1. アメリ
あなたには勇気がある。現実に向き合うことが苦手なあなたにも、この人生を生き抜くのに必要な、十分なだけの勇気がある。だから、さあ。そんなことを言ってもらった気がした。それは、必ずしも異性に想いを告げることでも、日常を離れて旅行に出掛けることでなくてもいいのだけど。また、それらをしたからといって、それで万全というわけでもないのだけど。そんなメッセージを受け止めることができた。宝物みたいな作品。映画って凄い。 [映画館(字幕)] 10点(2011-01-09 18:47:07) |
2. 真珠の耳飾りの少女
絵画を見るという体験が、こんなにもワクワクし、ドキドキする、スリリングな体験であることを、映画という手段を通して提示している。映画が手段に堕しているから、真の映画好きはこの映画を嫌いだろう。 [映画館(字幕)] 7点(2006-07-09 15:55:03) |
3. ランド・オブ・プレンティ
アメリカは自分から傷ついたなんて言わないから、外国人(ヴィム・ヴェンダース)がこのように描くことにさえ、憤りを表明するかもしれない。でも直接言わなくたって、彼らの思いはあらゆるところに染み出ている。私は、アメリカは心配ないと思っていて、それでもこの映画を見られて良かったけど、普段そんな風に考えない人こそ見る価値ある映画じゃないか。メッセージがもっと直截でも良かった。 [映画館(字幕)] 7点(2006-02-19 17:49:33) |
4. ミュンヘン
答えのない映画です。重苦しいテーマでありながら、物語はテンポよく展開し、2時間44分の長さをさほど感じさせない。それでいて、最後にはその重苦しさがそのまま余韻として残る。という意味で、稀有な作品であると思います。ブルーがかった色調や、空間の奥行きのなさ、服装のちょっとした特徴などで、「70年代」を上手に刻印していました。死体から硝煙が上がるのだけは止めてほしいですけど。 [映画館(字幕)] 7点(2006-02-10 22:30:17) |
5. テルマ&ルイーズ
俺も37歳になる前に、花のパリくらいは見に行っとこうと、思わされる映画です。できればコンバーチブルを飛ばして。 [映画館(字幕)] 9点(2006-02-08 20:40:43) |
6. ソウ2
よく出来たサスペンス。同じ騙されたは騙されたでも、前作の騙されたは「やられた!」だが、今作のは「なぁ~んだ」。面白い映画を作るって、やっぱ大変なことなんだなあと、あらためて認識する。と同時に、それなりに面白く出来上がっていることに思いが至り、そこはきちんと評価してあげたいと思う次第だ。 [映画館(字幕)] 6点(2005-11-05 00:17:29) |
7. 無法松の一生(1943)
無法松と未亡人の関係(と言っても、無いに等しい関係、なのだが)を、「一生」という形で描くことに意味のある作品だと思いました。原作・岩下俊作氏の『富島松五郎伝』とのことですが、こんな奴が本当にいたんだろうか。男として、惚れます。でも、維新以降(?)廃れていた祇園太鼓を復活させる松五郎、当時から「古い奴」だったんだろうなあ・・・右も左も真っ暗闇(関係ない) [映画館(字幕)] 6点(2005-09-27 23:19:18) |
8. 乱れる
この映画は「乱れる」内容の作品であることを正直にタイトルで告白している。加山雄三は「絶対言うまいと思ってた」と言うが、言わなきゃドラマにならない・・・ではなく、言わなくたって言葉や態度の節々に表れる。高峰秀子だって本心ではずっと前からそうと分かってた。あんなエピソードから、加山が清水に戻ったのは浜美枝のため、なんて類推する奴はいない訳で。ある意味、そういう発言を引き出す状況に追い込んだのだ無意識に。だって、女なんだもん。 [映画館(字幕)] 8点(2005-09-18 14:32:46)(良:1票) |
9. 網走番外地(1965)
網走へ来たことを、いきがってみせる、箔がついたように振る舞う、そんな気持ちはよく伝わるし、それでいてたった1本の煙草のために人間関係が表れてしまうところなんか、上手いと思ったね。型通りを感じるところもなくはないけど、むしろ演出の技をたくさん持った監督さんだなあ、と感じた◆でもって、それは見事に結晶してたと思う。高倉健主演物としても、チンピラ・悪党物(男・任侠物じゃないところがミソ)としても、大傑作じゃないかな。 [映画館(字幕)] 8点(2005-09-10 00:54:11) |
10. 秋立ちぬ
1960年に12歳・小学校6年ということは、48(昭和23)年の生まれ。つまり私の父と同い年・団塊の世代である。秀男は同世代より一足早く東京に出て、一人で全共闘を闘ったのだ。潰されンなよ。 [映画館(字幕)] 7点(2005-09-09 23:50:10) |
11. 地球防衛軍
山陽道O県O市T町には「地球防衛軍」という名の風俗店がある(実話)。考えてみれば、嫁さんのいない、精力を持て余した男たちのいくところだ。職員たちも、ある意味、地球を守っていると言える(性犯罪から)。そう思うと、彼女らを応援せずにはいられない。今宵も頑張れ!地球防衛軍!! [映画館(字幕)] 3点(2005-09-04 01:24:29) |
12. エレニの旅
一種独特の演出様式で、言ってみれば彼が一人で考え出した歌舞伎を見せられている様。洗練や熟練とは程遠く、その人間臭さに好感を持った。水面を滑る霊柩筏のシーンには爆笑寸前のおかしみがあったし、エレニエレニと意味無い連呼は、住居と化した劇場(これも無意味!)に絶叫して現れる父親という、有り得ないシチュエーションに結実するなど、いいところもたくさんあった。物語を映像で説明しきれず解説調の台詞を挿入したり、話の誇張が寓意を超えて不自然だったりしたのが残念だ。 [映画館(字幕)] 2点(2005-07-18 23:46:47) |
13. サマリア
《ネタバレ》 世の中に、生きているべき人間はこの親娘2人だけ。それ以外の人間は生きていてもいなくてもいい。とするなら、父の行動は、娘の心情を最優先した慈愛ということになろうか。だが実際には、「運転の仕方」を教え、社会へ送り出してやるわけだ。だったら初めっからぶん殴ってやった方が話が早い。なぜ殴らないのかが分からない。監督自身が少女を買って、その贖罪に映画を撮っているかの様。あ~、キモチ悪い。 [映画館(字幕)] 4点(2005-07-17 05:28:04) |
14. ミリオンダラー・ベイビー
イーストウッドのこれみよがしな演出手法は昔から嫌いだったが、若い頃は表面上の装いに騙された。外連は所詮外連だが、中にはなかなかよく出来た外連というものがある。物語にしんみりと深い味わい(この味わいがそもそも外連なのだが)があり、今後繰り返し見る作品となりそうだ。イーストウッドには、外連の神様”ケレン・ヘラー”の称号を授けよう。8 [映画館(字幕)] 8点(2005-06-05 15:15:19) |
15. タイタニック(1997)
男から見てもこのディカプリオはハンサムだ。ただディカプリオの演じるジャックは、行動者であって観察者(絵描き)ではないね。丸裸になってソファーに寝そべっているローズ(ウィンスレット)より、それを真剣な眼差しで見つめるジャックの”描いている姿形”の方が絵になっている矛盾・・・。タイタニックは名作として記憶に残るだろう、みんなが忘れなければ。 [DVD(字幕)] 9点(2005-05-26 22:22:24) |
16. 一番美しく
山出しの大根みたいな(例外もいるが)土くれだらけの女工たちが、実に輝いて見える。国策に沿うとは言っても、人間性の善を謳歌する矛盾にはならないと思う。むしろここまで躊躇なく謳い上げるのは、まさに国策に沿っていたから可能なので、日本には珍しい時代だったのではないか。あとテンポがいい。 [DVD(字幕)] 9点(2005-05-17 22:35:40) |
17. 永遠の片想い
《ネタバレ》 若くしての死という運命を、二人がすんなり受け入れているように見えませんでしたか? 例えそうであったとしても、人を愛することによって生きたいという気持ちが生じ、葛藤が起きる、本来はそこにドラマがあるんだと思うのですが。「一人の男を愛しつつ死んでいく自分」に酔うという、あり得ない感傷主義に思えました。つまりこの映画は、大きな嘘、ですね。私にとって恋愛は真実なので。 ただ嘘は嘘でも、優しい嘘だなとは思いました。 [映画館(字幕)] 5点(2005-05-07 07:57:54) |
18. 河内山宗俊
《ネタバレ》 映画を見てて涙したことはなんべんもあるが、嗚咽が漏れたのは初めて。家で一人で見ててよかった。河内山が「お静は俺の女房だ、河内山の女房だ」と台詞を言い、次の瞬間板戸越しにその台詞を聞いたお静の顔がアップになるシーンです。 [DVD(字幕)] 8点(2005-05-06 22:34:34)(良:2票) |
19. KISSing ジェシカ
女ってのは、女同士で愛し合ってもどんどん綺麗になっていく。男だったらこうはいかない(いや、想像しなくていいってば)。もちろん演技や化粧や服装、話し方などあらゆる努力によって演出されているんだろうけれど、人を愛し人から愛されるため、自分に可能性を認め、自分を素直に解放していくことが、より彼女を彼女らしくする、という物語には、とても説得力があった。男が欲望の対象としてこういう物語を産み出したのでなく、女性たちの中から出てきたところがまた凄い。あらためてこんなこと言うのもなんですが、男と女って違う動物だね。 [DVD(字幕)] 8点(2005-03-31 02:42:23) |
20. ナショナル・トレジャー
巨大な陰謀/壮大な謎に挑む冒険大作、みたいのを期待してたわけですよ。そしたら一つ一つの謎はなんかナゾナゾみたいのばっかりでねえ。一応そういったナゾを、膨大な知識と明晰な頭脳の持ち主ニコラス・ケイジが解いていくんだけど、彼はちっともそんな男にゃ見えない。せっかくアメリカ独立宣言書の裏に書かれたという設定を持ってきてるわけだから、頭のいい奴はいくらでもいて謎もほとんど解かれていたけど勇気だけが足りなかったとか、民衆の自由を本気で信じる心が試されていたとか、もっと精神的なものと結び付けるようにすりゃ良かったのにね。ケイジもそんなキャラの方が似合うと思う。とはいえそこはハリウッド、そこそこ楽しめる作りです。 6点(2005-03-29 00:57:35) |