1. 蝶の舌
無垢な子どもが自分のまわりの世界に目覚めていく過程を、1940年代のスペインの片田舎を舞台に描く。人々を引き裂く戦争の無情さがラストシーンに凝縮されている。かなり好きな作品である。 7点(2005-03-01 21:13:23) |
2. あの子を探して
一本のチョークが学校の一番の貴重品という、中国の寒村の学校の子どもたちの表情がなんと生き生きとしていることか。プロの役者を1人も使わず、中国の農村をリアルに表現している。これは多分、終戦直後の日本の状況と似通っているのだろう。戦後60年、日本が、日本人が物質的に豊かになった分、どこかに置き忘れてきたものを思い出させてくれる作品。 8点(2005-03-01 21:06:04)(良:1票) |
3. ブラザーフッド(2004)
「シュリ」の監督のカン・ジュギュが久々にメガホンを取った,渾身の戦争力作。韓国映画の底力を感じる作品である。庶民を犠牲にし,同一民族が憎しみ合う結果となった戦争を生々しく描いている。でも、弟を除隊させるためにやみくもに危険な任務を志願する兄には、何かうそっぽさを感じてしまいました。前半部分と比べると後半の展開がドラマチックすぎてついていけません。題名のように、テーマは兄弟愛だったかもしれませんが、兄の妻が北のスパイと疑われる場面など、同じ民族なのに分断させられてしまった朝鮮半島の悲劇の方に興味をより強く感じました。 6点(2005-03-01 20:56:48) |
4. 北京ヴァイオリン
今の日本の親子関係から言ったら、この映画の中の親子の絆はちょっと創り過ぎかなと感じますが、思春期の少年の示す純粋さに負けないくらいのお父さんの一生懸命さに素直に打たれます。一人目のヴァイオリンの先生の偏屈さ、でも音楽に関しては彼の孤高さこそが本物かなと思いましたが、やはり世に出すためにはと思って、二番目の先生の元に送り出す。これが世の中の現実でした。二番目の先生も、「技術は教えられるが、音楽を自分のものにして表現するのは他人にはできない。」というところは本物ですが、最後には少年を独占するための現実策があったというところが、「やっぱり」という感じでした。北京駅で偶然知り合った女性リリの身辺を描いて金に支配される中国の都会の生活も描いていて退屈せず観られた。 9点(2004-09-20 16:15:13) |
5. ラスト・プレゼント
売れないお笑いタレントの妻を演じるイ・ヨンエってJSAの女将校役を演じた人と同人物とは思えないほど、ふつうのかわいい主婦っぽくってよかった。若いときの宮崎美子を思い出した。夫役のイ・ジョンジェもいい味出している。韓国映画って日本人と顔立ちがそっくりだから、より感情移入ができるような気がする。それに、悪人になりきれない詐欺師の二人がいい。特に、「奥さん死にかけてるんだぞ」と言って、だまし取ろうとした金を返すところがよかった。病気を隠して夫の成功のために気丈にふるまうヒロインの強さはちょっと現実的ではないと思うが、そこで簡単に夫に甘えてしまう弱いヒロインでは映画にはならないか。小学校の時の初恋のエピソードなども交えて、ストーリー展開としても面白くて引き込まれる。疲れていたとき見たけど楽しめた、自分としては好きな映画である。 9点(2004-05-04 19:35:15) |
6. 運動靴と赤い金魚
宗教的な理由か、施設の不足が原因か、イランの小学校は男女で授業時間帯が違っているらしい。修理したばかりの妹の靴をなくし、一足の靴を交代で使う兄妹。授業が終わって待っている兄の元にけなげに一生懸命に走る妹。でも、どうしても遅刻して先生に怒られている悲しそうな兄のアリの姿。 アリが庭師の仕事を探して裕福な家の立ち並ぶ町並みを父と自転車で行くシーンでは、イランの貧富の差を実感するが、政治的なメッセージをことさら封じ込めている控えめな表現がかえって現実社会の厳しさを連想させるものとなっている。 一足の靴がどんなに大切なものであるか、私たちが忘れてしまっていることを思い出させてくれた、心に残る映画でした。家族で観たいおすすめ映画です。 10点(2004-05-03 15:42:44) |
7. 友へ チング
1970年代~90年代の韓国を舞台に、4人の幼なじみの男たちが少年 から大人に成長していく過程を描く。このあたりの、少年時代の描 き方はノスタルジックで、青春映画そのもの。日本の1950年代 を思い出させてくれる。ジュンソクとドンスは、映画館で他校の生 徒と喧嘩をして学校退学、やがて対立する二つの暴力団に入って反 目するようになる。映画が若者の娯楽であった古き良き時代と似通 っているようだ。後半はジュンソクとドンスの暴力団からみの対 立抗争が哀しく切ない。人物描写も丁寧で、家族とのからみで人物 を表現している点が説得力が出てくるポイントかとも思う。韓国映 画の力を実感させてくれる作品となっている。 7点(2004-05-03 15:32:42) |
8. 八月のクリスマス(1998)
単純なストーリーで、しかもラブシーンは一つもないが、淡々と したカメラワークで二人の心情を細かに表現している。たまには こんな映画もいいと思う。余計なものが描かれていないために より人物の思いに近寄れるような気がする。 7点(2004-05-03 15:19:55) |
9. 夏休みのレモネード
出会ったばかりの二人の少年の、あまりに短すぎた夏休みの交友。カトリックのピートは、ユダヤ教のダニーが何とか天国に行けるようにと思いをめぐらす。 常識の世界にどっぷり浸かった大人たちと違った子どもたちの純粋さにハッとさせられる。大人たちは宗教の違いを意識してして、それなりに互いを尊重して共存しようとしている。しかしどこかにぎこちなさがある。二人の少年の世界にはそれはない。大切なのは人として善良に、正直に生きることなのだと教えられる。12000本の脚本の中から選ばれたというのは大げさだと感じたが、印象に残る作品であった。 8点(2004-04-18 17:41:41) |
10. JSA
最近の政治状況の中で、実際に起こりうるような事件が設定され ていて、圧倒的な緊張感をともなうインパクトの強い作品になっ ている。自分にとってはいろんな韓国映画を見るきっかけとなっ たという意味でも印象が深い作品。 9点(2004-03-27 17:52:47) |