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プロフィール
コメント数 2458
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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1.  花嫁はエイリアン 《ネタバレ》 
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』がもちろん代表格だけど、80年代SFコメディは40年後の現代でも観ていて愉しくさせてくれるから嬉しい。この映画も冒頭のトム・ジョーンズからしてバブル時代のうきうきした雰囲気が伝わってきます、そりゃあ音楽担当は『バック…』と同じアラン・シルヴェストリですからね。男やもめのどん臭い科学者というのはダン・エイクロイドお得意のキャラですが、やっぱコメディエンヌとしてのキム・ベイジンガーの魅力がもっとも堪能できるのは間違いなく本作でしょう。このころの彼女はその美の絶頂期だったし、ウエディングドレス姿も含めて彼女の色んなファッションも眼を愉しませてくれます。あとエイクロイドの13歳の娘もなかなかキュートで良かったですね。この映画ではストーリー云々に突っ込むのはそりゃナンセンスですよ。愛すべきおバカなストーリーのラストで、円盤からステファニー王女軍団が現れて主人公の弟ロンがロールスロイスごと宇宙に旅立っちゃうのには笑わせていただきました。こんなおバカな終わり方のコメディ映画は、滅多にお目にかかれないでしょう。こういうノリのコメディ映画は、もうハリウッドでは製作されないのかなあ…
[CS・衛星(字幕)] 7点(2024-11-20 22:14:15)
2.  モンスター・パニック 《ネタバレ》 
ご存じロジャー・コーマン製作のモンスター・ホラーだけど、さすがに彼がむかし量産していたZ級ドライブイン・ムーヴィーとは違って80年代ともなればぎりぎりB級に近いC級程度には仕上がっています。ヴィック・モローやアン・ターケルといったそこそこ知名度がある俳優も使っていますし、若き日のジェームズ・ホーナーや駆け出しのころのロブ・ボッティンまでスタッフに名を連ねているんですから、若き才能者を見出して搾取する彼の目利き力はたいしたものです。でも監督の女性とはかなり揉めたみたいで、彼女が拒否したおかげでヌードやレイプまがいのシーンは助監督などが追加撮影したんだって。あわや監督が名を出すことを拒否した場合に使われるアラン・スミシ―名義になるところだったけど、コーマンが追加撮影などにかかった費用を負担しなければ認めないと突っぱねたそうです。そのうえアン・ターケルからもクレジットから外してくれと言われる事態、準主役キャラの俳優がそんな要求をするなんて聞いたことがないです。 主役のロブ・ボッティン謹製モンスターは、サケの成長促進のためにDNAをいじった小魚をシーラカンスが食べて半魚人化したという代物、なんで北米太平洋沿岸にシーラカンスがいるんだよ!ってのは置いときます(笑)。でも40年以上前にDNA操作をネタにするとはその先進性は褒めてあげたいが、説明がDNAとウイルスを混同していてこれは失笑でした。こ奴はロブ・ボッティン作だけあってけっこうなグチャグチャぶり、砂浜でビキニ女を襲った際にはわざわざ裸に引ん剝くので「こいつはエロ半魚人か」と突っ込んでいたら、なんとレイプしていたことが後に判明、妊娠させてラストにエイリアン丸パクリの出産と相成りました。ラストではモンスター映画お約束のフェスティバルでの惨劇となりますが、かなりのスプラッター映像で気合いが入ってます。でも半魚人自体は全然強くなくて、ライフルでバンバン撃ち殺されてしまうのがちょっと哀れ。 まあこれじゃ監督が逃げ出したくなったのは判る気がします。そして違う人が監督したエロ・グロのシーンが明らかにタッチが違うのが判りますよ。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2024-11-11 20:47:13)
3.  ミステリー・トレイン 《ネタバレ》 
“何も起こらない映画”の名手ジム・ジャームッシュ、初期作にはそんな称号が相応しかった作風が“大した事じゃないけど何かが起こる”風に変わってきた中期の作品です。メンフィスのホテルに泊まった三組の登場人物たちの一夜の体験を時系列をずらして群像劇として見せるというのはもうジャームッシュ版の『パルプフィクション』ですけど、タランティーノが撮る五年も前の映画なんですよね、これはタランティーノがパク…いや多大なる影響を受けたと言っても過言じゃないでしょ。バブル全盛期だった日本からJVCが出資したので永瀬正敏と工藤夕貴がキャスティングされたのかもしれませんが、二人は日本語で演技して他のアメリカ人俳優とはほとんど絡みはないけど、なんか二人のセリフ回しが(とくに工藤夕貴)拙く聞こえちゃうんだよな。やっぱ外国人を起用してその母国語で演技させると、監督には外国語なのでセリフ回しのニュアンスあたりには理解が及ぼないんだろうな。二人はしっかりエッチまでしてくれるけど、工藤がタバコを吸って永瀬に口づけしてその紫煙を長瀬が吸い取って吐き出すところは他に観たことない斬新なシーンでした。さすが『コーヒー&シガレッツ』のジャームッシュ、タバコに関しては拘りがありますね。二話目でニコレッタ・ブラスキにインチキなエルヴィス怪談で怖がらせてケチな寸借詐欺を仕掛けるトム・ヌーナン、なんせあのトム・ヌーナンですから怪談噺よりお前の存在自体がよっぽど怖いわ(笑)。そして三話目のスティーヴ・ブシェミたちの酔っ払いトリオの愚行には笑わせていただきました、こういうシチュエーションを演じさせたらスティーヴ・ブシェミはやはりピカイチです。 ①ホテルの宿泊代が一部屋22ドル②ジョー・ストラマーが酒屋で注文した酒代が22ドル③そして三人がホテルで割り当てられた部屋が22号室、この映画ではやたらと“22”という数字が出てくるんですよ、こういう拘りというか遊びがちりばめられているところがジャームッシュらしいところなんです、まあ意味不明ですけどね。あと、メンフィスからローマへの直行便は有りません、この人は『ストレンジャー・ザン・パラダイス』でもフロリダの田舎空港からブダペスト行きの直行便を飛ばした前科がありましたっけね(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2024-10-31 21:09:51)
4.  探偵マイク・ハマー/俺が掟だ! 《ネタバレ》 
考えてみれば、原作は読んだことないしマイク・ハマーが出てくる映画と言ったら『キッスで殺せ!』しか観たことないし、確かに『キッスで殺せ!』のハマーとはかなりイメージが違うところはあります。でもどちらも助手がセクシーな美女だという共通点もあるし、製作された時代の違いはあるけど妙にエロに力が入っているところも似ているかな。原作が出版されたのが40年代ですから設定や時代背景は当然アップデートされていて、マイク・ハマーはベトナム帰還兵でなんかよく判らんが軍やらCIAが絡んだ陰謀に巻き込まれるというお話しになっとります。何が起こっているのかよく判らない説明不足気味なストーリーテリングはハードボイルド映画のお決まりなのですが、アーマンド・アサンテのマイク・ハマーがあまりにカッコ良いんでそんなことあまり気になりませんでした。私立探偵にしては珍しく愛銃がブローニング・ハイパワー、こいつは弾倉に13発も詰め込んでいる軍用拳銃で、そりゃ戦闘力は強めです。愛するペットは熱帯魚なんだけど、外出するたびに何匹か死んでしまって嘆くのが可笑しい。彼アーマンド・アサンテはイケメン過ぎて主役スターを喰っちゃうのか脇役で使われることが多い俳優だが、こうやって主役を張ると改めていい役者だなあと再認識させられました。B級ながらもテンポがよくアクションもキレてるし良作だと思います、ただ難点としてはいろいろ詰め込み過ぎて判りにくいストーリーだったということかな。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2024-10-19 21:58:20)
5.  戦争の犬たち(1980・アメリカ) 《ネタバレ》 
未読だが、原作は緻密な背景描写とフォーサイス自身が係わった闇社会の武器取引をリアルに落とし込んだいかにも彼らしい作品らしいが、本作はそのドンパチ要素以外をかなり端折っているので、成功した映像化とは言い難いらしい。どこまでが明かされているのかは真偽不明だけど、本作の様な独裁者打倒のクーデターをアフリカで実行しようとしたなんて、こんなぶっ飛んだ作家はもう現れないことでしょう。 監督がジョン・アーヴィン、これが劇場映画デビューでこの人は後に『ハンバーガー・ヒル』や『プライベート・ソルジャー』などの戦争映画の良作で名を残す人です。やっぱ本作ではクリストファー・ウォーケンの存在感が光っていて、彼を引っ張ってきたのは脚本のリライトに係わったマイケル・チミノだったそうで、やっぱこの頃はウォーケン&チミノは名コンビというか腐れ縁だった感じですね。彼がこの映画で使用するまるでおもちゃみたいなグレネード・ランチャーXM-18は実在の銃なんだそうでですが、確かチャック・ノリスもなんかの映画で使っていた記憶があり、出てくるとB級映画っぽくなるのは困ったもんです。端折り過ぎてクリストファー・ウォーケンのクーデター計画が判りにくいしロマンスめいたエピソード余計だったとしか言いようがないけど、サクサクとストレスなしに観れるのは良いんじゃないかな。フレデリック・フォーサイスの作品は、どれも映画化するには尺が最低三時間は必要ですね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2024-08-30 23:33:41)
6.  炎のランナー 《ネタバレ》 
自分は前回の東京オリンピックのゴタゴタで、巨大ビジネスと化してしまったオリンピックというお祭り騒ぎにすっかり嫌気がさして興味もなくしてしまったので今回のパリ・オリンピックはいっさい観てもいないが、ここで100年前の同地でのオリンピックを振り返ってみたいと感じて本作を観返してみました。 ハロルド・エイブラハムとエリック・リデルはもちろん実在のメダリストだけど、この映画の中では二人のアウトサイダーと大英帝国とのそれぞれの係わりを興味深い対比で見せてくれます。エイブラハムはユダヤ人移民の出自でリデルはスコットランド人の長老派教会の宣教師、両者とも大英帝国のエスタブリッシュメントからすればイングランドに飲み込まれた異邦人なんです。ハロルドは裕福な家庭で育ちケンブリッジに学ぶ頭脳の持ち主だが、レースで勝つことでユダヤ人というハンデを消したいと熱望する男。英国はロスチャイルド家が爵位を得たりベンジャミン・ディズレーリが宰相に昇りつめたりしているが、ユダヤ人を差別はしないが区別はするというのが英国社会の本音、要は利用できるものはとことん利用しますけど…という感じです。エリックは早く走れることは神が与えてくれた能力で、これを活かして神の御業を称えたい、というコチコチのキリスト者。両人とも、自己の信条をエスタブリッシュメントが求める国家や大学に対する忠誠のためには絶対に曲げないタイプ。対して真のエスタブリッシュメントの一員であるリンゼイには走ることは彼にとって遊びの一つであり、オリンピックでも何の気負いもなく400m走の出場権をエリックに譲る。この三者の生き方の違いを上手に脚色した素晴らしい脚本だと思います。 それにしても100年前のオリンピックの素朴なところと言ったら、100年後と較べると町内会の運動会を見ているような感じです。あとこの大会の参加は44国・地域だったそうですけど、異様なほど有色人種の選手が観れずまさに“白すぎるオリンピック”という感じです。日本はもちろん参加してましたし開会式のシーンではトルコの国旗もチラッと見えましたが、まだアフリカやアジアはほとんど列強の植民地だったころなのでしょうけどね。でもトラック競技で黒人選手がまったくいないというのは、現在の視点ではちょっと異様な感じがします。アメリカ選手団の練習風景では、一人だけ黒人選手がチラッと映りましたけどね。 今やあまりに有名なヴァンゲリスのテーマ曲や海辺を走る映像はもはや映画遺産といって良いでしょう。やっぱ本作はスポーツがテーマの映画としては最高峰なのかもしれません。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2024-08-21 23:05:37)(良:1票)
7.  ミッション 《ネタバレ》 
これは史実ではあるんだけど、“ローマ法王の斬りこみ隊”の異名を持つイエズス会がなんでカトリック国であるスペインとポルトガルから弾圧を受けたのかが正直良く判らん。これには色んな事情があったんだろうが、大航海時代を迎えて世界を二分するかのような国力を蓄えた両国にとって世俗の問題に口を挟むローマ法王の存在が邪魔になってきたってことなんでしょうか。新教勢力もどんどん拡大していたし、たしかに17世紀以降になるとカトリック=ローマ教会の影響力が爆散していったのは否めないでしょう。物語の語り手となるイエズス会の弾圧命令を伝えに来訪した枢機卿が、神父たちや村民の虐殺をまるで第三者のように傍観するだけの無力な存在なのは象徴的です。 まるでヴェルナー・ヘルツォークの秘境もの映画を見せられた様な壮絶な映像には圧倒されます。とくに二度も見せてくれる滝落ちシーンは息を飲まされます。このシーンは途中からは人形が使われていますが、それでもスタントマンたちからはあわや拒否されそうになったとか、そりゃ無理もないですよね。今作のデ・ニーロは目立たないというか表に出ない抑えた演技に終始していますけど、それでもジェレミー・アイアンズとのコラボには感慨深いものがあります。ロバート・ボルトの脚本は明らかにカトリック教会寄りですが、それでもジェレミー・アイアンズが劇中で何度も強調する“神の愛”には、ラストまで観ると疑問を抱かざるを得ないような構成になっているのは上手い。あくまでわき役でしたが、とても聖職者には見えないリーアム・ニーソンの最後の戦いでの活躍には胸が熱くなりました。音楽はモリコーネで、「自分の仕事の中で、この映画の曲がいちばん好きで誇れる」と生前語っていたぐらいで、たしかに素晴らしかったです。 しかし昔から住民がいる土地に攻め込んで勝手に領土を設定して線引きするスペインとポルトガルは、なんとも非道な国家だったとしか言いようがないですね。ほんと日本は早めにポルトガルやイエズス会と縁を切って大正解でした。その後両国とも急速に国力が衰退して世界に影響を及ぼさない存在に落ちぶれてしまったのは、ほんといい気味だとしか思えません。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2024-07-03 21:59:54)
8.  翔んだカップル オリジナル版 《ネタバレ》 
そうか、これが相米慎二の監督デビュー作なのか。一作目からして相米流映画術が完成しているというか、その後もブレずに同じように映画を撮り続けられたのいうのがある意味尊敬に値します。また薬師丸ひろ子の初主演作でもあるけど、てっきり角川映画だと今まで思っていたけど実はキティフィルムの製作だったと知って今更ながらちょっとびっくり。だから相米慎二の好き勝手に撮れたわけでしょうね。アイドル主演映画なのに、薬師丸のアップが極端に少なくて引いたカメラアングルを多用するなんて、角川春樹なら許すはずないですからね。他の鶴見辰吾・尾身としのり・石原真理子も含めて皆まだ十代、相米に四人まとめて「ゴミ、ガキ」と貶されながらの演技は、薬師丸の主演女優人生のスタートに強いインパクトを与えたことは間違いないでしょう。また肌が合わない人には耐えがたいような相米演出の独特な臭みには、賛否が分かれたことんじゃないかな。クジラの風船がフワフワと漂うシーンなんかは、特にね。でも私は石原真理子の部屋に薬師丸が訪ねてきて鶴見と大喧嘩するところ、そしてラス前のあのもぐら叩きのカットなんかは、好きですねえ。できればあのもぐら叩きのところでバサッとエンドにした方が、ずっと良かったのにと思う次第です。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2024-03-23 22:47:36)
9.  バイオレント・サタデー 《ネタバレ》 
言わずと知れたペキンパーの遺作、でもとてもペキンパーが撮ったとは思えないメタメタな出来。大体からして邦題から酷い、原題は『オスターマンの週末』なのだがもろに『ブラック・サンデー』いじり倒したような発想、「週末なんだからサタデーで良くね?」という感じで決めたんだろうな。ペキンパー自身はこのロバート・ラドラムの原作小説および脚本を嫌っていたそうですが、死期の迫った体調ながらもスケジュールだけはしっかり守って完成させたらしいけど、プロデューサーによっていろいろといじられた様な感はあります。いちおうペキンパー印のスローモーション・カットは健在ですけど、どうでもいい様な使われ方で全くどうしちゃったんでしょうかね?マスメディアがビデオ時代になってきている時世を反映して、ジョン・ハートがビデオカメラを通じて作戦を遂行してゆく設定は面白い。何を考えているのか判らない不気味さもイイですね。でもこの映画最大の敗因はとにかくストーリーが判りにくいところで、脚本が整理できていないのかはたまた原作自体に問題があるのか、多分編集段階でカットしすぎたのかもしれませんね。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2024-03-08 22:20:13)
10.  ザ・フォッグ(1980) 《ネタバレ》 
ジョン・カーペンターの初期ホラーとしては、本作がいちばんまとまっているんじゃないかと自分は思います。もくもくとまるで煙の様な海霧が町を襲ってきて中から亡霊が復讐に現れるなんて、もう王道の怪談噺なんですよ。すでに80年代になってスプラッター系のホラーが主流になりつつあるときに、グロさを抑えた演出で勝負しようとしたカーペンター親父の心意気を買ってあげようじゃないですか。と言いつつも、イマイチ脚本が判りにくいのと雑なところのも事実。亡霊たちはけっこう殺しまくってた印象があるけど実際は100年前に自分たちをハメた連中の子孫6人だけ、意外と節操がありますね(笑)。この映画ではヒロインと言っても良い様な三人の女性キャラ、ラジオのDJ=エイドリアン・バーボー、町長=ジャネット・リー、ヒッチハイカー=ジェイミー・リー・カーチスが結局なんの交差もなくただその晩に町にいただけという展開は失敗でしょう。少なくともジェイミー・リー・カーチスは必要ないキャラだったんじゃないかな、まあこれは元祖絶叫クイーンである母親ジャネット・リーを引っ張り出すための戦略だったのかもしれません。もっとも本作ではジェイミー・リー・カーチスは絶叫するシーンはなかったですけどね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2024-02-23 23:07:25)
11.  セーラー服と機関銃 《ネタバレ》 
およそアイドル映画とは思えない撮り方の映画、まさに相米慎二らしいと言えるでしょう。薬師丸ひろ子の登場シーンではブリッジしているうえにセーラー服のリボンがかかって顔が見えないし、やたらに望遠レンズや魚眼レンズまで使って薬師丸の顔が小さくしか見えない、アイドル的な女優が主演していてこれほどアップが少ない映画ってのも珍しいんじゃないでしょうか。それまでの角川映画の配給先だった東宝と揉めて東映に変えたという事情もあって、角川春樹がほとんど口を出さなかったというのも大きかったのかも。ストーリー自体はかなり荒唐無稽なんだけど、思った以上にヤクザ映画的なシリアスな撮り方だったと思います。やはり当時を知るものとして思い出に残るのは、この映画が公開された時の薬師丸ひろ子フィーバーの凄さで、まさに社会現象でしたね。そして彼女が歌った主題歌の大ヒット、作者来生たかおのデモテープを聴いた角川春樹は「こんな曲はクソだ!」と言ったそうで、ほんとこの人はセンスがない(笑)。いまやアイドルソングとして80年代を代表する名曲と評価が定まっているのにねえ。有名な「カ・イ・カ・ン」のシーンも、改めて観ると官能的ですらあります。薬師丸ひろ子は御存じのように今や大女優ですが、私の中では青春真っ只中の彼女が映像に焼き付いている本作が一番です。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2024-01-28 23:26:21)
12.  すてきな片想い 《ネタバレ》 
80年代青春映画の巨匠であるジョン・ヒューズのデビュー作。本作で彼の作品の常連となるモリー・リングウォルドとアンソニー・マイケル・ホールが初めて起用されるが、やはりリングウォルドの発掘は大功績だったと言えるでしょう。たしかに彼女ほど同世代女性ファンから支持された女優は稀有で、ほぼ社会現象と言えるレベルでしたからね。この時彼女は15歳、まあ子役とは言えない年齢ながらも若くして脚光を浴びた俳優は伸び悩むというジンクス通りになってしまったのは、残念ではあります。 この映画は数あるヒューズ作品の中でももっとも下ネタがキツいという指摘は的確だと思います。現在のコンプラやポリティカル・コネクトネスの基準からすると、炎上必至と思われる内容があるのも事実です。一人だけ登場するアジア人キャラの扱いや、パーティでのジェイクの言動がいわゆるデートレイプを容認しているようなところなどです。まあ他愛もないコメディなんで目くじら立てるなとも言えるのですが、確かに中国人留学生の描き方はちょっと度が過ぎているって感じます。だいたいからして、全部観たとは言わないけど、黒人がキャスティングされたりストーリーに絡んだジョン・ヒューズの映画が記憶にないんですよね。アジア系とはいえ有色人種が登場するだけでも珍しいとも言えますかな。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2023-12-20 21:39:02)
13.  首都消失 《ネタバレ》 
原作は未読ですが小松左京のSFはシミュレーション的な手法で書かれているのに、ほとんどお涙頂戴といった家族愛メロドラマになってしまってもう観るに堪えない。まず、首都圏が異常な雲のようなバリアに覆われて通信途絶、中に閉じ込められた2000万人余りの安否さえ全く不明なのに、大阪ではサラリーマンが昼休みにバレーボールに興じ浜名湖ではウインドサーフィンで遊んでいる、そんな緊張感がないなんてあり得る?となりますよ。雲の壁の端では宗教団体や群衆が集まって大騒ぎ、屋台まで出てまるでお祭り状態。センスのない歌謡曲みたいな曲をがなっている盲目ロックシンガーまで登場してくると、もう観るの止めようかと真剣に考えましたよ。一介の電機メーカーが造った超音波なんだか知らないがメーサー光線砲みたいな装置をふそうトラックに乗せて突っ込むクライマックス、もうこの脚本はどういうセンスなんだよ!と殺意すら覚えてしまいました。あと関西TVがスポンサーだからとうぜん忖度があったはずなのにこれでもかと見せつけてくれるTV局のマスゴミぶり、この当時のマスコミはマジでこれがカッコいいと思ってたんでしょう。 あとこれは小松左京自身の認識の問題でもあるけど、東西冷戦中の日本国の立ち位置に関しての被害妄想的な捉え方は困ったものです。雲の中に閉じ込められて国家機能がマヒしたからと言って国連常任理事会で日本の主権を停止して信託委任するなんて、いくら何でもそんなバカなと言いたい。仮に大震災が襲って東京が壊滅して政府首脳が全滅したとしても、統治機構は別の地域で臨時にしてもすぐに立ち上がることでしょう。小松左京の世代は敗戦トラウマが根っこにあるので、深層心理としては日本はアメリカの自治領に堕ちてしまったという意識があるんでしょうね。21世紀の現在となって振り返れば、日本は決して傍観者ではなく東西冷戦のプレイヤーの一員だったと解釈できるのにね。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2023-12-05 22:55:05)
14.  恋しくて(1987) 《ネタバレ》 
いやぁ、何度観てもホロリとさせられる80年代青春映画の金字塔、ジョン・ヒューズでないと書けないストーリーです。日本人には想像つかないようなアメリカの高校生活、生徒たちがグレードはともかくとして普通に自家用車を運転している、自分らの頃は自転車がせいぜい、原付で通学する奴もいなかったな。エリック・ストルツが演じるキースは現代日本で言うところのいわゆるキモオタって感じでしょうけど、イケメンすぎて実感がないですな。この超鈍感男や男依存体質のリー・トンプソンを始めあまり感情移入できないキャラばかりが登場するので、メアリー・スチュアート・マスターソンがあまりにいじらしくて可哀そう。ストルツとマスターソンの関係は幼なじみみたいなものなんだろうけど、あそこまで彼女の心情に気が付かないなんて、この男ゲイなのかとすら思えてきますよ。今は怪優的な立ち位置の名バイプレーヤーであるイライアス・コティーズがやばいパンク高校生を演じていますが、彼にも当たり前ですけど若い頃があったんですね。ストルツの父親(『ビバリーヒルズ・コップ』のタガート刑事です)も息子に自分の主張を押し付けるだけの頑固おやじのようでいて、最後にはいい親父だったことを見せるところはベタですけどやっぱいいよね。泣きながら歩くマスターソンをストルツが追いかけるラストは、まさに感動の名シーンです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-11-12 23:26:27)(良:1票)
15.  張り込み(1987) 《ネタバレ》 
80年代に流行したいわゆるバディ刑事もの映画の一つだけど、ラブコメと刑事アクションと緩さがバランスよく結合した佳作です。改めて感心したのは、リチャード・ドレイファスの芸達者ぶりです。考えてみればこの頃が彼のキャリアの絶頂期ですから、これは必然でしょう。80年代に刑事を演じた男優たち(エディ・マーフィ、メル・ギブソン、ブルース・ウィリス、そしてイーストウッド)の中でも、ドレイファスがいちばんリアルで人間味があったんじゃないかな。張り込み対象の女性と出来ちゃうって洋の東西を問わずもっとも刑事がやっちゃいけないこと、描き方を変えれば悪徳刑事になっちゃうところですが、ドレイファスの軽妙な演技と秀逸な脚本のおかげで愉しく観ることができます。けっこうハラハラ・ドキドキさせてくれるストーリーですけど遊びの部分も多く、張り込み中にエミリオ・エステベスと退屈しのぎに映画クイズをしていて「人喰いサメが出てきた映画は?」との問いに「知らんね」とドレイファスが返すところは傑作でした。ラストの対決場が製材所というのはちょっと変わったパターンでしたが、悪役の最期が製材用の鋸でスプラッターかと期待(?)してたのに、予想を見事にかわしてくれたのはかえって好印象でした。使われている楽曲もグロリア・エステファンを始めとする懐かしのサウンドで良かったなと思います。ほんと、80年代独特の雰囲気が漂う良作です。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-09-05 23:06:21)
16.  ペット・セメタリー(1989) 《ネタバレ》 
原作がスティーヴン・キングで脚本も本人が書いているのだからまさに純粋なキング・ワールドなんだけど、この後味の悪さは『ミスト』と肩を並べるぐらい。もっとも『ミスト』のバッドエンディングは映画独自のものなんだそうで、本作のほとんど悪趣味と言えるテイストはキングの本性がむき出しになった感じですかね。キングの家族愛が根底にあるストーリーには陰惨な結末になる傾向が見受けられ、この人の人生経験が反映されているのな。それでも怪談噺としては良く出来ている映画じゃないでしょうか。善玉幽霊として狂言回し的な絡み方をするパスコー君はユニークなキャラですけど、もしキング以外の脚本家なら絶対登場させないだろうな。アメリカには欧州みたいな怪談のネタになるような歴史が無いんですけど、本作みたいに原住民の伝説や霊界を基にしてストーリーを組み立てるのは良いアイデアだと思います。ラストの蘇った息子の暴れっぷりやビジュアルを観ていると、もうこりゃあ『チャイルドプレイ』のチャッキー人形の実写版じゃないですか!親父の注射であっさり冥界に戻されるところなんかはチャッキーと違って可愛げというか哀れみは感じました。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2023-07-10 22:30:44)
17.  バチ当たり修道院の最期
ヘロイン絡みで警察に追われる歌手が駆け込んだ修道院は、尼僧長はヤク中で変な尼僧名がつけられた尼僧たちもみんな一癖二癖もある罰当たりなところだった、とくればどう考えてもコメディ映画だろうと思われるけどね。残念ながら笑える要素はほとんどなく、若きペドロ・アルモドバルの作家性が爆発する珍作でした。考えてみると、私はこの人の映画を観るのは初めて、記念すべき(?)第一作目が本作で良かったのかと考えると、やっぱ失敗でしたね(笑)。ペネロペ・クルスなんかが出ている近作群の評判からは重厚なきっちりとした脚本のドラマ作家というイメージを持っていましたが、この映画に関しては「なんか監督の言いたいことは理解できるような気もするけど、全然伝わってこない」というもどかしい感想しか残りませんでした。これなら同時代のゴダール作品の方がまだましで、若き日のアルモドバルはゴダールには到底及ばない力量だったということでしょう(比べること自体が失礼かもしれないが)。私はこういうタイプの映画作家は苦手です。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2023-06-27 23:22:56)
18.  死霊の罠 《ネタバレ》 
ヒロインの名前が“名美”なので?だったけど、よく見れば脚本は石井隆だったので納得。監督も例の『人魚伝説』の池田敏春、つまりディレクターズ・カンパニー御一行様の製作というわけです。今から観ればバブル時代のカリカチュアライズみたいなメイクとファッションで決めた小野みゆきがTVディレクター、スタッフには小林ひとみと中川えり子という当時のスターAV女優を配し、ワンシーンだけの出演だけどプロデューサーは島田紳助!というちょっと突っ込んだキャスティング。 なんですけど、ちょっと予算をかけたVシネマという程度の出来、いやもっと面白いVシネマはゴロゴロあります。送られてきた謎のスプラッター・ビデオの真相を探りに行ったTV取材陣がいわば“ミイラ取りがミイラになる”というお話しなんだけど、もう脚本がムチャクチャ、ツッコミ入れる気力さえ失せてしまいました。一から十まで説明しちゃうストーリーテリングは問題外だけど、いくら何でもこれは語らなすぎです、おまけにその舌足らずのストーリーの裏を考えようという興味も持てない。“日本初のスプラッター映画”ということらしいですけど、私の観たヴァージョンでは大したことはなく(上映時間が数分短かったので、CS放映用にカットがあったのかも)、でも起用した二大AV女優はいちおうはそれらしき仕事はこなしていました。中盤で謎の男・本間雄二が登場したところで予想した結末通りだったというのも、この脚本の薄っぺらさが偲ばれます。まあそれ以前に、主要キャラたちの演技も学芸会レベルだったしね。貴重な私の人生時間の100分をムダに使ってしまいました。
[CS・衛星(邦画)] 2点(2023-06-12 21:53:00)
19.  殺し屋たちの挽歌 《ネタバレ》 
まるでチョウ・ユンファ主演の香港ノワールのごとき邦題には騙されますけど、純然たる英国ノワールでユニークな視点のロードムービーでした。監督はスティーヴン・フリアーズで、『マイ・ビューティフル・ランドレット』で注目される前年に撮った彼の長編第二作目であります。タイトルバックに流れるギターソロがえらく渋いなと感心したら、なんとエリック・クラプトンの演奏でした。 強盗仲間を裏切って証言をして司法取引でスペインで隠遁生活をしていたテレンス・スタンプ、10年経って出所した仲間に居場所をかぎつけられて拉致されてしまう。このテレンス・スタンプが演じるのが実に不思議なキャラで、捕まるときこそ抵抗したけどボスが待つパリにまで護送される間は悟りきったように穏やかで、派遣されてきた殺し屋には協力的。この殺し屋二人組がジョン・ハートとティム・ロスで、途中で行きがかりで女を一人誘拐することになり、ほとんどこの四人で進行するスペインからパリを目指す奇妙なロードムービーとなるわけです。このジョン・ハートが演じる寡黙な殺し屋は印象深いキャラで、有能なのかはともかくとして非常に冷酷な男で、警察に通報しそうに思える目撃者を躊躇なく殺してゆくのです。コンビを組む若造がティム・ロスですが、当然ですけど若々しくて金髪なので始めは彼とは気づきませんでした。面白いのは処刑台へ歩かされている死刑囚のような立場のスタンプが、逃げるチャンスは何度もあるのにまるでガイドの様にハートたちを導く理解しがたい言動で、それに二人が翻弄されてゆくところでしょう。若いロスの方は女に情が移り気味でスタンプの影響が顕著になりますが、けっきょくハートには通じずに悲劇が訪れます。 「お前は運が良い」と女だけは殺さなかったハートが、その為についに国境を越えられなかったラストは予想通りの展開ですけど、まだ駆け出しの頃のスティーヴン・フリアーズの才気は十分に堪能できました。この映画のジョン・ハートを観ていると、『ジャッカルの日』でジャッカル役でも良かったんじゃないかと思うほどでした。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-06-06 23:02:13)
20.  チャイルド・プレイ(1988) 《ネタバレ》 
ご存知の80年代ホラー映画を代表するキャラの一つであるチャッキー人形、大ヒットしてその後三十年間に八作も撮られるホラー・フランチャイズ化しているのはご存知の通り。“人形に魂が宿って殺人を重ねる”というプロットでは警察などの第三者には到底信じられない出来事であり、もっとも“フーダニット(誰が犯人なのか?)”という展開になる可能性が高いストーリーになりがち。母親や刑事も「チャッキーが喋る、歩く」というアンディの言葉を信じないしアンディが犯人なんじゃないかという疑念を持つわけだが、割と早い段階でチャッキーが正体を見せるので映画自体の展開もスピーディーになってグッドです。連続殺人犯がチャッキー人形に転移するきっかけも“こうするしかない”という脚本ですけど、このシンプルさでグイグイと引っ張てゆく展開なのがこの映画の強みです。でもチャッキーがアンディの家から抜け出して行動するというところには思わず突っ込んでしまいました。いくら何でも街中を人形が歩き回っていたら大騒ぎになるでしょ、とね。まあこの人形はブードゥーの呪術の産物で、中身の魂は銃で撃たれれば痛いし心臓もあるという人間的な代物だというのがミソ。ストーリー展開もオカルトというよりもスラッシャーだというのが正解でしょう。でもB級とはいえどチャッキーの不気味さや爆発などの派手でスピーディーなところは、十分に愉しませていただきました。 けっきょくチャッキー人形の正体を知ったのはアンディの他は母親と刑事ふたりだけ、いくら刑事の証言でも誰も信じないだろうし、この一連の事件は果たして上手く処理できるのだろうか?と案じていたら続編では母親は精神病院にぶち込まれている設定みたい。そりゃあ、そうなるよね…
[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-03-28 23:09:58)(良:1票)
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