1. パリ警視J
《ネタバレ》 ダーティーハリーは観たことがない自分でも、何となくアメリカンな雰囲気は感じられたと思います。 のっけからダッシュで追いかけるベルモンド扮するジーパン刑事。50になってもまだまだ現役で相変わらずカッコエエ~。 すぐさま麻薬密売船をヘリで追跡し飛び乗るアクションなど序盤から結構飛ばしてるなーという印象で、その後もやる事なす事全部が破天荒でニヤニヤしながら観てしまいました。 カーチェイスでは戦車さながらの装甲車で、よくあんな重い車でスピード出せるなと思っていると、最後には相手の車に突っ込んでクラッシュ!という荒技で仕留めてしまう・・・って、警察がその場で殺しちゃイカンでしょ(笑) カウンターのレストランに入って、ニコニコ顔で隣でステーキを注文するベルモンド。 俺もベルモンドと食事してみたいなぁ~とか思っていると、いきなり乱闘シーンに突入!しかもベルモンドの先制攻撃だ!! 俺もイヤな奴がグラスを持った瞬間にあれと同じことやってみたいとか、机の上の書類を横に払い捨てて好きな仕事だけをやりたいとか思いましたが、ヒロイン役がややビミョーだったので憧れ半分に留めることにします(笑) [映画館(字幕)] 6点(2022-10-03 14:01:47) |
2. プロフェッショナル(1981)
《ネタバレ》 ジョルジュ・ロートネル監督作品は3作目の鑑賞になるのですが、隠れた名監督なのではと思わせる一品です。 ストーリーは、ベルモンド扮する特殊隊員ジョスラン・ボーモンが祖国に見殺しにされつつも帰還し、特殊部隊の長に徐々に近づき一矢報いるという話。 祖国から裏切られ過酷な環境を味わいながらも、ベルモンドの口からは一切の恨み節などは出ず、分かりやすい復讐劇にはなっていないところが映画としてのクオリティの高さを感じさせるのではと思います。 序盤で女をバスタブに沈めるシーンの緊張感や、エッフェル塔を背後にカーチェイス(ベルモンド自ら運転)を繰り広げるシーンの迫力なども目を見張るものがありましたし、特殊部隊長ロゼンとの早撃ち場面では観ている側も思わず息を押し殺してしまうほどのスリルを感じました。 個人的には、自分の誕生日5月14日がストーリーの中に出てきたのと(3回目)、エンニオ・モリコーネの音楽が良すぎた故に若干主張し過ぎたきらいがあったように思えました。 [映画館(字幕)] 7点(2022-09-18 03:26:49) |
3. ラ・ブーム
《ネタバレ》 この映画の公開当時、日本でもかなりの人気を博したとの事ですが、自分が観てみて日本人の感性には合わないような気がしました。 コロナ前、日本に長期滞在していた外国人が「日本ではドレスコードを着る機会がなくてつまらない」とぼやいていた人もいたそうで、欧米では日本と違い中学生の頃から既にパーティーの習慣があるのですね。 中学生であってもハグしてキスしたりとかも平気でやっちゃうというのは、日本人からするとちょっと驚きがあると思います。 また、エンディングでソフィー・マルソー扮するヴィックが初対面の男と熱いハグをする締めくくりも心情が描かれていないために我々日本人にとっては解釈に悩むところですが、この辺りの行動もフランス人にとっては普通に理解できちゃうものなのでしょう。 主人公のヴィックだけでなくその両親も双方とも別の所で恋人を作ったり、アフリカに旅立つ前に思い直してダンナの元に戻ったりする心の移ろいなどはやはりフランス映画ならではと思います。 自分より前のレビューで、フランソワが娘の彼氏を殴れるのが格好良いとのコメントがありましたが自分は逆で、彼女の親父を殴れる彼氏が格好良いと思ってしまいました。 また、ヴィックの友達のペネロペの妹がフランソワに好意を抱くのも年齢に拘らず自由で良いなぁと感じたりして、全体的に共感するのが難しい映画ではあるもののフランス人の恋愛観に対しては憧れのような感情が芽生えた気がしました。 ところで、パーティーで並べられた飲食物は誰がお金を出して準備をして片付けをしているのだろうか(笑) [CS・衛星(字幕)] 6点(2021-10-29 00:24:04)(良:2票) |
4. エースの中のエース
《ネタバレ》 ベルモンドのアクションコメディーはどれもそうなんだけど、アクションの本気度がハンパない。 冒頭の戦闘機のバトルで、ウイングが撃ち落されたまま飛ぶのは、まぁ何とか編集で誤魔化せる(いざとなれば脱出できる)としても、前のプロペラに網を被せられた状態のまま着陸というのが凄いと思いますが、どうでしょう。 ストーリーとしてはナチスドイツ全盛期に開催されるベルリンオリンピックに出場するフランスボクシング選手団の話から、映画後半は「サウンド・オブ・ミュージック」を彷彿とさせる亡命物語に移行していきます。 序盤で、ゲシュタポに追われるベルモンドが群衆の中に姿をくらますと、なんとタイミング良く聖火リレーの真っ最中(笑) 聖火ランナーで走るベルモンドには下着姿でスタンバっている所から既に面白かったですし、聖火でタバコに火をつけて去っていくのも笑えます(何という冒涜!)。 映画中盤、決勝戦の前日にもかかわらず飛行機を飛ばしてパラシュートで少年を迎えに行くシークエンスはこの映画一番のハイライトですが、個人的には小熊を後部座席に乗せたまま検問を突破するシーンからチロル地方の広大な山並みを背景にしたカーアクションもなかなか甲乙付け難いほどの好きなシーンです。 このシーンの撮影にあたり、子供にハンドルを握るのを許可したオーストリアも寛大ですし、パラシュートをかぶったまま道を外れて木々に突っ込むスタントマンらの本気度もさすがといった感じです。 ヒットラー役を演じた役者さんが義姉も演じていたりして、いろいろと楽しい映画でした。 [映画館(字幕)] 7点(2021-06-09 17:53:33) |
5. ベルリン・天使の詩
《ネタバレ》 天使が人間の考えている事を読み取れてしまうという設定のお陰で、ずっとモノローグのような語りが延々と続くのには少々辟易させられますが、よく考えてみるとこれは一種の群像劇のようなストーリーですね。 関わった人間の助けになるような事でもすればいいのにとも思いましたが、ほとんど何もしないで放蕩を続けているとしか思えなかったので、映画としてはあまり楽しさなどは感じられないまま終わってしまいました。 たまに出てくる天使像から見下ろした町並みはとても良かったですが。 [映画館(字幕)] 5点(2017-01-09 22:14:39) |
6. パリ、テキサス
《ネタバレ》 この映画を観た後、テキサスの中に本当にパリという地名があるのか調べてしまいましたが、やっぱりありました。しかもエッフェル塔も建っていたりして。 さて、映画。 基本、ロードムービーは大好き。 あてもなく放浪する旅も良いし、この映画みたいに自分の親が愛を育んだ場所を訪ねたり肉親を探しに出たりという目的を持った旅もそれはそれで良い。銀行の前で張り込むのとか、すごく楽しそうだし。 オープニングのトラヴィスの登場シーンはかなり謎。なんかミステリアスな感じがするのと同時に、如何にもという作り話っぽい雰囲気も感じられてしまいます。 おまけに、トラヴィスの妻役のナスターシャ・キンスキーがマジックミラー越しに会話する店で働いているというのもちょっと都合が良すぎるんですが、そうでなければストーリーが繋がらないし、ラストの母子再会の感動もなかっただろうと思うので素直に受け止めることにします。 ラストは、トラヴィスは一体どこへ行ってしまったのだろう。 ハッピーエンドで終わってくれると思いきや、最後はいろいろと考えさせられる幕の引き方でした。 [映画館(字幕)] 7点(2017-01-09 02:34:13) |
7. ラルジャン
《ネタバレ》 ストーリーが凄く淡々と進む感じがするのですが、やはりモンタージュがスタイリッシュで抜群に格好良い事があげられると思います。 写真屋の店主が偽札に気付くシーンからガソリンを扱う手のショットへ、また、ベッドの裏から出てきた大量の睡眠薬から救急車と白衣の人物を捉えるショットへの移行などなど、スパッと明快なモンタージュのオンパレードが見ていてとても心地良いのです。 また、ここまで見てきた観客は画面の中に斧を目にすることになり、当然背筋が凍るような感覚に襲われるわけですが、ここからがブレッソンの凄いところ。 イヴォンは家事を手伝ったり果実を採って食べさせてあげたりと一旦は善人となりハッピーエンドに向かうのかも、と思ってしまう。自分はラストよりも、むしろそういった見る側の人間を食ってかかるような“フェイント”や“焦らしテク”にやられました。 ところで、それぞれの立場を考えてみると、偽札を掴まされたイヴォンは善良な一市民。 食事の会計時に衝動的に乱暴な振る舞いをしてしまったり、仕事を解雇され妻子を養うべく銀行強盗の輸送役をやるも、根が善人であるのは間違いなさそう。 また、イヴォン以上に善良なのが写真屋の雇われ従業員ルシアン。 写真屋の金庫を荒らしたり金属片を使って他人の預金を引き出したりと悪事を働く姿が描かれていますが、自分の読み間違いがなかったとすれば、これらの一連の行いは偽証によって罪を着せてしまったイヴォンのため。自ら刑務所に入りイヴォンを救うため。(結局、イヴォンは脱獄の誘いを断りちゃんと刑期を終えて出てきましたが。) 出所したは良いが、全てを失ったイヴォン。 偽札を作って何事もなく生きてゆく学生と、偽札によって人生を狂わされる善良な人間たち。彼の手にかかった人達も同様。 偽札とは一体?? [映画館(字幕)] 6点(2015-08-24 23:33:35) |
8. ドラえもん のび太と鉄人兵団
《ネタバレ》 2015年2月はイスラム過激派組織によって日本人人質2人が殺害された時。 ちょうど宗教のことを考えていた頃だったので、万物創世を描いたこの映画の終盤には軽く驚かされました。 よくよく振り返ると、ロボットの事は内緒にしておこうと、のび太たちが「誓います」と手を上げて宣言していた辺りで早くも宗教臭い様子が伺え、序盤からちょっと異質な雰囲気すら出ていたような気がしていました。 恐らく、この映画もベトナム戦争に影響を受け作られたのだと思いますが、やはりドラえもん映画という事だけあって反戦を直に訴えるようなことはせず、人に対する優しさや思いやりが世界を救い、実現が困難な事であっても懸命に努力すれば道が開けることがある、という事の方が自分にとってはストレートに感じられました。 本作は結構シリアスな雰囲気で話が進むために余り笑わせるシーンはさほど多くはなく、尚且つ鏡面世界が舞台ということで冒険している感じがなかったのが玉にキズですが、トータル的には十分楽しめる作品と言えると思います。 本作で出てきたアイテムで一番好きなのは、逆世界入り込みオイル。 ロボット首脳陣が地球人を見つけられずに困惑していた時、俯瞰の地球を見て逆の世界であることに気付くというのが面白いと思いました。 [映画館(邦画)] 7点(2015-02-11 02:12:04)(良:1票) |
9. ドラえもん のび太と竜の騎士
《ネタバレ》 ドラえもんはやっぱり強大な悪と戦わないとダメ! んなもんだから、どこが盛り上がり所なのかわからないまま終了してしまっていました。 序盤で、スネ夫が恐竜の大群と大平原を発見して竜の騎士が出てきたところまでは良かった。 更に、地磁気で動く船が出てきたりして期待が持てたのですが、辻褄を合わせるためとか誤解を解くために動き回るっていうのは、やっぱり物足りなかったです。 悪役がいないというのは確かに斬新な発想ではあるのですが、というよりも竜の騎士たちが味方なのか敵なのかのキャラ設定を一貫してしっかり確立した方がストーリーにメリハリがついたのではという気がします。 物語の本線からは少し外れますが、序盤で○×うらないというアイテムを使っている時にのび太のママが部屋に入ってくるというシーンがありましたが、ママとの会話に道具がいちいち反応してしまいのび太が慌てて抑え込んだりしていた時のテンポの良い会話の流れが面白かったです。 本作で出てきたアイテムで一番好きなのは、どこでもホール。 タイムマシンやどこでもドアに次ぐ、冒険に導く可能性を秘めた道具。ワクワクします。 [映画館(邦画)] 6点(2015-02-07 23:18:56) |
10. ドラえもん のび太の宇宙小戦争
《ネタバレ》 これはたぶん、公開当時リアルタイムで観た時の記憶が一番ハッキリ残っている作品。 一番印象に残っていたのが、建物の肖像画の中の動く目玉。 チーターローションの効果が落ちてバテバテになっているのび太をボスに睨まれながらジャイアンがおぶって助けるシーンなんですが、あの時のギリギリハラハラドキドキ感を30年ぶりに体感できたのが嬉しかった。 それと、倉庫の中でおびえているスネ夫を尻目にしずかちゃんが「私だって怖いんだから」と言って戦車に乗り込むシーンに、オイ!スネ夫~何やってんだ~!と歯軋りする思いで見ていた記憶が舞い戻ってきたり、もし壁紙秘密基地があったらどこに貼ろうかなぁと自分の部屋を見渡して空想を膨らませていたりするなど、毎年のように観ていた長編ドラえもん映画の中では特に印象深い作品なのです。 久しぶりに観てみて、今回も凝りに凝ったオープニングも楽しかったし、一人で牛乳風呂に入るしずかちゃんに迫る危機感もなかなかのものだったし、ただ笑わせるシーンが他の作品と比べて少なかったのが残念ではありましたが、やはり今回も楽しく懐かしく観る事が出来ました。 本作に出てきた一番好きなアイテムは、勿論チーターローションと壁紙秘密基地でしょう。これは文句なし。 [映画館(邦画)] 8点(2015-02-07 13:51:57) |
11. ドラえもん のび太の魔界大冒険
《ネタバレ》 本作はもう、オープニングからエンジン全開! のび太の夢の世界の描写からタイトル画面が出るタイミングといい、ドラえもん映画史上最高のオープニングと言えると思います。 全体的なストーリーは勿論面白いんだけど、今回はあらゆる所からの“パクリ”が面白かった。 魔法の世界に入れ替わった場面でテレビをつけると、GESSAN(月産)スカイラインという空飛ぶ絨毯のコマーシャル!このセンスが最高だし、「極限まで追求した低燃費」とかいう宣伝文句も思いっきり科学的で笑えます。 海外からは「北北西」に進路を取るのもヒッチコックのパクリだし、極めつけは寅さんからの「それを言っちゃぁおしまいよ」の決め台詞!このモロパクリに大爆笑しました。 本題のストーリーは、石像を伏線として序盤に出して終盤で回収するという手の込んだ事をやったりして熱意が伝わってきますが、半端なところで終わらせる事も出来たりしながら何とか綺麗にエンディングに漕ぎついたところに作者の苦悩が垣間見れた感じがしました。 本作で出てきた一番好きなアイテムは、ドラミちゃんが使っていた虫の知らせアラーム。 結構地味ですが、これがないと物語が成立しない超重要アイテム。八方塞がりの時に助けに来てくれる頼もしい妹はこうやって兄の危機を察知するんですね~。 [映画館(邦画)] 7点(2015-02-07 01:44:53) |
12. ドラえもん のび太の宇宙開拓史
《ネタバレ》 ストーリーは、まぁいつも通り異世界の人と仲良くなって悪を退治してさようならというお決まりのものなんだけど、何か今一つキレがない感じです。 悪役は強さを発揮できずにダメな報告ばかり持ち帰っていて、殺し屋共々恐怖感を感じられないだけでなく、バトル時のアクションも迫力を欠いていたような気がしました。 ドラえもんの出すアイテムも、初期の作品だからなのか目覚ましいものはそんなになかったですし、そもそも数自体が少なかったと思います。 自分の部屋が宇宙と畳一枚で繋がっていたり、二本足の象に乗って駆けたりというファンタジー色がよく出ていたのはGOOD! しかし、引力の弱い星でパワーアップするというシチュエーションは良かったものの、それがかえって敵を簡単にやっつけられる要因になってしまったのが良くなかったのかも知れません。 本作で一番好きなアイテムは、ジャイロカプセル。衝撃を吸収したり常に水平を保つようにできているとかいう説明がなされているのがツボ。へぇ~って思っちゃう。 あと、序盤で出てきたデカい野球盤とその中でプレーする人形たちも欲しくなっちゃいますね。 [映画館(邦画)] 5点(2015-02-06 00:04:34) |
13. ドラえもん のび太の海底鬼岩城
《ネタバレ》 劇場公開から30年以上経っていても、部分的にではありますが観たという事だけは思い出すことが出来ました。 記憶が蘇ったのは、しゃべるバギーが登場したところ。 特徴ある声とちょっと生意気な態度が心のどこかに留まっていたみたいです。 ラストのポセイドンを倒すシーンは意外と記憶には残っておらず、むしろ本作のポイントは、しずかちゃんの大活躍ぶりだと思います。 旅に出る前はのび太に勉強を教えてあげてたし、鬼岩城を探している時は自ら囮を買って出たり、そして最後のバギーちゃんの捨て身の攻撃も彼女のやさしさが奏功した形であったし、ここは紅一点のしずかちゃんに拍手を差し上げたい訳なのであります。 それと、本作で特に良かったのが、テントアパートを海底に建てた時にトイレの説明をしていたシーンなのですが、こういった別世界で起こりうるナルホドなぁ~という現象が子供心をグイグイ引き込む事は容易に想像でき、物語の本線から外れた所においても仕事の丁寧さを感じることができたと思います。 他にも、エルに捕えられた時にのび太たちの夢の中で生物の進化の過程を学習するシーンがあったり、5人を死刑にするかどうかの裁判の中で地球の環境問題を争点にするシーンが出てきた所にも驚かされたりして、シリーズを重ねるごとに物語が少しずつ精錬されていく印象を受けました。 本作で出てきたアイテムで一番好きなのは、カメレオン帽子。 初めて観た当時、天井が地面の形状に応じて変化するのがスゲーって思い、そのまま歩いて移動するシーンにワクワクしましたし、上から睨まれるシーンではハラハラドキドキしたのを思い出して懐かしさが込み上げてきました。 [映画館(邦画)] 8点(2015-02-05 00:32:38) |
14. ドラえもん のび太の恐竜
《ネタバレ》 映画ドラえもんシリーズ第1作。 子供の時に観た作品を見直してみようと再鑑賞してみたものの、公開当時はまだ小さすぎて見てなかったみたいでした。 というのも、自分が小さい頃に見た作品と雰囲気が少し違っていて、例えば序盤でのび太が恐竜の卵を見つけて部屋に持ち帰った時に四股を踏む真似をしておどけてみせたり、ジャイアンたちにハッタリをカマした直後に反転画像になったりといった所に当時観た時との作風の違いが出ていて古さを感じましたし(悪い意味ではなく)、よく見るとしずかちゃんの表情も若干違っているような気がしました。 後の作品を本作よりも先に観てしまったこともあって、スケールの大きさやそれに伴うハラハラドキドキ感、大人でも楽しめるかどうかなどという要素においては後続の作品に劣る感じがするのですが、純粋に考えて、拾ってきた動物をペットとして可愛がるというストーリーは普遍的なものを感じますし、まだこの頃はアドベンチャーを充実させるよりもハートウォーミングなファンタジー映画に仕上げようという意図が強かったのではと思いました。 本作で出てきたアイテムは初期の作品という事もあって定番アイテムばかりでしたが、強いて好きなのを一つ挙げるとしたら、通り抜けフープかな。 [映画館(邦画)] 6点(2015-02-04 00:17:20) |
15. ドラえもん のび太の大魔境
《ネタバレ》 子供の頃に一度観た映画のハズでしたが、記憶に残っているシーンは全くなかったです。 一番好きなのは、冒険の途中でのび太が0点の答案用紙を取りに戻り、しずかちゃんがトイレに戻り、それを咎めたジャイアンがドラえもんにせがむ姿に笑った所と、戻ってくると母ちゃんにボコボコにされて現れたシーン。ここの一連の流れが特に面白かったです。 今、大人になってから見ると、お約束通りの0点の答案用紙に吹いてしまいましたが、本作を初めて見たのが幼稚園の頃で、小学校に上がってみて0点を取るのってそう滅多にありえない事なんだと知って、子供心にちょっと安心した記憶が舞い戻ってきて凄く懐かしく思えました。 しずかちゃんがトイレに行きたくて顔を赤らめてモゾモゾしたり、マジックハンドで猛獣をなぎ倒した後でちゃんとごめんなさいと謝ったりする所などは、今の言葉で言う萌え萌えなシーンですし、“しずかちゃんとお風呂”という切っても切れない繋がりが本作でもよく出ていたところもイイです。 本作で一番好きなアイテムは植物改造注射。実がなって殻を割ったらカレーライスが出てくるって、まさに夢のようです。 [映画館(邦画)] 7点(2015-02-02 23:45:25) |
16. フルメタル・ジャケット
《ネタバレ》 軽妙なBGMと共に頭を刈り上げるオープニングや最後のミッキーマウスマーチなど、この人の皮肉がかったジョークは自分には全く響いてこず、映画として面白いかどうかは言うまでもなく、またしてもキューブリックとの相性の悪さが出たように思いました。 映画の前半と後半で全く別の映画となってしまっており、どちらからも伝わってくるのは戦争という異常な世界による人間性の喪失であって、前半では前線に立った時に躊躇う事なく人を殺せるような殺人マシーンの製造過程の中、精神を崩壊させて脱落する者が出てくるほどの過酷な環境が丹念に描かれており、また後半では、苦しんでいる少女の息の根を止める時にふと出てしまうわずかな人間性が訓練よって形成された非人間性とぶつかり合う様を描いたところが最も大きなテーマと言えると思います。 前半部分で、タイトルの「Full Metal Jacket」がデブの訓練生が発狂した時の台詞で出てきましたが、この場面を一番のテーマと捉えているからこそこの映画のタイトルとなったと考えましたが、だったら何故、そのシーンのすぐ後で物語を分断してしまったのか、ここは大いに疑問を抱かずにはいられません。しかし、タイトルの意味を深く考察した他のレビューを拝見しますと、まぁ納得はできますが心に響くほどではないというのが正直な気持ちです。 後半部分は、スナイパーの少女が出てくるまでは単なる断片の寄せ集めという印象しかなく、ヘリからの銃乱射や新聞製作の会議や兵士のインタビューなど、どれも本題(少女と対峙する場面)に関係のないシーンやサブプロットばかりだったように思えました。 それよりも、この映画を観終わって自分が一番気にかけてしまうのが戦争が終わった後の事なのですが、前半に出てきたあのような軍曹は当時数多くいたと思われますが、あれはどう見ても“彼自身”であって教官の任務として罵っているとはとても思えず、もし戦争が終わり平和な日常に戻った時、暴言を吐くことなく“人間”らしく生きていくことが出来るのだろうか、また彼らの訓練を受けて非情さを植え付けられた人間はその数十倍におよぶはずで、彼らもまた戦争時の非人間だった自分自身をリセットし切り替え、再び心を持って生きていくことが果たして出来るのだろうかと、心配せずにはいられません。 ベトナム戦争が終わりPTSDで苦しむ人が数多くいたというのも、この映画を観れば分かる気がしました。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2014-03-01 19:18:22) |
17. 右側に気をつけろ
《ネタバレ》 80年代のゴダール作品なんて面白くないだろうと思って全く期待しないで観てみたら、やはり予想通り面白くなかったです。 冒頭の空撮の場面で電話の音が鳴っていたりする大胆な音の使い方に先制パンチを喰らい、相変わらず斬新さを追い求めているんだなぁと、ゴダールの映画に対する情熱や意欲に感心したものの、終始に渡ってどうにも面白いようには思えては来ませんでした。 ナレーションを多用したり、黒画面に文字を出してカットを切り替えたり、フレームイン&アウトで見せるワンシーンなど、ゴダールが初期の頃からやっている手法がこの映画でも出てきたりと、良くも悪くもらしさは出ていたので、そこは良かったと思います。 特に印象に残ったのは、飛行機の中で馬鹿やってたり、ダンスをしていた女が裸になったり(男の願望か?)、レコーディングのシーンが何の進展もないまま延々と流れていたりといったシーンなのですが、見ていてワクワクしたり、驚きがあったりするシーンはトータルで考えてもやはり少なく、これは感覚の相性のようなものかもしれませんが、楽しむ事が出来なかったというのは間違いなさそうです。 また、80年代の映画は、その当時の曲がバックに流れている事がよくあり、それがかえって古さを感じさせる要因の一つになっているような気がして、やはり肌に合わないと再確認させられた映画でした。 [映画館(字幕)] 5点(2011-10-14 21:54:33) |
18. E.T.
《ネタバレ》 自分は、ハリウッドの娯楽映画は基本的にあまり観ないようにしているのですが、それは何故かと言うと、余りにも非現実的なストーリーだったり、映画後半のクライマックスなんかの“ここが一番の見せ場ですよ~”と言わんばかりの派手なアクションや、ただの一組の男女の恋愛なのにハッピーエンドを迎えると周りの人が拍手までしてしまうような大袈裟な演出など、オーバーでわざとらしい映画を見せるハリウッドのスタンスに辟易してしまう事が何度もあったわけですが、この映画は不思議とそのような気持ちは湧いてこなかったです。 宇宙人なんて、映画の中では地球の生活に順応しているように描かれていますが、実際は敵対心剥き出しで人間に攻撃してくるかもしれないし、食べ物だって人間が食べるようなものは食べられないかもしれないし、もし食べたとしたらその辺にウ●コを撒き散らす事だってあるかもしれない。要するに、そういったマイナス要素を全て排除して、感動を与えられるように上手い具合に筋道立てて作った、言わばファンタジー映画のド真ん中的な映画でしょう。 エリオットがE.T.と一緒に空を飛ぶシーンは、満月を背景にして飛ぶワンショットのわざとらしさに多少の嫌悪感を抱くことはあったにせよ、音楽の素晴らしさも相俟ってそれを打ち消すほどの見事なシーンだったと思います。 そして、最後の方でパトカーに追われているシーンでも、一度空を飛ぶシーンを見ていたことである程度の予測は出来ていてニ回目に感動なんか出来るのかと不安になりましたが、一度目のシーンを更に上回る感動を覚えた自分にもまた驚いてしまいました。 想像を超える感動というのはまさにこの事で、観る側に悟られていながらもそれを超える驚きを演出するというのは、バーーン!といきなり驚かせることよりも何倍も難しいはずです。 ハリウッド嫌いの自分でも、スピルバーグだけはやはり一目置かざるを得ないと改めて感じさせられた一本。 [映画館(字幕)] 8点(2011-10-08 12:51:19) |
19. アリス(1988)
《ネタバレ》 この映画のような妄想系やシュールレアリズム的な作品を観るたびにいつも思うのですが、感性を試されているとか、フィーリングがマッチするかどうかというよりも、観る側の心の広さ(キャパシティー)を推し量られているような気がして、映画そのものをバッサリ斬るような事が出来ず、面白く感じられずにいる自分に失望してしまったりします。 うんと子供の頃、この人形がこっちを見て自分に話しかけて来たらどうしようとか、この剥製がいきなり動き出したらどうしようとかっていう想像を膨らましていた頃も確かにあったような気がするので、この映画の本質的な部分は何となく理解することは出来たと思います。 面白いなと感じたのが、蛙の長い舌や生肉の質感などの異質な感じを出した描き方なのですが、蛙の舌で蝿を的確に捕らえるところに妙に爽快感を感じてしまったり、普段はまな板の上だとかお店で白いトレイに乗っかっていたりというところしか見たことがない生肉も、撮る人が撮れば全く違ったモノになるんだなぁと、捉え方に凄く個性が出ていて良かったと思います。 また、兎の胸元からおがくずが出てきていたと思ったら、お鍋の中のおがくずをスプーンですくって“補給”していたりして、ストレートというか単純というか、とても素直な発想だな~と思いました。 [映画館(字幕)] 6点(2011-09-03 23:31:33) |
20. さよなら子供たち
《ネタバレ》 正直に言ってしまうと、この映画のような起伏のないストーリーというのが苦手で、少なくとも上映時間のラスト20~15分くらいの間に盛り上げ所がある映画でないと観終わってからの充実感がほとんどなくなってしまいます。 ラストがこの映画の主題であるだけに、少年たちのストーリーの中に余計に興味を引くような出来事を入れてしまうと、かえってラストが引き立たなくなってしまうために、このような変化のないストーリーになってしまったと推測できるので、まぁこれはただ単に自分とは相性が悪かっただけだと諦めることにします。 そんな中でも興味を引いたのが、宿舎でみんなが寝静まったときの真っ暗なシーンなのですが、静寂が部屋全体を包む時のあの独特の緊張感が良い味を出していたと思います。 遊んでいる時も食事の時も腕白さ全開の子供たちが唯一静かになる瞬間がその時なわけで、普通に考えて何の出来事も起こりそうにない瞬間を敢えて撮るのが逆に不気味で、実際に、ユダヤの子が蝋燭を立てて祈りを捧げている(?)シーンがあり、それ以降は何かが起こるんじゃないかとドキドキして観てしまいました。 [映画館(字幕)] 6点(2011-01-29 18:05:42) |