと連れさられたとは言え、「内部」とはあくまで家族という極めて小さな世界、それに対し「外部」とは社会そのものとも言える訳で、絶望的なほどに明確な「周囲との対立」が描かれています。アンダーソン家は国家であり、息子たちは国民であるとともに兵士であって、それがアンダーソン家のアイデンティティであると同時に、悲劇の始まりでもある。家族のあるものは暴漢に襲われて命を落とし(犯人は逃亡)、またあるものは戦死するも殆ど事故死に近いもの。勧善懲悪や因果応報とは無縁の、無念の死としか言えないもので、まさに、独立するということが内在的に抱える悲劇性そのものの表れでしょう。そう言う訳で、ともすれば暗い展開に流れるのですが(息子たちを軍隊になぞらえた時点で予想された展開とは言え)、最後は、教会に突然、末息子が帰ってくる、という奇跡にが起こり、今まで不信心だった主人公が積極的に讃美歌を歌う姿で、映画は大団円を迎えます。ただし、コレ、周囲との和解というよりは、神との和解、というラストですから、私のような不信心者にはちょっとピンとこない部分もあるのですが。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-09-29 09:48:58)
1931.  ローリング・サンダー(1977)
『タクシー・ドライバー』って、ホント、出来過ぎというか、とにかくキザな映画ですよね。いっそああいう映画を嫌いになれれば、と思わんでもないけれど、やっぱりあの作品には逆らえない(笑う)。さて同じくポール・シュレイダーが脚本を書いた本作、『タクシー・ドライバー』の二番煎じみたいな扱いですが、あちらのトラヴィスが最後はウルトラマンに変身したのに対し、こちらの主人公は、フック船長になります。最後に待ち受ける狂気の大殺戮は共通ですが、一応の体裁は復讐譚である本作、まあ、ナンボかは正常と言えましょうかね。しかしここには、復讐譚らしい“怒り”は存在していません。ベトナムから帰還した主人公に対し、『ランボー』のような周囲からの攻撃もある訳ではなく、戦場から持ち帰った「狂気」を内に秘めた主人公が、あえて自らを疎外者の立場におきながら、粛々と復讐の道を進む姿が描かれます。一方で、彼に関心を寄せるオネーチャンがいて、主人公とはまるで異なる人生を歩んできたとは言え、彼女もまた、親から鼻つまみ者の扱いを受けてきた疎外者のひとりであり、銃をぶっぱなして怒りを爆発させることで、主人公と通じ合う。そして復讐という戦場に戻っていった主人公、オネーチャンは警察に通報しようとして、それをやめるのは、彼女もまた心に傷を負った者として、主人公を理解した、ということなのか。……うーん、何だか本作も、充分、キザではないですか。素晴らしい(笑)。
[DVD(字幕)] 8点(2013-09-29 08:34:24)
1932.  宮本武蔵 一乗寺の決斗
一乗寺下り松。わたしゃ子供の頃に、武蔵が地形と敵の配置を書いた紙を布にくるんで鉢巻にするのを見て、ああ、覚えにくいことはこうやれば頭に入るのか、とエラく納得したもんでした。が、ホントに効果があるのかどうか、この歳になるまでまだ試したことはありません、ハイ。本作、吉岡一門との最終決戦が描き、伝七郎との対決あり、73対1の壮絶な死闘あり、五部作の中でピークをなすような作品ですが、その分、やや大味な感じが無くも無く。ただ、武蔵が主人公とはいえ、本作ではむしろ武蔵の理不尽な挑戦によって滅亡の道を歩む吉岡一門の悲劇がクローズアップされ、一方の武蔵もまた、下り松での決闘は不本意な文字通りの“泥仕合”となった上、比叡山の坊さんに、鬼、悪魔と罵られる。一体、この戦いに勝者はあったのか。という、一大バトルを描きつつも、剣の道に対する信念の揺らぎをも描いて、これはもう何が何でも最終作を観なければ(笑)という気分にさせてくれる、なかなかに「お上手」な心憎い作品でもあります。ところで、小川べりを歩くシーンは、上賀茂神社でしょうか。伝七郎との対決の場面は、三十三間堂ですね。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2013-09-24 22:07:54)
1933.  長靴をはいた猫 80日間世界一周
ハリウッドのシリーズ映画ってのもバカにできないのは、ちゃんと「前作以上のものを」と、完成度の高低はともかく、手間暇コストはかけて頑張ってます。噂によると初期のスタートレックシリーズなんかは例外のようですが。あ、あと『スーパーマンIV』、あれはもう完全な事故ですね(笑)。で、この、我らが『長靴をはいた猫』シリーズ。3作目に至って、クオリティの低下は明らか。何しろペロの声がなべおさみ、だなんて。って、それはどうでもよろしい(TV番組「生きものばんざい」を楽しんで見てた頃は、まさかあんなに悪いヒト(笑)だとはつゆ知らず)。そうではなくて、アニメーションのクオリティ。テレビ向けのような作業効率優先が感じられ、惰性によるシリーズ化、何かと制約が多くなってしまうのか。しかししかし、やたらと世界一周の行程が早く描かれていくと思ったら、クライマックスに見せ場が待っているのですね。手に汗握る、時計塔での追いかけ合い。世界一周の旅を約束の期限内に終えるには時計台に登らならければならぬ、それを何が何でも阻止しようとするモンスターのようなグルーモン卿。第一作『長靴をはいた猫』の圧倒的なクライマックス、あの興奮を蘇らせたいという作り手の思いが伝わってくる、見事なシーンだと思います。
[DVD(邦画)] 7点(2013-09-22 09:06:00)
1934.  忠臣蔵外伝 四谷怪談
はいスミマセン、タイトル見ただけで、この作品避けてました。「一粒で2度美味しい」というか、それとも「一粒で2度不味い」というべきか、片や夏の定番、片や冬の定番、まさに2大定番ともいうべき企画を強引に混ぜ合わせて複雑極まりない化学反応を起こさせる。「盆と正月が同時にやってきた」という表現がこれ以上マッチする作品って、無いんですけどね。何かしっくりこない(笑)----「ヌードも厭いません、必然性があれば」ってな事を言ってる新進女優の皆さんに訊いてみたいのは、「この『忠臣蔵外伝 四谷怪談』で脱ぐのって、アリ?」。観たところ、高岡早紀のデカパイを「こんなにデカイんです」と見せたかっただけのような気もするのですが。騙されて変な薬飲まされちゃう高岡お岩さん、堕胎したり顔がただれたりするだけじゃなくって、いっそ自慢のボインがドカン!と爆発したら、さぞかし迫力があったのではないかと。----蟹江敬三が美剣士に(笑)。素晴しいキャスティング、驚くべき発想力。深作映画における蟹江敬三と言えば、何と言っても『蒲田行進曲』の監督さんですよね。あの監督さんを思い浮かべつつ、本作の蟹江敬三を見てると、「さらに」笑いがこみ上げてしまう。----冒頭、松竹映画の富士山に、何故かあのお馴染みの「♪(ダァン)O Fortuna~」という合唱が流れてきて、さらにまさかの「松竹創業百年記念作品」の文字が。そういうこと、なんだそうです。これはもう、松竹を象徴する作品、と呼んでもよい(んですよね?)。いや、どっちかというとノリは角川映画なんですけどね。春樹氏は前年に逮捕されていたのであった。----どうもこの作品の伊右衛門を見てると、昔話の「うらしまたろう」をちょっと思い出してしまうのですが、それはともかく、本作、悪趣味なまでの奇抜な作風の中に、忠臣蔵というお祭りからドロップアウトした異端者の哀しみのようなものがにじみ出ていて、でもあくまで感傷的にならずにオドロオドロしたまま突っ走る。ユニークで(意外に)芯の通った作品でした。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2013-09-21 02:08:20)(良:1票)
1935.  ウェイバック -脱出6500km- 《ネタバレ》 
この映画を前にすると、「意外なオチ」を売りにするドンデン返し映画が、可愛く思えてきますね。この映画の“オチ”ほど凄まじいものは、なかなかお目にかかりません。全編にわたり、過酷極まりない逃亡の旅路が描かれ続け、最後はようやく目指すインドに辿り着く、しかも映画冒頭で「3人は最後に助かる」ことが我々に最後に我々に告知されていた訳だから、まさに待ちに待った“旅路の終わり”であるハズなのですが……映画は、彼らの歩く足元を見つめ続け、彼らの足も決して止まることはなく、そこに戦後の東欧の歴史がオーバーラップする。主人公がついに故郷へ、家へと辿り着いた時には、すでに年老いていて……つまり、映画で描かれた艱難辛苦は、実は、故郷へと至るまでの彼らの長い長い旅路の、序章に過ぎなかった、ということ。なんという残酷なオチ。とにかく、もの凄い映画でありました。しかしまた、壮絶で過酷な自然が、どこか憧れをもって描かれているようにも感じられるのが、本作の不思議なところなのですが。
[DVD(字幕)] 9点(2013-09-17 20:50:55)
1936.  コロンビアーナ
リュック・ベッソンという人、世紀が変わる前にはそれなりに独特のポジションにいた(要するに「作家」だった)と思うのだけど、2000年前後あたりから、大量の作品のクレジットに名前を連ねるようになって、ワケがわからなくなっちゃった。単なる「ハリウッドに負けるまじ」で突っ走っているような(まあ実態はハリウッドに片足突っ込んでるようなものかも知れないけど)。そもそも、あれもこれも「脚本:リュック・ベッソン」となっているけれど、ホントに自分で書いてるのかよ、と言いたくもなる。まさかそのギモンに答えるため、という訳じゃあないだろうけれど、「確かにワタシが書いてますよ」と言わんばかりの作品が、コレ。『レオン』から始まって『ニキータ』になり、途中『ヤマカシ』風味も加わったかと思えば、ジェット・リー起用作品やトランスポーター・シリーズを思わせる格闘シーンもある。さらにフィルモグラフィを遡って、ベッソンといえば“海”でしょ、と思ってたら、サメが出てきたのは関係あるのか無いのか(無いでしょ)。という、いかにもベッソン好みという感じの要素に満ち溢れた作品で、ああ、やっぱりこういうのを描きたいんだよね、ハリウッドへの対抗意識ばかりじゃないんだよね、と。いっそ、今後はこのまま同じような作品を作り続けてもいいかも知れない。目指せ「フランス映画界の小津安二郎」。全然違うけど。
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2013-09-16 13:30:10)
1937.  沓掛時次郎(1961)
任侠モノとも思えぬ雷蔵の異常なサワヤカさが、目に眩しい……。池広一夫監督というと、マチャアキが孫悟空やってたテレビドラマ『西遊記』の、とりわけヘンテコな内容の回を演出していたとの印象が強いのですが(この偏った印象もどうかと思うけど)、本作ではどうしてこうも無難路線に走ってしまったのか。何しろこの雷蔵時次郎さん、いいヒト過ぎて、というより、「いいヒト」であるかのように作られ過ぎてて、ワケがわからない。まあ、この作品、お茶漬けのようにサラサラと楽しめれば、それでよいのかな、とも。志村喬が出てきて、杉村春子が出てきて、まるで黒澤映画と小津映画の片鱗を大映作品で味わえちゃった、みたいなちょっとしたお得感(?)はあるかも。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2013-09-15 12:42:41)
1938.  おおかみこどもの雨と雪
“前置き”がどこまで続くんだろうと思って観ていると、そのままのノリで最後まで行ってしまう。様々な物語が織り込まれてはいるけれど、印象としては、イメージビデオみたい。アニメ技術の進歩に対する驚きは感じるけれど、それはあくまで技術の話。この過剰な技術「なのに」と言うべきか「ゆえに」というべきか、このエピソードの羅列に近い構成、いわば行間が開き過ぎたような語り口には、不満も感じざるを得ないのです。と同時に、技術と物語が見事に噛み合った瞬間、というものも確かにあって、感動を呼んだりもするのですが。 さて、本作でとりあげられる、人狼というやつ。『ハウリング』なんていうアホ映画ですら、日蔭者の哀しみが描かれていて、人狼ってのはマイノリティの象徴みたいなもんですな。本作もその路線を引き継いでいるとは言え、ちょっと捉え方が違っている。主人公たちは、社会に圧殺されるだけの存在ではなく、主体的に生きる道を選んでいる。無論、自宅出産のくだりなどは、「未受診妊婦」という社会問題と結び付けて批判する向きもあるだろうけれど、しかしもう少し視野を広げれば、世界のどこでも・歴史上のいつでも、妊婦は産院で出産している訳じゃない。無論、社会常識には相応の根拠理由のあるものが多い(あくまで「多い」だが)けれども、社会とはまた、多分に相対的なものなのですね(そしてまた、本作に登場する児童相談所員に見るように、社会自身は自らの絶対性を信奉する。自らの相対性を認めては社会は成立しない)。だから、主人公一家は、社会の中で、あるいは社会そのものに対し“選択”を行う。いわば“選択すること”についての物語。選択に伴う、希望と別離の物語…。この作品に対する不満とはすなわち、その“選択”を本当に肉付けするエピソード、選択のための“決断”と選択結果への“過程”のエピソードに欠けている点、なのでしょう。何となく田舎に移り住み、何となく掃除と修理に励めば、気が付いたらボロ家が立派な屋敷と化す。何となく畑仕事に励めば、何となく助っ人が現れ、うまく行ってしまう。描写が象徴的過ぎて、物語を支える具体描写が少なく、その結果「実際にはそんなうまくいくかよ」と感じさせてしまう面があるのではないでしょうか。 しかし、時に象徴的描写は素晴らしい効果をもたらします。最後の別離が、滝が流れ落ちてくる山の頂に向って描かれるのは、素直に感動しました。
[DVD(邦画)] 6点(2013-09-15 08:57:44)(良:1票)
1939.  八甲田山
新田次郎の小説「八甲田山死の彷徨」の息詰まる迫力というのは、克明な描写がもたらす“記録文学っぽさ”に大いに由来しているだけれど、その一方で、作家の想像による補填というだけではない明らかな創作も多々含まれていて、実際の事件に取材しているとは言え、登場人物の名前は皆、実在の人物から変えられていたりするのですな(その前に書かれた短編「八甲田山」ではまだ、それこそ作家の人生観を反映させるような創作は目立たず、雪山の恐怖を描く事自体に主眼があったものの、この時点ですでに名前の変更が行われている。一部の名前は「八甲田山死の彷徨」でさらに変更されている)。で、まあ、この映画もあくまで、小説「八甲田山死の彷徨」の映画化作品なワケです。青森第五聯隊と弘前第三十一聯隊の運命を、やや残酷なまでの対比をもって描かれるのですが、一方で、やはり役者が身をもって演じる“映画”ならではの、同情というか優しさのようなものも感じさせます。何しろ、雪山ロケの、どこまでが演出なのか(それとも演出など有って無いようなものなのか)わからぬトンデモナイ過酷な光景が延々と続くのですから、「ちょっとイイ話」的なセンチな要素も、映画に入れたくなるってもんでしょう。そのくらい、この映画は、やり過ぎです(笑)。カメラのレンズにまで雪が積もってませんでしたっけか。本当に撮影中に死人が出なかったのだろうか、なんぞとついつい心配してしまう、猛烈に我々に訴えかける力のある映画(映画の完成度とか何とかはそっちのけで)。そんな訳で、必ずしも記録文学とは言えない原作に基づいて、ある意味“記録映画”な作品が出来ましたとさ。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2013-09-11 22:29:34)
1940.  国定忠治(1946)
ご存じ、忠治親分の大活躍……と思いきや、正直、あんまし活躍してません。作品が作られて70年近くも経ってから言うのも何なんですが、もうちょっと戦後の日本を元気づけるような活力あふれる作品になってても良さそうなもんですが、GHQの陰謀なのか、それとも、予算不足、準備不足、はたまた、やる気不足なのか。70分ほどの短い作品ながら、工夫も盛り上がりもあんまり無くって、ちょいとつらい。これは“スランプに陥った国定忠治を描いた作品なのか”とでも言いたくなる…。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2013-09-05 23:18:43)
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