1. 風立ちぬ(2013)
結局宮崎駿という人は“人間を描けない作家”だという印象をまざまざと残した作品。見た目が派手なだけの上っ面で薄っぺらい物語の描写。いや実際には、この映画のモデルになった真実には極限の人間ドラマがあったのだろう。その真実には素直に敬意を払いたい。だが宮崎駿はある意味被害者で、時代が生んだ裸の王様だったとも言える。これを見て“自分が作った作品を見て初めて泣いた”と言った宮崎監督。その監督が放った引退宣言は、日本のアニーメーション映画業界にとってこの映画の持つ最大の功績だと思う。プロデューサーの鈴木敏夫氏も、ぜひとも一緒に引退してほしいものだ。0点を最高のはなむけとしたい。 [映画館(邦画)] 0点(2013-09-12 00:28:17)(良:2票) |
2. ALWAYS 三丁目の夕日‘64
何を食べてもそれなりにおいしいけれど、何一つ突き詰めたものがない“そこそこ流行っている町の食堂”のような作品。高評価はつけがたい。3Dで見る意味はほとんどないのでそこは余裕があればでいいと思う。続編も、やろうと思えば何とでも作れるし、やる意味あるかといえばおおいに疑問。総じて、どっちでもいい作品という感想になってしまった。 [映画館(邦画)] 5点(2012-02-12 12:52:08) |
3. コクリコ坂から
退屈だった。チグハグ。残念ながらアマチュアレベル。アマチュアでももっといいものはたくさんある。スタジオジブリが真に存続を望むのならば、宮崎親子からの脱却にチャレンジする以外には道はないと思われる。鈴木プロデューサーからの脱却も。今作に関しても全てが商業ベースレベルにはない。ジブリの技術をもってしてでも見れないとはいかなる出来か。これよりいいものは、その辺の多少創作をかじったことがある人が、原作があるもので、ジブリの技術を総動員すれば、残念ながら遠からぬ物、それ以上のものができてしまうのは間違いない。冷静に見れば駄作以外の何物でもないとしか言わざるをえない。吾朗氏は本気でアニメをやりたいならジブリは離れるべき気がする。外に出て頭角を現せるまで行けたら(まとも観れるようになるだけでも、おそらく少なくともあと10年くらいかかる段階である気がするが…)正直、彼に関していえば才能がある、ないを語れるレベルまでいっていないと思われる。最低限そこまではしっかり下積みを積み基礎を身につけてから。才能云々はその先の話。宮崎駿監督の作るものですら全然良いとは思えないのに(特にここ15年くらい)、それをもはるかに凌駕して未熟に感じられる。最後の主題歌だけでそれっぽく見せるしか出来ない今のジブリに未来はないと痛感させられた。ここまでくるとジブリ自体が虚構にすら感じられる。 [映画館(邦画)] 2点(2011-08-28 05:35:09) |
4. ツリー・オブ・ライフ
駄作。映画館の大画面で見てもこれほど退屈させられたのは非常に稀。見る側の感性云々など問題にならない。それ以前の問題。薄っぺらい上に冗長。おまけにCMでの煽りもてんで的外れと来ているから困ったものである。技術は認める。制作費もかかっている。しかしひどいものはひどい。映画館で見る価値はない。テレビ画面の大きさでは最後まで緊張感を持っては見切れないだろう。ネイチャー系のプラネタリウムの合間に、どこにでも転がっている父子の確執を何のひねりもなくただ混ぜ込んだ映像と思ってみると想像しやすいかもしれない。未見の人が映画館で同じ憤慨を持つことのないよう警鐘を鳴らしたい。映画は娯楽であり商業活動であり、その上でどれほどの感銘をオーディエンスに届けられるかが作り手の腕の見せ所であるが、本作はフォローのしようがない。 [映画館(字幕)] 1点(2011-08-15 00:22:26)(良:4票) |
5. 八日目の蝉
邦画も捨てたもんじゃないという思いを強く感じさせられた一作。フィクションの中に見せたノンフィクションの伝導率の高さ、原作を映画に最善の方法で料理し直した手腕は監督の力量の顕れ。母であるとか女性であるとかを越えた、生きることのきびしさと救いがよく表現された傑作だと思う。細かい不備を越えたそのメッセージの強さと表現力に素直に10点。 [映画館(邦画)] 10点(2011-07-02 21:28:30)(良:1票) |