1. 制服の処女(1931)
《ネタバレ》 厳格な寄宿女学校の話。 最初はただのロリータ映画だと思ったら、なんだかドイツの表現主義らしく暗い感じがあります。 社会派っていうんですか?訴えるものが重い気がします。 校舎の雰囲気は暗く陰鬱。空気が重い。 それとは逆に少女達の戯れが華やかで、学園内の暗い厳格なムードとは対比的に生命力が漲っている感じです。 そんなガールズトークな戯れとは別に ひとりの少女の繊細な心の描写が見事だと思います。 ミネハハに少し似てるかな? この作品では集団になった敵意の恐ろしさを見た気がします。 目線が集中したときの怖さ、静まり返った場の空気、まるでフリークスで感じた怖さか、見ている側まで伝わってくる迫力があります。 威圧的だった校長先生の後ろ姿の孤独さが印象に残りました。 古いモノクロ映像をとおした若い女性の戯れは神秘的です。 螺旋階段が素晴らしい。 [DVD(字幕)] 8点(2012-08-25 20:09:58) |
2. ノートルダムの傴僂男(1939)
《ネタバレ》 (2007年映画メモをもとに) 様々な愛の形が交錯します。 様々な形で悪魔が顔を出します。 人々の裏側にある色んな形をした悪魔が表に出て渦巻いてます。 いったい誰が悪魔なのでしょうか。 クワシモドは見かけは悪魔のような怪物ですが、実は優しい心を持っているのかもしれません。 しかし最後では悪魔に取り憑かれてしまいました。 石を落としたり溶鉄を流したりする場面は悪魔としか思えない形相です。 エスメラルダはマリア様のように慈悲深く母性的であり、 司祭の弟はサディストの悪魔です。 そんな、クワシモドをとりまく聖母と悪魔です。 母性的な愛あり、異性的な愛あり、サディスティックな愛あり、 そんな中で揺り動かされます。 この映画の登場人物は愛と悪魔との瀬戸際にいて、最後に悪魔に身を滅ぼしてしまったものは死に、愛を手に入れた人は生き残る感じかもしれません。 クワシモドはグロテスクで迫力あり、非常に息詰まる圧迫感があって暗い雰囲気が怖いです。 怪奇映画としてしっかりしてます。スケールも大きいです。 ディズニーの”ノートルダムの鐘”に最も視覚的な影響を与えてます。 [DVD(字幕)] 7点(2012-03-21 03:18:49) |
3. 怪物團
《ネタバレ》 (2008年の映画メモをもとに作成) 伝説的作品。フリークス神の子ら。 昔バーストという怖い雑誌でこの映画が大々的に掲載されていたのでいつか見たいと思ってました。 この作品はとても重い。 人間の心の怪物が表れる恐ろしい作品です。 それとは逆にサーカス団の生活は生き生きと描かれている。 ユニークで愉快な光景にも見えます。 この世離れした感じでした。まるで異形の天国のようです。 しかしその愉快な生活とは別のドス黒いものがあります。 後半のフリークスたちはとても恐ろしい。 妙に静かで不気味すぎる。 本当の闇だ。映画の中で最も不気味で暗い場面の一つ。 嵐が不安な雰囲気を盛り上げる。。 怪物とは何をいうのか? 姿のおぞましい者を見ていうのか? いや、心の醜さを曝け出して下品な笑いをする者が本当の怪物である。 弱い存在を愚弄して悦ぶのもまた怪物。 内面の醜さを怪物というなら、 一見すると美女のブランコ乗りのクレオパトラは この作品中では最も醜い怪物にちがいないです。 怪物はやがて本性が肉体にも表れました。 テンポが良くて長さも丁度いいのですがなんとも重い話でした。 [DVD(字幕)] 9点(2012-03-21 01:32:51) |
4. 透明人間(1933)
《ネタバレ》 (2008年映画メモをもとに) 博士の狂暴になってゆく感じがとても素晴らしいです。 とくに笑い声が凄かった。それと相手を威圧するかのような喋り方には鬼気迫るものがあります。 凍える雪山の酒場に透明人間が入ってきた時、 彼の存在感は異様でした。 愉快に賑わっていた酒場の空気が一瞬にして凍りつく場面は緊張に包まれて不気味な場面です。 酒場のおばさんはうるさくて面白いです。 透明人間は徐々に狂暴さを増してゆく感じが素晴らしく迫力があります。 透明になっていろいろ仕出かしますが、なかなか狂ってます。 映像も変ですが、かなり効果的に思います。 [DVD(字幕)] 8点(2012-03-07 01:33:02) |
5. ミイラ再生
《ネタバレ》 (2008年映画メモより) エジプトの儀式的なムードを演出する舞台セットがとても良いです。 呪術的な感じは不気味なモノクロ映像の中でより怪しさを増します。 笑い死んだところに鬼気迫るものを感じました。 ボリス・カーロフは目の下にできる影がなんとも不気味です。 ノッポでのっしりのっしりと歩く無表情な様は印象に残る。 呪いの恐ろしさが伝わるような怪奇作品でした。 エジプト好きな人ならまず楽しめる雰囲気ですが暗くて怖いです。 [DVD(吹替)] 8点(2012-03-07 00:54:03) |
6. M(1931)
《ネタバレ》 難しい作品ですけど非常にメッセージの強さが伝わります。 最初の子供たちの声が不気味に響きます。 ここでかなり不吉な雰囲気が漂います。 母親が子を呼ぶ声も空しく響きます。 全体的な雰囲気が何となく暗いです。 静けさが緊張を生む。 口笛は不気味だし狂ってる。 人の心に潜む悪魔は恐ろしい。 しかしこの悪魔とは本人そのものです。 最後の台詞は強い力がこもっている。 この台詞に力がこもるとその正体は狂気だ。 悪魔を語る時の表情が本気で怖い。 [DVD(字幕)] 9点(2012-03-05 23:30:55) |
7. 白雪姫
《ネタバレ》 (2008年映画メモより) このアニメ作品を見たとき「本物だな」と漠然と思った。 アニメもここまで美しいと芸術としか思えない。 すべてが神秘的なまでに美しい。 森も動物も生き生きと表情豊かに描かれます。 白雪姫がまた美しい。 白雪姫の動きが女性的に美しく色っぽいです。 踊った時にスカートが風になびくところまで丁寧に表現されます。 魔女はとても迫力があり、恐ろしい魔女の姿が見事です。 動物達とお掃除をする場面は本当に楽しいです。 夜の音楽会も楽しいです。 キャラクターが生きていて躍動感があります。 白雪姫の歌声も曇りなく美しいです。 作り手の作品にこめる思いが伝わります。丁寧さがあります。 表現が魔法のように生きています。 この作品はとても古い作品ですが、その古臭さがまた神秘と幻想性を増してます。 素晴らしい世界です。 吹き替えのレベルも非常に高いです。 [DVD(吹替)] 9点(2012-03-01 01:57:59) |
8. 駅馬車(1939)
「ウェスタンの最高傑作」といわれるのも分かるような気がしました。 いやぁ、素晴らしい! 登場人物も戦闘も素晴らしいです。最高です。とても深いです。 [DVD(字幕)] 8点(2009-02-13 18:27:42) |
9. 魔人ドラキュラ
《ネタバレ》 全体的にとても暗い。 この作品には妙な静けさ、暗さがあって、それがとても不気味でもあり魅力的でもある。 ドラキュラ、ノスフェラトゥという言葉を聞いただけで十字をキり、言葉にすることでさえ慎まなければならなかった。 それだけドラキュラって不吉で恐れられる存在だったんだね。 ドラキュラ伯爵べラルゴシがホントに不気味! ドラキュラ映画の中で、一番不気味なドラキュラ役を演じているかも。 表情がぜんぜん普通じゃない。 異様な眼光を放ち、不気味な笑顔でこちらを見つめる。 ただそれだけで、何もしなくても怖い。とても威圧感がある表情だ。 (ドラキュラ伯爵は一見すると普通の人間のようで、人間と普通に会話しているが、実はそれが一番怖いのかもしれない) ドラキュラ城で伯爵がゆっくりと階段から降りてくる場面はとても変な深い静けさがあり、 その場面で、時が止まったかのような不思議な空気を感じた。 それがとても静か過ぎて不気味。 ドラキュラ城の高い天井と、背の丈ほどもある暖炉、雰囲気がとても見事だ。 誰もいない城で動物が徘徊したりと、とても幻想的な雰囲気を感じた。 とても暗い影ができていて、深い闇がこの城全体を支配しているように感じた。 窓の外で蝙蝠が飛ぶ場面がとても美しかった。 3人の女性がこれまた不気味で、魂が抜けたような感じ。 無表情な3人が全く同じ動きをするのはとても不気味というかシュールな感じで面白かった。 船室から発見されたレンフィールドの笑顔と笑い声はまさに狂気としか言いようのない凄まじさだ。 館で笑うレンフィールドを見た召使が気絶しちゃう場面も凄かった。 ロンドンは霧が立ち込めてとても重く暗い感じが出ていた。 蝙蝠がとても不気味な存在感で、変な重みを感じた。 ただ飛んでいるだけでとても異様な感じがした。 テンポが悪いかもしれないけど、それを補う雰囲気がこの作品にはあると思う。 ドラキュラ伯爵とミナとの関係を見ているとロマンチックにもみえてくる(のは僕だけかな?)。 もしかしたらドラキュラ映画は「美しい」よりも「暗い」ほうが好きかも。 でも「暗い」の中に「美しい」があって、「美しい」を前面に押し出しちゃいけないのかも? 地下室は暗くて美しいし、最後の階段の場面も美しい。 [DVD(字幕)] 9点(2008-04-24 02:56:51) |
10. フランケンシュタイン(1931)
《ネタバレ》 冒頭で教授が作品について解説しているが、その場面が一番怖いかも。 一番ぶっ飛んでいる。 光の当たり方のせいか、かなり教授が変に歪んでみえる。 フランケンシュタイン博士の精神的に病んでいる感じが表情にとてもよく出ていた。 なにかにとり憑かれた様な彼の表情にはとても威圧感がある。 重苦しいお墓の曇り空や枯れ木、髑髏の像がとても不吉な印象を与える。 教授が脳について授業している時と違い、誰もいなくなった教室はとても暗くて不気味だった。変に静まり返っている。 骸骨の標本がね、講義のときはみんなの笑いモノにされていたけど、 暗い講義室ではとても不気味な影をつくっている。 急に音がするけど、あの音もとても怖いと思う。 フランケンシュタインの研究所(見晴台?)も不気味。 階段とか部屋のパースがメチャクチャだった。 パースが歪むとそこに変な奥行きが存在する。 「怪物」がとても扱いにくい危険な存在として描かれていたのがとても怖かった。 怪物は恐怖の象徴だ。怪物の冷たい笑顔は死を連想させる。 あの冷たい無表情(笑顔も冷たい)、大きな手と指がぎこちなく動く感じ、黒い服、角ばった骨格に大きな身体、のっそりのっそりと歩く姿、、、とても不吉な感じ。 ドアをこじ開けようとする怪物の狂暴さがとても怖かった。 先頭シーンからも怪物の怪力、凶暴さが伝わってきて緊張感があった。 また、研究所で怪物の「影」がとても上手く効果的に使われていて、 怪物により巨大感をあたえて、迫ってくる感じがした。 召使の悲鳴、死に方がとても不気味。 少女の「バイバイ」の仕草が好き。それに答える父親の仕草も好き。 少女を湖に落としたとき、怪物はとても慌てた表情をする、その表情が印象的だった。 でも怪物よりも人々の結束が怖かった。あの火の明かりが大量になって迫ってくる迫力、村人が束になったときの迫力はとても凄かった。そういうのが何故か怖かった。 最後の岩山も風車もとても陰鬱なんだよね。 あの風車が燃えるシーンは、いろいろな作品に影響を与えているかもしれない。 燃える火の中での怪物の叫び声がとても凄まじかった。 暗くて不気味な作品です。 [DVD(字幕)] 9点(2008-04-24 02:53:31)(良:1票) |
11. 肉の蝋人形 (1933)
《ネタバレ》 これもかなりレトロな感じのホラーで良かった。いや~古い古い。。。 この作品だけではないが、そのレトロ感がホラー映画として良い雰囲気をだす。 冒頭の蝋人形館は、薄暗くて、外は雨が激しく降っていて、ちょっと不気味な感じが出ている。 美しい蝋人形が焼けるのはとてもグロテスクなので、本作ではここが見所かもしれない。 ジャンヌダルク像が美しかった。 正体を現した人形師はとても極悪で凶器をさらけ出して強い。 車椅子を乗っていたとは思えないほどの極悪なパワーは圧巻だ。 僕個人的に好きなジャンルなので、高得点をつける勝手をどうぞお許しください。 [DVD(字幕)] 7点(2008-02-09 03:29:32) |