1. 男か女か
《ネタバレ》 撮影所を舞台にした作品で、役者の役であるところのチャップリン、例の扮装で登場しますが、冒頭には、扮装もチョビ髭もつける前の素顔での登場シーンがあります。で、内容はとえいば、もうひたすらドタバタ。中身も何もあったもんじゃないけれど、とにかくスピーディ。そのまま突っ走るのかと思いきや、撮影所を追い出されたチャップリン、後半は女装して撮影所に潜り込み、美人女優としてチヤホヤされる。『トッツィー』の原点みたいな感じですな。で、この後もドタバタに次ぐドタバタ。最後は何で井戸に落っこちて終わるのやら、もう訳がわからない。 [CS・衛星(吹替)] 6点(2015-03-03 23:02:28) |
2. メーベルの結婚生活
前半、メーベルに大男が言いより、夫(チャップリン)がこれにくってかかる。さらには大男の妻も現れて四角関係の騒動に。後半、頼りない夫に業を煮やし、ボクシング練習用の起き上がりこぼし人形を購入したメーベル。そこに酔っぱらって帰宅したチャップリン、人形を見て、また妻に男が言いよっていると勘違い、人形相手に戦いを挑んでまた一騒動、というだけの、短い作品、でも楽しい作品。チャップリンが結婚しているという設定なのに、格好は勿論、あの放浪紳士のいでたち。グータラで嫉妬深く、しかしこの格好なので憎めない。後半の人形との死闘(?)が見所でしょうけれども、その前に、夫の不甲斐なさを嘆くメーベルが、夫の仕草のマネをしてそれを表現する。え、このシーンってもしかして、史上初の「チャップリンのモノマネ」なのでしょうか。 [CS・衛星(吹替)] 8点(2014-09-15 16:42:17) |
3. チャップリンの失恋
《ネタバレ》 代表作の一本に数えられる作品なんでしょうけれど、その理由はともかくとして、実際、観てて楽しい作品です。まずは当然ながら、パントマイム。主人公は例の、ボロっちくもシャレた格好の放浪者。道を歩けば車にハネられそうになる、哀れで滑稽なその姿、しかし妙に身なりに気をつかう彼の仕草がまた、滑稽であると同時に、何だか彼のアイデンティティを強く主張しているようでもあります。で、次に、チャップリンの表情。これがまた、ただのドタバタだけではない味わいを作品にもたらしています。弁当を盗まれ、腹立ち紛れにその辺の雑草を食べる時の表情。美人に助けを求められ、ガゼン活き活きと張り切る時の表情。第3には、ストーリーの無茶苦茶さ。やっぱりコレ、あくまでドタバタなんです。泥棒に狙われた美人を助け、家に誘われ、で、なぜかそこで働かされちゃう主人公、脈絡なくどこまでも転がっていくストーリーが新しいシチュエーションをもたらし、ギャグを呼ぶ。まあ、冒頭の泥棒が再登場したりもするのですが、基本的にムチャクチャです。で、ムチャクチャながらも物語は主人公と美人チャンとの恋愛へと移行し、ナルホドこれなら美人はゲットするし定職はゲットするし万々歳、と言う訳ですが、アッサリ、あまりにアッサリ、彼女のフィアンセが登場して、主人公は去っていく。チャップリンは表情豊かにこの映画の物語を引っ張ってきましたが、ラストシーンは、例の「立ち去っていく後姿」で締めくくられます。でも、ションボリしているばかりじゃない、途中で歩みを速め、颯爽とした姿に切り替わったところで映画が終わる、その印象的なことといったら。 [CS・衛星(吹替)] 9点(2014-06-30 23:58:56) |
4. もつれタンゴ
ダンスホールを舞台に、2人のバンドマンがクローク係のオネエチャンを狙って喧嘩するオハナシ、というのなら普通だけど、ここにもう一人の男が加わって三つ巴の喧嘩になるのがミソ。って、2人が3人になったからと言って、どやねん、ってなとこですが、その明らかにオジャマ虫である3人目の男が、チャップリンであるとうところがミソ。チョビ髭もドタ靴も無い、普通の扮装の小男であるチャップリンが、出演者の誰にも負けるまじと、ひっきり無しにコミカルな挙動不審ぶり(笑)を演じる芸の細かさに、また一方ではこれでもかと激しく動き回る。こういう作品を通じて、自分のキャラクターを作り上げていったのかな、と。 [CS・衛星(吹替)] 7点(2014-03-18 22:33:43) |
5. 担え銃
短い映画とは言え、密度の濃さと展開の速さにぐいぐい引き込まれ、まさにあっと言う間、えっもうオシマイなの?と思っちゃいます。冒頭の訓練ではどう見てもダメ兵士だったチャップリンが、後半は、ハチャメチャ大活躍を展開。説教臭く戦争に異を唱えるよりも、映画という自由な世界で自由に飛び回り、現実の戦争を超越して見せることで、キッパリと戦争に背を向けて見せた、そんな映画。なもんで、この活躍ぶりたるや、明らかに非現実的なんですけれども、ちゃんとまとまりをもった活劇になっているのがミソで、笑いだけではないオモシロさ。またその一方、中盤における塹壕のシーンが、映画において結構大きなウェイトが置かれているのも見逃せません。この場面での笑いって、悲惨さと隣り合わせの笑い、なんですよね。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-03-15 00:00:06) |
6. チャップリンのスケート
前半のポンコツウェイターぶりから、後半の見事なローラースケートさばきへ、なかなか巧みに楽しさを演出してくれてはいるのですけれど。その一方で、「でもスケートで滑って転んでも、それってフツーのことであって、特に意外性は無いよなあ」とちょっとイジワルを言いたくもなっちゃうのです。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-01-25 17:58:51) |
7. チャップリンの番頭
テンポよく楽しめるゴキゲンなコメディ。質屋の店員に扮するチャップリン、例によって例のごとくロクなことをせず、仲間と喧嘩ばかり。店長や警官の前でだけあわててイイ子を演じるのが楽しいんだけど、なんといいますか、こういう笑いの流れって、ドリフあたりに受け継がれて、ワタシにとっては結構ツボだったりするのです。前半のハシゴを使ったパフォーマンスも、ハシゴひとつでそこまでやるか、と、うれしくなってくる。客との様々なやりとりの中に、ドロボーの登場なんていうワクワクするシチュエーションもあり、ストーリーのまとめ方もなかなかのもの。というわけで、かなりお気に入りなのだけれど、非常に残念なことは、客の時計を分解しちゃうシーンで、一度穴をあけるのをミスったらしいのに、撮り直しせず続行してしまったこと。ここは手際よく分解してこそのギャグでしょう、なんとも残念。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-01-25 16:20:07) |
8. チャップリンの舟乗り生活
チャップリンがいちゃいちゃしている娘、彼女の父親は船主で、保険金目当てに船の沈没をたくらんでいる。拉致同然に雇われた男たちと、知らずに拉致にかかわったチャップリンも乗せて、船は出港。沖で沈められようとしているその船には、実は船主の娘も忍び込んでいて・・・ってな話。なかなか穏便では無い話ですが、それと対照的に、とぼけた顔でとぼけた行動を繰り広げるチャップリン。船内のあちこち飛び交うカットで描かれるギャグもあれば、長回しのカメラでコック仲間とのコミカルな喧嘩が描かれたりもして、前者が監督チャップリンの魅力なら、後者は芸人チャップリンの魅力、といったところですかね。なかなか楽しかったです。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-01-24 10:18:31) |
9. チャップリンの伯爵
仕立て屋の親方と、チャップリン扮するオマヌケ助手が、伯爵になりすまして上流階級のパーティに入り込んだことから巻き起こる騒動、ってな話ですが。ショートコント集みたいな感じで、あれやこれやとギャグを盛り込もうとするものの、ひとつひとつのシチュエーションが小粒な印象、もう少しじっくり見せてくれてもよいかな、という気もします。3歳の娘は、舞踏会の床がツルツル滑るのにかなり笑っていました。ところで、「おいしく無さそうなもの」の例として、「スイカの輪切り」がよく(?)挙げられますが、アメリカ人は輪切りにして食べるのでしょうか? そしてアノ謎のサムライは、一体誰? [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-01-24 10:06:20) |
10. チャップリンの冒険
脱獄犯チャップリンが逃げ回るドタバタに始まり、ひょんなことから人助け(?)をしてしまったことから、さらにドタバタ。比較的ストレートなオハナシで、やや単純な印象、もう少しヒネリがあっても良いのでは、とは思うものの、それを補って余りあるのが、盛りだくさんのギャグまたギャグ。難しいコトは抜きに、笑って楽しみましょう、と笑いに徹した作品ですね。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-01-11 18:05:56) |
11. チャップリンの勇敢
コレ、好きだなあ。原題は『Easy Street』で、警官になったチャップリンが、イージー街を所狭しと大暴れ。凶暴なる大男との死闘(?)を皮切りに、お話はドミノ倒し式に膨らみ、もはや収拾のつかないドタバタが展開!(これに匹敵するのは、天才バカボンくらいのものでしょう)、というナンセンスの極致、それでいて、何となく“勇気”のスバラシサに不覚にも感銘を受けてしまったりも、するのです(邦題はなかなかツボをついているかもしれない、極めて個人的な感想ですが)。これだけあわただしいドタバタ映画なのに、意外なまとまりを見せ、最後は大団円。冒頭の、やる気の無さそうな主人公の姿が、その後の展開と好対照で、よく効いています。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2009-01-10 08:01:17) |
12. チャップリンの霊泉
《ネタバレ》 温泉施設を舞台にドタバタを展開、回転ドア、マッサージ室と、いろいろなシチュエーションでのギャグを交えながら話をふくらませていきます。が、温泉に酒が混入してしまい、アル中治療どころか…ってなオチが、かえって纏まり過ぎていて、こじんまりした印象になってしまっているのが残念なところ。もっとナンセンスで、いいのです。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2008-12-09 18:04:07) |
13. 犬の生活
《ネタバレ》 ギャグ満載、ホロリとさせられ、何と言ってもテンポが良いのが大の魅力。浮浪者に扮したチャップリン、彼の寝床である空地の塀の傍。「塀のアチラとコチラ」を場面が行ったり来たりするギャグの後には、「カメラが引いたら警官が」というオチ。この「行ったり来たり」が映画の基調になっているようで、物語は、寝床から、屋台を経て酒場へ、あるいはまた寝床へ、という「行ったり来たり」。警官の目もそこに絡んでくるスリル。そして「目を盗んで早食い」「犬の尻尾」「秘儀:二人羽織」などのギャグが、次から次へと盛り込まれる。中でも「滝のような涙」は、フライングハイの“大汗”シーンを思い出しちゃうぞ。文句無しに楽しめる作品。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2008-10-05 20:54:31) |
14. チャップリンの移民
大揺れに揺れる船上、船べりから体を乗りだす一人の男。ああ、船酔いで苦しんでるのか、と思いきや、こちらを向いた男、すなわちチャップリンは、実は能天気に魚釣りをしていた、という冒頭のギャグ。笑えるかどうかはともかく、魚を釣り上げたチャップリンの表情が、とにかく本当にうれしそうで印象的、まさに名演技ですな、へへへ(本当に釣ったんじゃないか、と思っちゃう)。その後の、船の揺れを利用したギャグなんかもなかなか効いてますが、何と言っても、ちょっとホノボノしているようで、結局はそれをぶち壊しちゃう、映画全体のナンセンスさが、一番印象に残ります。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2008-10-05 16:28:32) |
15. チャップリンの消防夫
後半の火災と、チャップリンのとぼけた表情のギャップが、「笑える」というか、「笑うに笑えない(人命かかってるんだから、しっかりしてくれ~)」というか、そんな映画。前半は消防署が舞台。場面は各部屋をあわただしく行き交いします。フィルム逆回転ネタもいくつか登場、重力を感じさせずにスイスイと棒を登ってきたり。その一方で、クライマックスでは、まさにジャッキー・チェンかヤマカシか、見事なビルよじ登りを披露してくれて、我々をハラハラドキドキの引きつり笑いへといざなってくれます。そうそう、このシーンでは、火災の煙が漂っているので、間違っても“逆回転ネタ”は使うことができず、チャップリンは自力でよじ登らなければならないのであります(もっとも、降りるシーンの方が危険かもしれないけどね)。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2008-09-29 07:46:58) |
16. チャップリンの替玉
「売上金の持ち逃げ」「そっくりさんとの入れ替わり」という、わかりやすい設定を背景にして、チャップリンのコミカルで激しい動きが冴えわたる、楽しい作品。エレベーターやエスカレーターという大がかりな仕掛けを使ったギャグのオモシロさもさることながら、特に映画後半における、チャップリンがこれでもかと飛び跳ねまわるアクションと、カメラの切り替わるスピード感が魅力。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2008-08-17 17:27:13) |
17. 國民の創生
この映画の差別的な部分はともかくとして(顔を黒く塗った白人が「悪い黒人」を演じるのって、やっぱり観ててヤだなあ)、あの白装束KKKの大群のシーンには圧倒されます。さらにはこの映画、私の大好きな「立てこもり映画」でもあったりするんだから、たまりません。ここに“映画の創生”を目の当たりにするのであります。 [DVD(字幕)] 8点(2008-02-09 18:16:31) |
18. カリガリ博士
若者とオッサンの会話で始まる冒頭、いきなり「ワシは亡霊のせいでヒドイ目にあったわい」とのたまうオッサン。そこに、これまたいきなり、亡霊のごとく生気のない女性がフラフラ~と現れる。げげっ、気味悪いな~、と思ってたら、若者いわく「彼女、オレの婚約者なのよ。彼女とオレは、アンタよりもヘンテコな体験したのさ」、だそうです。わはは。どんな会話やねん。しかし確かに、彼の語る物語としてのこの映画、奇妙キテレツなセットの中で容赦なく幻想的物語が繰り広げられ、目を白黒させてしまう異様さ。と同時に、この不思議なセット、「あ~カラー映像で観てみたいな~」という気がしてしょうがない。でもきっと、カラーで観たら幻滅するんだろうナ。この映画の不気味さというものは、おそらく、時代を経たモノクロのキチャナイ映像、これ自体が、実は大きな効果を発揮しちゃってるんでしょう。はるか昔に作られた映像、という隔絶感。それも、「単に“昔”を記録した映像」などではない。まさに、我々の決して手の届かない大昔、とっくの大昔に、こんなモノが作られてしまっている、という、その事実そのものの驚き。精緻に作りこまれた古代遺跡のような、いわば“オーパーツ”のごとき存在感、そしてそのような遺跡を現に目前にしながら、なおも感じる、遥かな距離感(そういや、遅ればせながら『神々の指紋』読んでるんですけど、記載されてるネタが古いですね、このテの本、高校の頃だいぶ読みましたよ・・・←って映画と関係なーい)。時代の重み。こういう類のオドロキと感激を与えてくれる映画は、もはや作ることはできないでしょう。タイム風呂敷を使っても無理でしょう。 [DVD(字幕)] 8点(2006-12-14 23:46:04) |
19. 散り行く花
手斧で襲撃してくるオヤジ!これぞまさしく元祖『シャイニング』(笑)。とまあ、それはさておき、この映画、比較的限られた光景(限られた素材=モチーフ)を組み合わせ、紡がれていっていること、そしてそれにも関わらず内容が豊かに波打っていること、に驚きを感じます。同じ光景が様々な雰囲気・様々な順序で巧みに組み合わせられていくのを見ると、ああ、映画とはまさに「構成」なんだな、と思う。まずは「構成」があり、だからこそ次に「変化」があって、それが強い印象となる。最近の映画って、観客を退屈させないようにするあまり、いきまりまず「変化」を求めすぎるのではないか。確かにそういう映画も面白い。だが、音楽で言うならば、本当に心に残る音楽・何度でも聴いても聴き返す音楽ほど、限られた素材で構築されているものであり、だからこそ無意識へと訴えかける一種の説得力を持ってるもんだ。この映画についても、そんな連想を、いたしました。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2005-10-27 22:38:36) |