1. 空軍大戦略
《ネタバレ》 バトル・オブ・ブリテンに、空軍大戦略なんて邦題つけたやつ、でてこーい!! という感じですね。イギリスをまず空襲してって戦略を取ったのはドイツ側。イギリスは後付けで恰好つけてますが、戦略なんてものはなくて、必死に戦術的空戦で耐えてただけですなんですよ。だから、この邦題ならドイツ側の物語を描かなきゃなのにねえ。 制作時期が時期だけに、実際とはちょっと合わないんですが、実機いっぱい出てて、そこはオタ的には楽しいです。 でもまあ、スピットファイアがこんなに凄い、メッサーシュミットは強敵だったってのを強調しすぎると、やっぱり日本人としては興ざめしますよね。 なんで、ドーバー超えて往復するだけで空戦時間があんなに限られるの、って。 空戦性能が両機より圧倒的に上だった初期型零戦(米軍の戦後評価)でさえ、渡洋戦闘できたのにねえ、って。 Bf109に落下式増槽がガッツリ装備されてたら、英軍ってどうなっちゃたんでしょうね。 [DVD(字幕)] 5点(2025-01-26 16:48:35)《新規》 |
2. 大脱走
《ネタバレ》 久しぶりに見たけど、やっぱり面白いねえ。 役者は豪華ですね。途中でバイクが変わっていたり、撮影のミスも牧歌的で面白い。 ただ、作られた時期的に、二次大戦、特に欧州戦の知識がないと分かりにくい映画ではあるから、面白さを汲み取れない人も増えているかも。 テンポが現代とはちょっと違うし、伏線を読み取れない層も多くなってきているし、配信や家で見る人たちはなかなか集中力が続かないらしいので、昔の大作映画が軒並み貶されてきているという評論も読みました。この評論はそこそこ合っていると思います。 ここの感想を読んでいると、ユダヤやロマの強制収容所と、捕虜収容所の違いが日本人にはこんなにわからないとは思わなかった。 ユダヤ人などの収容目的と、自国の捕虜との交換のためにも捕虜の待遇をちゃんとしたものとしなければならない捕虜収容所の収容目的は完全に異なります(ハーグ条約もあるし)。 親衛隊とドイツ国防軍の対立感情もわからないと、この映画は理解しにくい。 また、生きて虜囚の辱めを受けずの日本軍と異なり、捕虜となったら脱走を試み後方を攪乱せよという英米軍の違いも意外に知られていない。 ということは、なかなかこの映画の意図を汲み取れていない人が多いということですねえ。残念なことです。 [映画館(字幕)] 8点(2025-01-13 21:05:47) |
3. 妖星ゴラス
《ネタバレ》 妖星ゴラス。このなんとも不思議な題名が興味をそそります。 黒色矮星が地球を直撃して人類が絶滅の危機を迎える。これを官民一体となって大作戦で回避する。ただそれだけなんですが、この映画は今となっては知る人ぞ知るマニア映画になってます。後の日本や世界のSFやマニアに多大な影響を与えました。 宇宙から天体が地球を直撃する危機の映画は昔から有って、今なら、小惑星の「アルマゲドン」、ブラックホールの「さよならジュピター」当たりが代表作ですかね。また、官民一体となって対策する点は、ある意味「日本沈没」や「ゴジラ-1.0」のご先祖さまとも言えましょう。ただ、本作が異彩を放っているのは、危機天体を破壊するのではなく、地球を動かして逃げる、という1点です。地球を動かす、この考え自体は映画界にははるか昔からあったようで、膨大なエネルギーを必要とするから実際には無理という常識的な考えから単純に採られなかったんですが、この映画はそれをやっちゃった。コロンブスの卵、これこそ、センス・オブ・ワンダーです。その後、様々なSF作家が真似をしてます。「トップをねらえ2」なんて、地球ごと質量兵器にしてますものね。2024年には、アメリカの議員さんが、地球温暖化対策として地球を外側に動かそうなんて真面目な提案をしたそうです(阿呆だな~、というのが議会の反応で・・・アメリカって素晴らしい)。 地球移動は制作当時、できる限り計算して、可能と考えてやったというのですが、まあ素人目に考えても無茶な嘘です。動かすエネルギーをたった二年でどこからどう持ってくるのか。核爆発でさえ毎秒5個爆発させて数万年のオーダーがいるのです。これ、ちょっと無理。 映画的な嘘は一杯あります。黒色矮星なんて、現在の宇宙には一つもないと考えられてます。白色矮星が冷えると黒色矮星が理論上存在可能ですが、冷えるのに現在の宇宙が過ごした時間以上を必要とするし、よしんば実在したと言っても、一切の電磁波を発しないので、現在の科学でもほぼ観測不能です。技術的にも、隼号・鳳号は単段式ですから、地上から直接宇宙に出ることはできません。それに、地球が現在の軌道からほんの少し動けばそれだけで、別にゴラスが近づかなくとも地上は大災害。これらは黒色矮星を除いて製作当時にもわかってたことですが、映画の嘘だからと強行したらしい。 でも、いいですね、そんな大嘘ついても、科学を信じる、未来を信じる、国際社会を信じる、当時のイノセントな世相が良く出てます。いい時代だったんですねえ。私はこの映画の雰囲気が好きです。だって、製作1962年ですよ。戦後17年でこれをやった。人類の宇宙飛行が実現したのは、ガガーリンの1961年。その翌年にこれですよ。高度経済成長なんかまだ先の話、その時代にこれを作った、その心意気や良し、です。 ただ、その~、制作技術が追いついていない。この6年後にキューブリックが出してきたのが「2001年宇宙の旅」です。ええと・・・ あと、東宝の悪い癖も出てる。クランクアップ直前に、せっかく円谷が絡むのならと上層部がねじ込んできた怪獣マグマ。監督や脚本が最後まで大反対したのに、結局入れられちゃった。海外版では全カットされているそうだから、意味なし登場なのは普通にわかりますよね。ちなみにマグマの登場するシーンは本来の監督ではなく、円谷英二が演出したそうです。また、マグマの操演の一人に、ゴジラ俳優の中島さんがいるそうで、マニアは喜んでますが、蛇足は蛇足。はるか昔に見たときも、今見直してみてもやっぱり蛇足感は否めません。オトナの事情で金井役の役者を最終盤まで登場させる便法として記憶喪失にさせたのも意味はありませんね。 ただ、悪い映画ではありません。テンポはいいですし、役者もみんながみんな上手いわけではないですが、当時の人気俳優が特撮映画を真面目にやってます。しかも、妖星ゴラスは周辺を探っていくと、いくらでも面白いエピソードが出てくる不思議な映画です。ラスト水没シーンは、実際に川にセットを沈めて撮ったけど、未だにそれが荒川か利根川か論争があるとか。作中のジェットビートルはウルトラマンに流用されたのか、金型だけ流用されたのか、とか。いつまでも楽しめる不思議な映画としか言いようがないです。私は推しますよ、この映画。 [映画館(邦画)] 8点(2025-01-08 20:43:15)(良:1票) |
4. 男と女(1966)
《ネタバレ》 ダバダバダのあのボサノバが流れるなか、アヌーク・エーメの美貌に見とれる、雰囲気に酔う、古き良きフランスを感じる、ただそれだけの映画です。そう、恋愛映画なんて筋や深い考えなんて要りません。「ティファニーで朝食を」と同じ。ただ、フランス映画、しかもクロード・ルルーシュだけに、おしゃれ感はこちらの方が数段上ですかねえ。 あと、評論とかでは「普通の」男と女を描いたとか書かれますが、職業からして全然普通じゃないですから。クロード・ルルーシュは普通の人は描けません。 [映画館(字幕)] 7点(2024-05-10 07:46:02) |
5. ティファニーで朝食を
《ネタバレ》 冒頭、ムーンリバーが流れるなか、オードリーがティファニーの前でデニッシュを食べ始める、もうこの時点でおしゃれ感満載。ムーンリバーをギター弾きながら歌うオードリー、可愛すぎる!!猫ちゃん、猫ちゃん!! ほぼこれだけを見る映画です。そう、恋愛映画なんて筋や深い考えなんて要りません。特に今作は、原作とは全く別ものに仕立てられているので、考えずにオシャレな感性だけで見るのがいいんです。いろいろ考えたい方は原作を読めばいいんです。でも旧訳も村上春樹の新訳も微妙ですけどね。 日本人の描き方はさすがにあれですが、この映画が撮られたのは1960年。終戦15年で敵国の人間を出すだけえらいもんだと思っておきましょう。原作に見られるゲイっぽい描写は、当時のハリウッドの雰囲気から削られています。ポリコレ必須の現代とはずいぶん違いますよね。 ただ、正直言うと、このころオードリーは出産してますし、ちょっと老け始めが見られるのでローマの休日ほどの神々しさはだいぶん薄れてます。あと、字幕もちょっと引っかかる。映画では「ラット」と「マウス」を使い分けてるんですが、字幕ではいっしょくたに「ネズミ」とかね。 [映画館(字幕)] 7点(2024-05-10 07:41:02) |