1. エイリアン2
そもそも「恐怖とホラーの美学を追求した」前作と、「設定を最大限に活かしつつもエンターテーメントを追求した」今作を比較するのは、設計思想の全く異なるスポーツカーと高級セダンを比較するくらい意味のないことです。個人的にはエイリアンはホラーであって欲しかったですが、これもそれなりにOK。 5点(2004-01-26 23:39:03)(良:1票) |
2. U2/魂の叫び
「これは映画じゃない」という意見には、反論するすべを知りません。これはどこからどう見てもミュージックビデオです。でも劇場公開されているので、かろうじて映画と言うこともできます。さて内容ですが、U2の良い所が全て詰まっています。彼らの音楽のルーツを探る旅に合わせて曲が挿入されます。全曲素晴らしいですが、見所は何といっても「Where the streets have no name」です。オープニングからモノクロ映像が続いてこの曲のイントロに合わせてカラーに変わるシーンは、まさに鳥肌モノです。あと、個人的は「Bad」が良かったです。アルバムバージョンから大きく変更があるのですが、これに収録されているライブバージョンの方が断然訴求力があり、素晴らしいです。U2ファンはご存知だと思いますが、この映画(又は同名アルバム)を最後にU2は音楽的に大きく変質します。今までのメッセージ性の強い、ルーツに忠実なスタイルを完全に捨てて、まるでチープなポップスターを演じるようなアルバムを次々とリリースします。この映画(又はアルバム)を最後にU2に見切りをつけた人は多いと思います。実は私もその一人です。U2の集大成とも言えるこの映画を是非一人でも多くの音楽ファンに観てもらいたいものです。 8点(2004-01-19 08:57:28) |
3. ロッキー4/炎の友情
内容はともかく、J.B.やゴルバチョフのそっくりさんを引っ張りだすとはいい根性だと思います。冷戦時のソ連人ってまさにドラゴのイメージだったのでしょう。表情に乏しくて、何を考えているのか判らないし。最後に融解するシーンを持ってくるあたり、政治的にも正しい映画ですね。点数は低いですが必見だと思います。 5点(2003-12-29 22:56:15) |
4. 南極物語(1983)
犬好きなので、この実話を基にした物語は人間のエゴを感じて好きになれません。鎖を外していかないあたり殺す気だったのでしょうね。自分を死ぬほど辛い目に合わせた人間がのうのうと戻って来ても、状況が理解できないとはいえ、犬は文句すら言えないとは悲しいですね。5点は壮絶だったであろう撮影に献上します。子供ながらにドキュメンタリーを見るようなリアルな映像に感動しました。 5点(2003-12-15 22:57:14) |
5. その男、凶暴につき
この映画のノリには全然ついていけませんでした。フライデー襲撃事件のノリそのものでしょ、これって。だからその後の北野映画は全く観ていません。しかし、ヨーロッパでは"TAKESHI KITANO"は圧倒的に人気と知名度があるので、日本人として会話を合わせられないのは辛いものがあります。外国人から日本映画の素晴らしさを説明されるのは複雑な気持ちです。この映画だけで北野武を判断するのはちょっと早合点だったかなと思って後悔してます。 4点(2003-12-15 12:55:28) |
6. E.T.
この映画の哲学が賞賛すべきものなのか、それとも軽蔑すべき偽善なのかは置いておくとしても、圧倒的な映像と特殊効果で人を感動させようという流れが、ここからはじまったのは否定できません。映画に何を求めるかというテーマを考えるにはピッタリの作品です。そういう意味で偉大な作品と言えるでしょう。私が映画に求めるものはETで提示されているものとは違うという意味でこの点数です。 4点(2003-12-15 12:29:09) |
7. ベティ・ブルー/愛と激情の日々
「愛とは見つめあうものではなく、お互いが同じ方向を見つめること」という趣旨の格言がありますが、この映画はその格言の向こうを張って更に内側に沈み込んでいく愛が描かれています。「こんなの愛じゃない」という意見はご尤もで、私も現実的には家に火をつけたところで見切って、こんな女とはさよならすると思いますが、内心その先を見てみたいと思う気持ちもあるので、この映画を気に入っているわけです。理性的な判断しか認められない人間には芸術は創作できません。太宰治は人間性が破綻していたし、高村光太郎は妻が破綻していたし。ゾルグはいい小説家になるでしょう。 8点(2003-12-14 13:20:19) |
8. 愛は静けさの中に
冒頭から完璧な組み立てで、プールのシーンは最高のクライマックスでした。ここで終われば8点、ここまでのレベルを最後まで継続できれば10点だと思います。皮肉なことにプールのシーンが完璧に決まりすぎて、その後の物語が惰性に見えてしまいました。他には音楽がイマイチなのが気になりますが、80年代という薄っぺらい時代を象徴していると考えればしょうがないかも。 6点(2003-12-14 12:47:31) |
9. ぼくらの七日間戦争(1988)
原作本も読んだし当時はTM好きだったので(今は勿論好きではないけど)観ました。でも全然共感できなかったです。理由は2点。(1)我々田舎の子供にとっては、クーデターなんてお洒落な行動は理解できません。スクールウォーズのほうが遥かに共感できます。(2)個人的に宮沢りえが好きじゃありません。ヌード写真集の時も、周りの盛り上がりに全然ついていけなかったし。 4点(2003-12-14 12:31:07) |
10. 火垂るの墓(1988)
観ていると気持ちが重苦しくなって、とてももう一度見たいとは思えない映画です。私の場合、この重苦しさは、戦争の悲惨さを描いているからというより、少年の身勝手で独り善がりの行動から来ています。例えば、冴えない40男が、勤めている会社がしょーもないからという理由で脱サラして、無謀にも事業を起こして、結果家族を路頭に迷わせてしまったら、多くの人は同情などしないでしょう。清太がしたことは、この冴えない40男とそれほど違わないですが、戦時中でしかも子供であることで、見る者の感じ方が違ってくるわけです。さらに、ドロップ缶やほたるという小道具を使って、こちらに切なさを押し付けてきます。現実的で論理的な行動というのはどんな時でも尊重され選択されるべきですが、特定の状況下では難しいものです。だからこそ、清太に苛立ちを感じながらも、気分が重くなってしまいます。この映画から「反戦」という具体的なメッセージを読み取るかどうかは見る側の感受性や価値観次第だと思いますが、少なくとも私はそうは感じませんでした。しかし、こんなに気持ちを重くさせる映画も他にはないので、ある意味凄い映画だと思っています。蛇足ですが、この映画は海外でも非常に高い評価を受けています。バルセロナでも大きなDVDショップには平積みで置いてあります。日本人の太平洋戦争観というフィルターを通さずとも、訴えかけるものはあるということです。 7点(2003-12-14 05:18:42) |
11. スター・トレック5/新たなる未知へ
後半にいけばいくほどつまらなくなります。ウィリアム・シャトナーが「スッポクの主役を食うほどのカリスマ的な人気」をこころよく思っていなかったというのは事実らしいです。自らメガホンをとってカーク艦長の英雄的活躍を描こうとしたと思われます。というわけで、この鑑賞に耐えない駄作が生まれました。 3点(2003-12-13 20:39:06) |
12. 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
世界観としてのガンダムの評価と、作品としての評価は異なります。私の場合は、世界観としてはファーストから逆襲のシャアまでとターンAが許容範囲ですが、作品として評価できるのは、「ファーストTV版」「ファースト映画3作」「ポケットの中の戦争」だけです。(Zは次点)作品としての「逆襲のシャア」にはもはやついていけません。 3点(2003-12-12 10:55:28) |
13. 機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編
《ネタバレ》 ファンの間ではこの映画を含めたファーストガンダムは不可侵ともいえる絶対的な存在です。そしてファーストガンダムを基準にして他のシリーズを「許せる」「許せない」で判断する風潮があります。例えば、Zは許せるけどZZは許せないと言った場合、「ファーストガンダムを基準して」という暗黙の了解あります。物語のほうは静かで厳かな幕開けから、サイド6、テキサスコロニー、ソロモンを経てア・バオア・クーで完結しますが、無駄がなく且つ緩急や静と動のバランスがとれており、とてもテレビ版を継ぎはぎしたとは思えません。さらに言えば、本来はア・バオア・クーではなくジオンの本拠地であるサイド3で完結する構想だったのを、テレビの低視聴率の影響で短縮した妥協の産物であるのに、この完成度は奇跡です。前2編の伏線は、アムロはじめホワイトベースクルーの成長にその効果が確認できます。特に、アムロの未熟さや軍紀を乱す子供っぽい行動を執拗に描いた効果はてきめんです。また、荒廃した地球の戦線を延々と、少々冗長に描いたことで、宇宙の開放感が強く感じられます。様々な角度からこの映画を論じることができますが、私は「アムロとシャアの果てしない喪失の物語」として論じようと思います。シャアは、生い立ちからして失うものが何もない場所からスタートしていますが、今編ではララアと自身のプライドを失って涙を流します。ララアに関しては失って初めて彼女への愛に気付いたのではないでしょうか。この喪失感からシャアは本来の宿願であるザビ家打倒とニュータイプによる世界の変革という目標軸を一旦見失いかけます。一方、アムロの喪失はシャア以上です。母との心の繋がりを失い、マチルダさんを失い、父は自分の行動が遠因となって正気を失い、運命の出会いだったララアを失い、あれほどアムロに想いを寄せていたフラウ・ボウはハヤトの元に走ります。喪失感が深まるのと対照的に、彼のニュータイプとしての能力は開花し、鬼神のようなその強さは前人未踏の領域に彼を引き上げ、そのことが孤独感をさらに深めます。ララアの「あなたには守るべきものがない」という趣旨の台詞は、深く深くアムロに突き刺さったはずです。エンディングでは、そんなシャアとアムロにせめてもの慈悲が提示されました。シャアは自分の手でキシリアを誅殺することで目的の一つを達成しました。そしてアムロは、喪失の果てに何を得たのでしょうか。 9点(2003-12-12 10:31:25)(良:3票) |
14. 機動戦士ガンダムII 哀・戦士編
ガンダムは普通の映画のように1本だけ観て評価するものではないという前提で話を進めます。ガンダムの世界観は人類の宇宙への憧憬と人口問題や環境問題への答えとしての宇宙政策がベースにあるとすれば、物語を進める動力となるのが魅力的なキャラクターとモビルスーツです。実際「哀・戦士編」には様々なモビルスーツが登場しますが、これを突き詰めると奥が深いです。一口にザクといってもザクI(MS05)とザクII(MS06)では違う系統ですし、ザクIIはザクIIで、初期型、F型、J型などかなりのバリエーションがあります。ですので、サイド7でアムロが倒したザクとランバ・ラルのグフと共に登場したザクは、実は違う種類なのです。ジオン軍は、戦線の拡大に合わせて各種の戦場に適応したモビルスーツの開発をしており、ザクも地球用に地上での移動力を向上させたJ型を投入してしています。量産モビルスーツの系統で見ればザク、グフ、ドム、ゲルググと進化しますが、グフの量産はドムの開発の遅れを招き、ジオン敗戦の一因となったという説もあります。ドム系はホバー走行を実現し、しかも宇宙での機動力もあるので優れた機体ですが、ランバ・ラルが乗っていたグフはザクとそれほど変わりません。したがって、ランバ・ラルの名台詞「ザクとは違うのだよ、ザクとは」には「そんなに変わんねーよ」とツッコミを入れるのが正しいです。さらに、ジオンはジャブロー攻略やその他の臨海地域侵攻のために水陸両用のモビルスーツも開発しています。「哀・戦士編」に出てくるゴックとズゴックです。注目して欲しいのは、水陸両用機体はちゃんと流線型になっていることです。ちなみに抵抗のない宇宙用や空を飛ばない地上用のモビルスーツは形状がバラバラです。ガンダムの設定の細かさに感心してしまいます。ところで物語のほうですが、ジャブロー降下作戦以外はちょっと間延びした展開になっています。シャアも出番が少ないですし。しかし、これは「めぐりあい宇宙編」を活気づけるために必要な停滞かもしれません。緩急が大事ですから。 5点(2003-12-11 09:02:47) |
15. 機動戦士ガンダム
これが映画か?と問われれば答えるのは難しいし、この1本だけ評価しろと言われても不可能です。しかし楽しみ方は幾つかあります。月並みなところでは、この映画は全編に渡って続編への伏線が敷かれているのでそれを楽しむことがありますが、やはりガンヲタになることが究極の楽しみ方だと思います。実際、ルウム戦役や地球降下作戦でのザクの悪魔的な強さを知れば、ガンダムがいとも簡単にザクを破壊するのは驚愕の事実になります。また、ミノフスキー粒子の発見によりモビルスーツによる有視界戦争が主流になったという事実を知れば何故連邦がモビルスーツの開発に心血を注ぐかが理解できるし、シャー専用ザクのスラスター出力は通常のザクの30%増しでしかないのを知れば通常の3倍の速度で移動するが脅威に思えますし、ルウム戦役において戦艦5隻を撃沈したシャーの脅威の戦果を知ればパオロが「逃げろ」と喚くのも納得できるというものです。ガンダムの歴史は、シャアの部隊がサイド7に潜入した時から始まったわけではなく、1957年のスプートニク打ち上げから始まっているのです。人類の遥かなる宇宙への憧憬と人口問題や環境問題という現実的に直面する諸問題の解決策としての宇宙政策が、一緒くたにされてベースになっています。それを踏まえて、歴史(1999年に連邦政府樹立とか、2045年の最初のスペースコロニーとか)や背景(ジオン・ズム・ダイクンのコントリズム/ジオニズム、1年戦争の開戦経緯、開戦後の戦局推移)を研究することでガンダムが違う見え方をしてくると思います。これらのベースの上に、アムロやシャアなどのキャラクターが活躍していることを知れば、この作品に対する理解と愛着は格段に高まることは間違いありません。 6点(2003-12-11 06:19:43)(良:2票) |
16. カクテル
観たのはずいぶん前ですが、ありきたりでつまらないというのが、唯一絞り出せる感想です。サントラ盤は面白いです。Kokomo、Don't Worry, Be Happy、Hippy Hippy Shakeなど全てヒットしてます。80's好きにはたまりません。私は未読ですが原作小説が面白いという意見もあります。ただし、映画にはこの点数しかつけられません。 3点(2003-12-09 07:13:10) |
17. ローズ家の戦争
コメディなのかホラーなのか判らない、とにかくぶち切れた映画ですね。こんな映画もありだと思います。個人的は、ダニー・デビートがガラスケースの中からタバコを取り出すシーンが笑えました。「そんなところに入れるなよ」という感じで。今まで見た中で一番素敵な禁煙です。つまらない映画ではないと思いますが、5点より上の点数はつけられないです。 5点(2003-12-09 05:22:45) |
18. ウォール街
金融市場の話は映像化が極めて難しいと思います。こんなに面白い作品に仕上がったのは奇跡ではないでしょうか。ちなみに、マイケル・ダグラス演じるゲッコーのモデルはジャンク債の帝王といわれたマイケル・ミルトンです。証券市場に携わる方は必見です。自分の仕事がかっこよく見えますよ。 7点(2003-12-08 12:59:57) |
19. スター・トレック3/ミスター・スポックを探せ!
前作で死亡したスポックの復活を描いた話ですが、なぜ復活するのかという物語的必然性が弱いです。「ファンが待ち望んでいるから復活するんだ」と言われてしまえばそれまでですが。残念ながらスタートレックファンでも退屈に感じる作品になってしまいました。 4点(2003-12-08 10:00:29) |
20. 遊星からの物体X
《ネタバレ》 最高のホラー映画だと思います。大昔に南極に飛来した謎のエイリアンが蘇ったという設定がいかにもありえそうだし、カメラワークが恐怖心をそそるし、隊員を疑わざるを得ない状況というもえぐいです。ラストシーンは若干の意味深さを残すのがポイントで、解決し過ぎても謎を残し過ぎてもダメなのですが、この映画は良いバランスです。ホラー映画というと必ず可愛い女の子が出てきて絶叫系の演技をするものですが、これは見事に男ばっかりというのも新鮮です。 8点(2003-12-08 02:20:27) |