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円盤人さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 102
性別 男性
自己紹介 DVDで昔の作品が出て、入手しやすくなったのは嬉しいですが
チャプター分け4つ以下っていうのは勘弁して下さい。

特に、チャプターなしっていうのは犯罪に近いですよ。

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1.  さらば青春の光
原題はもちろん『四重人格』なのですが、『さらば青春の光』とはなかなかよく出来たタイトル。というのはこの映画、二度と戻って来ない青春時代を懐かしく回顧しているようにも、その愚かしさを赤裸々にあばき、大人にならなければいけない、と訴えかけているようにも、どちらとも解釈できる内容だからです。ザ・フーはまさにモッズの象徴であり、劇中でもナンバー「マイ・ジェネレイション」を皆が歌い踊るシーンがありますが、彼らは音楽性を向上させていき、ビートルズやローリング・ストーンズにも並ぶビッグバンドに成長しました。その経緯が下敷きになっていると考えると、解釈の二重性はなかなかに深いものがあります。とはいえ映画はけっこう長く、主人公に共感よりいら立ちを覚えてしまう年齢であっては、ブライトンの暴動まで正直苦痛ではありました。身につまされて肩身がせまい、というところも……。
[DVD(字幕)] 5点(2011-02-19 02:11:29)
2.  HACHI/約束の犬
忠犬ハチ公の物語を、アメリカに舞台を置き換えてリメイク。『ハチ公物語』よりも淡々とした感じに仕上がっています。悪人はひとりも出てこず、さめざめと涙を流すにはよい映画でしょう。ひとつ引っかかった点が(微細ながら)あるとすれば、先生が亡くなる日、ハチが予兆のように見せたふるまいです。だとしたらハチはあらかじめ何かを見通していたことになってしまう。彼が無心に、愛しい先生がいつか来ることを信じ、ひたすら駅で待ち続けた、という解釈の方が――9年間のうちに、うすうすと真実が頭をよぎったとしても――より悲劇的・感動的であるし、忠犬ハチ公のテーマにふさわしいと思いますが、皆さんはいかがでしょうか。
[DVD(字幕)] 6点(2011-02-19 01:57:23)
3.  仮面ライダー THE FIRST 《ネタバレ》 
全体的にいい線いっているけれど、今ひとつ乗り切れないところも多い映画です。「正体を隠すため、改造人間はすべからく仮面を被る」という設定、怪人や戦闘員、新ライダーの造形、バイクアクションなどは良いでしょう(マフラーの色は変えてほしかったが……)。それにも関わらず、後半に向けて駆け上がっていく感じがないのは、ライダーふたりに力強さがないからでしょうか。行動原理が女の取り合いなのはまあ良いとして、どうも軸がぶれがちなんです。本郷(黄川田将也)はアンジャッシュ児島似なせいか、頼りないし、一文字も「女のために死ねるか」とまで言っておきながら、土壇場で逃げ出したりするし。さくら(小峰麗奈)も同様で、心が揺れ動いている様子がはっきりせず、共感しにくいキャラになってしまっている。スネークとコブラのエピソードは、最初不要と思っていましたが、最後にまとまったので、あれはあれで良かったかな。少し長すぎる気がしないでもないですけど。
[DVD(邦画)] 6点(2006-10-18 01:07:47)
4.  ヘルハウス
脚本は原作者のリチャード・マシスンが担当しています。『地獄の家』を読んでみましたが、細かい点を除いてほぼ忠実なつくり。しかし「入館者の心理を内側から丹念に描き、読者に恐怖を追体験させる」というやり方は、映画では難しかったようです。登場人物を外側から見ている限り、あまり派手な悲劇は起こらないので、全体的に刺激が足りません。映像化に向かない(少なくとも、ひと工夫は必要な)原作であること、尺が短くて説明が足りないこと、この2点が本作の大きな欠点です。長所といえば、今では珍しい正統派オカルト映画であること、パメラ・フランクリンが予想外に可愛いことくらいでしょうか。
[DVD(字幕)] 4点(2006-10-13 01:33:54)
5.  28日後... 《ネタバレ》 
この映画、理屈では駄目な作品なんです。特に、全編を通じて伏線が効果的に機能してない。例えば、父娘のエピソードが前半の目玉になりますが、それが後半で生きてない。「何としてでも生き延びる」というのがテーマのようでいて、セリーナ(ナオミ・ハリス)は物語が進むにつれ、どんどん退行していってしまう。主人公ジム(キリアン・マーフィ)は逞しくはなりますが、どっちかというと無表情で、内面の変化がわかりにくいタイプ。「前半はいいが……」という意見を散見しますが、その理由は、前半には目的(マンチェスターへ行く)が設定されるのに対し、後半それが消失してしまう点にあるでしょう。ジムの目的は「軍人たちを殺してでも女たちを守る」に切り替わるわけですが、観客が十分感情移入してないため、ついていきにくいのです……。等々、割と駄目なところばかり挙げましたが、私は6点つけました。本作には印象的な画がいくつかあります。屋上いっぱいのバケツ。炎上するマンチェスター。草原を走る馬。こういう瞬間的なイメージが秀逸で、物語の要所要所で全体を引き締めており、個人的に不快感が薄いのです。これは想像ですが、ダニー・ボイル監督もイメージ志向であり、最初から全体の構成は二の次だったのではないのかな……?
[DVD(字幕)] 6点(2006-10-12 23:05:24)
6.  ブレインデッド
映画的には8点つけたいところなんですが、さすがに気持ち悪かったのでこの点数で。実は全体として見た場合、前半部分が必ずしも機能してないんです。ラットモンキーも引き金の役割を果たすだけだし、月と星は単なるシンボル以上のものではないし、パキータとライオネルが結ばれる必然性は薄いし、食事会も何にも引っかかってこない(グロイもの食べるだけ)。しかし、後半のクライマックスにおける畳み込み方、ありとあらゆるアイデアを詰め込んだ人体ギャグ、最後に大技でまとめてしまう構成力が出色で、見終わったあとに心地よい汗が流れてしまうんです。それにしても……悪趣味だなぁ(苦笑)
[ビデオ(字幕)] 5点(2006-10-10 00:21:24)
7.  Mr.インクレディブル
DVDには監督の解説が音声特典でついていますが、非常に興味深い。とにかく細部に手を抜いていないのがわかります。映画として面白くすることに全力を尽くし、その上でアニメに対するこだわりを捨てない。正しくプロフェッショナルの仕事です。物語や設定は、パロディの側面を考慮するにしても、割りとありふれていて、とりたてて斬新なアイデアというのはないのです。物語の骨子自体も『スパイキッズ』に似ていますしね。しかし、王道の話を正面から正々堂々と描くのは、力のある製作者にしか出来ないことです。「当たり前に面白い」ことの何と難しいことか。本作はそれに加え、CGの美しさも目を見張らせるので、「一粒で二度おいしい」嬉しさを感じますね。【余談】敵役のシンドローム、声は宮迫博之なんですが、外見が有田哲平なのが何とも……。ヘレンも何となく、黒木瞳に見えてきません?
[DVD(吹替)] 8点(2006-10-10 00:04:22)
8.  ドラえもん のび太のパラレル西遊記
佳作です。藤子F不二雄の原作でないとのことですが、知らなくても全然違和感はないでしょう。しかし、ロック調の主題歌への違和感がぬぐえなかったこと、エンディングの締めが弱いこと、以上の2点に不満があります。このたびレビュー用に見返してみたのですが、子供のときに感じたのも全く同じポイントでした。ただ、劇場版ドラえもんのこれまでの作品を踏まえたうえでの不満であることは特筆しておかねばなりません。
[ビデオ(邦画)] 5点(2005-01-10 01:30:21)
9.  素晴らしき哉、人生!(1946) 《ネタバレ》 
いい作品ですが、2時間は長すぎます。ハートフルな寓話テイストの物語なら、まず100分以内に収めたいところ。その点で脚本は今ひとつですね。長さの要因となっている一例を挙げましょう。ジョージ(ジェームズ・スチュワート)が娘の担任教師をなじって、その夫に殴られるエピソード【A】。これによってジョージは神を見限り【B】、唇を切ります。唇の傷は、別世界に連れて行かれたときのオン・オフ表現に使われます【C】。「Aからの因果関係によってBとCがもたらされる」わけですが、これは脚本的に言うと「BとCを導くためにAという伏線をしいている」ということなんです。しかし一方で、ジョージが車で木に激突する場面が別に存在します。BとCにはここから繋げることもできる。つまり、車の事故で悪態をつき、血を流したことにしてしまえば、わざわざAのエピソードを入れる必要がなくなるんです。しかも担任教師と夫はこの一連の流れでしか登場しないんですから、まるまるカットしても特に問題ありません。本作は、その場その場の楽しいアイデア(2ドルの夫婦など)が冴え渡っていますが、こうした伏線が全体的にうまくない。カットしても作品の質が損なわれない部分が多いとしたら、やはり脚本の詰めが弱いのです。にもかかわらず後味さわやかなのは、物語自体の温かみもありますが、最後の最後になって、本作では随一ともいえる最高の伏線――「天使のベルの音」が鮮やかに決まるせいでしょう。
6点(2004-12-23 18:19:22)(良:1票)
10.  ロスト・ソウルズ 《ネタバレ》 
雰囲気のある映像は良です。薄幸そうなマヤ(ウィノナ・ライダー)もいい。しかし全体的に低調なのは、恐怖演出がその場その場でぷっつり切れているせいですね。だから徐々にクライマックスに至らず、全体が平坦になってしまっている。例えばヘンリーが襲ってくる場面、ピーター(ベン・チャップリン)の恋人が銃を向けてくる場面、それなりに盛り上がるんですけど、すぐに次の場面に行ってしまう。どこで一番怖がらせたいかが全然見えないんです。これは構成に問題がありますね。観客が感情移入するべきは、第一にピーターでありマヤではないでしょう。しかし物語はマヤから始まってしまい、カメラが必要に応じて二人の間を飛び交っている。そうじゃなくて、ピーターに固定した方がいいですよね。隣人が死んだりするなど、誕生日に向けて不吉なことばかり起こる。接近してくる謎の女。彼女は敵か味方かわからない……。こういう描き方だと、観客はピーターにすんなり同化できるはずだし、ウィノナ・ライダーの神秘的な雰囲気も生かせます。まあ『オーメン』と『ローズマリーの赤ちゃん』が混ざったような話には、もうひとふた工夫は必要でしょうが、少なくとも本作よりはわかりやすい、すっきりとしたサスペンスに仕上がると思いますよ。
4点(2004-12-20 00:08:43)
11.  會議は踊る
オペレッタはオペラから派生した歌劇で、演劇要素と軽快な音楽を増し、もっと庶民的にしたものらしいです。ミュージカルの源流ですが、定義的にはっきり区別するのは難しいそうなので、ミュージカルの一種として観て差し支えないと思います。本作を観た上での特徴を挙げますと(1)歌の数が4~5曲程度と少なめ(2)芝居から唐突に歌に入るような場面がなく、劇展開はミュージカルより自然(3)個人よりも集団がメイン。などでしょうか。2と3がハッキリしているのは、歌が宴上でほぼ限定されているからです。宴の音楽に合わせて、諸大臣の揺り椅子(空席)が揃って踊るように揺れ、ひとり進行役が議決を読み上げるシーンなどは、音楽と風刺(ウィーン会議はパーティばかりでちっとも進まなかった)の両面の楽しさがあります。しかし、史実の隙間に生まれた物語らしく、大胆な展開には欠けていますね。影武者騒動や宰相の画策などが膨らみきらず、起承転結の起承だけで終わってしまうような、尻切れトンボな印象が残りました。
5点(2004-12-19 18:39:23)
12.  散り行く花 《ネタバレ》 
中国人青年(リチャード・バーセルメス)と少女リリー(リリアン・ギッシュ)の悲恋を描いたこの物語は、序盤をまるまる中国の港町に費やしています。仏教関係に詳しい人が観たらどうかわかりませんが、寺院の中の描写も特に違和感はありません。しかしながら、青年の過去にわざわざ尺を割いているわりには、仏教の宣教師であるという設定が生きていません。白人のリチャード・バーセルメスを、わざわざ(そう見える筈のない)黄色人種に仕立てた意図は何なのか。(1)エキゾチズムを狙ったもの(2)最後に青年が自殺するので。キリスト教では禁じられている(3)ボクサーの養父(ドナルド・クリスプ)が外国人を嫌っているから。以上の3つのうちどれかだと思いますが、いずれにしてもシナリオ的には弱い。この程度なら仏教をクローズアップする必要は特にないでしょう。例えばリリーが敬虔なクリスチャンであったなら、彼女との対比によって仏教徒の設定が生きてきます。悲恋の意味もいっそう深くなりますしね。そういう工夫が欲しかった。一方、キリスト教宣教師が青年に渡したパンフレットに「地獄」と書かれているシーンは良かった。こういう演出が単発で終わってしまったのは残念ですね。
5点(2004-12-12 19:53:29)
13.  ストレイト・ストーリー
結論から言いますと、本作は退屈でした。主人公アルヴィン(リチャード・ファーンズワース)が、6週間の旅において、いろんな人に会うという、単純な話です。巧妙な伏線も、クライマックスもありません。それを2時間近く観ているのはさすがに苦しいものでした。しかし、だからといって「もっと面白くしろ」とは素直に言えない面があります。本作の肝は「老人が350マイルの距離を、時速30キロのトラクターで出かける」というアイデアです。これを活かすには、作品の時間は長い方がいいし、物語の流れもゆったりしているのが望ましい。本作はカットしようと思ったらいくらでも出来ます。会う人を減らしていけば物語はぐんと短くなるでしょう。トラブルをもっと多くしたら話は盛り上がるでしょう。しかし、ハラハラドキドキの旅は、本作のテーマと全くそぐわないし、「味」を殺してしまいます。従って『ストレイト・ストーリー』がこんなふうに作られているのは正しい。そう理屈では納得できますが、自分が退屈に感じてしまった事実は何を意味するのか。まだまだ動的な映画の好きな年頃なのか。人生の機敏を感じ取る感性が未熟なのか。あるいは単に、本作が自分にとって、ハズレだったに過ぎないのか。いずれが正しいのかは、これからじっくり考えたいと思います。
5点(2004-12-12 02:23:36)
14.  タイムマシン(2002)
本作は公開前から「あの」『タイムマシン』ということで、イーロイ族とモーロック族をどのように描くか、ということに焦点が当てられていました。ウェルズの原作は古典SFの名作ですから、みんなが内容を知っていて当たり前、ということを前提に作られているわけです。従って後半の展開、私は驚かなかったのですが、何も筋を知らない人はさぞかし面食らったことでしょう。さてこの作品、結構おもしろく観ることができました。時間旅行の風景、思わずニヤリとしてしまう図書館員、恋人を救おうとしてタイム・パラドックスに陥るところはいいですね。しかし全体として低調なのは、前半と後半が決定的に乖離していて、消化不良を起こしているからです。ウェルズの作品をなぞっているのは後半だけであり――原作との比較は敢えてしませんが――前半は創作です。ところがこの前半、後半とベクトルが違うにもかかわらず、出来がよすぎるんですね。こっちだけ切り離して一本作れるじゃないかというくらい。皮肉にもこれでバランスが大きく崩れてしまってるんです。本作に対して「観客に対する説明が不足している」という評価をよく見ますが、おそらくどれだけ修正を重ねても、この前半と後半、綺麗にまとめることは難しいんじゃないでしょうか。
6点(2004-12-09 23:47:25)(良:2票)
15.  刑事物語
武田鉄矢という俳優、説教くさかったり、計算高さが透けて見えたりと、鼻につくときがあるものの、私はけっこう好きです。この人は自己プロデュース能力が優れてるんですね。どういう作風なら自分が輝くかということをよくわかっている。これが過ぎて「俺が俺が」になってしまうと失敗するわけですが、この『刑事物語』、障害者問題に対する感動物語をベースに、ハンガーヌンチャクや高倉健のギャグでうまくスパイスを効かせ、エンタメ的に成功しています。確かにどこを切っても武田鉄矢しか出ず、その点アクが強くはあるのですが、ちゃんとわかりやすく面白い映画になってます。屈指の傑作とは言いません。それでも後でふり返ったとき「そういえばあれ結構面白かったよね」と思うような作品、私は好きです。素直にそこを評価したいと思います。
7点(2004-12-09 23:09:33)(良:4票)
16.  幕末残酷物語
揺るがない筈の史実が、解釈によって全く意味を変えてしまう。歴史ものの面白さはそこにあります。従来は悪役だった新選組のイメージは、司馬遼太郎の小説「燃えよ剣」や、大河ドラマ「新選組!」などの影響により、ずいぶん好意的になっているのではないでしょうか。そこにこの『幕末残酷物語』です。欲と野望の塊である新選組には、ぎらぎらした悪の魅力が弾けており、180度かえった「新しい」視点を与えてくれます。白黒映像によって猟奇性が増す一方で、芹沢鴨襲撃の俯瞰図(上から見たショット)など、美しい構図のシーンも多く、監督の非凡なセンスが伺える力作になっています。もっとも、物語の後半の展開が、プロットの根幹を揺るがしかねないなど、危うさも同居しており、問題がないわけではありません。私は長所の方がずっと勝っていると思いますが、引っかかってしまう人がいても不思議ではなく、評価を大きく分けるポイントになりそうです。
8点(2004-11-25 21:10:25)
17.  パルムの僧院
レビュー1本目が低評価で申し訳ないんですが・・・ファブリス(ジェラール・フィリップ)という青年は、どうも道徳観に問題があるようです。そこが大きくひっかかりました。まずいろんな女性に手を出す。愛人の夫と決闘して「彼女とは遊びだったのだ!」と嘲笑する。今度は旅女優と恋に落ちて、彼女の夫を刺殺してしまう。彼はこれが原因で投獄されてしまいます。殺人は故意ではなかったのですが、周囲の政治的な画策から、幽閉期間は20年に伸びることに。このあと典獄の娘クレリアが登場し、彼女と恋仲になります。作品的には二人の恋愛がメインで、どうやら公式には、彼女への想いが「真実の愛」になっているらしい。果たして本当にそう言えるのでしょうか。問題は、ファブリスが殺人を悔いている様子が全くないことです。彼は決して無実ではありません。殺意はなかったとはいえ殺人は殺人、それも元は自分の好色が蒔いた種。しかるに監獄の中でまた恋に落ち、娘に色目を使うということは、要するにちっとも反省してないのです。こういう展開だと、女優への恋、クレリアへの恋、表面上に違いが見えないのですね。もしクレリアと恋に落ちる前に、自分の軽率さと罪を悔いているシーンがあれば、彼は一人前の人間として生まれ変わった、そう観客は判断できるでしょう。ところが実際は逆で、クレリアへの愛は真実どころか、彼のために身を引こうとした彼女に対し、別の男と結婚するといって非難する。みんなが脱獄の協力をしているのに、彼女といたいから出たくないと駄々をこねる。結局ファブリスは自分勝手に生きているだけで、彼を愛する周囲の人間だけが、彼を助けるためにドタバタしているのです。ジェラール・フィリップ、そんな役目でいいのでしょうか。確かに色男なんですけど。
4点(2004-10-18 00:35:14)
18.  ゾンビ/ダリオ・アルジェント監修版
ゾンビの怖さとは何でしょうか。外見には馴れてしまいますし、伝染の危険もさほど深刻ではありません。SWAT隊員たちは、ゾンビを手玉に取るありとあらゆる手段を持っています。なのに彼らは恐れている――何故か。「死体が動いている」からです。ゾンビの本質そのものが怖いのです。ゾンビ映画というのは結構あるのですが、「死体が動く怖さ」という、考えてみれば当たり前のところに焦点を置いている作品は、皆無といっていいでしょう。ルキオ・フルチはじめ、ほとんどの監督はとにかくビジュアルに凝ります。そうして、単にゾンビを「気持ち悪い怪物」に仕立ててしまう。ジョージ・A・ロメロ一人が高みにいるのです。これは凄いことですよ。彼は作品全体を通じて、もう一つの恐怖を仕掛けました。ゾンビ自身の本質とも関係しているのですけど、それは「逃げられない」ということ。主人公たちはゾンビから逃亡しますが、何処に行っても奴らはうようよしている。夜が明けて、朝になっても消えません。空間・時間の両面で退路が塞がれています。ふつう人間には最後の逃避手段があるのですが、奴らはそれすらも許さない。自殺してもゾンビからは逃れられない。奴らの存在は、死が安らかな、永遠の眠りであることを否定するのです。だとしたら、ゾンビほど怖い怪物がおりましょうか。『ゾンビ』ほど怖い映画があるでしょうか。
10点(2004-10-16 04:16:03)(良:2票)
19.  ディープ・ブルー(1999)
レニー・ハーリン監督は『ダイ・ハード2』『カットスロート・アイランド』『クリフハンガー』など、アクションの佳作を撮ってきた人で、よくも悪くも定型通りの作品を作るという印象がありました。本作もそう、と言いたいのですけど、それが少し違う。深みも余韻もないところはこれまでと同じものの、展開がどうなるか全く読めないのです。例えば、誰かに命がけで助けてもらった人物が、次の瞬間にあっさりサメに食われたりする。物語展開の常識を基本的に無視してます。観客の意表を衝いているので、本作ではぎりぎり成功していると思うのですが、厄介なのは、これが天然なのか、周到な計算によるものなのか判断しがたいところ。うーん。とりあえず本作によって、私の中では、レニー・ハーリンへの評価は保留になりました。
6点(2004-10-10 17:58:58)(良:1票)
20.  大列車強盗(1903)
あらすじで書いたように、本作は非常に意義深い作品です。しかし内容はとるに足りません。当時は『スターウォーズ』に匹敵したかもしれないこの10分間も、21世紀の現在、観客を楽しませることはまず無理でしょう。さて、こういう映画をどう評するべきでしょう。現役のソフトとしての能力に乏しい以上、1点をつけざるを得ないというのが私の考えです。私は私の感想に基づいて採点しています。私が10点をつけた作品は、私が現在観賞した上で、横綱に相当すると判断したものです。そこに歴史的意義、名作度が入り込む余地はありません。それらは私と作品の一対一の関係を阻害します。私のレビューは、私自身の責任において述べる「感想」であり、映画史の「評論」ではありません。映画史上に残る名作を選んでいるのではないのです。ですからこの「1点」には、歴史的意義も名作度も一切入ってません――採点上は。さて、ここで特筆しておかなければならないのは、いま「採点上は」とことわった中身に関してです。そもそも「老人が現役としての能力を失っている」という状況と、「彼の業績をリスペクトする」という行為は、全く別次元の話でしょう。私は『大列車強盗』を作った人を尊敬しますし、その価値(先駆者としての業績、資料性、骨董価値)を大いに認めます。それでいて1点をつけることは、私の中では矛盾しません。『大列車強盗』は神話の時代の偉人であっても、私が選ぶ精鋭としては、老人である彼はとても戦力にはならないと思うからです。このように、自分の感想と他人の評価を常に分けて考えないと、「歴史的名作だから」という理由で、正直な採点が出来なくなる可能性がある。私はそれを避けているのです。
1点(2004-10-10 16:51:35)(笑:2票) (良:11票)
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121.96%
243.92%
365.88%
41312.75%
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71211.76%
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