1. ペテン師とサギ師/だまされてリビエラ
《ネタバレ》 軽妙、多彩なコン・ゲーム。 語り口の技巧もさることながら、軽やかな展開は美しく、心地よい。 オチを知った上での鑑賞でしたが、十分に楽しめました。 騙されたことをも笑い、称賛する彼らの心意気は天晴れ至極。 なんとも清々しい逸品です。 [DVD(字幕)] 10点(2008-01-13 15:17:03) |
2. ボーン・アルティメイタム
《ネタバレ》 いまだかつてここまで興奮しながら観た映画はない(劇場で観たのもプラスになっているでしょうが)。 このシリーズは基本的に好印象だったのですが、前作、前々作ではいびつな構成、記憶の回復で状況解決するなど、減点せざるを得ない内容があり、半端な点数しか投じることができませんでした。 しかし、見事な有終の美を飾ってくれたシリーズ完結作。大々満足です(思わずサントラCD買って帰るほど)。 演出の匠もさることながら、ゲーム性だけで突っ切るなんともパワフルな脚本。 こういう潔い勝負をしている作品は少ないですし、実際満足に至ることも難しいと思います。 シリーズ徹してこの水準に仕上げることが出来なかったのが残念でならないですね。 1作目、2作目で見切りをつけてしまった人は、とりあえず最後まで観ることをお勧めします(是非、劇場で)。 [映画館(字幕)] 10点(2007-12-17 18:54:23)(良:1票) |
3. シンプル・プラン
自分もあの境遇で、あの状況で、あの仲間がいれば同じ展開になりかねないという設定の匠に感嘆しましたし、恐怖を覚えました。 止めようと諭していた側が状態の変化でコロッと立場を逆転させてしまう描写など素晴らしい。 その他にも脚本上の技巧は多彩で、惚れ惚れさせられました・・・美しい。 [ビデオ(字幕)] 10点(2007-12-17 13:21:50) |
4. ギャラクシー・クエスト
《ネタバレ》 お気に入り登録しているレビュアーさんが軒並み高評価だったので、かなり期待して鑑賞に備えていたのですが、全く裏切られることなく大満足の内容でした。 破綻展開(船に戻ると敵側に占拠されてる、船員に化けてる)がちょっと唐突で説明不足に感じるものの、そんな減点要因をものとも言わせないサービス精神の固まりな内容。 自分は「スター・トレック」なんて観たことなかったし、観る気も起こらないような奴で、パッケージを見掛ける程度では決して手を伸ばさなかったであろう作品だったので、このサイトに感謝です。 [DVD(吹替)] 10点(2007-12-01 18:28:22) |
5. YAWARA! スペシャル ずっと君のことが・・・。<TVM>
テレビシリーズで中断していた残りをアトランタオリンピック開催に際してテレビスペシャルとして放送したもの(その為原作ではバルセロナ五輪なのだが、アトランタ五輪に設定を改変されている)。 「YAWARA!」総評として・・・ スポーツものの注意点は、ドラマ処理が勝敗の結果に反映される構造にしてしまうこと。つまり、内的ドラマの解決が技術の向上に直結しているわけではないのにごっちゃにされてしまうことが多い。 その点この作品はそもそも猪熊柔は天才だ、という位置付けからスタートしているのでメンタル面と勝敗が直結していても矛盾は起こらない。 素晴らしい設定。スポーツものはこれしかないんじゃないだろうか、と思えてくる。 「めぞん一刻」終了で開いた連載の穴に入った作品ということで人物の配置は殆ど一緒。 きっと浦沢直樹は高橋留美子の技術を巧く盗めたんだろうな、としみじみ(数少ない全幅の信頼を寄せている作家のお二人なので繋がりを感じられてうれしい)。 [地上波(邦画)] 10点(2007-11-21 11:52:55) |
6. ブラッド・シンプル ザ・スリラー
かつてながら観していたおかげで多くのものを見逃していたことに今回の再視聴で気付き、唖然。 こんな大傑作だったとは・・・。 ここまで誤解で回っていた話だったとは、あんなところまでスリラーとしての配慮がなされていたのか、と感心しきりです。 DVD特典で解説が入っているのでわからなかった方はご覧あれ。 [DVD(吹替)] 10点(2007-10-30 00:09:25) |
7. マンダレイ
《ネタバレ》 「ドッグヴィル」の続編ということで心理展開で物語られる内容なのだろうという身構えで観賞していると、構成(仕掛け)によって物語られる内容で裏切られ、驚嘆。 これは監督が「ドッグヴィルの続編」という情報を意図的に利用したのでしょうか。 だとすれば、なんとも狡猾。 本作で自身の罪に直面したグレース。 しかし、彼女の理想主義はそれすらも正当化してしまうのでしょうか? 果たしてどうケリをつけるのか。三部作完結編が楽しみ。 [DVD(吹替)] 10点(2007-10-20 17:57:27) |
8. 殺したい女
素晴らしい。 確かにB級なムードがなければ成り立たないキャラクターや、それによる展開ですが、実に緻密。 こんな傑作クライム・コメディがマイナーな存在であっていいのでしょうか。 DVD化もされてないなんて・・・。 [地上波(字幕)] 10点(2007-10-09 05:54:33) |
9. トータル・リコール(1990)
《ネタバレ》 初見は子供の頃で随分楽しんで観賞し、しばらく経って全てリコール社のサービスなのかもしれないという解釈を発見して驚いた記憶のある作品。 確かに多く方が減点材料として指摘している通り、セットはチャチですし、グロテスクな描写満載ですが、自分の評価基準には含まない事柄なので満点献上。 やっぱりここまでサスペンスを維持し続けるのは相当の技術ですし、疑心暗鬼な状態を作り続ける設定やシチュエーションは舌を巻く出来。 [地上波(吹替)] 10点(2007-10-08 07:02:03)(良:1票) |
10. アマデウス ディレクターズカット
《ネタバレ》 「才能は過信により齎される。故に慢心を改めてはならない」というのが持論。 これ系の話はきまって途上で生き様を悔い改めさせるのだが、クリエイターにとってそれは決して成長と呼べないと思う(処世術ぐらいは備えてないとまずいでしょうが)。 才能の取り扱いとドラマの処理をごちゃまぜにして万事解決としてしまうような不条理をよく見掛けますが、「才能」を扱い徹す今作にとってこの内容は理想的。 [DVD(字幕)] 10点(2007-09-06 13:47:46)(笑:1票) |
11. がんばっていきまっしょい(1998)
興味なかった祭に参加してみたら意外に楽しめたし、ちょっと興奮しちゃった、て感じ。人生を感じますね。 こういった文芸は、始まりの動機の無さと祭の終わりを惜しむ(もしくは終わりを予感させる)描写が肝なんだ、と学習。あまりひとつの要素をクローズアップしないで、のっぺりと進行する感じがこの年代を表すのには適してるんですね。 この時期も、この命さえもいずれ終わる・・・諸行無常。 儚いからこそ何かを見付けようとするんだな~、としみじみ。 [ビデオ(邦画)] 10点(2007-09-06 08:57:31)(良:1票) |
12. ラヂオの時間
群像劇で満足することって殆どない。特に全てのキャラクターにドラマを与え、しっかりとフォローしていくような内容は散漫になりがちですけど、今作はラジオドラマをやり遂げようというひとつの方向性に各々のドラマを絡ませるものなので見やすいですし、ちゃんとカタルシスも得られるのでしょうね(「有頂天ホテル」みたいな失敗と比較できますね)。群像劇はこのスタイルとガイ・リッチー作品のようにキャラクターが淘汰されていく(殺されていく)スタイル以外に今のところ満足できるものがない。 印象ではもっと低い評価なのですが、ひとつの理想系ということで。 [映画館(邦画)] 10点(2007-09-05 00:08:17) |
13. ダイ・ハード
構成というよりもゲーム性で乗り切る何ともパワフルで型破りな脚本。すごいっ。 [地上波(吹替)] 10点(2007-08-29 00:17:22) |
14. アヒルと鴨のコインロッカー
《ネタバレ》 ドルジがボブ・ディランを口ずさむ椎名に出会ったシーンが私にとってのクライマックス。 結果的に復讐の後押しとなる出会いでしたが、ドルジには神の赦し(ひいては自身の肯定)を受けたようなことで、さぞ心地よかったことでしょう。 あの出会いで彼は随分と救われたと思います。 作品の構成をただ「やってみたかっただけ」じゃないかと、このシーンに至るまでは思っていたのですが・・・浅はかでした。 あのシーンの彼の笑顔に涙っ。 他者との出会いは、いつも何かを残していくものだなあ~、と感慨深い。 ワンアイデアものにも拘わらず、ここまで突き刺さる作品が作れるなんて。勉強になりました。 [映画館(邦画)] 10点(2007-08-01 18:27:21)(良:1票) |
15. 交渉人(1998)
《ネタバレ》 最高のシチュエーションに多彩な娯楽要素。キャラクターの内的ドラマに通ずるものがあれば、更に良かったけれど欲張りすぎかな。 解決へのハッタリも定番ですけど、楽しめました。 [DVD(吹替)] 10点(2007-07-22 18:55:09) |
16. バーバー
「いつか死ぬのに生きている」 この圧倒的な絶望を知りながらも尚生きている。 宗教に傾斜する者もあれば、自ら死を選ぶ者もいる。 どちらにも向かない者は、静かに首肯するのみだ。 ※コメンタリー視聴で、よりテーマの深淵をうかがえると思います。 [DVD(吹替)] 10点(2007-07-14 20:58:19) |
17. ジョゼと虎と魚たち(2003)
文芸作品なので自分の評価基準から外れてしまい、採点は難しいのですが、映画館に3度足を運び、映画に恋をするという体験を初めてさせてくれた作品。 世間知らずの身体障害者と行動の責任意識の希薄な今風の学生。 どちらの設定を変えても、すぐに違和感が起こりそうな繊細な作品。 それでいて、なんとも力強くテーマを打ち出している。 ラストの恒夫の判断はリアルにするか、ファンタジーにするかの分かれ目でしょうが、この設定ならああ終わるのが(厳しいですが)、自然なことだと思う。 テーマをより強く出せますしね。 [映画館(邦画)] 10点(2007-06-25 11:36:10) |
18. アダプテーション
私たちは社会に適応(アダプテーション)するべく、多くの選択を迫られる。例えば恋愛を取るか、仕事を取るか。どちらも有益であると判断しても時間という有限な流れの中ではどちらかに決めなければならない場合がある。それは合理化である一方で選ばれなかった可能性を切り取る作業でもある。しかも、それはそういった社会的な態度の限定だけに留まらず、内面的な部分にまで侵食する。自らの行動を納得させるべく「主義」へと姿を変えた選択は意識のカスタマイズ作業であると同時に制御可能な世界へと自らを隔離する。しかし、当人にその自覚はないだろう。それは処世術であり、オリジナリティとして解釈してしまうからだ。そして、ついにはこのように設定された世界「ワタシ」を主張する。 一度設定してしまった世界は容易に変更できない。それまでの自分を否定することでもあるからだ。無闇に刃向かおうものなら、その設定にそぐわないと敵意すら示すだろう。「ワタシ」という枷こそが限界をも設定し、他を拒むファクターとなる。即ち、世界は「ワタシ」によって整理され、限定されているのだ。 本作では他を知ることで広がる可能性とともに「世界をつまらなくしているのはお前だよ!」。そして、「世界は君のものだ!」と提起されているのではないだろうか。 [DVD(吹替)] 10点(2007-06-25 11:04:24) |
19. 12人の優しい日本人
本家を知っていれば、展開やキャラクター性、着地の仕方が同じであることに憤る(パロディと呼べる程の脚色が見当たらない)。 創作の姿勢としては0点を差し上げるが、その情報を無視して純粋に中身を評価するなら、やっぱり満点。しかし三谷幸喜は、これを自分の作品だと公言するのを恥ずかしいと思わないのかな(最近も舞台で再演したし・・・)。 [DVD(邦画)] 10点(2007-06-17 06:11:06) |
20. ニューオーリンズ・トライアル
《ネタバレ》 クライム・ストーリーには興味のある方だけど、まんまと騙された。巧い。傑作。 単なる悪党どもの攻防劇だと思っていたら・・・。 しかも、正義に着地するなんて・・・恐れ入りました。 [地上波(吹替)] 10点(2007-06-07 23:17:01) |