1. 人情紙風船
《ネタバレ》 愚直の体現のような浪人・海野又十郎が終盤の宴会で「毛利様が狼狽えておりましたか」と、ほくそ笑むシーンが醜悪で、ゾッとした。 止められた酒に酔い、ご近所の評判も落とし、内助の功・おたきにへらへらと嘘までつく始末。 ここで、酔い潰れている又十郎の前にスッと懐刀を取り出すおたきの所作に、またもやゾッとした。 「おや、またかい?今度は心中だとよ」と、長屋は今日もズルズルとした日常に塗り潰されていく。この展開の見事さに、ゾッとする。 名作というよりかは、怪作の部類ではないかと、思う。 こんな悲話を遺作にしては遺憾だろう山中貞夫。「チトサビシイ」どころではない、どうにかならんか。(どうにもならんのだが) [DVD(邦画)] 9点(2018-05-28 03:42:11) |
2. チップス先生さようなら(1939)
《ネタバレ》 私も「ドナウの水面は青く美しい」と言えるような生き方が、したい。今の私が見ても、たぶん茶色く見えるんだろうなぁ。 [DVD(字幕)] 8点(2011-12-04 06:43:55) |
3. オズの魔法使
《ネタバレ》 普遍的で良質な寓意が素晴らしい。名作。とは言え、私、悪とはいえ魔女が二人も死んでハッピーエンドというのは、どうも腑に落ちないイヤなオトナである。 [DVD(字幕)] 7点(2010-06-07 06:33:49) |
4. 桑港(サンフランシスコ)
説教臭くとも米国国民(というかキリスト教徒というか)にはこれが大事なのです!みたいな感じ。プロバガンダ臭もさして気にならないし、単純に娯楽作品をそれなりに楽しんだといった感じ。それなりに感動もするし、パニックシーンに対する意気込みみたいなものも感じるし、何よりクラーク・ゲーブルは格好イイ。 [DVD(字幕)] 7点(2007-02-19 00:08:22) |
5. 河内山宗俊
「任侠に妙なファンタジーを感じちゃっている」人には是非観て貰いたいスタンダードなクラシック任侠物。昨今の極道モノにありがちな生暖かいナルシズムも、嘘臭いカタルシスも、この作品にはエッセンスですらない。某○シネ系極道物シリーズを何億本製作したところでこの高純度には及ばないだろう。真っ当な人情物エンタテイメント作品として古さを感じずに楽しめた。 [DVD(字幕)] 9点(2006-05-30 12:44:40)(良:1票) |
6. 丹下左膳餘話 百萬兩の壺
何と言っても脚本が素晴らしい。他も人情臭さ、音楽の格好良さ、笑い所、どれをとっても素晴らしい。主人公の「腕っ節が強く人情味ある、ややダサい何所かにいそうなヒーロー像」は、いわゆる「スーパーマン思想」ってゆー胡散臭さがなくて、イイ。本当にセンスのいい作品は時代を超えるなぁ、と。個人的にはチャンバラシーンが物足りないが…へぇぇ?…GHQが削除したのか!?万死に値する!そこが惜しい。限りなく満点に近く、時代を超える数多の時代劇ヒーローに、最大限の敬意とした「9点」です。 [DVD(字幕)] 9点(2006-05-16 03:18:54)(良:1票) |
7. 西部戦線異状なし(1930)
蝶に手を伸ばした主人公の、憔悴した笑顔が頭から離れない。 10点(2003-06-12 11:41:17) |