1. 薔薇の名前
妖怪のごとき修道士たちの巣窟である修道院は、建物全体の異様さだけでなく、驚くべき仕掛けが施されたライブラリーともども、まさに中世のテーマパーク。この暗黒世界を我が物顔で闊歩してみせるウィリアムを頼もしいと思いつつ、彼だけが現代風の容貌なのに違和感を覚えると同時に、得意満面の謎解き姿もいささか鼻についた。 7点(2004-04-14 15:28:13) |
2. サマーストーリー
早々とミーガンを捨てたフランクの計算高さ、姑息さ、身勝手さ。彼がトーキーでミーガンの視線を避けた刹那は、とても観ていられなかった。更に数十年後、罪悪感の欠片もなく思い出の地を訪れる厚顔さには、もはや脱帽するしかない。世の男の罪を全て背負い込んだようなフランクを目の当たりにした日には、涙も枯れ果てる。 8点(2004-04-10 16:31:09) |
3. インドへの道
善意の人であるアジズを、妄想による架空事件で貶めたのが、インドを理解しようとしていたアデラ本人であったことが、心に重くのしかかった。アジズとは目に見えない絆によって結ばれたかに思えたミセス・モアにしても、肝心な時に逃げるようにインドを離れ、洋上で死を迎えてしまう。何よりもアジズを傷つけたのは、同国人から見捨てられたアデラに手を差し伸べた、フィールディング教授の偽善行為ではないだろうか。教授がミセス・モアの娘と結婚しようとも、アジズの心の奥の痛みは癒えることはないだろう。結局、西洋と東洋の和解は表面上のことで、思想や価値観までも分かりあうことは不可能だという結論を受け入れるしかない。過度の思い入れや執着を排し、ゴドボリが見せたような自然体で生きることの意義を、この作品から学んだ。 9点(2004-04-09 18:03:00) |
4. シャイニング(1980)
鬼気迫る表情のニコルソンには敬意を表するが、ただそれだけ。 5点(2004-04-08 10:04:51) |
5. ドーバー海峡殺人事件
思いっきり暗い画面は、アガサ作品のもつ優雅な雰囲気を損ねているし、終始ブンブンうるさいBGMでストーリーに集中できなかった。 0点(2004-02-29 20:22:06) |
6. 眺めのいい部屋
「旅路の果ては恋人達の出会い」という、シェークスピアの名句そのままのストーリーだった。その地が花のフィレンツェであれば、言うことなし。部屋を替わる快い申し出といい、老姉妹の部屋に矢車草を心遣いする優しさといい、シシルにはお気の毒だが、エマソン父子と出会えたルーシーは、本当に幸せ者。この作品に巡り合えた私も、もちろん幸せ者である。 9点(2004-02-26 16:17:55)(良:1票) |
7. 俺たちは天使じゃない(1989)
洗濯バサミ始まり、くじ引きといい、コルト銃のチラシといい、スパイスのきいた小物には、たっぷり笑わせていただきました。あのマリア像、見る度に目つきが違って見えたのだけど...。 7点(2004-02-08 14:18:39) |