1961. アイ,ロボット
「ロボットの叛乱」、それはもはや使い古されたプロットかもしれない。しかし、この映画は明らかに新しく、映画としてのひとつの進化さえ垣間見せることに成功している。特筆すべきは何と言っても“生々しく”襲い掛かるロボットの驚異的なインパクトだ。ロボットに対する“人間らしさ”をテーマとするこの物語において、革新的であるこのロボット像は、不可欠であり最大の功労であると思う。研ぎ澄まされた機能美に溢れた世界、破滅的な危惧を備えた新たな未来像が、人間の五感と精神を刺激する。 [映画館(字幕)] 8点(2005-05-29 15:09:53) |
1962. キル・ビル Vol.1(日本版)
「レザボア・ドッグス」「パルプ・フィクション」でクエンティン・タランティーノが絶大な評価と人気を得た最大の要因は、ズバ抜けたセンスのセリフだったはずである。しかし、今作は「日本」というイメージに固執するあまり、日本語を多用しすぎたのではないか。よってタランティーノ節とも言えるハイテンションな会話シーンはほとんどなく、やりすぎ感満載の殺陣シーンのみが際立つ結果となってしまった。冒頭の復讐シーンや全編にわたる細かい演出には、タランティーノらしいハイセンスさがあっただけに、全体的な評価が非常に難しい。ただ確実に言えることは、今作は一つの映画を2つに分けた第一作目である以上、決して完成には至っていないということだ。待ちに待った鬼才の新作を簡単に「つまらない」と言ってしまいたくないという気持ちもあるが、今はvol.2の公開をただ待ちたい。 [映画館(字幕)] 7点(2005-05-29 14:59:35) |
1963. 風が吹くとき
ある日立ち寄った本屋でこの映画の原作絵本を見つけ立ち読んだ。すると、幼い頃この映画を観た時のとてつもない恐怖がありありと浮かび上がってきた。観たとき私は6歳とかそれくらいだったと思うが、あまりの怖さにその夜布団の中でひとり震えていたのを思い出す。これほどまでに哀しく、怖い戦争映画は他にない。見なければならない。この物語を世界中の人が知らなければならない。 [地上波(吹替)] 8点(2005-05-29 14:54:51) |
1964. 説得 エホバの証人と輸血拒否事件
無信仰の私にとっては、今作で描かれる父親の姿はほとんど理解できるものではないし、正直反感を覚える。しかし、彼らの行動の是非は別とすれば、その行動が揺るぎない信念によるものであることは理解できるし、彼らがそれを信じ、それをもって自分の生きる道を誇りを持って歩んでいる以上、他者が安易に否定できるものではないのだろうと思う。あまりに哀しい事件ではあるが、大多数の常識と反しているからといって、すべての人たちにその常識を押し付けることは出来ないということを今作はまざまざと物語っている。 [ビデオ(字幕)] 6点(2005-05-29 14:52:31) |
1965. 世界の中心で、愛をさけぶ
《ネタバレ》 「ロミオ参上」。劇中、不治の病で入院する最愛の彼女を見舞う主人公の少年の台詞である。250万部を越えた大ベストセラーの原作を映画化した今作の最高のファインプレーは、この台詞だと個人的に思う。原作を読んで号泣してしまった者にとっては、映画化によってどれだけこの世界観を表現できるかということが最大の興味であり、期待であり、不安であっただろう。その思惑を制作スタッフは見事に独立した映画として昇華してみせたと思う。その顕著な結果が「ロミオ参上」という原作にはない一つの台詞に表れている。確実な死に向かう恋人に対する少年の心情は、どうしようもなく混乱しているはずである。その思いを覆い隠すように、少年は、病室にたたずむ恋人に対してこの何気ない台詞でおどけ登場してみせる。この物語は、眩い青春時代に愛し合った恋人たちの片方が死んでしまうから泣けるのではない。目の前で「生の時間」を終えようとしている恋人を前に、自分は何をすべきか、何ができるかを思い悩み、限りある時間の中で奔走する少年の姿に涙が溢れるのだと思う。劇中、山崎努が言うように「人が死ぬということはえらいことだ」。でもそれがどうやっても避けられないものであるのならば、いつか僕も、誰かのためにさけびたい。 [映画館(字幕)] 6点(2005-05-29 14:52:00)(良:2票) |
1966. 十戒(1956)
映像の技術的には明らかに陳腐であるのに、その画面から今尚ものすごいパワーが溢れてくる。黄金時代と言われた当時の娯楽映画界のエネルギーがそのまま注ぎこまれているように感じる。もはや50年近くも前の映画である。スゴイ。アメリカの娯楽映画の歴史の大きさを感じる。 [地上波(吹替)] 8点(2005-05-29 14:45:51) |
1967. 少林サッカー
映画作りにおいて大切なことは、中途半端にならないことだと思う。これはどのジャンルにおいても言えることだが、特に娯楽映画には重要な要素だと思う。ストーリーが陳腐であっても、徹底したエンターテイメント性を打ち出せばその娯楽映画はとてつもなく面白い映画になるはずだ。今作はまさにその娯楽映画における最重要点を文句なしに押さえた秀作である。 [DVD(字幕)] 8点(2005-05-29 14:40:02) |
1968. とられてたまるか!?
なにがなんでも泥棒から家を守ると言って、家を滅茶苦茶にしてしまう武田鉄矢の本末転倒ぶりが可笑しい。泥棒撃退のための家の改造はまさに「ホーム・アローン」なみであるが、それをやっているのが10歳の坊やではなく家主の中年オヤジというところがウマイと思う。 [映画館(字幕)] 5点(2005-05-29 10:54:04) |
1969. ドニー・ダーコ
言葉では説明しづらい複雑な内容の映画だったけど、少年の身の上に起こるタイムパラドックスの破綻、回避できない壮大な宇宙意思と題材とストーリーは非常に興味深く集中して観ることができた。斬新なストーリーを巧みに描き出したカメラワークも見事だったと思う。ただ主役を演じたジェイク・ギレンホールの少年らしくない陰気臭い雰囲気も作風の不穏な感じに合っていた。 [映画館(字幕)] 8点(2005-05-29 10:53:17) |
1970. 時計じかけのオレンジ
初見時はただ意味が分からず、その心地悪さに辟易したが、再度見ると決して好きとは言えないけど何か引きつけられるものを感じた。この映画の真のテーマは何なのか、そんなものがあるのか、自分はどれくらい理解できているのかは明確ではないでど、説明のつかないパワーがあることは確かだ。 [ビデオ(字幕)] 8点(2005-05-29 10:50:39)(笑:1票) (良:1票) |
1971. ドラえもん のび太の創世日記
これまでのドラえもん映画と異なりドラえもんファミリーが揃って冒険をしたり、悪と闘ったりする展開がないということにおいては、異色的であるし他のシリーズ作とは一線を画すものと言えると思う。しかしストーリーの本質自体はまさに藤子・F・不二雄ワールドであり、真髄とも言えるテーマである。派手さはないことは確かだが、藤子・Fファンには充分に楽しめる作品でクオリティは極めて高い。 [ビデオ(字幕)] 8点(2005-05-29 10:48:05) |
1972. ドラえもん のび太の大魔境
大長編ドラえもんシリーズでは知られざる世界というものを舞台にしている物語が多いが、今作における犬の世界というのは中でも特に異色で斬新だったと思う。犬が立って喋るというアイデアは誰しも考えそうなものだが、それが成立する説得力のある環境を作り出すことが藤子不二雄の凄さだ。藤子ワールドらしいクライマックスの展開やジャイアンの男らしさなど見応えがある。 [ビデオ(字幕)] 8点(2005-05-29 10:47:30) |
1973. ドラえもん のび太と鉄人兵団
ロボットが登場する映画や漫画は数多く存在するけど、藤子・F・不二雄ほど独創性と説得力に溢れたロボット世界を生み出すことのできる作家はいないのではないだろうか。そこに妙に現代的な気取りはなく、普遍的な人間の精神を描きつけるあたりに彼の漫画家としての信念とプライドを感じる。最後の最後で人間の心を得たロボットのリルルがしずちゃんの手の中で消えていく。あの瞬間こそ藤子・F・不二雄がロボットに対し永遠に夢見たものだったに違いない。 [ビデオ(字幕)] 9点(2005-05-29 10:46:47) |
1974. デスペラード
崇高なまでに単純なアクション満載のストーリーは日本のサムライ映画に通じる部分もあり、娯楽映画の真骨頂と言える雰囲気を醸し出している。ひたすらに撃ちまくり、ひたすらに濃いアントニオ・バンデラスがカッコ良い。 [ビデオ(字幕)] 7点(2005-05-29 10:43:14) |
1975. 月に沈む
浜崎あゆみの楽曲をベースにした長編ミュージックフィルムで、行定勲と篠田昇による映像世界は印象的だった。基本的にPVなのでストーリー展開は抽象的で70分という尺は少々長く感じたことは否めない。 [DVD(字幕)] 2点(2005-05-29 10:41:19) |
1976. タッチ CROSS ROAD 風のゆくえ<TVM>
オリジナル自体もそれほど好んで見た方ではないのだが、この続編スペシャルは作る必要も価値も無かったと思う。個人的には愛着はないので「つまらない」で済んだが、原作を愛している人らにとってはその拒否感は強かっただろう。 [地上波(字幕)] 1点(2005-05-29 10:38:59) |
1977. 2001年宇宙の旅
観客に意味が伝わらなければ、どんなに崇高なテーマを持っていたとしてもその映画は駄作であると思う。今作もその類に極めて近いことは確かであろう。しかし、尊大なラストシーン、あの瞬間に私は震えるような、何かが目覚めるようなひらめきを感じた。かたっくるしく難解なストーリーのすべてが一気に脳裏に流れ込むような衝撃を感じたとしか言うほかない。この伝説的映画が真の傑作かどうか、一度しか観ていない私には判断できない。ただ、もしかしたら人間の想像力と創造力の限りない深遠まで近づいた映画なのではないか、そんな気がするのは確かである。 [DVD(字幕)] 10点(2005-05-29 10:34:53) |
1978. ポンヌフの恋人
生理的に受け付けないとはまさにこのことで、個人的にはどう観たって好きになれない映画だった。雰囲気の濃厚さや、この映画やこの監督の作品がべらぼうに好きな人は多いということは知っているので、ある観点からは秀逸であることは理解できるが、嫌いなものは仕方ないという結論。でもこういう映画があるから、私が相当に好きな映画も存在するんだと思う。その好みの多様性こそ映画の醍醐味であろう。 [ビデオ(字幕)] 1点(2005-05-29 10:31:52) |
1979. ブローン・アウェイ/復讐の序曲
主演俳優や題材からはもっと膨らみがある映画に仕上がってもよさそうなものだけど、実際は面白みの無い陳腐な映画に終始してしまっている。「復習の序曲」って邦題もとても安っぽく見えてくる。 [ビデオ(字幕)] 2点(2005-05-29 10:25:55) |
1980. 古畑任三郎スペシャル すべて閣下の仕業 <TVM>
ネタ的には確かに過去の秀作のような見事なヒネリはないかもしれないが、久々の古畑ワールドを楽しめるだけのクオリティはあったと思う。やはり松本幸四郎の存在感が質を高めている。今泉の不在や、ラストの同シリーズには珍しいローテンションな顛末など、今までの古畑作品とは一線を画す番外編的なテイストも良かったと思う。まあガルベスくんが田中要次ではネタはバレバレだけども…。 [地上波(字幕)] 6点(2005-05-29 10:22:17) |