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1.  群衆(1941)
キャプラの映画は好きですが、これはどうも理屈先行で作られた「頭でっかち」の映画という印象が否めません。架空の理想の人物に人々の支持が殺到し、そのギャップから一度は転落するも、最後は大衆の支持で救われる、と絵にかいたようなキャプラ的展開ですが、この映画の場合、ジョン・ドゥーに熱狂的支持が集まる理由も、最後に再び支持される理由も伝わってきません。「大衆はマスコミに扇動される」とア・プリオリに決められているような描き方ですね。当時に身を置いていれば、また違うのかもしれませんが、リアリティが感じられません。新聞社の経営者が代わったくだりの描き方や、クーパーの役を野球選手と設定して、シャドープレイで暇つぶしをしているシーンなどは味わいがあってよかったんですがねぇ。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2008-08-21 13:21:04)
2.  逃走迷路
表層的なサスペンスよりも、登場するさまざまな人物像が面白い映画。逃亡した主人公を支えるのは、ブルーワーカー然とした長距離トラックの運転手、世捨て人のような盲目の紳士、見世物として糊口をしのぐサーカスの人々。フライの電報を投げてよこしたあの赤ん坊まで含めれば、みんな社会の弱者という点が共通しています。一方、こうした人たちに支えられ、主人公が立ち向かうのが金銭的に成功し、社会的地位のある人々。こうした設定に、この映画に託された「大衆賛歌」が見て取れます。そう考えれば、場面として登場するロックフェラーセンター、自由の女神という各地の名所も、「自由と民主主義の国アメリカ」のわかりやすい象徴といえます。フランク・キャプラばりのヒューマニズムが横溢するヒッチコック作品ということで、もっと高い評価が得られてもいいのではないでしょうか。蛇足ながら、看板や本棚の本のタイトルでメッセージを伝える手法は粋で思わずニヤリとさせられます。
9点(2004-12-21 12:19:56)(良:2票)
3.  私を野球につれてって
「Take Me Out To The Ballgame」が主題曲となった映画とはいえ、劇中では冒頭のステージシーンとエスター・ウィリアムスのプールシーンで登場するのみでちょっと意外。むしろオブライエン、ライアン、ゴールドバーグの歌やアメリカの歌が記憶に残る。ストーリーは単純だが、それ故に楽しみどころ満載。新たに登場した女性オーナーという設定は「メジャーリーグ」も元ねたといえそうだし。野球のシーンが本格的なところにも注目。日本映画で野球を扱うと、絶対あのバッティングフォームでは飛んでいかないだろうというような方向に打球が飛んだりするが、そんないい加減さはない。個人的にはベティギャレットがみられたのがうれしかった。エンディングのステージシーンは思わず顔がほころんでしまう
8点(2004-08-03 10:58:46)
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