1. 大脱走
幼い頃、テレビで初めて見た映画がこれだったと思う。父親がこの映画大好きで、よくテーマ曲を口ずさんでいたので一緒になってやったなぁ。今でも時々お風呂で口ずさんでしまいますね~自然と。そしてマックイーンが大好きになった映画。やんちゃでカッコ良すぎ。他の俳優達も個性派揃いで、それぞれが物語の中で輝いています。みんな渋いです。一番好きなのはヘンドリーと目が見えなくなるコリンのエピソードかな。今見ても全く色褪せる事のない、とにかく大好きな映画ですね。 [CS・衛星(字幕)] 10点(2007-01-30 23:23:36) |
2. イヴの総て
《ネタバレ》 何となく題名からラブストーリーかな~と思って見始めたら大間違い。冒頭の授賞式、イヴ以外の面々の冴えない表情…ん?楽屋での会話に、おお?グイグイ引き込まれました。この話、どうなるんだろう…と最後までドキドキ。巧みなシナリオで飽きないし、会話がよく練られていて個々の心理描写が素晴らしいです。女性にとってはファッションも見所かな。モノクロなのに素敵な衣装のオン・パレードでした。皮肉めいたラスト・シーンも印象的ですが、エンド・クレジットで初めてマリリン・Mが出ていた事に気付きビックリ!端役でしたが彼女のその後を思うと不思議な気持ちになる映画…。すんごい演技だったベティ・Dって「八月の鯨」のおばあちゃんだったのね~またビックリ。とにかく、すんごい「女優」さん達によるすんごい「女優」さん達のお話でした。お見事! [CS・衛星(字幕)] 10点(2007-01-18 18:57:41) |
3. リトル・ミス・サンシャイン
オリーヴちゃん、無敵の可愛らしさ。彼女の笑顔、家族にとってはまさに燦燦と輝く太陽なのですね。最後のダンスシーンは観ていて気恥ずかしいのに、大笑いしながら泣いてしまうという貴重な体験をいたしました。顔の筋肉がボロボロです。だってみんな心が温かいんだもの。「勝ち」「負け」とかいう、他人が判断した表面的な価値観なんてどうでもよくなってしまう。大切な人を大切にする勇気、支えてあげられる人が素敵なのだと思いました。 [映画館(字幕)] 9点(2007-03-15 18:35:02) |
4. ブリキの太鼓
高校生の時、名画座に授業をサボって見に行きました。女子が一人で見に行く映画じゃなかったかも。モギリのお姉さんにジロジロ見られたっけ。子供が太鼓叩いてるポスター見て、おとぎ話かと思ったんです(まあある意味大人のファンタジーか)。始まってすぐに、うわ~すっご…画面に釘付け。怖い物見たさだったのか、最後までしっかり観賞いたしました。ただ不思議と、そんなにグロいとかエロいとかは感じなかったです。表現自体はキョーレツですが(ウナギとニシンはやっぱり鬱)。不快だったのはオスカル君。大人の醜さを見て成長を止めたっていうけれど、精神的には十分大人なわけで、子供のふりして好き放題やってるキミが一番ズル賢いよ。あ、私今までアレは「牛」の頭だとばかり…「馬」なのですね!(どっちでも大差ないか)。20年以上前に観たきりなのに、ほとんどのシーンを忘れることが出来ない。怪作です。 [映画館(字幕)] 9点(2007-02-21 21:20:28) |
5. 恋する惑星
当時、香港映画といえばカンフーやコメディーしか知らなかった自分にはとても斬新でした。手持ちカメラによる、クルクルと回る映像の自由さと疾走感、浮遊感。香港の街の原色、雑踏、せつないモノローグ、雰囲気と一体化した音楽(最高!)。4人の行動は冷静にみればまあ普通じゃないんだけど、恋をした時ってヘンな事を想像したりするものです。だから現実離れした話でも、この映画の中だと許せてしまう。夢の中にいるような不思議な幸福感と充足感がありました。とにかくフェイ・ウォンが可愛いし、トニー・レオンの目ヂカラにもやられた(あの帽子の被り方にクラッとね)。名前がフワフワと点滅するエンディングも好きです。あとウォン・カーウァイの映画って煙草の吸い方がカッコイイ…色々とハマってしまった思い出の映画です。 [映画館(字幕)] 9点(2007-02-08 20:36:50) |
6. 2001年宇宙の旅
…いやあすごかった!何というか、超感覚的な映画。圧倒されました。眠くなるって聞いていたけれど、最後まで目が釘付けでしたよ。脳に直接響くというか…私が今まで見た映画とは全く違う異質のもの…うまく表現できませんがとにかく強烈な体験でした。木星に着いたあたりから、なんだか映像と同時に自分も観念の世界に入り込んでしまって「人間はどこから来てどこへ行くのか」という言葉が頭の中を渦巻いていました。永久に答えの出ない問いかけですよね。不思議な体験でした。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2007-02-07 19:50:22) |
7. ベニスに死す
「若さと老い」「生と死」「美しさと醜さ」…そういったものを容赦なく対比させて完璧な映像美に仕上げていると思います。ビスコンティの美意識には参りました。この老人にとって少年の美しさは「天使」だったのか「悪魔」だったのか…。ラストの「キラキラ」と「ドロドロ」は生々しい宗教画を見ている気分でした。 [DVD(字幕)] 9点(2007-01-25 20:41:16) |
8. トラフィック(2000)
少しでも目を離すと置いて行かれそうで必死で観ました~。疲れたけど充実感あります。これだけ多くの登場人物とエピソードにもかかわらず、見る側をあまり混乱させないのは凄いです。シナリオが良いこともありますがキャスティングが絶妙ですね。ほとんどの俳優が役の個性にぴったりはまっているし、それに見合う演技をしていると思う。特に麻薬取締りの現場で戦うデルトロとドン・チードルがいいです。デルトロは自然な演技なのに強い感情が伝わってくるというか…2人の悲しげな目が麻薬問題の現実を表しているようでやるせなかった。最後にわずかな救いがありますが、終わりの無いイタチごっこ。報われないと知りつつ戦い続ける男の姿にグッときました。 [DVD(字幕)] 9点(2007-01-23 22:59:10)(良:1票) |
9. ヒストリー・オブ・バイオレンス
《ネタバレ》 この映画の凄い所は、全ての台詞、シーンに無駄がない事です。無駄が削ぎ落とされて全てが心に焼き付けられる。一見平和そうな日常。そこに暴力や殺人という非日常が唐突に入り込んでくるのだけど、みんな何の躊躇も無く殺しちゃうんですよ~、さらっと手際良く。アクションヒーロー映画みたいに。でもそれによって壊れた肉体はとってもリアル。ゾッとします。虚構の世界だと思っていた暴力が現実の日常を侵食していく恐怖…。一番衝撃を受けたのは、いじめられっ子だった息子が暴力に目覚め、家族を守るためとはいえフォガティを射殺したシーン。エディにしてもね、コスプレHなんかして幸せ全開!で愛してた夫“トム・ストール”の過去を知って、吐くほど嫌悪したのに魅力も感じているように見える。暴力的な階段のシーンですが最後にエディは自分から夫を引き寄せてました。夫(父)の過去を受け入れるかという家族の葛藤と同時に暴力に魅了されていく人間の姿も描かれていて奥深い映画でした。 [映画館(字幕)] 9点(2007-01-16 22:31:07) |
10. 時をかける少女(2006)
こういう質の高いアニメが日本にある事を誇らしく思います。主人公の明るい躍動感と静かな夏の日の風景が印象的。大人になって観ると切ないですね~笑ったりウルウルしたり思いっ切り感情移入しちゃった…。取り戻せない過去を自覚する事で人間は成長するのかな。未来に何の不安も抱いてなかった時代が懐かしい。また何年か経って観賞したい作品です。 [映画館(邦画)] 9点(2006-12-26 18:56:59)(良:1票) |
11. ラヴェンダーの咲く庭で
《ネタバレ》 アーシュラは本当の恋愛をした事が無かったのでしょうか。孫ほどの年齢差の青年に抱く少女のような恋心。J・デンチはこの老女の思いを、下品にならずに演じていて素晴らしい。せつない気持ちがひしひしと伝わって来ました。また妹を傷つけまいとして苦心しつつも、自分も青年の存在を嬉しく思っているという、微妙な姉の心境を演じるM・スミス。これまた巧い。少しの嫉妬や対抗心を織り交ぜながらも、凛としている2人は何だかとても美しかった。クライマックスの演奏シーン、ヴァイオリンの泣くような調べがとても雄弁で心に響きました。まるでアーシュラのせつない恋心のよう。夏の終わりと共に去って行く青年…何とも言えない寂寥感でした。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2007-03-16 20:08:37)(良:1票) |
12. ウェディング・バンケット
《ネタバレ》 見終わった後、とても暖かくて同時にせつない気持ちになったのを覚えています。親の、子を大切に思う気持ち、その両親の愛情に報いようとする息子の葛藤が痛いほど伝わってきました。子供の幸せを願わない親はいません。たとえ息子が同性愛者だとわかったとしても。父親がサイモンに、拙い英語で「お前も私の息子だ」と言うシーンには深い愛情が感じられてグッときました。良い作品です。思ったよりレビューが少ないですが、もっとたくさんの人に見て欲しいな。 [映画館(字幕)] 8点(2007-02-07 21:50:19)(良:1票) |
13. かもめ食堂
終始ニコニコしながら観賞してました。何とも気持ち良い時間が流れています。つかず離れず…でもお互いを思いやっている、みたいな3人の距離感が良かったですね。最後まで「ですます調」だし。日本人が少ない土地だからといってベッタリするわけでもない。北欧の透明感のある落ち着いた空気の中だから、気負うこと無く生きていけるのかな、とも思いました。家具や食器、雑貨なんかも凄く素敵で、ちょっとこういう生活してみたい。サチエの「来る者は拒まず去るものは追わず」というブレない姿勢は、いいなぁとは思いますけど現実にはなかなか難しいかな。ところで私は小林・もたい・片桐というとTVドラマ「すいか」が真っ先に思い浮かびました。お勧めです。 [DVD(邦画)] 8点(2007-01-25 20:03:35) |
14. キング・コング(2005)
《ネタバレ》 監督、やりたい放題ですね。大迫力の映像が楽しめて満足です。船は大揺れだわ恐竜は出るわ巨大な虫やら何やら気持ち悪い~おぇ(大騒ぎで回りの人に迷惑だったスイマセン)でもなんて綺麗な夕日…。結末はわかっているんですが2人で戯れる夢のようなスケートのシーンからウルッときてしまい、エンパイアステートビルから見つめる朝日の美しさに涙が出ました。孤独なコングが心を通じ合えた相手、アンと最後に見た悲しくも美しい風景。あとね、途中からジャック・Bが前田健にしか見えませんでした。泣いて笑ってビクビクして3時間…どっと疲れた…監督、次回作も期待してるので今度はもう少し短めにお願いしますだ~。 [映画館(字幕)] 8点(2007-01-16 16:06:30) |
15. ムーラン・ルージュ(2001)
話は何のひねりも無く結末も容易に予想がついたのですが、独特の映像と音楽、出演者の熱演に引き込まれました。ユアンは幅の広い俳優ですね。どんな役でもきちんと演じ分けていて素晴らしい。あんな純粋な目で見つめられたらヤバイです…。歌でストーリーが途切れないのも良かった。特にYourSongとComeWhatMayは感動してしばらくサントラを聞きまくってたなあ。バズ・ラーマンがロミオ&ジュリエットの監督だと知って妙に納得。 [映画館(字幕)] 8点(2006-12-26 20:05:55) |
16. 007/カジノ・ロワイヤル(2006)
《ネタバレ》 オープニングがかっこいい!カードのCGとYou Know My Nameが流れた時は期待感でワクワクしました。作品自体もアクション映画としては素晴らしい出来。体を張ってます。カジノの場面が長く緊張感も無いので飽きてしまったが、他はテンポが良くクスッと笑える場面も多く(あの拷問シーンも途中で吹き出した…)楽しめました。新ボンドはスマートでも無く色気もあまり感じなかったけど目が綺麗。なかなか魅力的です。 [映画館(字幕)] 8点(2006-12-26 17:38:04) |
17. 炎のランナー
《ネタバレ》 何故だろう。ただ走っているだけのシーンなのに見ていると心を打たれます。単純にその躍動感が美しい。勝利のため、純粋に楽しいから…など、走る意味は人によって様々でしょう。走ることを通して、真剣に生きている若者の姿がそこにあるから感動できるのだと思います。また、安息日には走らないと主張したリデルの台詞、「個人の信仰に立ち入るのが傲慢だ」というのが印象に残りました。どうしても当時のモスクワ五輪ボイコット問題が頭に浮かぶわけです。日本選手達の涙の記者会見を思い出してしまった…。スポーツに対する国家(政治)の干渉、という点でも考えさせられる。映画の製作がそのモスクワ五輪の翌年ですから、当時この映画が高い評価を得たのも納得できます。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2007-03-23 20:58:59) |
18. 華麗なる賭け
《ネタバレ》 斬新な画面分割、お金持ちの生活、ファッション、乗り物、すごくオシャレな映画。「賭け」というか大人の恋の「駆け引き」なのですね、スリリングな。犯罪の目的は大金ではなく、大富豪の道楽の延長というか、ゲーム感覚のように見えます。お金で買えない何かを常に求めて続けている。そんな主人公の雰囲気に、「風のささやき」の‘風車のようにクルクル回り続ける…’という哀愁を帯びた曲が良く合っていました。しかしマックィーンはアクションがなくても絵になる。無邪気でクールな青い瞳が魅力的。銀行強盗が成功して自宅ではしゃぐマックィーン、悪ガキみたいで可愛い。浜辺でバギーをぶっ飛ばすマックィーン、F・ダナウェイのお色気攻撃に動揺しながら、もう我慢できん!なチェスのシーン…こっちが動揺した。どんだけカッコいいんだ! [CS・衛星(字幕)] 7点(2007-02-24 01:56:15)(良:1票) |
19. 若者のすべて
《ネタバレ》 冒頭でのミラノ駅、誰もいなくなりガラーンとしたホームに取り残される一家。漠然と不安を覚えるこのシーンからすでに、家族崩壊の予感を感じさせる。しかしこれは、兄弟の愛憎織りなす長いメロドラマの始まりでもありました。暗くてつらかった。強姦と殺害のシーンなんてとてもじゃないけど二度と見る気にならない。直接的に残酷な描写とかではなく精神的につらい。確かにシモーネは愚かで許せないんだけど、彼を庇い続けるロッコが一番罪深いと思える。更正させてやるのが家族愛なんじゃないかな。この異常なまでの寛容さが悲劇の元凶でしょう。しかも「兄は君を必要としているから側にいてやってくれ」って…わけわからん。美しい大聖堂のシーンであんな美しい顔で、こんな残酷な台詞を言うなんて…。「平穏な家族を造るために神様はいけにえを求める」って、結局一番の犠牲者ってナディアではないでしょうか。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2007-02-20 01:41:43)(良:2票) |
20. 僕の大事なコレクション
《ネタバレ》 地味な作品ですが、静かな余韻を残してくれました。ヘンテコな3人+1匹の‘異文化コミュニケーション’が笑えますね~。犬の演技が良い映画に悪い映画は無いなあ。そのコミカルなやりとりに少しずつシリアスな内容を絡めて、彼らのルーツが明らかになる演出は巧い。会話のズレが笑いを取る為でだけでなく、作品の中で重要な意味を持っていて唸らされました。後半のヘビーな展開とは対照的な美しい田舎の風景が物悲しく、民族調の音楽が耳に残る…。ホロコーストという重い史実を扱っていても、未来への新しい繋がりで終わるラストは希望が持てて良かった。 [DVD(字幕)] 7点(2007-02-19 18:56:20) |