1. グーニーズ
子供向けではあるけれども、冒険映画の傑作。本当に子供のいちばん興味を引くポイントをついてくる演出がにくい! 屋根裏部屋、宝物、海賊、怖い大人、怪人、洞窟、廃屋、ウォータースライダー、海賊船、悪ガキ仲間などなど一度見てしまうと心を掴んで離さないアイテムがてんこもり! 私がこの映画を見たのは主人公たちの少年たちよりも幼い頃でしたが、それこそ台詞を全て覚えるほど何度も繰り返し見たものです。それくらいにおもしろかった。最近になってDVDで改めて見てもクオリティの高さはさすがと感じます。 また、スタッフが凄まじく豪華です。これだけのメンツをいま集めることは不可能でしょう。まさに才能の集まりが放った名作だと思います。 内容的にはみなさんのレビューの通りですが、歯の矯正をして喘息持ちの主人公というのはいまみても珍しい設定ですね。 この映画は子供と大人を振り分ける踏み絵。いつまでも素直にこの作品を楽しめるやんちゃな大人でありたいと思います。自分の子どもにも必ず見せてあげたい。シンディー・ローパーの主題歌とともに子供たちに永遠に愛され続けるであろう、宝箱のようなすてきな映画です。 [地上波(吹替)] 10点(2005-06-09 21:04:38)(良:2票) |
2. ビッグ
楽しくいとおしく、そして切ない現代の寓話。誰もが一度は夢見る大人への憧憬と子供回帰を、暖かく優しい視線で描いたファンタジー映画の名作。F.A.Oシュワルツでの鍵盤演奏が素敵。疲れきった現代人に潤いを与えてくれる、優しい優しい映画です。自分だったらいったい何をお願いするだろう…?願いをかける、そんな忘れがちな思いを呼び覚まし、自分だったらどんな願いをかけるかという想像力をかき立ててくれる。夢と童心に溢れた作品だと思います。 [DVD(字幕)] 10点(2005-04-22 07:50:51) |
3. インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説
現三部作のなかでは一番好きです。舞台設定・美術がとにかく凝っていて、ワル側の描写が三作中もっとも細かい。息を飲むトロッコシーンは抜群だし、実写でスリリングな演出を表現した吊り橋ノシーンなど、CGI全盛の今だからこそかえって新鮮に感じる。生贄の儀式の祭壇なんて、よくセットで造ったものだと感じるくらいのスケール。残酷描写が目立つということもあって前作よりは評価が低いようですが、私は好きですね。『グーニーズ』つながりのキー君の活躍も必見。ケイト・キャプショーの「絶叫演技」は ジェイミー・リー・カーティスの再来を思わせると同時に、本作のコミカル演出のカナメになってますね。 10点(2004-05-05 18:28:30) |
4. 少林寺三十六房
ついに、というかやっとDVDが発売されるようですね。祝!初パッケージ化!! タランティーノ監督、ナイナイの岡村さんをはじめ多くの熱烈なファンを持つこの作品、再び目にできることは嬉しい限りです。李海生(総長)の最初で最後の「良い人」演技が見られる点でも貴重かな。最初に見たのはまだまだ物心ついた頃でしたが、いまだに忘れえぬ鮮烈な印象を残した一本。必見です。 10点(2004-04-24 10:02:36) |
5. ラスト サムライ
下積み経験四十余年。もうじき定年を迎えられるボブ・福本清三先生にこの10点を捧げます。彼こそLAST SAMURAIです。 10点(2004-01-15 18:07:23) |
6. 火垂るの墓(1988)
アニメ表現の限界に挑戦した恐るべき傑作。清太と節子が健気に、そして前向きに生きていこうとする姿が胸を打つ。この作品は声高に反戦を訴えるわけではない。壮絶な戦闘が繰り広げられるわけでもない。しかし、見るものに迫るこの感情の高ぶりは画面の中で精一杯生き抜いたた2人がいるからこそ感じられるものであろう。もうこの作品の名を汚すものは何もない。 10点(2002-09-05 23:54:16) |
7. 遠い空の向こうに
何も文句はありません。涙という涙をしぼりとられた感動作です。あのお父さんも自分の命を部下に救われたからこそ、仕事でも仲間を大切に、そして一徹になってるっていうのが心に残ります。最先端産業を目指す息子と、消え行く産業を誇りにする父。ぶつかりあいながらも夢と希望、そして支えてくれる周囲の人たちへの想いは親子共に同じなんですね。感動する作品は数あれど、この作品は文句なしにその1ページに刻み込まれる名編でしょう。涙と感動のラストにノックアウトです。夢を持ち続けるすべての人に見てほしいですね。ジョンストン監督、すばらしい作品を本当にありがとうございます。 10点(2002-06-27 04:33:58) |
8. 硫黄島からの手紙
《ネタバレ》 素晴らしい。静かな映画。太平洋戦争中、日本軍の戦いにおいて最大の激戦とも言われる硫黄島玉砕の戦いを、激しい戦闘シーンを交えつつも静かに静かに描いています。栗林中将の言葉にもありましたが、大本営からも見放された彼らを突き動かしていたのは愛する人を守る、その一心だったのでしょう。そして人種は違えど米軍兵士もそれは同じ。立場の違いだけのために極限の戦闘状況で殺し合いをする戦争の虚しさと無意味さをイーストウッド監督は奇をてらうことなく静かに語りかけています。栗林中将を英雄視せず、かといって日本軍兵士を敵視することもなくニュートラルな立場で…スペクタクルも爽快なシーンも一切省いて行間の深さで見る者の想像力を揺さぶります。その最たるのは日本兵による米軍捕虜殺害シーンを見せた後に全く逆の場面を用意して加瀬亮演じる若者が殺害されてしまうところでしょう。もうどちらもやってることは同じ。戦争の姿を端的に表現した見事な構成と思いました。全編日本人による日本語劇となっていることも監督の本気度(これ、アメリカ映画ですよ)が伺えますね。観ていて「もうやめて!」と叫びたくなるほど辛い映画でしたが、いまこの映画を身の危険なく観られる環境にあることに感謝したいと同時に、スタッフ・キャストのみなさんの真摯な態度に敬意を表します。 [映画館(字幕)] 9点(2006-12-23 00:40:25) |
9. 手紙(2006)
《ネタバレ》 不幸の連鎖が続くストーリーで重たい内容です。しかし、その先に差別を乗り越えて生き抜こうとする力があるからこそ、この作品に意義があるんだと思います。犯罪は服役したからそれで済むというはなしではないことをこの映画は指摘する。犯罪者の家族、犯罪の被害者、そしてその周囲の社会…これらすべてが差別による苦しい思いをするということを。現実から目をそらさず、「そこで生きていくこと」を示す勇気ある映画。この映画を観て三回泣きました。自分でも分からないけど、自然と涙が流れました。人間の弱さと醜さ、そのふたつが生み出す悲しみが胸に刺さったからだと思います。ひとつひとつの場面も丁寧に描かれていて、作り手の誠実な思いが伝わってきました。 気になったのは沢尻エリカが関西人である必然性が全く無いことと、高橋瞳の主題歌ですけどそれを差し引いても見ごたえのある映画でした。 [映画館(字幕)] 9点(2006-12-01 22:47:17) |
10. フラガール
《ネタバレ》 無くなりゆく産業・採鉱と、そこからの脱却を図りハワイアンセンターなる代物に手をつけた会社側。会社と労働者、そして時代から取り残されんとする炭鉱町の戦いを見事なテンポと演技で描ききった秀作。 蒼井優はもちろんのこと、男風呂に殴り込みをかける松雪泰子をはじめ炭鉱夫の実直な母を体現した富司純子、父親に反対され泣く泣く夕張へと引っ越していく徳永えりら役者陣の熱演も素晴らしい。とくに先生が列車で旅立とうとする駅の場面からハワイアンセンターのオープンに至る怒涛のクライマックスは観るものに笑顔と涙を同時に与えてくれ、映画という魔法のパワーを一身に感じられる見事な場面に仕上がっています。 ともすればしんみりとした話をコメディタッチにアレンジしたことが何よりも良かったと思う。蒼井優のダンスと笑顔、日本映画史に残る輝きといってもいいかもしれないです。少々泣かせる演出がくどいですが、まんまとのせられて泣いちゃいました。気持ちの良い涙でした。 この作品を気に入った方はぜひ『遠い空の向こうに』にも観てください。 [映画館(字幕)] 9点(2006-12-01 22:39:23) |
11. ロスト・ハイウェイ
いかがわしい映画。 オモロイ映画ですよ、これは…。 [映画館(字幕)] 9点(2005-04-27 02:11:28) |
12. 運命を分けたザイル
《ネタバレ》 原作「死のクレバス」をもとに二人の登山家の生還劇をドキュメンタリータッチで描いた労作です。どうやって撮影したのか不思議に思う雪山での映像が圧倒的な臨場感で迫ってきます。 人間ひとりの力は自然の前にはなす術もないくらい小さいが、そのなかに宿る精神力の強さと潜在意識の強靭さがまじまじと伝わってきます。 極限状況の体験を、二人が克明に記憶しているところにプロの登山家としてのプライドを感じました。実際に遭難して意識が錯乱していくジョーには、プライドというものは残っていなかったかもしれないが、そのときの彼には「生きる」という目標よりも「前に進む」という一種の義務感があったんだと私には感じられました。全てを失い、取り残された彼にはその“本能”しか残っていなかったんだと…。 極限状況を瀕死の身体で切り抜けていくジョーの姿を見るとき、一人の人間に宿る無限の可能性と強さを実感できると思います。 最後までドキュメンタリー形式にこだわり、彼らを英雄にすることもなく価値観を押し付けることもない作品だけに、観た人それぞれの心で余韻を残す映画だと思います。 映画館では老若男女を問わない幅広い客層が見受けられました。世代を選ばない佳作だと思います。 [映画館(字幕)] 9点(2005-04-06 22:19:20) |
13. ターミネーター4
《ネタバレ》 人類VSマシーンの宿命の対決を描いたシリーズ第4作。今回は成長して抵抗軍を率いることになるジョン・コナーと若きカイル・リースとの出会いを焦点にしてプロトタイプターミネーターらとの壮絶な戦いを描いていく。一言で言えば旧作に対する愛情が溢れんばかりに詰め込まれた本作。1作目と2作目につながる演出やファン泣かせの場面がてんこもりにされており、旧作に対する思い入れを感じにくかった3作目とは大きく異なる雰囲気を見せます。カイルはあのお約束の台詞を発するし、モトターミネーターをおびき寄せるときにラジカセから流れる音楽はアレ。そしてスカイネット本部でついに姿を現す最新型ターミネーターのあいつ!!ダダッダッダダン!!をバックに生足が見えたときは本当に嬉しかったです。あの一連の場面は2作目へのオマージュだし、最後の武器はなぜかいつも鉄棒というのも憎い!意外に不評なようですが心ゆくまで楽しませてもらいました。ブラッド・フィーデルを意識したダニー・エルフマンのスコアやリンダ・ハミルトンの出演、クレジット冒頭に出るスタン・ウィンストンへの弔辞などこれまでの作品への敬意を感じた作品でした。さあ次回作「エピソード5 スカイネットの逆襲」がこれから楽しみです。 [映画館(字幕)] 8点(2009-06-24 21:06:47) |
14. デジャヴ(2006)
全く予備知識なしで観ました。結論から言って一切の情報をシャットアウトして観ることをおすすめします。冒頭の大迫力の爆破事件で幕を開けるサスペンス×SFストーリーを巧みな脚本でまとめあげています。しかもそれをトニー・スコットが渾身の力技で映像化し、見る者に息をもつかせぬハイテンションストーリーとして投げ込んできます。このパワー溢れる映像とストーリー展開の見せ方の巧さは秀逸。物語のピースが徐々に揃ってくる快感とハラハラ感、映画の醍醐味を味わえる素晴らしい娯楽大作ですね。最近は焼き直しばかりだったハリウッドもまだまだ捨てたもんじゃありません。現実にはあり得ない設定だからこそ面白くできることを熟知した製作陣に感服です。猛烈なテンポと高度な撮影・編集はもちろんですが重低音バリバリの音響も面白かったので、低音が凄い映画館で観るとさらに楽しめるかも。『スピード』で唯一死んじゃうバス乗客のおばちゃんが今回も死んじゃった(>_<)あ、正確には死んでないか。結局射殺されてしまったフェリーの従業員が非常に気の毒です…。 [映画館(字幕)] 8点(2007-03-24 01:22:34) |
15. 世界最速のインディアン
《ネタバレ》 こんなジイサン隣に住んでたら迷惑だなあと思いつつも憎めない主人公をアンソニー・ホプキンスが名演技で見せる。無駄に歳を重ねていない主人公の素直で爛漫な人柄が功を奏したのか素敵なロードムービーとなっています。ロジャー・ドナルドソンも大人になったってことでしょうか?クライマックスの塩平原での超速レースは心も熱く足も熱い(笑)!やっとたどりついてスッタモンダの末に出場したレースでの映像は男でなくても熱くなるでしょう。永遠の少年ともいえるこの熱いジイサンの物語、良い映画です。 [映画館(字幕)] 8点(2007-03-24 01:11:37) |
16. となり町戦争
《ネタバレ》 東京から引っ越してきた北原は小さな旅行会社の営業マン。そんな彼に町役場から一通の通知書が。その内容は偵察業務辞令。かくして舞坂町VS森見町の戦争が始まった…。 戦争。平和な日本にいると気づかないこの戦争と言う世界の日常を自治体同士の見えない戦争として描くことで、えも知れぬ衝撃を与える意欲作。全く戦争に参加していないと思っている平和ボケ日本人に対し、我々も戦争に加担しているんだとのメッセージをシニカルなコメディで描くことで見事に表現しています。日に日に増える戦死者、となり町への偵察、38度線を想像させる町境線。戦闘の様子はまったく見えなくても毎日のように気づかぬうちに人が生命を落としているこの不気味さは戦争推進室・香西演じる原田さんの演技もあってうまく表現されています。日常生活を戦場にたとえて描き製作陣の真剣さを感じられた佳作です。ただビデオ撮りの低画質が残念でした。 [映画館(字幕)] 8点(2007-03-15 14:44:28) |
17. 墨攻
《ネタバレ》 歴史好き、とくに攻城・篭城戦が好きな人にはたまらないでしょう。迫力ある映像と音響によって壮絶な戦闘シーンが展開されます。CGをうまく使いながら大勢のエキストラを動員した苦労がしっかりと画面に生きています。また人が城壁から落下したり火だるまになったりと「キャストの生命が安かった」時代の香港映画を髣髴とさせるものもあり楽しませていただきました。またキャストも午馬、銭小豪、于承恵など香港・中国映画が好きな人には懐かしい面々も勢ぞろい。子団のウー・チーロンは「ロード・オブ・ザ・リング」のオーランド・ブルームの役ですね(笑)。革離のアンディ・ラウはもちろんのこと芸達者な役者の演技も見ごたえ十分。物語は地味で大衆受けするとは思えませんが良い映画と思います。この脚本って暗に中国の侵略の歴史を皮肉っていると思うのですがそれは考えすぎでしょうか…? [映画館(字幕)] 8点(2007-03-09 10:55:26) |
18. バブルへGO!! タイムマシンはドラム式
《ネタバレ》 おばか映画です。かなりおばかです。そのくせに笑えて意外に楽しめたのは大収穫。期待せずに見るのが良いかもしれません。隅々に仕込まれた名作のパロディーと時代ギャップギャグの数々、阿部寛のコメディアンぶりがとても楽しい。随所に登場するカメオ出演の面々もお楽しみ。1990年には存在し得ない物品が映りこんでしまっているのは、はなはだ残念ですけど小道具、セット、VFXを駆使した映像に美術スタッフの遊び心を感じました。緑山スタジオロビーはバブル時代の場面設定ロケ地としては地味すぎたかな…。スキー好きとしてはラストショットにニヤリ(笑)。個人的にはバカらしさも含めて好きです、こういう映画。 効くね~!! [映画館(字幕)] 8点(2007-02-15 22:45:09) |
19. 虹の女神 Rainbow Song
《ネタバレ》 予告編で気になっていた映画です。『虹の女神 Rainbow Song』ときれいなタイトルなんですが、シンプルでいて深い、そして切ない映画です。『ただ、君を愛してる』のあとにみましたがあちらがハッピーエンドなのに対し、こちらは終末を感じさせるやりきれない物語になっていて喪失感を感じます。岩井俊二プロデュースだからか、画調は岩井監督のものに近いですね。ただこういうガウスかけまくりの映像はたとえ照明が印象的に作用していても手放しに美しいとは言えず、くどさがあります。好きな人は好きなんだろうけど…。この映画を作った人は、本当に映画が好きなんだろうなと思わせる場面が映研関連の場面に多く見られて気持ちが良かったです。そして何より良かったのが主演三人の演技。とくに上野樹里によるあおいのキャラクター作りはサバサバした好女性で、突然世を去ってしまう喪失感を味あわせてくれます。願わくばもう少し彼女の個性を感じる場面を見せてほしかったですけど、自主製作映画UPのときに岸田に朝倉へのアタックをけしかけるときの表情など、恋する女性の演技がとても上手で目を見張りました。だからこそあおいを出会い系サイトにしている岸田が際立ち、お見合いバーの帰りの「結婚するか」発言のあとの怒りなども観るものに迫ってきます。あおいの片思い、それにあいまいにしか気づかなかった岸田がおたがいの気持ちを本当に知るラストは蒼井優演じるあおいの妹の「ばかだなあ、お姉ちゃんも岸田さんも」に集約され、心に響きます。儚い虹。最後に力尽きた携帯電話。喪失を描く、青春映画の佳作と思います。 [映画館(字幕)] 8点(2006-11-19 22:28:09)(良:2票) |
20. ユナイテッド93
映画である以上、いかにドキュメンタリータッチといえどもある程度の主観がキャメラワークに入ります。しかしそれを差し引いてもできるかぎり傍観した立場を固持している作り手のスタンスは評価されていいでしょう。テロリストも一人一人が人間としてきっちり描かれているのも素晴らしい。あの大惨事を経験した当事者たちの出演にもただただ敬服します。映画として面白いものではないですが、新しいタイプの映画だと思います。制作に携わったみなさんの努力に8点を。余談ですが字幕制作は大変だったでしょうね…。 [映画館(字幕)] 8点(2006-09-19 22:04:59) |