1. 天使のくれた時間
《ネタバレ》 たまたまテレビでやってたので観ましたが、良い作品でした。テーマの捉え方は人それぞれかもしれませんが、自分的にこの作品は「自己実現」と「愛」の狭間で揺れ動くなかで、個人はどのような決断をしていくのか、ということについての映画な気がしました。現実世界でビジネスマンとしての能力を完全に開花させている主人公。自分は欲しいものを全て手に入れたと思っている彼の無意識に眠る「ほんとうにこれでいいのだろうか?」という疑問が黒人のナビゲーターという形で現れ、「あったかもしれない世界」を夢のなかで体験したのかもしれません。自己実現も大切だけれど、愛がなければ淋しい。人生のなかで誰でもが抱える葛藤を、素晴らしく良くできた脚本と丁寧な演出、魅力的なキャストで描いています。ラストが曖昧な点については、「こうである」という結論がなかなか出ないのが人生ですから、私はとても気に入ってます。観て損はない作品だと思います。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2011-10-02 23:44:48)(良:2票) |
2. THE 有頂天ホテル
何が面白いのやらさっぱりわからなかった。「王様のレストラン」など過去の三谷作品にはいくつか大好きなものがあるが、話の展開や笑いは過去に使った手をちょっと変えたくらいのもので、進歩がない分数段キレが落ちている感じ。 キャストの人数が多いうえにいちいち豪華すぎるのも、作品にとってプラスになっているとは思えない。芸能人大忘年会の余興みたい。それが狙いです、と言われたらそれまでだけど。三谷監督が望んで超豪華キャストにしてるのか、興行的に仕方がないのかちょっとわからないけど、4番バッターばっかりの野球チームって魅力ないと思う。作品自体に自信がないのか、と疑ってしまいたくなる。 [DVD(邦画)] 2点(2008-03-06 19:47:33) |
3. A2
公開当時、森達也さんをあまり知らずにみにいったのですが、オウム真理教を題材にしたドキュメンタリーでまさか笑えるとは思わなくて驚いた記憶があります。 大手マスコミによっていかにオウム真理教が「料理」されてしまっていたのかがよくわかります。森監督は、オウムに体ひとつで飛び込んでいく驚くべき行動力と、彼等をひとつの正当性を軸に追及していくのではなくひたすら見つめ続けようとする「待ち」の姿勢で、ただそこにあるオウムの「事実」だけを差し出してくれました。 信者たちが自分達と同じ人間である、という気がついてみればあたりまえのことに改めて目を向けさせてられたのですが、それは森監督が吹き荒れる北風ではなく控えめな太陽であったからでしょう。静かな粘り強さに脱帽です。 [映画館(邦画)] 8点(2007-04-07 04:51:28) |
4. 茶の味
《ネタバレ》 最初に一くんの頭を電車が走り抜けるところで一気につかまれてしまいました。なんだかわからない人たちが、ほのぼのとした空気の中でなんとなくちょっとずつつながっていくのが楽しめました。家族という重くなりがちな題材をサラッと描いていたのがなんとも気持ちがいいですね。我集院達也がおじいちゃん役という違和感もこういうタッチなら全く抵抗なく受け入れられてしまいました。おそらく冒頭のシーンで「こういう映画だよ」っていう提示を監督がきちんとしてくれたからではないかなあと私は思います。「自然体」演技(台詞の言い方を可能な限り日常に近付けてあったことなど)が全体にうまくいってて好感が持てたのですが、正直若干鼻につくところも…。しかしいい映画なのでそのへんは忘れることにします。石井監督はしょーもないことを思いっきりやってくれるから私も好きです。 [地上波(字幕)] 8点(2005-10-28 22:43:25) |
5. 血と骨
予想よりも面白くなかったです。関西在住の者としては、まず俳優さんたちの関西弁の不完全さがかなり気になりました。ビートたけしさんは大ファンなので楽しみにしてたんですが、彼の怖さ・無気味さはこの映画のように叫んだり過激に体を動かしたりすると打ち消されてしまう種類のもののような気がします。たけしさんが悪いというのではなく監督の領域だとは思うのですが、北野映画で静かにたたずんでるたけしのほうがよっぽど怖いと思いました。俳優さんの熱意を否定するわけではありませんが、何か観ながら「大変なことやらされてるなぁ」と終始感じてしまい、それを熱演ととるのは私としてはどうも違うような気がしてしまいました。シーンの描き方にも監督の美学が見えず、なんとも感想の持ちにくい映画でした。 [ビデオ(字幕)] 4点(2005-09-16 01:09:43)(良:1票) |
6. ハウルの動く城
《ネタバレ》 一番印象に残ったのは冒頭の空中散歩のシーン(久石譲の音楽効果は絶大)。そこを越えるラストシーンを心待ちにしながら観ていたけれど、遂にその瞬間は訪れなかったので拍子抜けでした。しかし木村拓哉の声優ぶりには驚きました。「2046」の冒頭のナレーションがとても良かったので期待してたんですが、それを裏切らない素敵な声でした。ただハウルと声がぴたりと合っていたかどうかは別でありまして、できればあれが木村拓哉だということを知らずに観たかったです。どうも「もののけ姫」以降、声優がかなりの著名な俳優ばかりで、観ていても本人の顔がちらつくのでがっかりしてしまいます。俳優が声優をやるときはなんか声優専用ネームみたいなので素性を隠してやってくれないかなあ。無理なんでしょか。 [映画館(字幕)] 6点(2005-04-03 18:23:43) |
7. バトル・ロワイアル
序盤から引きこまれて観るのをやめられませんでした。中学生が殺し合うというテーマは問題じゃないか、とかはなぜかまったく考えなかったというか、そういうひまもなくどんどん映画が進んでいきました。暴力アニメで嫌悪感を感じる作品はたくさんあるのだけど、この作品にはそれがなく、ただ「死」を隣り合わせにして生々しく痛々しく輝きを増す「生」の姿がそこにありました。何度も眉間にしわをよせつつ胸が痛むような感覚を覚えました。不謹慎と言われるかもしれないけど、必死で生きる姿って美しいなあ、とただただそれを感じたのです。なぜでしょう。深作びいきなのかなあ。 [DVD(邦画)] 8点(2005-02-01 12:58:07) |
8. マグダレンの祈り
素材(修道院でのできごと)をそのまま出された感じ。映画になりきってないように思います。悪くないのだけどなんとなく退屈感が後に残りました。私は映画にはやっぱり多少エンターテインメントとしての役割を期待しますので・・。 6点(2004-04-25 19:48:14) |
9. 過去のない男
久々に2回観た映画。現実世界を良質のふるいにかけて、残ったものを美しい色と素敵な音楽で味付けした感じでした。苦味も甘味もしょっぱさもいろいろ入っているけど後味はなぜかとてもすっきりしています。ごちそうさまでした、という感じ。 9点(2004-04-25 19:35:22)(良:1票) |
10. ラスト サムライ
《ネタバレ》 とても期待してみにいきました。私は渡辺謙さんも真田広之さんも大好きなのです。渡辺さんは特に「独眼竜正宗」の頃からずっと好きなのです。なのに・・・。 何でしょう、別に怒ってるわけじゃないし、こういう映画を作ろうとしていただいたことは本当に有り難いのですが、面白くなかったです。 武士道とは何だかよくわからない意地のためにたくさんの命を犠牲にすることではないと思います。この描き方ではそんな風にみえてしまうじゃないですか。 皆さんおっしゃってますが、桜が何桜かさっぱりわからなかったり、ていうか造花にしか見えなかったり、明治時代に忍者(武器のツメがカリオストロの城に出てくる敵が使ってたやつとそっくりだった)が出てきたり、わりと何発も撃たれた真田広之が長いこと元気だったり、登場からずっとおしとやかだった小雪が最終的には大胆にも夫の仇・トムの着物を脱がせておまけに接吻したり、行水をのぞかれても恥ずかしがる様子も見せなかったり、ええもうそんなことどうでもいいですから武士道精神だけはしっかり描いてほしかったです。お願いしますほんとに・・・。 4点(2004-01-09 23:03:34)(笑:1票) (良:3票) |
11. 座頭市(2003)
おもしろかったです。お友達に「みにいったほうがいいよ」と素直にすすめたい映画です。「エンターテインメント作品を撮るぞ!」という監督のことばどおり、どなたでも楽しめる作品に仕上がっていると思います。なんかもういろいろなこだわり的なものをすっかり捨てて、からっぽになって観て気持ちよく楽しんでもらえるといいなあと思います。そうじゃないともったいない。北野監督に楽しく騙されてください。 [映画館(邦画)] 8点(2003-09-30 22:55:21)(良:2票) |
12. 少林サッカー
最初から最後まで笑えました。香港にああいうナンセンスギャグが存在したと初めて知りました。B級映画かと思ってみたら意外とちゃんとしてたのでびっくり。まだ観てない方は、お酒でも飲みながらお友達と気楽に観ることをおすすめします。監督・脚本・主演のチャウ・シンチーさんがとてもかっこいいですよ。香港ではジャッキー・チェンと並ぶ大スターなんだそうで。 [DVD(字幕)] 7点(2003-08-30 13:21:40) |