1. 女衒 ZEGEN
《ネタバレ》 今村昌平らしい映画。 海外での日本人女性の売春あっせんの話だが、今村昌平の手にかかれば、 暗いイメージはなく、むしろ笑いすら出てくる感じがそう。 当時の映画界は、翌年に日活ロマンポルノが終焉となり、 映画人口も少なくなってきてる世相の中で、本作は、今村監督の、裸のはなしで 盛り上がろうぜという気炎すら感じられる力作だ。 監督が二十年あっためてた企画らしい。 東南アジアでのロケ敢行と、映画界の期待も相当だったろう。 実在の人物を、緒形拳が怪演してる。 [DVD(邦画)] 7点(2025-04-06 20:10:53) |
2. 鑓の権三
《ネタバレ》 追悼、篠田正浩! これだけの仕事をした大監督が2025年3月25日に逝去されました。94歳でした。 本作は、近松三大姦通ものの一つ、「槍の権三」。 あとの二つ、「堀川波の鼓」は「夜の鼓」として、「大経師昔暦」は「近松物語」として、 映画化されてます♪ 本作も見応えあった~♪ 郷ひろみが、元々映画界に縁の深い歌舞伎役者みたいな目をしてるから、 時代劇と相性がいい。 篠田時代劇と言えば、岩下志麻。 彼女と郷ひろみが不義密通で逃避行する話。 心中ではないが、お先真っ暗なストーリーで、 近松門左衛門の味が出てる。 [ビデオ(邦画)] 9点(2025-03-28 00:08:20) |
3. ロックよ、静かに流れよ
《ネタバレ》 今や評判良くないジャーニーズだが、こんな良作も制作している。 ジャーニーズの人材を使っての、バンド青春映画である。 ちょっとほろ苦いストーリーが、真っすぐな主人公たちの瞳によく似合う。 舞台は松本。 リンゴも松本城もあまり出てこない、地方活性に欲のない頃の地方映画である。 何かにひたむきになりたい高校生には、おススメです。 自分で切り開いていくとこ、周囲に助けられるとこ、若々しい気持ちになりました。 [ビデオ(邦画)] 7点(2025-03-16 21:08:04) |
4. 仕立て屋の恋
《ネタバレ》 人付き合いの苦手な孤独な男が、窓越しに恋をする。 そういうのってアルモドバルの「トークトゥハー」とかスコリモフスキの「アンナと過ごした4日間」とか あるけど、ルコントはあまり細かい心情の動きとか、そういうのは描く監督じゃない。 ルコントは、もともと漫画家だから、ち密な映画は得意とする人じゃないもんね。 いや~、こんな女性、いないっしょ。やはり訳アリだった(汗) しかし令和の今なら、女性からバッシング受けそうな・・ 80年代は、映画全盛期だから、変人監督もいっぱい輩出した。 始まりは、「ロッキーホラーショー」あたりからだと思います。 それはそれで、皆、ファンを獲得したから、映画の可能性を広げたけど・・ 今は、こういう人材の映画監督は出てきにくいね。 [ビデオ(字幕)] 7点(2025-02-28 23:35:20) |
5. つる-鶴-
《ネタバレ》 有名な日本昔話を見事な映像で魅せる。 海外に日本文化を紹介するときに、本作を観せればいいのではないでしょうか? [DVD(邦画)] 8点(2025-02-20 23:35:21) |
6. パリ、テキサス
《ネタバレ》 学生のころ、映画館で観た。年取って、再鑑賞。 自由恋愛って、こんなに燃えるのか! 愛って、こんなに熱いものなのか! いや~、最近の若い人たちって恋愛しないみたいだけど、 皆さん、こんなに熱くなれる経験、できるんなら、した方がいいかも、デス。 若いころは気づかなかったが、 赤と青の映像で、白黒映画ならぬ、赤青映画。 ナスターシャキンスキーの美しさに、うっとり。 苦味のテイストながら、ラストはやった!という感じ。 弟夫婦がかわいそうではあるが・・ [ビデオ(字幕)] 8点(2025-02-07 00:04:27) |
7. 古井戸
《ネタバレ》 チャンイーモウが、俳優として出演。 後の彼の「初恋のきた道」につながるような女の子も出てくる。 井戸を掘りあてなければ、村の存亡にかかわる。 村の人たちが必死に井戸を掘りあてようとする。 しかし、思うようにはならない。 ここで、落盤事故で、旺才という青年が死ぬ。 そこで少女は悲しさのあまり、愛し合うのだが、その相手が死んだ旺才? この辺から意味が分からなくなる。 中国特有のファンタジーなのかもしれない。 その後、旺才は名前を変えて、いつものようにみんなと井戸を掘る。 これは、旺才が神になったということではないか? それで少女は村を出る。 観たことない展開である。 [ビデオ(字幕)] 7点(2025-02-01 12:06:33) |
8. チャーリング・クロス街84番地
《ネタバレ》 好みです。 ロンドンの古書店とNYの作家の、本のやり取りを通じて、 いつしか互いにとって大事な存在になっていくという話。 英国文化の気品を感じさせる作風。 フランス映画ともイタリア映画とも違う、 「炎のランナー」にも感じられた気品あふれる映画でした。 人生、ふりかえってみれば、こんなやりとりが、 心に残る時間だったと思うのでしょう・・ ホプキンスが「日の名残り」のような感じのいい初老の人を演じている。 [DVD(字幕)] 8点(2025-01-19 14:29:09) |
9. ツィゴイネルワイゼン
《ネタバレ》 自分らの世代には、夢中になったルパン三世の映画監督として、鈴木清順の名は刻まれた。 それがこんな大監督だったとは・・ 互いの妻を交換しようとか、昨日女を死なせてきたとか、 とかく無茶苦茶な男を、原田芳雄が怪演している。 そこに芸者と、もう一人そっくりの女が出てきて、この二人の女が この男の連れ合いになる。まるでヒッチコックの「めまい」を観ているかのような 不思議な感覚に襲われる。これが着物の美しさと波長が合い、 幽玄の美を醸し出す。 楠田道代の美しさも、ここに花をそえる。 大谷直子の地味な美しさが、後半、効いてくる。 あの世とこの世の間の、女性の美しさは、地味な女しか醸し出せないものかもしれない。 思ったより、目が離せなくて、あっという間の2時間20分だった。 傑作! [DVD(邦画)] 9点(2025-01-12 21:19:14) |
10. 暴走機関車
《ネタバレ》 黒澤さんの脚本では、最初から最後まで、機関車のシーンらしい。 話が進むにつれ、乗っている人が脱獄囚とわかる仕掛けみたいだ。 本作では、刑務所のシーンから始まり、二人の人物にフォーカスを当てる。 これはこれで、面白い。 また、いかにも黒澤さんらしいと思って観ていた、所長と脱獄囚の男と男のバトルも 実は、後から付け加えられたものだという。 う~む、それでは、黒澤映画は、どんなものだったか? 機関車内部の密室劇だったものと思われるが、実現しなかったのは残念だ。 本作も悪くはない。 ちなみにラストの特攻シーンは、BGMのヴィヴァルディのグロリアミサも、 リチャード三世のセリフも黒澤案という。 観たことない黒澤映画の可能性をつみとった時代が憎い。 [ビデオ(邦画)] 7点(2024-11-16 21:24:25) |
11. ドゥ・ザ・ライト・シング
《ネタバレ》 ヒートアップしていく様は凄い。 平和な町が、どんどんヒステリックになっていく。 黒人差別のマグマが噴き出る様を、スパイク・リーが丁寧に描く。 イタリア系移民と黒人の衝突。 まぁ黒人の街に、イタリア系が店を出してるとこから、波乱含み。 何より、みんな愛情があるのに、こんな結末じゃぁなぁ・・ 体が大きいが、ラジカセ持ってるだけの(まぁウルサイですが)大人しい黒人を、殺すのは、やっぱり酷い。 最後のマルコムXの言葉がきつい。 「私は暴力を擁護する者ではないが、自己防衛のための暴力を否定する者でもない。 自己防衛のための暴力は、暴力ではなく、「知性」と呼ぶべきである。」 移民国家アメリカは、簡単ではないみたいだ。 スパイクリーの「マルコムX」も観てみたい。 [DVD(字幕)] 7点(2024-11-10 23:49:56) |
12. 幸福(1981)
《ネタバレ》 刑事ものの秀作。 だが、テレビの刑事ものと同じような鑑賞後の印象しか残らないため、 目立たない作品になっている。 ここで傑出しているのは、水谷豊の人間性。 あ~こんな人、もっといてもいいよなぁと思ってしまう。 その後、水谷は機械みたいな人間を演じることが多くなるのだが、 この作品の水谷みたいな俳優、もっと欲しい。 何というか、ギラギラしたとこがないんだよなぁ・・貴重な存在。 [DVD(邦画)] 7点(2024-10-20 23:09:23) |
13. スパイナル・タップ
《ネタバレ》 ふ~ん、今度レンタルでこのバンド、探してみるか・・ しっかし、適当な歌詞だなぁ・・ アメリカって、こんなに人間がデタラメなの?? 架空のバンドと気づいてからは、失笑映画なんですね、これ・・ それにしてもアメリカ人は遊びが好き! 大真面目に演技してる(笑) [DVD(字幕)] 7点(2024-09-12 23:28:58) |
14. ヒドゥン(1987)
《ネタバレ》 80年代は、面白いアイデア勝負のB級映画が多かった。 それもこれも、カーペンター監督のおかげなのだが・・ どこかで見た顔と思えば、フラッシュダンスの社長さん。 考えてみれば、こんなエイリアンもの、アメリカでしか創られてないね。 まぁ日本にも、探せば、アメリカの影響受けて創られた、こんなB級映画あるかもね。 そういうの探すのも、映画の楽しみの一つですね♪ ※レビュー見てたら、初代ウルトラマンが元祖説!?すごいな・・ [DVD(字幕)] 7点(2024-09-10 23:00:04) |
15. ビクター/ビクトリア
《ネタバレ》 ゲイのミュージカルに、女装した謎の美声の美少年。 それが「サウンドオブ~」のジュリーアンドリュースなんですね! つまり、ボーイッシュな女性が、女性のフリをする美青年のフリをするという 倒錯した世界らしい、こんがらがった役どころを演じています。 面白いのは、そんな美少年をほっとけない、ギャングとも渡り合う実業家が出てきてから。 ホントに男なのか、風呂まで覗いてしまうんですね。 二人は結ばれてからが大変。 ゲイとは取引できないとかギャングにすごまれたり、笑ってしまう展開がミソです。 最後は相方のゲイ、ビクトリアがビクター役に扮し、笑いで包まれて、終わり! センス良い美少年ぶりに、品のいい80年代のアメリカ映画を感じます。 [DVD(字幕)] 7点(2024-05-11 22:20:51) |
16. ブロンコ・ビリー
《ネタバレ》 才色兼備のソンドラロックとの共演が多かった頃の映画。 女性にモテモテだったイーストウッドだが、ロックを見捨てておけなかったんだろうね・・ その辺の男女のギクシャクからラブラブになる様子がこの映画で描かれている。 (ネットで調べると、イーストウッドの実人生の女性観が「え!?」ってことが分かる) 彼らにとって青春の一本。 いよ~、お二人熱いねって感じです。 カウボーイハットが似合うイーストウッド。 カウボーイハットアメリカンの今を描いた「運び屋」や「クライマッチョ」も好きな作品です。 [DVD(字幕)] 7点(2024-04-14 00:25:56) |
17. ブレイズ
《ネタバレ》 評価のついて回らない、女好きの実力派を演じさせると、 とかくポールニューマンは渋い! いやぁ実話なんですね。 アメリカらしい話だなぁ。 政治家とストリッパーの愛の話。 ちょっと失礼かもしれないが、 野村監督とサッチーを思い出した。 曲者には、裸一貫で生きてる女性の方が相性がいいのかもしれない。 (サッチー、失礼!汗) [DVD(字幕)] 7点(2024-03-14 22:05:49) |
18. フランスの思い出
《ネタバレ》 都会の男の子を預かることになった田舎の夫婦。 最初は、おませな同年齢の女の子とコンビを組んで、楽しく(意地悪もされながら) 田舎の日々を暮らす。 慣れてきたころ、母の出産を知らされると同時に、 父親の不在に、田舎の叔父がすっぽりはまって、実の父親の愛を疑う男の子。 そこで教会の屋根に登り、村中、大騒ぎ。 そして、別れ。 温かく素朴な田舎の夏休みを終え、これから男の子はどう暮らすのだろう。 多分、戻った都会では、友だちはできず、田舎の日々を胸に抱き、大人になってくんだろうな・・ [DVD(字幕)] 8点(2024-02-07 14:55:35) |
19. ダントン
《ネタバレ》 人類史上、最高の法廷劇といえる。 かくいう私も、民主主義の歴史ってなに?って思いました。 元理系なもので・・(失笑) ただ、ヤマ場のロべスピエールのスピーチのいかがわしさは理解できた。 なんなら自分たち委員会を裁いてみるかい?って彼が言ったとき、 議会の一人が、委員会は完璧だとか言うもんだから、 そのままスピーチが続いて、ダントンの議会での発言がなくなっちゃうんだよなぁ・・ ほんの一瞬のことで、委員会のいかがわしさが放置されてるんだよなぁ・・ ちょっと「?」のあった映画だったけど、 社会派ワイダ監督の渾身の一作。 [DVD(字幕)] 10点(2024-01-22 01:32:18) |
20. ダウンタウンヒーローズ
《ネタバレ》 山田監督らしく、汚いバンカラに囲まれた、凛とした女性が絵になるねぇ・・ 時代設定は、サザエさんの時代と同じころ。 懐かしい昭和の中、凝縮した面白さが詰め込まれてる作品。 松山と言えば、伊丹万作や伊藤大輔の出たところ。 ブラタモリで愛媛やってたけど、闘牛が娯楽とか、気性の荒い人が本当にいそう。 ギバちゃんの存在の説得力がありそうな町ですね。 しかし、なんだな、渥美さんのお婆さんの演技は、なんか得したって気がするねぇ♪ 山田さんのピリッとしたところが出てて、良かった。 才気ばる監督じゃないんだよねぇ、憎い。 本当に巧い。 [ビデオ(邦画)] 8点(2023-12-11 02:30:06) |