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1.  冬の華 《ネタバレ》 
物語が途中で終わってしまう印象を受けてしまう。もっともっとこの続きを観たい!と思ってしまう。2時間をあっという間に思わせるほど惹きつけ、登場人物のその後に思いを寄せさせるドラマづくりはお見事!で、さすがは倉本聰だと思う。セリフで語らず、設定の詳細については観客の想像に任せる。各人物の性格をドラマの進行の中で語りつつ、静かに悲劇の予感を盛り込ませながら、いつか訪れるカタルシスを期待させる。惜しむらくはカタルシスの爆発が来る直前に映画は終わってしまうが、カタルシスを観客の想像に任せたところがいわゆるそれまでのパターン化された任侠映画の清算と脱却を目指した製作陣の狙いであったのだと後から思う。映画という2時間程度の映像で語るべき人間ドラマとはどんなものであるのがよいのか、一つのお手本とも言える傑作で学ぶべき点は多い。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2007-08-16 12:58:01)(良:1票)
2.  君よ憤怒の河を渉れ
全体のプロットとしてはあの有名な「逃亡者」を思い出させ、どこかで観た印象のある展開ではある。ストーリーの整合性という点では破綻している部分も見受けられ、いわゆる「突っ込みどころ一杯」という奴である。安っぽいつくりで逃げているところもあり(いわゆる熊のところとか)製作陣の苦労がうかがい知れ、おいおいと言いたくなるところもある。それでも、途中で観るのをやめようとは全く感じない。最後までつきあって見届けようと思わせる魅力がある。その理由は、高倉健、原田芳雄、大滝秀治の熱演と存在感、役者としての力と目の肥えたうるさ型の観客ではなく映画館へひと時の娯楽を求めに訪れたいわゆる大衆が対象であることを身をもって知り尽くした映画黄金期を過ごしたスタッフによるところが大きいと思う。大衆娯楽としての映画がやがてTVに置き換えられ、今ではTV型の映画が蔓延してしまっている訳だが、その大衆娯楽としての映画の末期に産まれた佳作。
[DVD(邦画)] 6点(2007-08-16 12:20:58)
3.  どですかでん
特にこれといったストーリーがあるわけではなく、スラムに住む人々の日常の中のそれぞれの小さなドラマが淡々と描写されていく。決して「貧乏だけど心は美しい」とか「貧しい人にこそ美しさがある」といった類の類型的なおしつけがましさではなく、あえていうなら「貧富と人生の幸せ不幸せは関係がない」ということがテーマだろうか。映画にストーリーを求める向きには評判が悪いのもうなづける。ただしその一つ一つの小さなドラマがとてもとても趣が深い。様々なトラブルで傷つき人生の転換期であっただろう黒澤監督の当時の心情と重ね合わせるとその趣も更に深くなる筈。ですからこの映画は黒澤監督の作品をある程度観て、当時の黒澤監督の状況などもある程度知った上で観た方が絶対にいいと思う。映像も総天然色の奥行きの深い綺麗なもので、なるべくならハイビジョン放送か劇場での鑑賞を薦めたい。ストーリーを楽しむのではなく一つ一つのシーンのつながりに身をまかせれば必ず心に届くものがある。その類の傑作。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2007-08-10 17:38:14)(良:2票)
4.  待ち伏せ
前半だけなら8点はつけれる内容。三船敏郎はまんま用心棒だし。裕次郎もかっこいい。ヨロキンはなんだかあんまりなキャラ設定だが勝新も加えてこの四人がそろい踏みというのはやっぱりワクワクする。顔ぶれ優先で脚本的に練りが足りなかったというところで期待せずに見ればそこそこの内容。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2007-08-07 11:38:27)
5.  復讐するは我にあり
いわゆる「面白かったあ」というのとは違いますが映像の前に釘付けにされた2時間ちょっとの密度の高さはやっぱり面白かったということなのでしょう。別にこれで何か心に訴えかけてきたとか感動したとか人間の複雑さを痛感したとかそういう感傷は一切ないのですが、殺人鬼榎津とその周辺の人間像を徹底的にリアリティをもってつきつけられることで確実に鑑賞中は異空間の中に身を置く事ができます。そういう意味で極めて映画らしい映画かなあと。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2007-08-06 15:23:15)
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