1. THE WAVE ウェイヴ
《ネタバレ》 ナチの思想統制を現代の困窮してない高校生に適応しても同じような恐ろしい結果になる!(なってもらわないと映画として成り立たないので困る)という製作者都合ありきでストーリーが作られているように見えました。 先生には特定の思想を植え付けようとする意思がなく、支配者になりたい野心もないし(しかも途中から蚊帳の外状態)、生徒たちもロゴ作りや敬礼ゴッコ、ユニフォームなどあくまで流行やファッションとして楽しんでるように見えるので、家庭に居場所のない男子生徒以外がウェイヴの存続にあそこまで固執したり、最後の思想の押し付けに入る演説であんなに扇動されているのにはかなり違和感がありました。 帰属意識から来る選民意識や万能感、他所者迫害の村社会化はファシズムそれ自体とは別のテーマじゃないかなーと思います。 [インターネット(字幕)] 6点(2013-03-18 05:18:41) |
2. かもめ食堂
《ネタバレ》 音楽や映像の雰囲気、料理のシズル感など、流しっぱなしにしておく雰囲気映画としては邦画で五指に入る出来。 ただ、同じ日本人の妙齢の女性(しかも演技が自然で上手い)が店舗経営しているという現実的な背景設定が邪魔。自分も業種は違えど、主人公と同じく好きな事を仕事にしている身分なので、仕事やリスクに対する現実的な感覚が先立って話に入り込めなかった。出てくるキャラクターとの対話が上っ面だけで、出てくる俳優の年齢に合わない作り物臭さが鼻に付く。 この手の癒し系映画には主人公への共感(または憧憬)が不可欠だと思うので、そこを放棄されているとキャラを追うのが辛い。これがアニメだったり洋画であれば、違う世界のファンタジーものとして割り切って見れたんだけど。 余談だが、先日テレビで監督のインタビューがあり、「好きなことを好きなだけして行き詰ったら親に面倒みてもらえばいい」という発言を聞いて、この女主人は監督の自己投影像なんだなあと納得した。 雰囲気だけならDVDを購入したいぐらい好きだけど、映画として二度は見たいと思わない。SEとBGMだけの音声カット版があればいいのに。 [DVD(邦画)] 4点(2011-01-30 03:52:27) |
3. デッドコースター
《ネタバレ》 1より先にこちらを見て、ホラーでこんな新しい表現方法があるのかと驚いた。 オーメンと違い「誰の悪意も作為もない完全な事故死」ほど身近な恐怖はない。 普段ニュースで見聞きする事故を聞き流すだけの自分たちに、こんな悲惨な状態になることをストレートに映像で見せるという点は、ホラー映画でないと不可能なグロ表現の意義だと思う。特に車の運転やエレベーター事故なんかは現実味が高く、見た人への注意喚起に多大な貢献をしたのではないか。 キャラクターはクレア(アリ・ラーター)がとにかく魅力的。ヒロインのキンバリーを差し置いてストーリーをぐいぐい引っ張っている姿は、後のタフなヒロイン役としてのブレイクを予感させる。 ストーリーは中盤以降、偶発的な事故のネタがなくなったのか、無理がある殺し方になっていったのが残念。黒人教師やジャンキー兄ちゃんなどは映画の尺の都合で死んだ風にしか見えなかったので、恐怖は全く感じなかった。 死の順番の謎解きと妊婦のひっかけなどは悪くないのだが、テレビ局車の来訪と最後のバーベキューの事故に矛盾があるためスッキリしない。 デヴィット・エリス監督はアイデアのまとめ方と迫力ある表現に長けているので好きな監督の1人。また新しいホラーシリーズを撮って欲しい。 [DVD(吹替)] 8点(2011-01-30 00:42:57)(良:1票) |
4. キッチン・ストーリー
《ネタバレ》 老後の生活が視野に入る年齢になったら見て欲しい映画。 北欧の青みがかった情景とプロダクトデザイン・インテリアが素晴らしく、雰囲気映画が好きな人ならくりかえし鑑賞したくなる出来。また脚本もキャスティングも秀逸で、まったりした流れながら退屈せずに最後まで一気に見れた。 主人公2人の老人の心の歩み寄りがほほえましく、互いを新しいパートナーとして認めた誕生日パーティに、まだ30代の自分は羨ましさを感じた。自分が彼らと同じ歳・境遇になったとき、こんな相手が現れるだろうか。 [DVD(字幕)] 8点(2011-01-30 00:12:00) |
5. DEATH NOTE デスノート the Last name
《ネタバレ》 マンガ原作映画にしては、丁寧に愛情を持って作られていたのではなかろうか。金子監督の堅実な仕事が光る。 配役はライトの藤原竜也の演技がオーバーすぎ、エルのキャラ作りがわざとらしいものの、いかにもCGなリュークと同じ画面に収まるならこれぐらいマンガっぽい方が合うと思った。ミサのあの低い声質はキャピキャピしたキャラに合ってなかった。 難点は(原作でもそうだったけど)デスノートにはこんなルールと能力がある、というのがセリフだけの事後報告で知らされることが多いので、驚くよりもそれまでのテンションが下がること。全体的なストーリー進行がエルの口頭説明に依存しているので、ストーリー没入度が低い。 ラストのライトと父のやりとりは、ライト父や警察が無能で何の結果も出さないのにお咎めなし、犯罪者を減らすという目的より「自分が納得できる倫理と持ってて安心できる正義感」を優先する傾向が目立ったため、ライトの掲げる「デスノートは犯罪被害者を減らすための有効な手段」という理念の方が正しいと思わせた。 でもライト君、犯罪者の名前情報をマスコミ報道に頼るのは危険すぎるのでは…。 [地上波(邦画)] 6点(2011-01-29 23:20:29) |