1. 八月のクリスマス(1998)
一篇のポエムのような映画。物語の説明を極力廃した映像を重ね、観る側のイマジネーションに頼りながら進行していく。病気、恋心、死という核心であるはずの要素が省略法で描かれ、語りすぎない“映画の美徳”を感じた。とても優しい抒情詩を味わった気分になれる。 [ビデオ(字幕)] 7点(2006-01-07 00:34:02) |
2. ロッキー
ボクシングといえば漫画なら『あしたのジョー』、映画なら『ロッキー』が代名詞。どちらも負けの美学である。そう、世のほとんどの人は“頑張っても負ける”のだ。だから多くの共感を得るのではないだろうか。そして、何と言ってもテーマ曲の盛り上がりが最高。気持ちを高揚させるに相応しい名曲である。以後これほど代わり映えしないシリーズが続くのも珍しい。 [地上波(吹替)] 7点(2006-01-06 00:59:03) |
3. マイ・ビッグ・ファット・ウェディング
あえてギリシャ系の家族にスポットを当てている点がユニークである。主人公が恋に落ちる過程は短絡的すぎる気もする。外見はダメなままでも、内面の美しさで勝負する映画に仕上げて欲しかった。結婚は見た目じゃなく、思いやりや気配りなど心の美しさが一番大事だってことみんな分かってるはずだもの。美しく変身するプロットは女性受けするためには必要なのかな? ちなみに、イタリア系がよろしければ『月の輝く夜に』をどうぞ。 7点(2005-02-05 11:59:22) |
4. 熱いトタン屋根の猫
末期ガンの父、財産狙いの長男夫婦、アル中の次男なんて、到底想定できない家族設定だけど、「人間を描こうとする時は、極限状態でなければ駄目なのね」と痛感。親父も決して守銭奴という訳ではなく、至って好漢である。ただ、人生の成功者に有りがちな物質的な豊かさの中で、精神的な愛を見失っていたのだ。死を目前にして子育ての間違いを息子から突きつけられ、虚しさも相当なものであっただろう。親父を演じた役者も血色の良い太った末期ガン患者という違和感を除けば、その演技力は凄まじいものがあった。この家は一見バラバラだけど、根は良識人の集まりである。家庭内暴力やネグレクトといった現代が抱える家庭問題に比べると、まだ救いがあった気がする。 7点(2005-02-05 11:52:27) |
5. ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔
主役のフロドは今回何にもしてない。イライジャ・ウッドは楽な演技やな。3つに別れた登場人物たちの状況把握に相当手間取った。手引書がないと、物語同様迷子になってしまう…。 6点(2005-02-05 00:06:33) |
6. インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説
お宝を探しての冒険活劇、美女とのコンビ、ギャグも端々に、といった王道パターンではあるが、飽きさせない展開力(ジェットコースタームービーの典型だもんね)で、さすがに退屈しない。アジアンテイストも2作目のアクセントとして良かったのでは。ギャーギャー騒ぐ子どもと女性が楽しかった。 7点(2005-02-04 23:50:56) |
7. インディ・ジョーンズ/最後の聖戦
大学生1年の頃、シリーズ中最初に観たせいかもしれないが、コレが一番好き。若き日をリバー・フェニックスが、親父をショーン・コネリーが演じるというファンサービス的な配役も嬉しい。親父とのコミカルな掛け合いもマル。ベタとはいえ、とにかく緩み所と締め所が絶妙。全然退屈することなく観終わり、このシリーズをそれまで見逃していたことをすごく後悔したものだ。 8点(2005-02-04 23:24:43) |
8. グラディエーター
自分は高校で世界史を選択していなかったため、知識は中学レベルなのだけど、ちゃんとローマ史に興味を持たせてくれる内容である。コンモドゥスも実在の人物なのだと知り、勉強になった。ラッセル・クロウの体躯を活かした凄みと円熟の演技ともいえる渋みが効いた一大スペクタクルとしても堪能できる。教養と娯楽の両方で楽しめる作品。 8点(2005-02-04 21:51:05) |
9. 僕の彼女を紹介します
“猟奇的~”はスゴク良かったのに~。本作には残念ながら失望感を禁じ得ない。彼が死ぬシーンと彼女が飛び降りるシーンにそれぞれ一度肩透かしがある点、不必要な銃撃シーン、取って付けたようなカーアクション等々、とにかくクドくて食傷気味。特に、暴走車を爆破させての決めポーズにはドン引きした。チョン・ジヒョンは確かに美しいが、コスプレビデオやプロモーションビデオの域を出ていないので全く泣けなかった。 3点(2005-02-04 18:34:16)(良:2票) |
10. チャイニーズ・ゴースト・ストーリー
大学時代にビデオレンタルして以来、深夜放送で十数年ぶりに再見。さすがにジョイ・ウォンの美貌だけで観るにはキツイ。中身薄ッ!なんか物語全体が軽い。今観ると現在のワイヤーアクションの源流ともいえる動きが多々あるのは感慨深い。 4点(2004-12-13 17:46:21) |
11. いま、会いにゆきます
エピローグが秀逸。SF的要素が多分に盛り込まれた内容でありながら、終わってみると違和感も残らず、清々しささえ覚える秀作であった。これも偏(ひとえ)に中村獅童と竹内結子の演技力による処が大きい。特に、竹内結子の女優としての成長ぶりには目を奪われた。なんと清楚に、そして凛と画面に映えることであろう。見た目を超えた内面の美しさが醸し出されていた。個人的に女優開眼の記念碑的作品と位置づけたい。物語中の澪が茶髪ではなく黒髪なのがいい。巧と佑司を優しく包み込み、それでいて力強い意思を持ち合わせた女性であることが伝わる(茶髪のギャルママではサマになりません)。私にも高校時代に3年間話しかけることの出来なかった片思いの女のコがいましたが、もちろん、その後彼女から何の連絡もありません。 9点(2004-12-02 12:42:26)(笑:1票) |
12. アポロ13
「家に帰るまでが遠足」とはよく言ったもので、例えば冬山登山も登頂後に無事下山して初めて成功といえる。全世界でたった3人が遭遇した稀有な体験。絶えず死の恐怖に晒された数日間は、彼らもきっと「なぜ自分が…」と自問自答の連続だったであろう。神経が尋常であっただけでも驚愕なのに、その状況を克服したのだから素晴らしい。「行ってらっしゃい」と「お帰りなさい」の言葉の重みを実感する。私の父は私が幼少の頃から、出かける時はいつも「行ってお帰り」と声をかけてくれていた。我が子が無事故で帰ってくることを願う親心を感じる言葉だ。私にも子どもが出来たらそう言って送り出そうと思う。 6点(2004-11-19 23:03:32) |
13. 雨に唄えば
ジーン・ケリーのダンスシーンは既に有名だけど、コンビを組んだドナルド・オコナーに大感激した。ダンサー、ジャグラー、パントマイマー、そしてコメディアンとして一流ではないか。彼の動きは衝撃的でさえあり、最上級のエンターテイナーに出会えた嬉しさがあった。2人のタップのシンクロには見事すぎて言葉が出ない。ミュージカルは大好きなのに、この作品を後回しにしていたことを後悔。サイレントからトーキーへの過渡期の苦労がユーモアとペーソスたっぷりに描かれ、ハリウッドの草創期を支えた先人たちへの思いやりに満ちている。社長もドン側をサポートしてくれるのが嬉しい。全体が優しさに包まれ、何とも良心的で、ミュージカルの教科書のようだ。やっぱり、ハリウッドとブロードウェイを持つ国は違う。 9点(2004-11-17 18:58:05)(良:1票) |
14. 座頭市(2003)
黒澤監督から直々に「日本映画を頼む」と言われた北野監督、自身初めての時代劇を撮るに当たって、やはりその存在を意識したのではないだろうか。個人的には『用心棒』、『椿三十郎』をリスペクトして黒澤監督に捧げた作品と思っている。実際、話の筋は『用心棒』に似ているし、最大の見せ場である服部との対決も一瞬で決するあたり、『椿三十郎』がそうであったように、正しい演出であろう。日本の伝統芸を紹介し、海外受けも狙っている点はあざといが、リアルな殺陣とその抜刀音、小気味よいギャグやタップ(!)、電子音のBGMなど新感覚の時代劇として成功している。 7点(2004-11-15 23:42:44) |
15. ベスト・キッド(1984)
深夜放送で随分と久しぶりに出会ったよ~。モリタさんにラルフ・マッチオ。懐かしい~。中学生当時、格闘技好きの友人は、頼みもしないのに型を教えてくれて困りました。今となってはいい思い出とも言えるので、「残してくれたもの」という意味では感謝したい映画です。 6点(2004-11-15 21:23:13) |
16. アンタッチャブル
十数年ぶりに観たのだが、バット殴打シーンと階段シーン以外覚えていなかったので、全てが新鮮だった。とにかくエンニオ・モリコーネの音楽がカッコイイ。カポネ追跡劇も随分と誇張されているのだろうが、役者陣の魅力が満載で音楽と共に十分に楽しめる映画に仕上がっている。 7点(2004-11-14 01:29:25) |
17. めぐりあう時間たち
相当敷居の高い映画である。女優陣の演技目当てに観たのだが、いかんせん予備知識が無さすぎた。1回目は完全に門前払い状態。ネットでせっせとヴァージニア・ウルフと『ダロウェイ夫人』を調べてやっと納得。死について詩的かつ観念的に語られており、監督の思いに到底理解が及ばない。随所に青色が死を具象化するワンポイントとして散りばめられ、色の心理的効果も計算高く利用されている。誰もあのケーキを美味しそうとは思わないだろうし、リチャードが身に纏っている衣装も象徴的だ。余談だが、自分の元妻が鬱状態だったことがあるので余計に心が痛んだ。彼女のために良かれと思ってすることなすことが、かえって妻を追い込んでしまうという悪循環に私も陥った。結局、別れることでしか解決できず、彼女を救えなかった自分の無力さが夫のレナードに重なり、涙がこぼれそうだった。 7点(2004-11-13 16:13:39) |
18. ディープ・インパクト(1998)
『アルマゲドン』よりは地に足のついた話である。無理やりな話の中にも現実味を探ろうとしている努力は見られる。地球上でのやり取りは納得いかないものの、シャトル内での描き方は説得力のある演出であった。任務に失敗し犠牲者が出るあたりは、然も有りなんだし、目をやられた乗組員と船長との会話や最後の決断に至る話し合いは感涙ものである。お約束と知っていながら、家族との別れのシーンにはウルウル来た。無意識のうちに、宇宙飛行士に自己犠牲の精神を強いている自分を再発見してしまった。この映画のことは知らずに『ロード・オブ・ザ・リング』(イライジャ)、『25年目のキス』(リリー)、『ジュラシックパークⅢ』(ティア)を先に観ていたので違う楽しみ方もできた。 7点(2004-11-13 14:26:10) |
19. シュレック
メスドラゴンの口にルージュが引いてあるのにはウケた。「アタシだって…、アタシだってルージュを引く時だってあるのよ!」ってことか。ドラゴンが自分で引いてるのかな? ラストのミュージカル風には、「やっぱりアメリカだな」と文化の違いをしみじみ実感。日本のアニメじゃ、こうはしないわな。それにしても、ず~っとディズニーアニメと誤解していた。レンタルビデオ屋でも、ディズニーコーナーに置いてあったもん。 5点(2004-11-11 21:42:54) |
20. カッコーの巣の上で
「人間くさい」という言葉がこんなに愛しく思えたのは初めてだ。マクマーフィーの過去の罪は断罪されるべきとして、精神病棟の中での彼は最高に魅力的である。逃亡直前の緊迫した状況下、(ホントは早く逃げたいだろうに)兄貴的立場でビリーに優しく恋の手ほどきをする場面には思わず目頭が熱くなった。でも、婦長にそれほどの憎悪を覚えなかったのも事実である。職務を全うした彼女を責められない。そんな自分が少し空しい。ラストのティンパニが響く力強い音楽も印象的だった。未来への希望は誰かの犠牲の上に成り立っている。そう、今の日本の平和も。 8点(2004-11-11 17:37:09) |