1. ノートルダムのせむし男(1923)
《ネタバレ》 (2008年映画メモより) せむし男がとても良い演技をしていた。 エスメラルダが美人だった。 教会建築がモノクロ映像の中で巨大に美しい。 音楽がとても心地よい。 [DVD(字幕)] 7点(2012-03-21 03:05:52) |
2. オペラの怪人(1925)
《ネタバレ》 (2008年映画メモをもとに) ファントムが非常に不気味です。 ロマンチックな話だと思ってましたが、 この怪人の存在は非常にアンダーグラウンドです。 幻想的ですが非常に暗く、怪物もしっかりと醜い。 ピアノを演奏する場面は狂っている。 仮面は隠された顔の不気味さをより増してます。 役者は怪物としての振る舞いがしっかりとしています。 威厳と迫力に満ちた仕草が怪物のプライドの高さを表します。 地下はダークです。 ただし美しさと幻想もしっかりとあります。 話の面白さよりも幻想性が高いです。 [DVD(字幕)] 8点(2012-03-07 02:11:56) |
3. 巨人ゴーレム(1920)
《ネタバレ》 某ゴス系な怪奇雑誌の特集にこの映画が少女映画と絡めて紹介されていたので鑑賞。 凄く昔のモノクロサイレント映画です。 占星術や魔術、錬金術のように神秘的な色合いが強い映画。 背景がまた美しい。 特に素晴らしいと思ったのは螺旋階段です。とてもグロテスクで生物的な内臓にみえた。 あまりに神秘的な冒頭のシーンから「ネバーエンディングストーリー」の一場面を思い出した。 巨人ゴーレムが「お手伝い」をしている場面はとてもシュールで面白い。 巨人ゴーレムの表情が怒りの形相に変わる場面が凄まじくて面白い。 男の空きっ歯が残念だ。 少女が秘めるパワーとは絶大である。 昔から少女っていうのはそういう存在なんだと思った。 ゴーレムと魔術、、、ダークファンタジー好きには溜まらない。 [DVD(字幕)] 7点(2012-03-01 01:37:51) |
4. キートンの蒸気船
《ネタバレ》 三大喜劇役者の一人としてキートンの名は知っていたものの、 なかなか見る機会に恵まれなかった。 チャップリンの映画でさえあまり見る機会が少ないのに、 三大喜劇役者の中ではキートンよりもチャップリンの方が圧倒的に一般的に有名なものだから、 どうせキートンの映画は普通のコメディなのか(失礼すぎる!)、なんて酷い偏見も少し持っていた。 しかし、単なるコメディとして終わっていないところが素晴らしい。 父と息子の親子愛を強く感じるのだ。 前半では父と息子はうまく行っていないようではあるが、、、期待はずれの息子に対する父親のイライラが伝わってくるのであるが、 しかしそういった場面からですら、父親の息子にかけるささやかな気遣い(?)というものが微かに感じられる気がするのである。 実際に父と息子なんてなかなか上手くいくものでもない。 お互いに相性が悪い父子の方が多いと思う。 しかし、だからこそこの作品中の親子関係に自分は感じるものがあった。 “父と息子の関係なんざこんなもんよ”と見せられてるみたいに。 喜劇の主人公は滑稽だから良い。 だからこそ自分と重なり合うし、感情移入が出来る。 しかしキートンはなかなか体を張っている。感心した。 チャップリンもそうだったとは思うが、キートンも負けてはいないようだ。 そして、モノクロ・サイレント映画の中ではなかなか迫力がある。 アクション性がハンパない。 崩れる町の連続といったら大迫力で、臨場感ではハリウッド映画のCG表現を楽々と超えると思う。 ヒューマンドラマがちゃんとあり、ロマンありと、決してチャップリン映画には引けを取らないと思う。 チャップリンは自ら監督もやっている天才アーティストという意味で強くリスペクトするが、喜劇役者としてはキートンは同じくらいに素晴らしい。 ただ、安物のDVDなのか、サイレントだからといっても、音楽もない無音なのにはビビッた。 音楽無しのリアルサイレント!自分には合わぬ。 なので1点マイナス。 (でも好きな音楽とあわせて鑑賞すれば、不思議と映像と音楽があってくるものだ) [DVD(字幕)] 8点(2011-01-31 01:17:45)(良:2票) |
5. チャップリンの黄金狂時代
《ネタバレ》 何だかチャップリンの映画には、生きる喜びだとか感動だとかロマンとか、そんなものが沢山つまっているように感じます。 それは人生の輝きといってもいいでしょうか。 人間の本当の幸せはどういうところにあるのだろうかということが、彼の映画を見ると少し気づかされるようなきがします。 全く嫌味の無い人生賛美で、見ている観客の心が温かくなるのだと思います。 観客が厭味を全く感じないのは、チャップリンがそれだけ壮絶な人生を歩み、地獄を見てきたからこそ、これだけの清い喜劇を描けるのだと思います(もし嫌味を感じたならば、それは観客側の厭味です。チャプリンは無邪気であり、邪気は見る側にあるのです)。 それにチャップリンはとても繊細でロマンチストなのだと感じました。こんな暖かい作品が作れるなんて彼は凄いですよ。この作品を観ると僕は奇跡を信じたくなります。 いや~、やっぱり夢を与えてこその映画だと思いますね。 ずっと前に彼の自伝を読みましたが、チャップリンこそは本当の天才だと思いますよ。 [DVD(字幕)] 9点(2010-07-14 03:12:16)(良:1票) |
6. アンダルシアの犬
《ネタバレ》 国立美術館のシュールレアリスム展で観ることができました。 DVDもっているのに、、、(それなのに見入ってしまったので、やっぱり自分はこの作品を面白いと感じているのだな、と実感しました) しかし美術展で大きく映し出された映像を見ますと、やっぱ迫力が違いますね。 まさにシュールレアリスム絵画をそのまま映像にしてしまったかのようです。 異様な美しさと、当時これをやった作品としての強みを感じました(だいたい80年も昔の映画が美術館に展示されているものですから、それを簡単には否定できない確かなものがあります)。 表現されないもの、表現しようとさえ思わないものが映像の前面に出ている感じが素晴らしいです。 そしてシュールレアリストは、日常にある物をなんにでもエロスに変えてしまうのでしょうか。 紐を引っ張ってダリの絵画の一部が表れる様な場面は見事で、まるで次元がひっくり返ったかのショックを受けます。当時はちょっと怖かったです。 昔は自転車が倒れるところで爆笑したかもしれません。おもしろいです。 この作品の印象的な音楽が頭から離れません(DVD版)。 頭の中で音楽が鳴り続けていて困ります。 カルト映画の原点でしょうか。 自分はこの映像の中のエロスな感じと、ナルティシズムな雰囲気が好きです。 (上映時の人だかりが凄くて、あふれる状態で通路を確保するためにスタッフが大変そうでした。 そうかと思えば家の近くの中古DVD屋では同じ内容の映像資料が500円で売っているのに誰も見向きもしない在庫ありの状況です。 このギャップが面白いなと思ってしまいました。) [DVD(字幕)] 8点(2008-07-18 01:41:01) |
7. ロスト・ワールド(1925)
《ネタバレ》 恐竜はとても好きなんだ。なんか夢があって好きなの。ロマンチックじゃない? 「時が止まった島」っていうのはどこか神秘的。 ジャングルがとてもよく撮れていたと思う。 植物がうっそうと茂り亜熱帯な感じ、トラや蛇など様々な動物が顔をのぞかせる。 切り立った断崖絶壁(その高いこと、、、) それはモノクロだからこそリアリティを放つのかもしれない。 なんか「冒険」って感じでとてもワクワクした。 恐竜の動きには迫力が無いものの、とてもシュールで変なリアリティがあった。 たとえば、始めにトリケラトプスが飛んできたところはとてもシュールだった。(とても変な迫力!) アニメーションの動きはどこかグロテスクでもある。 キングコングに比べてしまえばストーリーとか迫力で劣る。 映像は楽しめる。しかしいくら(ストーリーなんて関係ねえ!)雰囲気で楽しむ僕でも、少し物足りない感じがしたかも。 映像は楽しめるんです!そして夢があってワクワクするし、冒険とか、雰囲気を楽しめる(特に島の雰囲気が良かった)作品。 チャレンジャー博士がかなり暴走していますが、、、 [DVD(字幕)] 7点(2008-02-09 02:46:27) |
8. 吸血鬼ノスフェラトゥ(1922)
《ネタバレ》 素晴らしいです。 冒頭から、暗鬱で重苦しい空気が漂っている。そして白黒のコントラストが美しい。 セリフがなんだかナルティシズムで、美しい余韻を残す。 大胆な身振りや表情が良い。狂気が伝わってくるようだ。 たとえば、本を投げつけるときの大胆な動きは美しいと思う。 食事を待っている時に、「早く食事を!」と激しく机を叩くが、その激しい動きにも何か歪んだ狂気が宿っているように思えて印象に残る。 表情にしても、レンフィールドの笑顔は凄まじいほど(あの人おかしいんです!)。ジョナサンは主人公であるがそのジョナサンの笑顔にでさえ狂気が宿っているように感じてしまう。 そして奥さんの背が高くて無表情な存在感も独特。 音楽もどこか欝で静かな感じで素晴らしく、居心地の良さを感じる(サイレント映画の音楽は基本的に良いです)。 怪物は鼻がワシ鼻で指が長くてノッポでとても人間離れしていて、 なんだかとてもシュールだ(そして不気味!)。 不吉な存在感でもあるが、メルヘンチックなグリム童話に出てきそうな妖精のような存在にも思えた(悪い妖精ですよ)。 なんだか森が深くて山が高い、その深い森林には神秘的なものを感じる。 僕は森を神秘的なものだと思っているから森がでてくる作品は好きなのです。 この作品には森に深い陰が存在しているように感じた。 その森に生息する「狼」がとても不気味に映されている。 病魔が町を埋め尽くし、太鼓叩きがそれを警告をする場面がとてもシュールです。 多分、この作品にはまともなものなんて一つも無いんです。 [DVD(字幕)] 8点(2008-01-22 00:17:11)(良:1票) |