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1.  シェルブールの雨傘
当時のハリウッドの絢爛豪華なセットと、急にオーケストラが鳴り出して歌いだすミュージカル映画に反発して、あえて全編セリフすらも歌にしてしまう試みは衝撃的だ。この監督のコンセプトを知らずして「セリフまで歌の必要性があるか」のレビューはあまりにも切ない。 衣装もパステルや原色のはっきりした色を配置し、あくまで非現実感を演出。徹底的にハリウッドのそれらに喧嘩を売っている。しかしそれだけでは企画倒れになりそうなところだが、当時二十歳のカトリーヌ・ドヌーヴの神々しいまでの美しさと明るさと切なさを織り成すミシェル・ルグランの楽曲、そして誰しもが経験する「戻すことのできない時の流れと、かつて愛した人との別れ」という王道テーマによって最後まで描ききったのは見事だ。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2013-01-13 16:26:00)(良:2票)
2.  空飛ぶゆうれい船
テレビ版「ルパン三世」の第2シリーズ最終回の「さらば愛しきルパンよ」は宮崎駿が脚本・演出していたが、この「空飛ぶゆうれい船」のオマージュだったんだね。国防省の戦争兵器受注のための猿芝居という悪者側の目的や、渋滞で身動きの取れない車を押しつぶしながら進む戦車(おまけに出没したロボットにむけて躊躇なく大砲を放つ)などはそのまんま。それを考えると1969年での制作は立派です。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2008-04-01 12:48:26)
3.  なつかしい風来坊 《ネタバレ》 
本作はいわゆる「馬鹿」シリーズ(すごいシリーズ名!)の一つ。まさに寅さんのキャラの原点と思える主人公をハナ肇が熱演している。そういった意味でも価値ある一本。高度経済成長を遂げゆく日本人の「忘れた何か」を、その時代にいながらにして訴える姿勢には頭が下がる。ラストシーンは「遥かなる山の呼び声」を彷彿とする名シーン、ここもまた見所。年月が変わって役の立場も変わったハナと倍賞千恵子が「遥かなる~」の収録中にどんな会話をしたのか、想像するだけでも楽しい。それにしても、倍賞は美しい。
[地上波(字幕)] 8点(2005-11-30 21:57:55)
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