1. 口裂け女2
《ネタバレ》 「口裂け女2」というタイトルで損耗率80%だ。もったいない。私はここでの評価が高いのを偶然知って興味を持ったが、でなければ、多分一生観なかったと思う。前作とは全く別物なので、口裂け女という文言はサブタイトルにして、何かセンスのいいメインタイトルが欲しかった。冒頭の手術の映像から一転して、明るい学園生活に。そして一気に奈落の底への展開が衝撃的。残酷描写にキレがあり、恐怖感も味わえる。そして何よりも、彼女の切なさが痛々しいほどに伝わって来る。100メートル3秒やポマードのエピソードが韻を踏んでいる。文字通りの口さけ女はラスト3秒にしか現れないところも、センスを感じる。この監督に新たなホラーを撮ってほしい。 [DVD(邦画)] 8点(2014-08-10 21:45:04)(良:2票) |
2. 川の底からこんにちは
《ネタバレ》 満島ひかり以外、おばちゃんとブスとおっさんしか出演しない。特に良く集めたなと思わせるおばちゃんたちの 顔とカラダのパワーが凄い。それにしても満島ひかりの輝きが素晴らしい。「愛のむきだし」を超える代表作だと思う。そして笑いのセンスを忘れない台詞ととぼけた味が大好きな作品。 [DVD(邦画)] 9点(2014-03-18 16:06:48) |
3. 愛のむきだし
《ネタバレ》 ドラマ「それでも生きて行く」と映画「悪人」で満島ひかりにやられて、どうやら「愛のむきだし」という凄いのが あるらしいと知り、完全に満島目当てで鑑賞。今より少し初々しい彼女にくぎづけ。でも見終わって私の心を支配したのは、コイケだった。何をしでかすか分からない邪悪な表情にわくわくだ。凄い女優が出て来た。そういえば、安藤サクラ、「それでも生きてゆく」にもいやな女で出ていた。ユウ役の西島は爽やかすぎて、変態には見えないが、それがぎりぎりこの映画を踏みとどまらせているのかな?相変わらず血しぶきだらけの園子温監督だが、紙一重のセンスを感じる。たぶんまた観たくなる作品だと思う。一人で。 [CS・衛星(邦画)] 9点(2012-05-05 17:03:04)(良:1票) |
4. ALWAYS 三丁目の夕日
何かが違う。素晴らしい技術で再現された当時の町並み、看板の汚れ一つにまで拘って作り込む程、夢物語になる。映画としてそれは良いことなのかもしれないが、昭和40年前後に子供時代を過ごした私の記憶の中の世界とは明らかに違う。ノスタルジーに浸れない。やはり作られた街であり作られた人々に思えてしまう。当時の日本人はあんなに大騒ぎな毎日を送っていた?若い監督がイメージした架空の街のいかにも居そうな人々の人情劇。 [DVD(邦画)] 5点(2012-02-19 16:23:08)(良:1票) |
5. 真幸くあらば
《ネタバレ》 説明を極力排し、美しい映像と短い台詞で魅せる演出が良いと思う。聖書に託した秘密の通信がせつない。互いの告白後、微妙に変化して行く尾野真千子の表情に静かに引き込まれた。そして月の満ちる夜の美しい裸体・・・。満島ひかりと共に、一番気になる女優、尾野真千子。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2012-02-19 15:51:50) |
6. イングロリアス・バスターズ
《ネタバレ》 パルプフィクション以来久々の傑作。キル・ビルがあまりにも偽物だったので、タランティーノは観る気が失せていたが、これは本物。すごい緊張感からの一気の血柱。分かっていても引き込まれる。ランダ大佐の笑顔の怖さ嫌らしさが凄い。そしてショシャナのかっこよさに痺れる。実際にナチスに虐殺された家系のユダヤ系の女優さんらしい。 炎に包まれるスクリーンに映る彼女の復讐鬼のようなアップ。やがてスクリーンが燃え落ちても白い煙に乗り移って笑い続ける巨大な亡霊・・・冒頭の緑の草原から映像の美しさも、以前よりも深みを増していると思う。ただブラピである必要性が少し薄い気がする。 [ブルーレイ(字幕)] 9点(2012-01-07 20:26:37) |
7. 空気人形
《ネタバレ》 心を持ったら、切なくなった・・・ 是枝監督の作品は、「誰も知らない」「歩いても、歩いても」そして本作も、鑑賞後必ず小さな結晶のような塊を、残していくのは、何故だろう。そして、こんなにメルヘンな設定なのに、自然に感じさせる力量は流石だ。映像と音楽の美しさも絶品だ。特に彼女が詩の朗読をするシーンが忘れられない。細かい所も丁寧に見せている。たとえば、光を通して薄くなった影の表現など。また今回特に感じたのは、音である。雫の垂れる音、息使い、彼女が歩く度に聞こえるラムネの瓶の微かなの音、そして空気が抜ける音。とても繊細に素晴らしい音質で空間にとけ込んでいく。「ラースと、その彼女」と観比べてみるのも面白い。 [DVD(邦画)] 9点(2010-06-11 04:36:19) |
8. ラースと、その彼女
《ネタバレ》 ヒロインのビアンカの表情が、もろリアルドールから、確実に憂いを帯びた女性に変わった・・・ように見せる手腕が素晴らしい。アメリカ映画らしくない良い作品。女医の優しさが印象的。 [DVD(字幕)] 8点(2009-11-03 19:24:32) |
9. ベンジャミン・バトン/数奇な人生
《ネタバレ》 意外な低評価に驚く。他の方も書かれているが、若い人には、本当の意味で心に響かないのかも知れない。人は、折り返し地点を過ぎたころから、20代30代のスピーディーな感性が衰える代わりに、それまで奥で眠っていた、別の感性が活性化する。「ベンジャミン・バトン」はそこに共鳴するような気がする。冒頭の時計職人の逆周りの時計から、引き込まれた。あえてドラマティックな演出をせず、淡々と描かれる主人公と周りの人々の姿が、愛おしくそして切ない。ブラピもケイトも役者としてすばらしかったが、その若返りと老化をここまで、リアルに魅せたテクノロジーの凄さにも驚嘆する。飛んだり跳ねたり、ぶっ壊れたり、そんなCGには、辟易だが、この作品の特殊効果は正に効果絶大。雷うたれ男のエピソードも可愛い映像と共に印象深い。そしてラスト15分のベンジャミンとデイジーに、涙が止まらない。 [DVD(字幕)] 10点(2009-07-25 18:39:37)(良:2票) |
10. 歩いても 歩いても
《ネタバレ》 CGや、サラウンドとは、ほぼ無縁の映画は、じわりとしみ込んでくる。それにしても是枝監督はどうやって演出しているのだろう。不思議だ。そして樹木希林は、セリフ、動作、表情、さりげなく上手すぎる。YOUはやはり天才的。夏川結衣は最近のテレビドラマでファンをやめようと思っていたが、子持ちの嫁の居心地の悪さを上手く表していたし、ふと垣間見せる初々しい表情が「青い鳥」以来のツボだった。そして、次男の「いつも、ちょっとだけ間に合わない。」というセリフがあとを引く。 [DVD(邦画)] 9点(2009-07-20 23:28:37)(良:1票) |
11. おろち
《ネタバレ》 小学生の頃、梅図かずおの漫画を読みあさった。「おろち」「イアラ」「洗礼」他。中でもあくまでクールな”おろち”は魅力的だった。映画は記憶の中の原作のイメージと一致していた。時代設定をへたに現代に持って来たりしなかったのは、正解だと思う。木村佳乃と中越典子は好演。谷村美月はおろちの雰囲気を上手く出している。この人はTVの「トリハダ」シリーズといい、ホラーが似合う。山本太郎の人選だけが、疑問。グロテスクな描写を最低限に抑えたのも効果的だったと思う。是非シリーズ化して欲しい。それにしても、中越典子がストッキングを履くセリフの無いシーンが、ゾクっと来た。 [DVD(邦画)] 8点(2009-05-25 00:00:44) |
12. シャッター(2008)
《ネタバレ》 落合正幸監督は、「世にも奇妙な物語」の演出を沢山手掛けており、名作も数多い。「感染」や「催眠」も好きな世界なので期待したが、何故かハリウッド作品という肩書きがつくと、皆同じトーンになってしまうのだろう。どこかで見たことの有る展開の連続で、まったく怖くない。落合監督の癖のようなものが感じられない。唯一の収穫は奥菜恵の美しさ。好きなタイプでなかったのだが、幽霊の恵は、美しく、艶かしく、特に青白い肌と白目の色気が強烈。 総合的にハリウッド版「リング2」や同「回路」よりは、上と見た。 [DVD(字幕)] 7点(2009-05-10 16:52:18) |
13. リトル・ダンサー
《ネタバレ》 以前から気になっていたが、「リトルダンサー」というタイトルに乗れなかった。が、「めぐりあう時間たち」のスティーブン・ダルトリーの監督作品だと今更知り、早速観た。期待に違わず好きな作品だった。イギリス映画だからあたりまえかもしれないが、ハリウッド映画とは明らかに違う空気や匂いがいい。決して大げさでない感情表現や洒落たセリフがいい。おばあちゃんと、いつも家の前にいる女の子がかわいい。バレエの先生のベタベタしない優しさがいい。そして、私も人の親の端くれとして、おやじの心情がストレートに響いてきた。賛否両論の15年後のシーン。私は断然、『賛』だ。電車の中のおやじの顔を見た時から、感動の波がひたひたと寄せてくる。そしてアダム・クーパーのもの凄いオーラと一体になって映画は終わる。ただ、他にも書いておられる方がいたか、タイトルは、原題の「ビリー・エリオット」にして欲しかった。 [DVD(字幕)] 9点(2009-04-29 15:46:51) |
14. めぐりあう時間たち
《ネタバレ》 映画でありながら、映画を超えていると思う。色々な感情が沸き上がってくるのだ。特にジュリアン・ムーアが素晴らしい。異なる時間の3人が見事に交差し、最後に2人が同じ時間に対面するシーンでは、不思議な感動を覚えた。ジュリアン・ムーアとメリル・ストリープが交互にアップになって語り合う場面が忘れられない。全編を通じて、映像がとても美しい。そして音楽も印象深い。今回2度目だったが、また観ると思う。監督も言っていたが、観るたびに何かを感じるような気がする・・・私はこの映画に心を動かされる人が好きだ。 [DVD(字幕)] 10点(2009-04-20 02:46:18) |
15. 運命じゃない人
《ネタバレ》 面白い!最近のベストワン。絶対にもう一度観たくなる。脚本が素晴らしい上に、全ての役者がぴたりとはまっている。特に宮田役の中村なくしてこの傑作は無かったかもしれない。霧島れいかのせつない感も好きだし、浅井組長がまたとてもいい感じを醸し出している。CGだらけの大宣伝映画では、味わえない快感だった。 [DVD(邦画)] 9点(2009-03-22 03:05:27)(良:2票) |
16. 千と千尋の神隠し
《ネタバレ》 何度目かの鑑賞。やはり凄い。トンネルを抜けてから起こる事への期待と不安にワクワクさせられる。昔見た夢の中に入って行くような感覚。そして出てくる出てくるキャラクターはイメージの洪水。油屋の屋内のちょっと怖くて、とてもなつかしい、極彩色の和の世界は、昔訪れた「目黒雅叙園」を思い出した。それにしてもこの活気はなんだろう。従業員がカエルだったり、お姉さんがたの顔が少しデカイのはなぜだろう。あー、この風呂屋に行ってみたい。海の中を走る列車のシーンの、まさに夢のような美しさと寂しさはなんだろう。・・・ここのレビューで異常に評価の高い「ラピュタ」のような、冒険活劇が少なく、城から人がポロポロと落ちて沢山死ぬような事もなく、ヒロインの顔が美しすぎる事もなく(でもかわいいけど)・・・ちなみに、私が一番すきなキャラクターは、幼い頃の神木隆之介君がやっていた「坊」。 [DVD(邦画)] 10点(2009-03-21 17:44:24) |
17. アフタースクール
二度目を観る楽しみが計算された作品。セリフや表情がまったく違って感じるから不思議だ。とても面白くて気持ちの良い作品だと思う。が、映画として、いや映像として残るものが無い。それは、別の映画に求めよう。人にすすめたくなる作品である。 [DVD(邦画)] 8点(2009-02-22 23:35:05) |
18. 僕の彼女はサイボーグ
《ネタバレ》 時間軸で考えると矛盾点だらけだ。しかしそれを指摘する楽しみ方もある。とにかく綾瀬はるかを観る映画。男なら誰でも持っていかれると思う。女性にはどう感じるのか聞いてみたい。マネキンと酒に酔ったシーンがかわいい。上半身だけで救出に向かうところは、映像的にハッとするものがある。アクションも、なよっとしたところが皆無でスピード感ある。ターミネーターや日本のアニメへの憧れがストレート。ただ、小出の幼い頃が1960年代にしか見えなかったのは、さすがに気になった。 ラストはサービス過剰?それにしてもゲロが好きな監督だ。 [DVD(邦画)] 8点(2009-02-15 15:22:46) |
19. 転々
《ネタバレ》 亀は・・・に次ぐ傑作だと思う。いつものメンバー勢揃いの上に、三浦友和がよかった。それと、ふふみ役の吉高由里子。前から気になっていたが、やはり素晴らしい。逸材だ。全体的に笑いどころ満載で岸部一徳役の岸部一徳が好きだ。三日月しずかの顔出しや、広田玲央名の絵も素晴らしい。オダギリジョーはいつも通りだが、ラスト近くカレーの夕食時「日曜日の夕食も終わり、サザエさんの終わりの歌も終わり、月曜までの最悪な時間・・・」のくだりは、何故か少しジンと来た。奥さんほんと死んでるの・・・と思わせ、答えは描かずに終わるのが良い。それにしても街の小さな時計屋さんはどうやって生活してるの? [DVD(邦画)] 8点(2008-07-06 23:53:59) |
20. インベージョン
《ネタバレ》 原作が好きなので、毎回観てしまう。それなりの緊張感はあるが、今作はニコールキッドマンを観る映画かもしれない。この手の映画恒例のラストの、実は・・・というオチが無かったのが意外。 [DVD(字幕)] 6点(2008-07-06 01:17:45) |