1. エル・スール
落ち着いていて、最近流行りの慌ただしいハリウッド映画とはまったく違う雰囲気の佳作。 終始どんよりと立ち込めた曇り空で、少女の視点で父親との関係が描かれるだけの地味な内容。 だが淡々としたなかに、映像の美しさと深いエピソードや会話など魅力が詰まっている。 忘れたころにもう一度観たい。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2025-03-18 10:15:24) |
2. 駅 STATION
ネタバレ 高倉健と鉄道といえばぽっぽやのイメージがあったので、もっと爽やかな感じかと思いきや、日本的情緒あふれる実にしみじみとした映画でした。 さくらではない倍賞千恵子との絡みがいい。最初の居酒屋での会話から、ラストの居酒屋での倍賞千恵子が一言も発しないシーンとの対比だけでも面白い。 ストーリーもナレーションもなく年月を重ねて淡々と進んで終わるかと思いきや、最後のほうにサプライズもあってこれも気が利いていている。 北海道の冬の厳しさ、八代亜紀の演歌がこれほど似合う作品もないだろう。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2024-12-26 16:36:17) |
3. 魚影の群れ
ネタバレ マグロ漁船というより、海を舞台にして繰り広げられる男女のドラマを重厚に描いている。緒形拳のマグロ釣りは演技じゃなくて本当に釣っていたらしく、迫力が違う。下北の大間や北海道の昔の暗い漁港のシーン、骨太な主人公が目につく。 女を延々と追いかけるシーンや、夜の女の男との喧嘩シーンも印象に残るのこ。 でも全体的に話がまとまっていなくて、合わないと感じた。例えば、そもそも婿の青年がどうして漁師にこだわるのかよく分からない。 最後は感動させたいのか、急によき理解者になる荒くれ漁師も違和感が。 字幕つきで鑑賞できたのは良かった。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2024-11-23 22:33:40) |
4. 植村直己物語
ネタバレ 全然期待していなかったけれど、とてもスケールが大きくて丁寧に作られている。 まずもって全編を通して迫力ある冬山登山のシーンが多くて圧倒される。どれだけの予算と時間がかかったのか分からないが、よくここまで撮影できたものだと思う。しかもどれもどうやら史実通りのようで、西田敏行さんの迫真の演技もあって実際のドキュメンタリーを観ているようで素晴らしい。 ちゃんと公ちゃんとの関係も最初から丁寧に描かれていて、とてもいい味が出ている。 植村直己さんといえば偉大な人格者を想像してしまうが、不器用なところや奥さんに暴言を吐いたりするところなどの描き方も評価したい。 難を言えば、やはりそれぞれのエピソードがあわただしいので、どれか一つでも冒険を長く丁寧に取り上げてほしかった。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2024-11-15 19:04:31) |
5. 快盗ルビイ
ほのぼのとした娯楽映画。 犯罪ものというより、弱気な男が振り回される恋愛ドラマチック。 暇つぶしにはもってこいな感じで可もなく不可もなく。 小泉今日子が好きな人はぜひどうぞ。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2024-05-25 13:04:16) |
6. メジャーリーグ
ネタバレ うーん、地上波で何度もやっているのを見ているはずなのに、コメントしてなかったとは意外。 単純に王道スポーツものあるいはコメディー路線でいったら良かったけど、中途半端に恋愛ロマンスを入れてくるのは失敗だと思う。 それに特定の信仰を揶揄するようなシーンとか、オーナー女性のパネルを剥がしていくセクハラシーンとか、いま放送したらアウトみたいな余計なものも多いし。 それでもラストのヤンキース戦は、ワールドシリーズの熱気が伝わってくるような興奮があるし、野球の面白いところを取り上げているので、良いシーンになっている。続編も見てみたい。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2023-09-20 19:41:06) |
7. フットルース
ネタバレ 若い人向け。 若者の抑圧からの解放と言えば、アメリカ版七日間戦争と言えるかもしれない。 でもケンカとかドラッグとか、米国の嫌な一面がたくさん出てくるので楽しくないのだ。 女性の顔面を殴ったらダメでしょ。ヒロインが魅力的でないのもマイナス点。 一方、主人公の身体能力の高さは特筆すべきで、鉄棒のシーンなどは度肝を抜かれる。 登場人物で言うと、牧師の妻が良かった。この人の存在でかなり救われている。 全体に流れる80年代のダンスミュージックは素晴らしい。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2023-08-17 19:08:48) |
8. 里見八犬伝(1983)
ネタバレ 初めて見ましたが、いかにも角川映画っぽい作りでした。 ところどころで流れる洋楽が何ともいえない味を出しています。 そして薬師丸ひろ子と真田広之のための映画。お姫様役は似合わないと思います。 先の展開も読めてしまうし、全体的にだらだらしてる。 でも元気な80年代の雰囲気は出ていて、役者が生き生き演じているところは今と大違いです。 岡田奈々演じる浜路の目の美しさが目を引きました。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2023-05-26 19:58:57) |
9. フラッシュダンス
ネタバレ 有名な作品、やっと見ることが出来た! 80年代の雰囲気が溢れていて、たまらない。映像がきれいなのも良い。 ちょっとどころじゃなく、かなり情緒不安定で精神年齢が幼いところがある主人公だが、相手の工場長が大人なので釣り合いが取れている。 妙にエロいシーンが入っていたり、友人が失敗して道に外れたりと、疑問を感じるシーンもあるが、オーディションやラストシーンがとてもあっさりしていて、今どきのやたらと説明過多で引っ張る映像に嫌気がさしている身としては、逆に潔くてとても良かった。 コックのスタンダッぷコメディーのシーンも面白いし、応援してくれるおばあさんやブサカワ犬などの名脇役も良い味を出していた。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2022-12-24 22:27:58) |
10. グレムリン
ネタバレ 好きだなあ、こういう分かりやすい映画。 小さなモグワイが怖いエイリアンになって襲ってくると思ったら、意外とやんちゃで遊び心満載なグレムリンになってて面白い。 しかし恐怖から一瞬にして惨殺してしまう母親とか、怖いくらいのブラックユーモアが随所に効いているもんだから、たまらない。 後半は一種のパニック映画のようにもなるが、短い時間でサクッと収束してくれるあたりも昔の映画の良さだよなあ。 [地上波(吹替)] 7点(2022-12-18 21:47:37)(良:1票) |
11. プラトーン
見事な反戦映画。 ベトナム戦争の最前線での激闘などリアルに迫っていて、戦争の愚かさや異常さをこれでもかと問いかける。 隊の人間関係など、これまた迫真に迫っていてすごいの一言。 戦争が身近に感じられる今の時代だが、こういう映画を見ないと本当の意味で反戦は訴えられない。 誰もが一度は見るべき戦争映画の傑作。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2022-12-07 21:51:05) |
12. 愛と追憶の日々
ネタバレ 落ち着いた雰囲気は良いが、長くて退屈な映画。 面白いかどうかで言えば、ジャックニコルソンを除いて圧倒的に面白くない。 ダブル不倫に、いい歳して色狂い。ときには支配欲からヒステリーを起こして、挙げ句の果てに孫に手をあげるなんてね。 最後のセリフだけは良かったけれど、終始束縛から逃れられない主人公に軽くイラッとさせられ通しだった。 アカデミー賞作品なので期待してしまったが、人に勧められる作品ではない。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2022-11-01 19:15:48) |
13. 愛と哀しみの果て
ネタバレ まずもって主人公女性が魅力的でないってのが致命的。デニスとの恋が破綻したのも可愛げのないこの女性ならさもありなんというところか。 原作が女性作家の自伝らしいけど、男性陣もどこか現実離れした存在が感じられて違和感があった。 最後も救いのない展開で面白みはないに等しい。 というか、この内容で160分はキツすぎる。こまめに見ることで何とかモチベーションを保てたが、映画館なら寝ているか途中で出ているだろう。 ただし、ケニアの広大なシーンはリアリティがあってとても素晴らしい。動物たちの息遣い、どこまでも続く平原、地元民の存在などは、まさにアフリカにいるようで見応えがあった。 「死ぬまでに観たい映画1,001本」のうちの一つ。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2022-10-15 19:26:57) |
14. ブラック・レイン
ネタバレ とにかくこの映画、カッコイイ。 幻想的な映像、痺れる音楽(サントラ買った)、登場人物たちの存在感。 日本が撮影場所となっていることを忘れるほど光や影、さまざまな色を楽しめるし、松田優作のキレるシーンなどとにかく痺れる名場面が多い。 ストーリーが陳腐だという意見も垣間見れられるが、個人的には飽きずに楽しめる作品だった。 日本の規制が多すぎて監督が激怒したことや、ラストの佐藤についての別ストーリーなど、Wikipediaに詳しく書かれすぎているのも、カルト的な人気があるからこそだろう。 あと、日本語のセリフに一部聞き取れない箇所もあったので、英語だけじゃなくて日本語字幕もつけてほしかった(笑)。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2022-07-14 21:20:44) |
15. 影武者
ネタバレ 影武者がバレるかバレないかという最大の見どころがある前半は良かった。 俳優陣たちも抑えた演技で引き込まれた。 大河ドラマや時代劇と比べて、リアリティーが違う。実際の戦国時代の所作は、戦闘はこうだったのかと感心させられる。 「乱」に比べて、静のイメージ。 しかし後半、とくに最後のほうの戦闘シーンは冗長すぎてだれすぎ。 時代考証も手ぬるいみたいだし、「乱」と比べると見劣りがする。 仰々しい音楽もマイナス点だろう。クラシックで良いのではないか。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2022-05-14 20:48:13) |
16. 乱
ネタバレ 見事な作品。「死ぬまでに観たい映画」トップ10に入るほどの評価も納得できる。 「乱」とはご乱心の乱であった。老けメイクをした仲代達矢の怪演も素晴らしいが、なんといっても印象的なのは原田美枝子だ。この人の印象がすっかり変わってしまった。城の廊下を擦り足で歩く姿や、迫真の迫る演技などは忘れがたい。 ダイナミックな演出と併せて、最近の低予算お気楽大河ドラマとは雲泥の差がある。一方でセリフが聞き取りにくく(字幕付きで良かった)、やや長尺なのはマイナス点であろう。 とはいえ壮大なスケールの戦国人間ドラマの傑作としておすすめできる。8点に近い7点献上。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2022-05-13 20:11:31) |
17. 遊星からの物体X
ネタバレ いやこれは怖い、というかグロい。 エイリアンがグロすぎて3点をつけた私が言うのだから間違いない。 これ実写版「寄生獣」でしょ。 とはいえ、サスペンス映画の金字塔と言われているだけあって、ストーリーはよくできていた。 絶対的な閉所である南極基地という設定が怖さを駆り立てる。不気味なリズムの音楽にもまいった。 でも「シャイニング」の怖さや出来には到底及ばない、というのが正直なところか。 ラストシーンも何か含みがありそうで気になった。 「死ぬまでに観たい映画」の一つ。グロいのが苦手な人にはおすすめはしない。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2022-04-30 22:12:00) |
18. 私をスキーに連れてって
ネタバレ 見ているこっちがこっぱずかしいぐらいのバブル映画。 登場人物たちは妙に元気でノリノリ、後半にかけてご都合主義のオンパレード。バブル時代を青春で過ごした先輩たちには、さぞぴったりくるおしゃれ映画だったんだろうね。 でも観終わったあとは悪くない。ユーミンの曲にのってスキー場へ行きたくなるから不思議なもんである。 ストーリーもここまでやってくれれば逆にすっきりするし、何より原田知世がこれだけ可愛く写っているのは他にないと思う。若干違和感はあるけど、社長秘書のお姿も拝めるし、実姉も出演しているのは貴重。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2022-02-22 19:44:31) |
19. 南極物語(1983)
ネタバレ 本線の話のほうは皆が知っている通りなので、感動もなにも残酷としか言いようがないのだが、高倉健さんと渡瀬恒彦などの人間ドラマのほうがなかなかの出来栄えで、感心させられた。 全体的に重厚な作りで、余計なセリフやナレーションを排しているのは評価できるが、二時間半近くの長丁場は話がしんどいだけにキツいものがあった。それにしてもドキュメンタリーと見まごうばかりの撮影で、さぞかし大変だったことだろう。犬たちの健気な姿が印象に残る。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2021-10-26 21:23:21) |
20. ガンジー
ネタバレ 出来はものすごく良いけど、これだけ長い時間観るにはかなり大変、という映画。ガンジーとインドの歴史を外観するために三時間のもの長丁場がかかるのはしょうがないにしても、それぞれのエピソードが独立していて分かりづらい。私はWikipediaのストーリーで確認しながら見ることができたが、映画館で観た人はよくついていけたと思う。途中休憩があるぐらい長い。 私はデリーのガンジー聖廟にも実際に行ったし、ガンジーの真似をして毎晩のようにギーターを読んでから眠りについたりしたこともあり、聖人ガンジーの偉大さをすこしは肌で知っていたつもりではいたが、やはり彼の非暴力主義というのは理想主義に近く、現実的にはなかなか難しいことが分かる。結局何度も断食という自分の「身体への暴力」的手段で訴えるしか手がなくなってしまう。 異教徒の子供を手にかけた男性が地獄に落ちない方法を伝えるシーンをはじめとして光るエピソードもあり、また主演男優や壮大なエキストラでガンジーの生涯を再現した手法には拍手を送りたいが、個人的には分かりづらい作品だった。6点献上。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2021-03-08 20:25:00) |