1. 若おかみは小学生!
タイトルやぱっと見のイメージで敬遠するのはもったいなさすぎる、とんでもない大傑作!言いたいことは以下です。 1.ジブリ映画を彷彿とさせるアニメとしての魅力が満載!『茄子 アンダルシアの夏』の高坂希太郎監督の“こだわり”を感じて! 2原作小説にはない映画オリジナルの展開に感動!『聲の形』の吉田玲子による原作を尊重した脚本が完璧! 3.涙腺決壊必至のクライマックスとラスト! 4.決して児童労働を推奨するような内容ではない!『魔女の宅急便』が大好きという方こそ必見! この4.について→主人公のおっこは強制的に働かされる訳でもなく、女将の仕事を始めるにあたっては“小学生が働く”ことに対しての疑問もしっかり提示されている。映画で描かれているのは、“(子供の視点を通した)普遍的な仕事への向き合い方”。この(幽霊が登場するという)ファンタジーを交えながらも、実は現実的にある仕事を真摯に描いているというのは、宮崎駿監督の『魔女の宅急便』に通じている。ジブリ映画ファンにおすすめしたいという意見も多い本作は、特に『魔女の宅急便』が大好きという方こそ必見! 5.そして、予備知識が全くなくても楽しめる、しかも観る人を選ばない、老若男女に超おすすめ! [映画館(邦画)] 10点(2018-10-08 00:39:21)(良:1票) |
2. カメラを止めるな!
映画評価サービスFilmarksで5000人以上のレビューで5点満点中4.5点(『ショーシャンクの空に』や『この世界の片隅に』よりも高い) SNSを中心とした絶賛の口コミの嵐により連日満席。 都内わずか2館からスタートから109館まで拡大。 知っておくのはその圧倒的評価と、「本当面白い映画が評価されて広がった」こと、制作費が300万円と超少なく役者もスタッフも全員無名であること、ゾンビ映画というジャンル、老若男女が楽しめることくらい。 他に事前に知るべきことはありません。劇場情報だけ調べて観に行ってください。最高に幸せな映画体験が待っています。 [映画館(邦画)] 10点(2018-07-31 23:54:05) |
3. アーサー・クリスマスの大冒険
これ最高です! この映画は「なんでサンタは世界中の子どもにプレゼントを配れるの?」という子どもの疑問にバッチリ答えてくれます。はじめのその「仕事」のシーンは「スパイもの」のノリで、すっごく楽しいんです。 しかも本作のアイディアはそれだけにとどまりません。最初から最後まで斬新orツボを押さえたアクション満載で実に楽しませてくれます。 「大人も子どもも楽しめる」というファミリー映画としても理想系です。 子どもには「サンタ家族の大冒険」 大人には「ダメ人間の成長物語+α」 として楽しめるのです。 映画を観てわかるのは、主人公のアーサーや、一見してやり手に見える兄、はたまた父のサンタまで、欠点ばかりを抱えた人間であること。 主人公はどう行動し、そしてみんながどう変わっていったのか─ このダメダメな家族の「変化」、その行動に、大人であればきっと思うことがあるはずです。 さらに言えば、この映画には「世代交代」に関わるドラマが内包されています。 明らかに父サンタの描写は、定年退職を迎えつつある大人をピンポイントで狙っているので笑ってしまいそうになりました。てか笑いました。 さて、今作の不満点は、作品そのものではなく ①「タンタンの冒険」「怪物くん」がすぐに控えている公開日 ②あんまり宣伝がされていない ③字幕版の公開がない ということ。 公開日は作中でも意味がある日になっているし、ねらいもわかるのですが・・・なんと興行収入は10位圏外という有様。 この作品の出来の良さに反した、宣伝への不満は「ヒックとドラゴン」を思い出しました。 しかし「ヒック」は口コミによって良さが広まった作品でもあります。 なので自分も本作を「本当に面白い」と言い続けたいと思います。 間違いなく「ヒック」にもひけをとらない大・大・大傑作なのですから! [映画館(吹替)] 10点(2011-12-01 01:27:54) |
4. キック・アス
《ネタバレ》 最高!! 今作の魅力は ・「スパイダーマン」などのアメコミものに対するおちょくり ・ヘタレ主人公の成長物語 ・残酷アクション などに集約されます。 この脚本家は相当な映画オタクなんでしょう、観客の予想を裏切る展開と、王道の復讐、成長物語がミックスされ、ゲラゲラ笑え、時には登場人物を本気で応援する、最高に楽しめるエンターテイメントとして仕上がっています。 音楽のセンスもたまらない。予告編でも流れる「ナ~ナ~ナ~」の可愛い曲(BANANA SPLITS)もいいですが、「28日後」でも使われたあのギター曲(In the House In a Heartbeat)には鳥肌が立ちました。 そしてヒットガールは超可愛い!デイブの友達が言う「あの子が大きくなるまで童貞を守るぜ」に共感する男子がどれだけいるのやら。 この映画は実はものすごく怖くって、ヒーローになりたい人間の心情を切実に描いただけでなく、普通の人間がヒーローになろうとしたらどうなるか?という点も描いています。 ビッグダディは復讐に燃えヒーローになりすまし、大量に殺人をする。その娘ヒットガールはその巻き添えです。 「誕生日プレゼントに子犬が欲しい」とヒットガールは言い、「冗談よ、バタフライナイフが欲しい」とも言う。 前者はおそらく本心なのでしょう。ヒットガールはビッグダディが生みだした怪物であるとともに、素直になれないかわいそうな女の子なのです。 さらにキックアスも自警活動のおかげでボロボロに痛めつけられ、終盤で復讐に加担し、人を殺す。 真の意味でヒーローになった主人公ですが、自分は内心ぞっとしました。 悪を滅ぼすのは善じゃなく、別の狂気にかられたものなのです。 そう考えると、残酷描写にも意味があります。このグロテスクさこそが、ヒーローを夢見る者への警告であり、皮肉なのです。主人公の言う「連続放火魔と一緒で、自分を抑えることができない」なんて台詞はその最たるものでしょう。 設定だけ見るとコメディのようですが、それだけで終わらない深さ。大傑作だ! [映画館(字幕)] 10点(2011-01-03 19:11:31)(良:7票) |
5. ルパン三世 カリオストロの城
もう好きで好きでしょうがない作品。 この映画で批判があるとすれば「こんなイイやつ、ルパンじゃない」でしょう。 しかし、この映画を何回も観ている自分にとってはこれこそがルパンです、恥ずかしい銭型警部です。それでいいと思った。 [CS・衛星(邦画)] 10点(2010-12-05 00:23:47) |
6. ターミネーター2
《ネタバレ》 何度観ても飽きない傑作。 5歳のときに観て若干トラウマになっているんですが、母親が観てる自分の横で「お母さんがこんなん(人間に化けていたT-1000を指さしながら)に変身したらどうする?」とか聞いてきたことも覚えてます。絶対に嫌だっての。でも今ならこう答えます「鍵なくした時に便利だね」。 [レーザーディスク(字幕)] 10点(2010-11-19 22:54:05) |
7. バック・トゥ・ザ・フューチャー
二十歳超えてから観たことを真剣に後悔した。子どもの時に観ていたら、子ども時代にもっと多くの映画を観ていたことだろうと思う。どれだけ面白いかは語り尽くされてしまっているので感想が思いつかない。 一つ言うなら、タイムマシンというザ・SFなものがあるのに、ぜんぜん物語が壮大な方向に行かないこと。「家族とその隣人」という非常にミニマムなところに世界が落ちついちゃってます。そんな内容でも最高の面白さを提供してくれた本作が大好きです。 ◆どうでもいいですが、なんでタイムマシンがロッキーのヒロインの名前なんだろうと真剣に思ってました。それはエイドリアンでした・・・えっひょっとして自分だけ? [DVD(字幕)] 10点(2010-10-31 17:01:33)(笑:1票) |
8. インランド・エンパイア
映画というものは観客に分かりやすいように作る努力をするものだと思います。でもこの映画は微塵もそんな印象は受けない。監督が好きなようにとって繋ぎあわせただけの映画と言っても過言ではありません。 でもめちゃくちゃ面白い。悪夢の中をさまようような感覚は「マルホランド・ドライブ」を完全に越えていました。重低音に身を任すだけで軽くトリップできそう。 パンフレットに入っていた世界観のマップもとても面白い。監督自身にも(たぶん)理解できていない世界を上手く解説してくれています。 ついでにサントラはいい睡眠導入剤になっています。 音響の整った環境で観るべき傑作。だけど人によっては0点でもおかしくないような。勧めたいけど勧められない、そんな映画です。 [映画館(字幕)] 10点(2010-08-24 19:23:28) |
9. 天空の城ラピュタ
《ネタバレ》 自分はムスカ大佐が大好だ。おそらく最も愛されている悪役の一人なんじゃないだろうか。 子どものころは全く気づかなかったのだけど、そんなムスカは始まってすぐにヒロインに後ろから殴られて気絶している。ラスボスなのに弱すぎである。こんな彼が「君のアホ面には~」「人がゴミ~」なんて後に言うのは全く片腹が痛い。 彼のものまねが流行っていた青春時代は楽しいものだった。 たとえば高校時代、友達が英語の試験開始と同時にムスカのものまねで「読める!読めるぞ~!」と大声で言ったときのことを自分は忘れない。退場させられる友人。腹を抱えて笑う自分。英語の試験はおかげで散々だった。ありがとうムスカ。これからも世代を越えて語り継がれていくことでしょう。 [CS・衛星(邦画)] 10点(2010-08-24 18:21:26)(笑:6票) |
10. キル・ビル Vol.1(日本版)
《ネタバレ》 初めて観たときあまりにも面白くてレンタル中の2泊3日で3回見直した。公開当時中学生だったので劇場で観れなかったのが本当に悔しかった。 何回も観てますが冗談抜きでまったく飽きません。キャラと台詞の格好良さ、大胆な構成が面白く、テンポよくクライマックスに物語を運んでくれます。 主人公が血塗れのモノクロシーンから始まり→いきなり家の中でのアクション(しかもこの章の〆は日本語でのモノローグ)→主人公が襲われた後の現場のシーン→画面が2画面になって昏睡状態の主人公に刺客がやってくる→復讐相手の出生をアニメで描く・・・という映画の文法やらなんやらがぬけ落ちてそうな展開の映画なんだから、なかなか真似できるものではないと思う。 好き嫌いの分かれる映画で、監督が自分の好きなものを好きなように撮った映画なんだからそりゃ受け入れられなくてもしょうがない。でもこんだけ好き勝手やって世界中で大ヒットするのだからタランティーノ監督は幸せだ。こんだけ「好き!」でいられる要素を詰め込まれるとこっちまで楽しくなる。自分はこんな作り手が楽しそうな映画は大好きです。 [DVD(字幕)] 10点(2010-08-19 15:24:16) |
11. 嫌われ松子の一生
《ネタバレ》 「逆ビッグフィッシュ」のような映画。主人公の物語は本当にあったことであり、彼女が現実ではない夢を見るのはラストのみです。どんなに不器用ながらにも生きて、現実をきらびやかに描いても、実際に松子が望んでいたのはこのラストシーンのことだけだったと考えると涙が止まりません。 現実とはかくもつらいものだけど、彼女はその現実をずっと見つめていました。だからでこそ、やっとラストの台詞が言えた松子に「おめでとう」と言いたくなるのです。 [DVD(字幕)] 10点(2010-07-16 20:05:16)(良:1票) |
12. ビッグ・フィッシュ
《ネタバレ》 ティムバートン監督はファンタジー映画の名手であり、変人を愛する監督です。その彼がこの題材を選んだのは必然と言えるかも。 映画にでてくる父親はホラばかり吹いている変人で息子とは不仲。息子は徐々に父親を理解しようとする・・なんて、監督の理想の父親像そのまんまのような気がしてならないのです。 そんな監督だからでこそ、本当の恋に出会って時間が止まるシーン、水仙の花に囲まれて告白をするシーンを魅力的に描けるのでしょう。 息子が父にホラ話を語るシーンは涙なしには観れません。親と子の信頼と和解を描き、「人を幸せにするウソがある」と教えてくれたこの映画が大好きです。 [映画館(字幕)] 10点(2010-07-16 20:00:09)(良:2票) |
13. ショーシャンクの空に
《ネタバレ》 一番好きな映画。アラを探そうとすれば、年月を感じさせる描写が少ないだとか、レッドがハーモニカを吹くシーンが欲しかったなどいろいろあるのですが、全体をみれば言うのは野暮なこと。ゆるぎない完成度の高さを誇っています。囚人たちのエピソードの面白さ、名シーンの数々、これ以外は考えられない素晴らしいキャストを思えば満点以外に考えられません。 印象に残っているのは主人公が「ついていないな、不幸がこんなにも恐ろしいとは」とレッドにつぶやくシーン。自分は不幸だと感じる人は世の中にごまんといて、その全ての人が共感できる台詞です。だからでこそ、希望を捨てなかった彼の行動に勇気づけられるのです。 「午前十時の映画祭」で、ラストの青い海をスクリーンで観れて幸せでした。最高! [映画館(字幕)] 10点(2010-07-16 19:58:21) |
14. ブレインデッド
《ネタバレ》 最高に好きなB級バカ映画。ゾンビものの映画なんですがとにかくあらゆる意味で狂っている。血糊の量がゴージャスだったり、ゾンビが子づくりにはげんでいたり、神父が異常に強かったり。ロード・オブ・ザ・リングを撮った監督とは思えないですが、是非またこういう映画を撮ってほしい。サム・ライミだってスパイダーマンで大ヒットをとばした後「スペル」というくだらない(ほめ言葉)ホラーを撮ったので、それに続いてくれると信じてます。あとこのDVDはamazon他でえらい値段が付いてるのでさっさと再販して欲しいです。10点! [DVD(字幕)] 10点(2010-07-14 18:18:37) |
15. クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲
《ネタバレ》 かつて日本には高度経済成長という輝かしい時代があり、日本中が明日に希望を持って暮らしていて、そのころを過ごし、いまでは疲れた大人になった人たち。この映画はそんな人たちの涙腺を攻撃しまくっています。特に夕日町商店街の描写は素晴らしく、その時代を知らない人でも住みたいと思わせる描写です。その後も昔懐かしいネタで大人たちを懐かしがらせておいて、「過去を振り返るだけでは意味はない、昔がどれだけ素晴らしくても、未来を生きなければならい」というメッセージを送る。この上なく残酷です。実際この映画を観た当時中学生の自分は「昔に生まれればよかった」とうじうじ悩んでいたこともあるくらい。 そのメッセージよりを抜きにしても、感動したのが父親ひろしの存在。彼の回想シーンは全お父さんが涙する名シーンであり、終盤で「俺の人生はつまらなくなんかない!家族がいる幸せをあんたにも分けてやりたいぜ」という名言も生みました。そして何より彼は昔の輝かしい時代よりも家族を選んだ。日本中の父親の理想像、気持ちをひろしが代弁してくれたのです。 今の若い世代にはつらい映画かも知れないけど、未来へ生きる希望を描いたラストは是非観てほしい。満点! [映画館(邦画)] 10点(2010-07-13 18:18:50)(良:1票) |
16. トイ・ストーリー3
《ネタバレ》 満点以外つける理由がない大傑作。 ピクサーは「大人でも子どもでも楽しめる」ストーリーを作るのがとにかく上手いのですが、その中でも最高峰。 大人たちにとってメッセージとして伝わるのは、昔愛していたものたちと、いつかは別れないといけないという切なさです。 おもちゃたちの持ち主のアンディが大人になり、おもちゃとの決別を考えるところから話は始まります。この時点で切ないのですが、おもちゃたちがそんなアンディを受け入れ、別の道を歩もうとしているのがより切ない。終盤で母親がアンディに対して「ずっと一緒に入れたらいいのに」と言いながら抱きしめるシーンがあるのですが、おもちゃがこれまで思ってきた気持ちと同じであり、母親の気持ちに、母親でなくとも共感できる素晴らしいシーンになっています。 そんな切なさを全面に出すドラマが繰り広げられるのだけど、子どもたちが楽しめる冒険物としても最高に楽しく仕上がっています。保育園からの脱出の作戦、ゴミ収集場での磁石を使ったアクションは見応えたっぷり。しかも各キャラクターがそれぞれの個性を用いて出ずっぱりで活躍するのだからたまらない。特にバービーの行動は痛快! この物語に感動する大人はとても多いと思う。 愛を信じることができずに悪の道を走ったロッツォに涙し、死を覚悟した仲間たちが手を取り合うシーンで泣き、アンディが子どもにそれぞれの性格を言いながらおもちゃを渡すシーンでもうだだ泣きなわけで。 子どもの時から観ていたこの作品が15年の歳月を経て、最高の形で完結を迎えたことが本当に嬉しい。ありがとうピクサー! [映画館(吹替)] 10点(2010-07-13 18:14:14)(良:3票) |
17. ギャラクシー・クエスト
《ネタバレ》 最も好きな映画の一つ。最初から最後まで無駄のない展開、愛すべき登場人物たち、ニヤニヤできる伏線など全てに自信を持って「大好き!」といえる要素が詰まっています。 中でも一番好きなのは番組オタクの少年が活躍する場面。オタクというものは大体趣味でやっていて、まわりには理解されなかったりするもの。好きなものに対して「やっぱり本当だったんだ!」と活躍できるこのシーンは一億人以上のオタクが歓喜するはずです。 [DVD(字幕)] 10点(2010-07-11 17:50:15)(良:2票) |
18. LEGO ムービー
傑作です! レゴの面白さを映像であらわし、なおかつレゴならではアイディアに溢れまくり、後半で描き出される怒濤のレゴ愛、そして「平凡な人」に送る最高のメッセージ! これは「トイ・ストーリー3」のレゴ版としても観ることができます。 子どもたちはおもちゃたちの冒険にワクワクし、オトナはかつて遊んだおもちゃのことを思い出し、そして作品のメッセージに涙する。 子どもと大人の両方が楽しめる映画として、申し分のない出来でした。 本作のすごいところは、アクション描写にもあると思います。 「箱庭」でできた世界をカメラは縦横無尽に動き回り、カーチェイスシーンあり、空中での大乱闘ありと、ハリウッドの実写映画顔負けの大迫力バトルを見せてくれます。 いやーしかし、流行語ばっかり出てくる日本版の予告編は史上最悪だと思っていましたが、本編を観るとさらにゲスの極みだとわかりました。 なーにが激おこぷんぷん丸だ。こっちはマジギレしてるっつーの。 本編の吹き替え版は予告編とは違う配役となっており、予告のような流行語をほざくシーンはひとつもありません。 吹き替え版しかやっていない→じゃあ観なくていいや、という選択をするのはあまりにもったいないので、ぜひ吹き替え版も視野に入れて劇場に足を運ぶことをおすすめします。ていうかゲス予告のせいで内容に釣り合わない不入りっぷりになっており、公開数が激減しているのでお早めに観に行ってください! [映画館(吹替)] 9点(2014-03-31 14:49:06)(良:1票) |
19. 麦子さんと
本作の脚本は巧みです。 ちょっとした登場人物の行動を、後になって他のキャラクターが反芻をします。 なんでもないようなシーンが、後に重要な意味を持つようになります。 いろいろなことが「後で気づける」のです。 脚本家になりたい方、将来映画の仕事に携わりたい方は、この映画を観て学べばよいのではないでしょうか。 地味な映画に思えますが、凡百のお金をかけた映画よりも細かな工夫がされているため、全く退屈することがありませんでした。 本作で描かれるのは①母と娘の確執②夢に破れた&向かう人へのエールです。 ①は普遍的なもので、多くの人の共感を呼ぶでしょう。 本作で描かれる母親は、いい母親ではありません。 離婚をしてから長年子どもの前に姿を見せなかったため。娘と息子からうっとおしく思われてしまいます。 母親役の余貴美子の演技がまた素晴らしく、端々に「母親特有のウザさ」がにじみでています。 おかげで娘役の堀北真希に感情移入しまくり、気持ちがわかりまくるのです。 母親に対して「うっとおしいと思うこと」「素直になれないこと」は、後の主人公の想うことに強く関係しています。 そのことがわかる終盤の展開は、涙でスクリーンが見えないほどのものでした。 ②は監督の前作「ばしゃ馬」でも描かれたことです。 主人公の麦子はアニメオタクで、声優学校の進学を希望しています。 バイト先のアニメショップでは勤務中にノリノリでアニメ声を練習(?)しています。 堀北真希がアニメオタクとして描かれる作品は、おそらくこれが最初で最後でしょうね。 麦子は「これから夢に向かおうとしている(ちょっとダメな)若者」の象徴でしょう。 母親も、かつてはある夢を持っていました。 現在はくたびれた中年女性になっており、その生活はいいものとは到底思えません。 夢に破れた彼女が、どういう人生を歩んでいたか、その人生に意義があったのか、そして幸せだったのか・・・ 観た後は、そのことを考えてみることをおすすめします。エンドロール後にもおまけがありますよ。 [映画館(邦画)] 9点(2014-01-13 16:54:17)(良:1票) |
20. 地獄でなぜ悪い
《ネタバレ》 <超ネタバレ注意>映画のラスト。平田は道を走り続け、そして画面の左に見切れます。 そして「カット」とという声が響きます。 その後もカメラは、しばらくそのまま道を映し続けました。 これは「カット」があっても、まだ物語が続くことを示しているように思えます。 また、映画というフィクションを超えて、「それ以上撮り続けてなぜ悪い?」と監督に問いかけられているようでした。 この物語ではほぼ全ての登場人物が死に至ります。 それだけだとものすごく悲惨な物語に思えますが、実際に映画を観たときの後味は爽快感に溢れています?(疑問形) なぜかといえば、全員が「映画を撮れたのだから(目的を達成できたから)死んでもいい!」という目的に溢れているからだと思います。 大三は娘の晴れ姿を撮れたのだから! 池上は大ファンであるミツコと共演できたのだから! ミツコはしっかり「女優」としての姿をスクリーンに残せたのだから! 公次は愛しきミツコに寄り添い、彼女のために戦うことができたのだから! そして平田らファッ〇ボンバーズは、「伝説に残る一本」を撮ることができたのだから! このことが達成されたのは、登場人物がみんなどこかで、互いに影響を与えていたからのことでした。 ここまでできたら悔いはない!死んでもいいぞ!というパワーを感じるのです。 [映画館(邦画)] 9点(2013-12-18 23:17:05) |