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1.  オルエットの方へ
名画座で見て即ロジエのボックスを買ってしまった。 なんとも言えない、何も起こらない映画ではあるのにどうしようもなく映像体験だった。 確かに見てる間、何も起こらないのに苦痛でもなく、寧ろどんどん時間は過ぎたし、 ラストのハっとするような数秒のシーンには胸を掴まれもした、 でもだからと言ってこれが自分の見てきた映画人生でベスト3に入るほどだとは思わなかった。 なのに見終わってから、何度も何度も不可解なほど印象に残ったこの映画を思い出した。 今までどんな凄惨で暗い映画を見ても、滂沱するほど感動した映画を見ても感じないほどの余韻が胸をしめた。 でもなんでそんなに感動したのかも分からなかった。 全く言葉にできない。 でも光の加減にしろ風景にしろテンポにしろ、自分の中でこれこそ映画、という最高の一本。 (一応注意書きしておきますけど女子がバカンスでお菓子くったりキャハハと笑ってるのがほとんどの映画。ほんとに。)
[映画館(字幕)] 10点(2015-07-14 23:54:08)
2.  アデル、ブルーは熱い色 《ネタバレ》 
素晴らしかった、3時間という長い時間ではあったものの、おそらくそれ以上に長くてもこの映画は破綻せず素晴らしい作品だったと思う。恋愛の始まりから終わりまで全てがあった。見ているとき、レズビアンものだし自分は違う場所にいると思っていたのに思い出してみれば本当に近い位置に自分を置くことが出来る。恋愛の、普遍的な喜びや奇跡があり、でもそれが胸を締め付ける。目線やベッドシーン、二人の距離感や恋愛の緊張感がとにかく良かった。良いシーンがたくさんあり、それを書くとものすごい字数になってしまいそうなので控える。でもとにかく言いたいのは、この映画はベッドシーンでも日常のシーンでも、自分が見てきた恋愛映画の中でも最も深く、そして濃密だった、それは特殊といっていいほどに圧巻。撮影期間5ヶ月半、撮影時間が750時間ということが間違いなく良い意味で働いたんだと思う。750時間のうちカットされた時間が映画の中になかったとしても行間として息づいている。本当に良い映画だった。
[映画館(字幕)] 10点(2014-08-21 01:24:47)(良:1票)
3.  ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 《ネタバレ》 
まず自分はテレビでのアニメも全話、序も序以前の映画もすべて見た人間です。 とりあえずは、とても面白かったです。 最初エヴァの新劇場版が出ると聞いた時のエヴァ世代の反応としては「エヴァ商法」とか「また自己満足的な最終話になるだろうか」みたいな批判的な声ばかりで自分もそう思っていて、まだこの第二弾でそれらの不安要素からくる霧が完全に晴れたわけではないけどそれでもとりあえずは、この破で最終段階への希望はつながれたと思えた。 それだけ今回、そして以前からの映像を一新しさらに今までのエヴァの様式美のような使徒の攻撃や行動、その他表現はとても濃く強く美しくなっていた。 序でのラミエルの完全な直線や立体としての美しさに続き今回も使徒の形態や造形なんかは本当に美しく敵として正しくカッコ良かった。 内容もアニメに比べキャラクターの内面や意志が向かう方向性はとても有機的で有意義で暖かみのあるものだった。 それだけに展開にはとても悲しみがあった、アニメを見ていれば分かっていたはずなのにそれでもさみしかった。  あと、アニメ版での全体的な残念感はエヴァはロボットもの(と言ったらファンに怒られるのか…)だと自分は思ってたんだけど キャラクターの精神性なんかに比重が偏っていて純粋に戦闘やエヴァを楽しみたい人は物足りなかったのもあったと思う。 (もちろんこのアニメは戦闘よりも人間の内面やシナリオがメインだとは思うけど…。) 今回はそんな物足りなさを少しも感じないほどにエヴァが活動する。 走る走る!びっくりした、あんなに走るのね、あいつら。 三体で田を、町を陸上競技をモチーフにしたような動きをさせているのには興奮したし仮設やビーストの動きは本当にロボットものとしてドキドキした。  そして見終わった後にはテレビを見ていた時の懐かしさがこみあげました。 次が楽しみ。
[映画館(邦画)] 10点(2009-08-18 23:29:56)
4.  稲妻(1952)
文句なしの10点、素晴らしい映画でした。 最初からだらだらと続く抑揚のない映画、しかしその中にもきちんと思わせる 演出などがあって決して悪い意味でのだらだら感ではない。 そしてラストの気持ちよさと言ったら・・・!とにかく素晴らしいの一言。
[地上波(邦画)] 10点(2009-03-06 15:56:18)
5.  シッコ 《ネタバレ》 
この映画を見て「自分は日本人でよかった」と思っている方がいたとしたら大間違い。 日本だって近い未来こうなってしまう道を歩んでいます。 それにアメリカでお金のなくなった人間を路上に捨てたという事実が取りざたされていたけど 日本だって同じような事があったはず。現に今だってお年寄りには住みづらい国になっているのに。 この映画を見た日本人は日本にいることに安堵するのではなく、これからアメリカのようにならないようにすることを考えるべき。  フランス国民が「政府は国民を恐れている」と言ったのがとても印象的でした。 そしてその逆で日本は政府に舐められている現実のせいでこれからどんどん住みづらい国になっていくと思うとこれから国民が声を上げていかなくてはならない事がわかる。 
[映画館(字幕)] 10点(2008-02-09 19:36:16)(良:4票)
6.  椿三十郎(1962)
これは永遠の名作。
[DVD(字幕)] 10点(2007-09-07 06:03:04)
7.  コックと泥棒、その妻と愛人 《ネタバレ》 
大好きな種類の映画。醜くグロテスクで下品で美しい。 横にスクロールされるような大きいセットが次々と色を変え場所を変えてのぞかせる。 それは美しいんだけど上品な美しさではなく 毒々しく鮮やか過ぎる美しさ。 過剰なまでの豪華さは不愉快なほど。  本能に基づく行為はどれも全て動物的な行為なんだと思い知らされた。 体を交えるそれも排泄することも食すことも全て。
[DVD(字幕)] 10点(2007-08-28 18:33:34)
8.  害虫
不親切だとか説明不足だと言われがちだけど個人的には わかるひとには分かる作品だと思う。 分かる人っていうのは映画の観る目がある、とかではなくて この少女の生き方や考え方に共鳴してしまう人。 中学という多感なんだけどその感情をうまく処理できない不安定で不器用な時期を 宮崎あおいが演技をしていてもう、本当に素晴らしかったと思う。 彼女の演技や表情にドキッとすることが何度あったか。
[DVD(字幕)] 10点(2007-08-18 22:37:26)
9.  ファンタスティック・プラネット 《ネタバレ》 
これは凄い。今まで見てきたアニメ映画にはない感じ。 むしろこういう雰囲気は実写で感じることが多い気がする。  とにかく全てがユニークであり斬新だった。今見てもなお。 多種多様な数々の生物や兵器、アイデアなどびっくりするほどだったし 映像だけかと思いきやとてもストーリーなどの部分も楽しめた。 誰もが想像した自分たちよりも大きな存在に支配されるという恐怖を感じた。 小さい頃に想像したものがもろに映像になったような。  いやー、いい映画だった。
[地上波(字幕)] 10点(2007-07-11 14:55:12)(良:1票)
10.  ふたり(1991)
いつまでも心に残り続ける個人的な名作。 全体を覆う雰囲気と日本の風景、制服、黒く長い髪、鏡、姉妹、 それらキーワードがこの映画の素敵過ぎる雰囲気を出している。 切なくて痛くてどうしようもなくなる。 
[DVD(字幕)] 10点(2007-03-18 01:07:55)(良:1票)
11.  ハリーとトント
安定を求める中で失った居場所、旅に出る老人と猫。 その旅の中で出会う人間たちやたくさんの社会的問題。 性問題や薬物問題や家族というものの存在、生と死。 全て見ていると哀しいほどなのに、重くなりすぎない。 しかし心に何かシミを残すような形で存在し続ける。 お爺さん、そして猫という存在、旅という舞台、 それら全てがパズルのピースのようにぴったりとはまる。 たくさんの人に見てほしい。 自分の中で特別な作品。一生愛し続ける。
[DVD(字幕)] 10点(2007-03-10 14:29:57)
12.  銀河鉄道の夜(1985) 《ネタバレ》 
今でも一番大好きなアニメ映画。 現在はやっているようなお金をつぎ込んで作ったようなものではなく あくまでアニメとしての王道。 どんな状況でも漂う激しい切なさは何がそうさせるのかは分からないけど ラストに近づくにつれてどんどん悲しくなってしまう。 全てのシーンを見てもとにかく不思議で綺麗な雰囲気が漂い 二人の距離の曖昧さがただ、ただ、切ない。 今見ても名作。
[ビデオ(字幕)] 10点(2006-11-05 16:03:52)
13.  亀も空を飛ぶ 《ネタバレ》 
重苦しいが誰にも見てほしい映画。 過酷な状況で生きる子供たちの健気さに胸を打たれました。 健気と自分には見えてしまうのは きっと恵まれた国で生きるからなんだろうと思う。 大衆向けに作られた戦争についての映画には絶対にない リアルがあったとおもう。  それと最後の予言。調べてみれば分かるけど最後まで本当に 深く切なく、悲しい。 あとパンフレットに子供たちのその後が書かれています。 興味があれば調べてみるのもいいかも。
[映画館(字幕)] 10点(2006-05-12 21:16:05)
14.  木曜組曲
とても上質なミステリー。 女優たちの演技にも言うことなしです。 浅丘ルリ子さんのなんと綺麗な眼でしょう。 どんな濃いメイクをしてもきっと美しいと思います。 雰囲気もあり声もとても素敵。 加藤登紀子さんの静かな演技もとても素晴らしかったと思います。 みなさん一癖もふたくせもある今の邦画に欠かせない女優ではないでしょうか。 
[DVD(字幕)] 10点(2006-01-08 16:40:02)
15.  ダンサー・イン・ザ・ダーク 《ネタバレ》 
セルマの死は当然だったと思います。 それが母親の姿としてどうかは賛否が分かれていますが 自分には究極の愛が垣間見えたような気がしました。 虐待などのニュースが多い中、 今の時代の母親に足りないものかもしれません。
[DVD(字幕)] 10点(2006-01-03 21:43:36)(良:1票)
16.  ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q 《ネタバレ》 
ヱヴァってこれでいいんじゃないですか、文句なし。ヱヴァに整合性を求めるのはバカを見るだけで、結局この奇想天外(?)なストーリーの中で子どもたち(という年齢では今回なくなってしまった)が虐げられ翻弄され葛藤する姿を観るという作品。それは悪趣味でありながら多くのオタクが厨二心に思い浮かべた、不条理な世界で少年少女が心を擦り減らしながら絶叫し戦うという理想の形の気がする。正解の無い設定やらの謎解きは全てが終わってからオタクたちがやってくれたものをネットで検索して自分が納得できる形に近いものを選べばいい。今回も設定はとりあえず置いといて、心躍るバトルがありハリウッドにも負けないクオリティの圧倒的な表現があり、そしてラスト、彼らが茫洋とした砂漠を歩き始める象徴的なシーンがあり宇多田のエンディングが流れて満足しました。ヱヴァってこういうもんだと思うしか無い、意味不明なんて言うネットの意見ですら監督はしめしめと思っているだろうし、きちんとエンタメとして、映画として成立し綺麗に終わってしまったらと思うと自分はそれは違う気がする。例えばマトリックスの第一作目がシリーズ最高傑作だったのはその後に予感させる無限の可能性あったからで2作目3作目の失敗は善悪の対立という単純で安易なものに終わってしまったこと。その点先が読めないという点でヱヴァは本当に素晴らしい。続きはゆっくりと待ちます。
[映画館(邦画)] 9点(2013-02-04 01:05:27)
17.  ストーカー(1979) 《ネタバレ》 
映像の美しさ、構図や色彩などの彼独特の緊迫した完成した映像について自分がネチネチと語るのは野暮なので語らない。ただ、主演のアレクサンドル・カイダノフスキーの表情が自分には印象に残っている。何かに威圧されているようでとても辛そうで切ない。彼は善良そうなのに最後に他者を否定する言葉を吐く姿が自分にはショックだった。ゾーンは彼にとって重要かもしれないが、本当に彼に「必要」なのかどうかは分からない。ゾーンは彼を構成する要素ではあるのに、依存し心をすり減らすようで痛々しい。そしてラストでの奇跡はそれまでの全てが無に帰すような何とも言えない力があった。それは可能性や純粋さかもしれないが、それが何を示すのかは自分には分からない。
[DVD(字幕)] 9点(2009-10-15 21:10:47)
18.  殯の森 《ネタバレ》 
何度もひきつけられそして感動した。意味を理解しようとすることなく自然に生と死を表現していて案外ストレートな作品。 知り合いに理解できない、という人が居たけど何でも起承転結を求めるだけが理解することじゃないと感じた。 ネットで調べてみるとカンヌだとか周りの評価からこの作品へ公平なレビューが出来ていない方も色々いましたが カンヌの名誉ある賞、ということを抜きにして観ても充分素晴らしい作品だった。 邦画としてはとてもいい作品。美しい自然の風景があり目に見えない何かを感じることが出来る。 明確に分かりやすい意味をお探しならハリウッドでもどこにでも沢山ある。 多少難解でもこういう作品があるのはとても良いことだと思う。  萌えの朱雀も沙羅双樹も良かったがこちらも良い。
[地上波(邦画)] 9点(2008-01-17 17:19:42)(良:1票)
19.  天使のたまご(1985) 《ネタバレ》 
この映画はとてつもなく美しい。 例えば自分が想像する孤独や寂しさ、虚無、秘密、謎などという言葉の持つイメージを とても美しく映像にしている。 物語の全て、ほとんどが謎であることが美の根本的な原因で、 彼女がいる場所はどこ?彼女が持つ卵からは何が孵るの?彼女、彼は誰? などなどの謎がまるで神話のような雰囲気を持っている。 こういう映画からはストーリーなど要らない、余計なものを一切排除して 観客にゆだねる、それがとても重要だったと感じた。
[DVD(字幕)] 9点(2007-09-03 17:01:17)
20.  2LDK 《ネタバレ》 
こういう映画が大好きなことに気づかされた。 女二人のバトルを最初はかわいらしい程度の毒づきかと苦笑していたら 背筋の凍るような恐ろしさに目を見張ってしまう。 スピーディーでテンポのよい流れで、だれることない短い時間は絶妙。 激しくも切なく、醜くプライドを誇示しつつも美しいほどに潔い二人の戦いっぷり。 可哀想な女性だということには変わりなく、 ラストは分かりつつも一番良い終幕だったと思います。  小池さんの演技は素晴らしいと思いました。 そして野波さんにも見せられた。二人の演技なくしてこの映画はありえない。  最後に、この映画、下手なホラーよりもずっと怖い。 個人的には呪怨やリングに恐怖を感じないのですが、こっちには恐怖を感じます。
[DVD(字幕)] 9点(2007-08-05 04:18:46)
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