1. ダンサー・イン・ザ・ダーク
ブレて止まないカメラは神の視線、そして、カラフルなミュージカル場面はセルマの現実。ラスト、生に執着するセルマに対し、予定調和を拒否するかのような残酷な死を与える、しかし、それは「たかだか肉体が滅びるだけなんだよ、精神は永遠のものなんだ」と言いたいがための仕掛けにすぎない。ラストカット、吊り下げられたセルマを見る立会人を捉えた構図から、カメラはセルマの昇天をフォローして上昇する。そこは不可視の世界、冒頭と同じ暗闇だ。ここで、はじめて冒頭の暗闇が理解できる。・・・私は、この映画を見て不快感を抱いた一人だった。その不快感は駄作に向かうものではなく、理解不能な作品から受けるものでもなかった。謎解きには少し時間が必要だったけど、その不快感と向き合った結果、教わったものは大きかった。 8点(2001-05-30 23:04:39) |