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プロフィール
コメント数 3957
性別 男性
年齢 53歳

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【製作年 : 1920年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  ゆすり(1929) 《ネタバレ》 
ヒッチコック初のトーキー作品、ですが、冒頭の警察車両が急行して容疑者を逮捕するシーンや、クライマックスの逃亡~追跡シーンなど、部分的には、いかにもサイレント映画。両方の要素が楽しめます。セリフ無しで盛り上げる手法自体は『知りすぎていた男』なんかでも再現されていますが、その先駆となっているだけではなく、冒頭シーンとクライマックスとが、サイレントという手法を通じて対になっている(一種の「再現部」になっている)のが、構成の面白さ。もちろん、ただ同じことを再現するのではなく、舞台となる大英博物館の異様な雰囲気が目を引きます。特に、巨大な顔面の石像(これ、何?)の前で人間がロープにしがみついている場面、『逃走迷路』『北北西に進路を取れ』などを思い起こさせますが、空間にポツンとぶら下がる人間と、背景に写るその影が、像の巨大さと人間の小ささを際立たせて、異様さの点ではまさに随一。博物館の屋根の場面などでも、人間の小ささが、異様な雰囲気をもたらします。 という風に、多分に実験的な作品になっていて、その後の作品に大きな影響を与えた手法もあれば、たいして影響を与えなかった手法もあると思うのですが(笑)、それらひっくるめて大いに楽しめるのは、ストーリー自体はシンプルにズバリ要点を突いて、90分弱にまとめ、スリリングな娯楽作に仕上げられているから、でしょう。実験的な手法が自己満足に陥らず、作品を彩る「面白さ」に繋がってます。また、ただただスリリングであればよいという訳ではなく、緩急をつけることで後半盛り上げていくのも、お見事。もっとも、映画を倍速で見る(見たことにする)ような人たちなら、間違いなく「緩」の部分は早送りで飛ばされてしまうんでしょうが・・・勿体ない。 後の作品への影響の有無、という事で言うと、「わざわざ見せなくてよいものを見せる」「普通なら見せてしまうところを見せない」という両面があって、この作品、色々とやり過ぎ感があるのが、ご愛敬。だけど、間接的には、様々な影響を与えていそうな、いなさそうな。 ヒロインが男に連れられ、アパートメントの階段を上っていく。その階段にはカメラ側に手すりが無く、要は建築物の巨大な断面図。これだけのシーンを撮るために、こんなセットをわざわざ作るのか、というのがまず驚き。なるほど、街路から空間的に隔てられた危うい世界に足を踏み入れようとしている、という意味あいはあるのかも知れないけれど、それは例えば後のシーンで登場する「窓からはるか下に見える路上の警官の姿」などでも充分に伝わる訳で、一体どこにカネかけてるのよ、と思っちゃう。けれど、確かに印象には残ります。 自分を部屋に連れてきた男との気だるいやり取りのうちに、次第に男の態度が変わってきて、襲い掛かってきた彼をヒロインはナイフで刺殺してしまう。その後、彼女の目には、ネオンサインのシェイカーが、振り下ろされるナイフに見えたり、彼女の耳には、他人の喋る言葉の中の「ナイフ」という言葉だけが強調されて聞こえてきたり。この辺りも、わざわざそれを画面で見せるか、音声で聞かせるか、というシーンではありますが、サイレントの手法、トーキーの技術というものにそれぞれ、正面から向き合ったからこそ、生まれたシーンとも言えそうです。 一方、肝心の殺害シーンは、これは「見せない」方の典型。もみ合う姿は壁にうつる二人の影で示され、さらに現場はカーテンの向こうへ。その後の顛末は、カーテンの隙間から伸びる「手」だけで暗示され、むしろ静かに描かれはするのですが、何と言っても目を引くのが、事件前後で一変する、ヒロインの表情。このこわばった表情が、事件の恐怖を物語り、映画の空気感そのものを一変させます。さらに、現場を立ち去る彼女の後、建物に近づく怪しい影。 もちろん、殺害シーンを見せる方がよいとか、見せない方がよいとか言う話ではなく、例えば見せない手段をとった場合にはどういう表現があり得るか、ということ。ヒロインの凍り付いた表情が、より恐怖を持続させ、また恐喝者が現れて以降の彼女のモジモジした素振りによる「この先、どうなるのか」というサスペンスにも繋がっていきます。 事件の後、彼女が家に帰り、二階に上がると、外から鳥の声が聞こえてくる。こういうアンバランスさが、印象的。 一方で、再三登場する肖像画、それをダイナミックに捉えるカメラが、何やら象徴的。 シンプルだけど、盛り沢山。面白い。
[インターネット(字幕)] 9点(2024-05-04 06:41:18)
2.  紐育の波止場 《ネタバレ》 
一種の恋愛物語ではあるのですが、まさにこれ、ハードボイルド。 色んな事が起こるけれど、一晩のオハナシなんですね。船員の男が女が出会って、惹かれ合って、その晩のうちに結婚までしてしまう。ああ、何て早まったことを、などと言ってはイケマセン。すべてが刹那的で、この夜の雰囲気の中では、あらゆることが起こり得る。実際にはそれぞれの登場人物が、それぞれの過去を引きずっているんだろうけれど。 しかし朝が来ると、すべてが終わる。出航する船とともに男は去ってしまう。・・・というところで終わっちゃってもアリかも知れないんですが、そこで終わらないのがミソ。出航した船から男はやおら海に飛び込み、女のもとに戻ろうとする、このシーンの衝撃的なこと。うん、たしかに、男と女が出会った際のことを思い起こすと、再会のために今度は男がここで「飛び込まなければならない」んだろう、とは思うのだけど、それ以上に、うわーホントに飛び込んじゃったよーという、このシーンの生々しさ。衝撃的ですらあります。無骨で不器用な男が貫いてみせる純愛。やっぱりこれ、ハードボイルドです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2018-10-16 22:14:49)
3.  下宿人(1926) 《ネタバレ》 
連続殺人鬼を扱った一種のサイコ・スリラー。ロンドンに現れた、「アヴェンジャー」を名乗る謎の殺人鬼。被害者は決まって、金髪の女性。と来りゃ、その後のヒッチコックを知る我々にしてみればコレ、犯人はきっと、監督さん自身じゃないの~と思っちゃうのですが。いや実際、きっとそうだと思う。 ともかく本作、サスペンス映画という、物語性の強い作品でありながら、多くの場面で字幕セリフの使用が抑制されていて、しっかりと「見せる」映画になってます。冒頭、女性が悲鳴を上げる顔に始まり、次にはもう死体となっている、という断片的な怪しさ(この描写は中盤でも繰り返される)。そこに現れる、謎の下宿人。その挙動を事細かに描く怪しさ。殺人鬼の正体は果たして彼なのか? 二階を歩き回る姿を、床を透かして階下から眺める、なんていう有名なシーンを始めとした、二重露出のもたらす怪しさ。 まあでも、一番アヤシイのは、クライマックスで主人公が群衆に追い詰められる場面ですかね。この場面、正直、なーんか変です(笑)。しかしここも、セリフを挟むことなく、主人公をいたぶるように、いくつものショットを執拗に連ねていく。 で、唐突に大団円。え~うそ~、まさか、そのまま終わっちゃうの~と思っちゃう我々は、昨今のヘンな映画に毒されてしまってるのかどうなのか。当然のように期待してしまうのは、「事件を通じて、殺人への衝動に目覚めてしまった主人公」というラストなんですが、ねえ。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2017-11-03 03:13:26)
4.  アイアン・ホース
アメリカ大陸横断鉄道の敷設という壮大な事業が、本作のベースになっています。しかし日本だって、狭い国土ながら、よくもまあこれだけの鉄道網を完成させたことよ、と思いますけれど。 この鉄道建設に情熱を抱く主人公、その情熱は亡き父の遺志を継ぐものであるけれど、父の命を奪った「2本指の男」の行方は杳として知れない。という訳で、大自然の厳しさや、先住民の襲撃といった危機にさらされつつも雄々しく進められる鉄道建設の姿に、「2本指の男」への主人公の復讐譚、あるいは主人公と幼馴染の女性との恋愛などが絡められて、見応え満点。脇を支える3人のポンコツオヤジたちの存在も忘れられません。 アメリカ開拓史の実際を映画に取り入れようとして、やや解説調なところもありますが、ラストでは当時の機関車実物を登場させてみたり(ジュピター号と116号、だそうです、すみません不勉強なもんでどのくらい貴重なのかワカリマセンが、きっと貴重なんでしょうフムフム)して、ちょっとワクワクしてしまいます。また、盛り沢山の内容を2時間ほどにまとめ切っているのも、字幕による最低限のセリフしか使わないサイレント映画ならでは、といったところでしょうか。馬に乗った先住民が列車に襲い来るその姿を、列車の壁面に映る影として描く、なんていう演出でも、これ見よがしにやることなく、サラリと流して見せる。 畳みかけるようなクライマックスに、これぞ大団円といいたくなるラスト。お見事です。
[DVD(字幕)] 9点(2016-10-25 13:59:30)
5.  メトロポリス(1926)
なーにが「ヨシワラ」だよ(それとも「ヨシヴァラ」とでも読むのか?)とは思っちゃうんですけどね。 しかしまあ古典的名作、ですから。 という以前に、凄いんです、モーレツなんです。エゲツない。 全編、物語というよりも、舞踏。 超現実的な舞台で、超現実的なパントマイムが、整然と繰り広げられる。 その整然とした秩序が、後半、混沌の世界と化していく、その様は、まさに壮大なる崩壊。 例えば交響曲なんかの世界で、「闘争から勝利へ」とか「混沌から浄化へ」なんて言ってきたわけだけど、そういう世界観では表現できなかったものが、ここにある。そういう世界観が茶番となってしまう、如何ともしがたい時代がやってきた、ということでもあるんだろうけど。 革命児ベートーヴェンにも出来なかった世界。マーラーは薄々ヤバいと思ってたんだろうけど、でもここまではやらなかった。 いうなれば、崩壊こそが浄化。いやはや。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2016-06-10 00:13:28)
6.  巴里の女性
コメディではないこと、自分は出演していないこと、というチャップリンの弁解めいた但し書きで始まる作品ですが、冒頭シーンでの、二階に幽閉された女と、通りに立つ男とのやりとり、まずここだけでもう、相当に気合いの入った演出に、引き込まれます。で、ここでは、貧しさと親の反対という障害を抱えた彼らは、強く惹かれあい、結ばれていたはずだったのに、ひょんなことから離れ離れになった彼らを、「ブルジョア社会」が切り裂いてしまう。富は、さまざまなチャンスをもたらすかも知れないけれど、ここでは、ひたすら辛口な視点でブルジョア社会が描かれ、二人のすれ違いは決定的なものとなっていきます。あの、投げ捨てた筈のネックレスを人に盗られまいと拾いに行く場面で付きまとう犬の皮肉な描写、マッドマックスのリンチシーンでも引用されていましたが(ホンマかいな)。実に見事な作品です。チャップリン作品を「どれだけ笑えたか」でしか語ってこなかったことへ、反省。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2014-05-11 16:29:36)
7.  ベン・ハー(1925)
この上なく劇的なるストーリー展開、ケタ外れのスケール感、そしてそれを表現し切った驚くべきカメラワーク。何から何までが圧倒的、ハッキリ言って、ここまで来ると、非常識ですよ、この映画は! 実戦さながらの海戦、見事なカメラワークによる戦車レース、地震で倒壊する巨大建造物、といった、とにかくド迫力のスペクタクルシーンの数々。モノクロ映像の中に象徴的に挿入されるカラー映像の美しさの、息を飲むような効果。病を瞬時に治すイエスの奇跡は、まさに映像の奇跡。という訳で、サイレント作品だなんてことを意識する間もなく、映像の中へとどんどん引き込まれてしまいます。とにかく、スゴイ。
[DVD(字幕)] 10点(2010-02-24 22:01:46)(良:1票)
8.  ロスト・ワールド(1925)
男の子は皆そうなのかも知れないけれど、子供の頃から恐竜が好きで好きで、恐竜図鑑ばかり見ておりました。当然、恐竜映画も大好きで、ストップモーションアニメのあのギクシャク感が、かえってタマラナかったり。それにしてもこの映画、スゴい。尻尾を引きずった「(我々にとって)正しい恐竜像」が描かれてます(最近、恐竜についてつまらんこと言われ過ぎ。何が羽毛恐竜だよ。夢を壊さんでくれ。でもその昔、TV番組で初めて「恐竜ってのは尻尾を引きずらなかったんです。足跡の化石はあっても尻尾を引きずった痕はありませんから」という説明を聞いたときは、正直感動した。勿論、ジュラシック・パーク等が製作される前の話です)。というのがスゴイ点ではなくて、ですね。スゴイと思うのは、コナン・ドイルの『失われた世界』を下敷きにしつつも、あくまで徹底して“バトル”にこだわっている点。我々が観たいものを、先んじてちゃーーーんとこんなに昔から把握してくれているのです、オブライエン師匠は。しかもラストには原作100%無視で、都会のど真ん中に恐竜を登場させて見せるという、超絶的アクロバット。どうしてこんな映画を作ろうと思い、作れると思い、実際に作ってしまうのか。どうしてこんな昔に、私が観たいものを見抜いていたのか。勿論、観たいと思うのは私だけではなかったことは、その後のSF映画の歴史がしっかりと示しています。むしろ本作よりも最近の映画の方が、確かに技術が比べ物にならないほど優れてはいるけれど、「我々の観たいモノ」から逸れていっては、いませんか? 技術は高くても内容的には「ほどほど、それなりのモノ」に安住しては、いませんか?  (ところでDVDのBGM。なんでバルトークなの?と少々気が散る)
[DVD(字幕)] 8点(2009-08-15 23:31:18)
9.  三悪人 《ネタバレ》 
ゴールドラッシュに沸く西部の町カスター。まずは、この町に殺到する人々、無数の幌馬車行列のスケール感に圧倒されます。カスターの町は、悪徳保安官ハンターによって牛耳られているのですが、そこにフラリと現れたるは、3人のお尋ね者。これがモンダイの「三悪人」な訳ですが、そのポンコツオヤジぶりが、何とも憎めません。三悪人、今日も今日とて、荒野を行く馬の列を発見。馬泥棒に及ぼうとするものの、他の馬泥棒に先を越されたもんだから、逆にこれを撃退した挙句、襲われていた娘さんを救出しちゃったりなんかして。と言う訳で、娘さんと、彼女をサポートする三ポンコツ親父、との珍道中。「3人(のポンコツ)が守る」ってのがミソで、その後の映画でもお馴染みのテーマであります、ってな感じのことをDVDの解説の淀長さんが言ってましたが、私はとりあえずディズニーの『眠りの森の美女』を真っ先に思い出してしまいました、こちらは魔法使いには似ても似つかないキタナイ親父3人組ですけれども。さて、3人は、娘さんの婿を探そうなんぞと要らぬお節介を焼いたりするのですが、コワモテ親父が因縁をつけるかのように婿探しをするもんだから、うまくいく訳もなく、この辺りが実にユーモラス。チャップリンをそのまま超美男子にしたような優男とのやりとりが笑えます。そうこうしているうちに、娘さんは、道中ですでに知り合っていたカレシと再会、ごっつええ感じのまま、いよいよ、土地争奪大レースの日を迎えます。この大競争シーンこそが、本作の白眉とも言うべき、圧巻のシーン。物量を駆使したスケール感と、迫力あふれるカメラは、見ごたえアリマクリです。という派手なシーンのあとで、ついに迎えるハンター一味との対決。ひっそりと誰にも知られることなく、名もなき3悪党が、命を投げうって娘さんを守る姿にはもう、シビレまくりです。ああ、これぞ西部劇だよなあ、としみじみ。一方、競争に出遅れ金を手にできなかった名もなき庶民が、「でも農地を手に入れることができた」というあたりにも、この映画の優しい視線が感じられます。でもでもやっぱり。この“早い者勝ち”という文化、どこが公平なのか、理解に苦しむよなあ。
[DVD(字幕)] 9点(2009-08-12 18:04:50)
10.  チャップリンの黄金狂時代 《ネタバレ》 
ごめんなさい、この映画、何だか苦手なのです・・・。殺人だの、飢えだの、しまいにゃ仲間を殺して食おうだの、という前半のかなり過激なブラックさと、これに対して、パン&フォークのダンスを披露するチャップリンの澄ました顔との、あまりのギャップ。この顔を見ていると、「やっぱりこのオヤジ、相当の悪人だよなあ」と思えて仕方がない(笑)。しかも結局は金持ちになり美人ちゃんもゲットするという展開(これって要するに、苦労した末に成功した自分の自慢話か?)。 チャップリンというヒトが、私生活でいろいろと問題をかかえていたことと、彼の作品とは、切り離して考えるべきなのでしょうが、何となくこの映画からは、何か悪人ぶりが直接漂ってくるようで、だからきっと苦手、なのです、ハイ。でも好きなシーンもある。この映画、靴を食べるシーンが有名ですが、ワタシは、「靴を皿に盛ろうとしたら、皿が汚れていたので、皿を袖で拭く」という、あの無意味な細かさが好きです(わざわざ皿を清潔にするような食いモノではないよね)。あと、チャップリンが酒場で人ごみの中にいるシーン、音楽とともに人々がダンスを始めて一人取り残される彼の後姿が、とても印象的。多分、この映画、苦手ではあっても、嫌いではない、そう、気になる映画であることは間違いないのかも。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2009-05-24 12:23:29)
11.  キートンのハード・ラック(悪運)
うひゃ、なんじゃこのオチは。もしかしてこれがウワサの「チャイナ・シンドローム」ってやつですかね。はははは。でもこの飛び込みシーンには思わず「あっ」と言ってしまいました、もうビックリ。この映画、4コマ漫画を継ぎ接ぎして作ったような(それもオチがどれもこれもヘン)、行き当たりバッタリの内容ですが、キートンの驚くべき身のこなしが、ここでもたっぷり味わえます。このヒト、ほんとうに「体重」というものがあるのだろうか。オモチャみたい。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2005-10-25 22:23:19)
12.  死滅の谷
気味の悪い男と知り合ったカップル。彼氏は忽然と姿を消し、彼女は彼氏を捜し求める・・・って、おお、まさか『恐怖のレストラン』の元ネタがフリッツ・ラングだったとはねえ! というのは勿論勘違いでした。ははは。気味の悪い男の正体は死神。ああやっぱりねえ。で、映画はここで突然、愛と死にまつわる3つの幻想譚よりなるオムニバスとなります。この3つのエピソード、オソロシク一般性に欠ける話ばかりなんですが、意外な構図の切り取りや、大胆な(大胆すぎる)特撮のオンパレード、かなりリキ入ってまして、圧巻です。第三話が特にハチャメチャなSFX超大作。ドサクサ紛れに一反木綿まで登場(?)、いろいろヘンな部分もあるのですが、「とりあえず」圧倒されます。しかーし。もし映画がこのまま終わっていたのであれば、オムニバス特有の散漫さが映画の印象を薄めていたところかも知れないんだけど、この3つのエピソードに続く「彼氏を救う最後のチャンス」のエピソード、コイツが曲者でして、日常から遠く離れた3つの世界を他人事のように楽しんでいた我々を、いきなり身近な世界へと引き戻し、現実における「死」を突きつける・・・あくまで幻想的に幕を下ろすラストではあるのですが、突然冷たい手が伸びてきて頬を撫でられたかのような、ゾクリとした感覚があります。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2005-09-21 23:52:50)(良:1票)
13.  第七天国(1927)
まあ、とりあえずエエ話ですな。ツボにはまったメロドラマなもんで、無声映画であることを観てて忘れてしまうほど。ディアーヌが姉に追われるシーンや、階段を上るシーンの撮影、こういった場面でのカメラの遊び心、まずは唸らされるが、それにとどまらず、この立体感、コレが本作では重要。「第七天国(←チト誤訳っぽい気もするが)」であるアパートの一室から見下ろす、「社会」の俯瞰図の透明感。これを見てしまうと、ラストは当然、ディアーヌが足を踏み外して転落死するという悲劇的ラストを予感してしまうわけだが、当然またも私の予想は全く当たらない(笑)。くそ~。それはともかく、自由に階段を上って7階から地表を見下ろすカメラ、はたまた二人のママゴトみたいな擬似新婚生活を出歯亀するカメラ(いやあ。観てて、何か、気恥ずかしい・・・)、この、アラユル障害を乗り越え、空間を超越したカメラが、後半、戦場とパリに別れた二人を、しっかり結び付けてくれているのですね、ニコニコ。よってメロドラマがさらにいっそう燃え上がるのでありました。それにしても。ワタシも生まれてこの方、「好きだ」なんて言葉、言ったこと、一度もないですなあ。ぶはははは。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2005-08-22 23:57:34)
14.  つばさ 《ネタバレ》 
第一回アカデミー作品賞受賞作、その名は『つばさ』、別名を『とっぷがん』とも言う←ウソ、言わないよ。どう考えても『トップガン』より迫力あってスゴイもんね。映画の表現自体は、直截的なものが多く、やや深みに欠ける部分もありますが、それを補って余りある、空中戦のド迫力。むしろその単刀直入ぶりが、本作のダイナミックさと相まって、ひとつの魅力ともなっており、実に快感。何しろ特撮もヘッタクレもなく、とにかくホントに「やっちゃう」しかない、というスゴさ(ゴータ機の爆撃シーンなんて、ありゃもう本当に爆撃してるゾ?)。とは言いつつも、「ブランコ上のカメラ」「テーブルを次々飛び越えて行くカメラ」「その他、変なところに設置したカメラ」など、結構モダンなところも見せてくれます。この辺り、私などはどうしても、現代のB級アクション映画のハシリのように思えて、トテモ嬉しくなるのですが・・・。さて、まず映画冒頭、まかりいでたるはバカップル。しかしどうやらカップルではなさそうなので、差し引き、ただのバカである。ごめん言い過ぎた。でもかなりハイレベルな勘違い野郎には違いない。その勘違いジャックが主人公、彼が軍隊に入り、訓練を受ける(クーパーも一瞬出てくるが、残念な事にすぐに死亡、残念な事にあくまで勘違いジャックが主人公である)。初フライトの際、横で救急隊が欠伸してる、なんて描写が効果的。やがてジャックは欧州戦線で活躍。活躍はしても何だかシマリの無いジャック、しかし彼がカッコよく見えるシーンもあります。泥酔してキャバクラ嬢(?)とイチャつき、何故か泡に異常に興奮するシーン。ここだけ何だか、水もしたたるいい男、に見えてしまうのです(つまりマジメな顔があんまり似合わないんだな)。それはともかく、クライマックス、友人デヴィッドが死んだと思いこんだ怒りのジャック、敵に怒涛の攻撃を仕掛けますが、このシーンのスピード感、迫力たるや、もう手に汗握りまくり、必見中の必見です。しかし、調子に乗って、デヴィッド(実は生きていた)の飛行機にまで攻撃を。もーっ!ばかーっ! という訳で、感動的というよりは、ジャックの頼りなさ、気の利かなさが不本意ながら浮き彫りになっちゃったラストですが、それでも一応、反戦っぽい含みも(少し)残したという点で、映画に厚みを与えております。ハイ。
8点(2004-04-29 01:13:21)(笑:1票)
15.  アンダルシアの犬
冒頭いきなりの衝撃シーン(ウンコシーンを最後に持って来たピンクフラミンゴとは逆のアプローチですな)。いきなり繰り出されあ先制パンチ、「サア、オレ達これから何しでかすかわからんゼよ、観てるアンタ、覚悟しな」という宣言のようでもあります。まあしかしそっから先は基本的に無声ドタバタコメディのノリですな。テンポいいので意味ワカランでも退屈はしませんでした。むしろ、カメラアングルをあれこれ工夫してるあたり、「正気」の部分が垣間見えちゃう気がするのは、何となく残念な気もします。けど古い映画ですからね。こういった映画が後の映画に影響を与え、そういった諸作品を先に観た上で比較しちゃうのは、さすがに酷。むしろ、「こんな映画をこの当時に作るなんて、きっと作っててメチャクチャ楽しかったに違いない」などと想像すると、それだけでも、何かと触発されるものはあります。ただ、えらく短い作品なので、思い入れにも限界が。
7点(2004-01-18 16:12:46)
16.  雄呂血
後の雷蔵版も捨てがたいが、この原典版もスゴイ。バンツマは絶対、古今東西最高のアクション俳優だと思います。クライマックスの息もつかせぬチャンバラは、人間の能力を超えてます。目が点になりました。
8点(2003-10-12 10:14:22)(良:1票)
17.  キッド(1921)
チャップリンが追われながらも、危険を顧みずに屋根伝いに孤児院の車を追い掛けるシーンは、見る度に涙が出ます。さらには、ついに車に追い付いて子供を取り戻し、運転手を追い払うシーン。ユーモラスでありながら、じーんときます。これまで観たチチャップリン作品の中でも一番好きなシーンかも知れません。
9点(2003-09-20 21:33:32)
18.  キートンの大列車追跡
ここでも、結構アブナイことやってくれてます。人間、目の前でアブナイことされると、ヘラヘラ笑っちゃうんですよね。まあそういう、緊張と緩和の生み出す笑いは、大笑いはできなくても、もしかするとチャップリン以上に普遍性を持っているのかも。あと、私は列車モノに弱いというのもありまして。
8点(2003-09-14 00:53:39)
19.  戦艦ポチョムキン
1925年でコレですから、撮影技術自体は欧米よりは低かったのかもしれませんが、この驚くべき演出! ダイ・ハード観てるのかと思ったよ。ごめんそれはウソ。しかしこの時代にすでにこんな事までやってたのかと思うと、少し薄気味悪くすらなります。逆に言うと、これまで音楽や美術の表現方法のトレンドが激しく移り変わってきた事に比べたら、映画って、実は膠着してるのかも???
8点(2003-08-15 22:07:51)
20.  吸血鬼ノスフェラトゥ(1922)
「超自然」の薄気味悪さがジワジワっと迫ってくる、いやーな雰囲気がよく出てると思います。シュレックがフワ-っと起き上がってくるとこなんかね。説明よりもイメージの世界。
8点(2003-05-01 22:30:09)
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