1. PERFECT DAYS
《ネタバレ》 幸せってどこにでも転がってて、幸せって人それぞれで、だからこの世界って面白いなぁって思う。 ひと(他人)と同じ幸せを追い求めなくても良いし、ひと(他人)と持っている物を比べなくても良い。 でもね、あの人(主人公)だって同僚が突然仕事を辞めた時のように、 時間に追われて疲れ果てて寝るだけの生活になったら自分の幸せを見失うよ。 (彼はちゃんと自分でそれを分かってたから良いけど。) 空がきれいだったり、雲や木漏れ日が面白かったり、川のせせらぎが美しかったり、 この世には心を動かされる楽しいことがいっぱいある。 みんな致死率100%だから、みんなそれまで楽しめばいいと思う。 ゼロか百かじゃないし、百にたどり着けなかった人はゼロと言うわけじゃない。 自分の生きた証を他人に見せつける必要はない、と思う。 [映画館(邦画)] 8点(2024-01-01 00:20:30)(良:1票) |
2. 流浪の月
《ネタバレ》 俳優さんて、本当にすごいねぇ。 物語の終盤、文(松坂桃李)が彼女(多部未華子)に、 「私を抱かなかったのは、ロリコンだったからなのか」という意味の事を聞かれた。 答えるまでの文の葛藤がすごいね。 どうしてもどうしても本当の事(障害)を言う勇気が出なくて、 最後までやっぱり知られたくなくて、 「ロリコン」という事にしておいた方が、「ロリコン野郎」と思われた方が まだマシだったんだね。 自分の障害を打ち明けるくらいだったら、軽蔑された方がマシ。 答えるまでのあの時間。 私にはすごく長く感じたけど、すごい葛藤が伝わって来た。 俳優さんて、本当にすごいねぇ。 ※蛇足ですが、私はこの映画を観るまで、 松坂桃李さんがこんなに綺麗な顔をしている事に気付きませんでした。 すみませんでした!(笑) [映画館(邦画)] 9点(2022-07-15 13:43:25)(良:1票) |
3. すばらしき世界
《ネタバレ》 良かった。すごく良かった。 原作があるのか無いのか知らんけど、映画良かった。 俳優さんたち、みんな素敵だった! ところで『すばらしき世界』という題名って、すごい皮肉よね。 確かに主人公が出所後、手を貸してくれた人々が周りにたくさん居たけど、 だけど、 あんなに気持ち=正義を押し殺して、(もちろん「本人にとって」の正義だけど) 文字通り死ぬほど感情を押し殺して、素晴しい世界なの? あの人(主人公)、本当に本当に苦しかったと思う。 「カタギ」に馴染むためには、 理不尽な事も許せないことも何もかも「自分の感情」をスルーして、 全て「他人事」と位置づけて。 そうしないと生きていけない世界って「スバラシイ」の? 自分が死んだあと、誰が泣いてくれてもしょうがないのよ。 自分が生きている間に、自分らしく生きられないのなら ただの人形。 最後に(あえてハンドルネームは出しませんが)「3.」の人。 「僕のすばらしき世界」が訪れますように。。。 [映画館(邦画)] 9点(2021-02-18 22:50:53)(良:2票) |
4. カメラを止めるな!
《ネタバレ》 始まりは、、、 何か話題になっている映画があるらしい。低予算。すごくキテルらしい。 気になってちょっと調べてみる。やばい、前情報を仕入れちゃいけない映画らしい。 ん~・・・。でも、ちょっと気になる。調べる。ゾンビ。 え?私、ゾンビとか苦手。自問自答する。ゾンビ主体だったらこんなにヒットしないかな? なんか他にあるのかな。 見に行く。 そう言えば「ワンカットの長廻し」っていう単語もどこかにあった。これがそうか。 でもそれより私ゾンビ苦手。血とか嫌だ。怖い。うぇっ、気持ち悪い。 しかし、長いな!すごい。 最初の最後の方、血ぃ飛び散ってるし・・・!もう嫌だ、帰りたい。 最初の最後、エンドロール。ゾンビ終わりでホッとする。腕時計見る。あれ? 監督のおじさん、良い人面で出てきた時、どんなにワクワクしたことか! 「ゾンビ映画」を払拭してくれる展開が始まる!(笑) [映画館(邦画)] 9点(2019-01-12 01:25:54) |
5. サヨナライツカ
《ネタバレ》 沓子(中山美穂)も、もちろん綺麗なんだけど、 光子(石田ゆり子)が美しかった!いつも凛としていて素敵だった。 彼(豊=西島秀俊)は「沓子」と「(光子では無く)出世」を天秤にかけたけど、 正しい選択をしたと思うわよ。 沓子は美しく情熱的だけど、その先の長い人生を一緒に 「生活」していくのは大変だと思うもの。 「一緒になれなかったからこそ、思い出が美しく残る」ってことは、よくある事。 (でも私だったら、正しくない道を選ぶわね。) 最後に彼は、何もかも投げ出して沓子に逢いに行ったけど、 引き金を引いたのは、彼の息子よ。心が通わなくなっていた長男の言葉。 彼は、25年前に諦めたもう一兎を手に入れようとしたのよ。ずるいわね。 光子は最後までクールで素敵だった。 そう言えば私も、自分の両親が、今の家族を築き上げる為に、 何を諦め、何を犠牲にしてきたのか、何も知らないわね。 私が生まれる前に、父と母、それぞれにどんなドラマがあったのか、 私は何も知らないわ。 だから彼の長男のように、私も平気で親を批判できるのよ。 [DVD(邦画)] 5点(2012-02-18 23:19:18)(良:1票) |
6. 天使のくれた時間
《ネタバレ》 ケイト(T・レオーニ)が可愛い! あんなに素敵な奥さんがいたら私、なんとしてでも定時であがって、 毎日、会社から飛んで帰ってくるよ! それはさておき、 ジャック(N・ケイジ)は、とてもいい経験をさせてもらったと思う。 もともと独身貴族で幸せ(のつもり)だったかもしれないけど、 それは”井の中”の幸せだったのよね。 ”大海”を知りたくない蛙(かわず)にとっては、天使(?)は悪魔でしょうけれど、 両方経験したうえで選択できるのだったら、最強の幸せよ。 もちろん「見たくないものを見ない」で、「知りたくないことを知らないフリ」して 生きて行く事を選んでも良いけど、だからと言ってソレが無くなる訳ではない。 このストーリーで、一番ワクワクしたのは、 「あの時間」の中でジャックが、会長と接触した時。 そして、彼は二兎を手に入れようと奔走した。 (あの時間の)家族と(この時間の)仕事。 ラストを”曖昧”に終わらせたところ、とても良かった。 どちらが幸せか、みんなそれぞれ考えてみてね!って感じ。 [DVD(字幕)] 8点(2012-02-18 22:49:58) |
7. 休暇
《ネタバレ》 轟音とともに落ちてきた脚、痙攣する身体、抱き止める刑務官。 見ていて吐きそうになった。 死刑囚って、当然自分の死期にすごく敏感で、 刑務官のちょっとした所作で、自分の刑の執行を悟るらしい。 若い刑務官のまぬけな一言は、彼の頭の中で警報として鳴り響いた。 だから彼は試したのよ、突然音楽を聴きたいだなんて言い出して。 そして、刑務官たちの反応は決定的だった、「執行命令が出てる」。 ここで論ずる事では無いかもしれないけど、私は「死刑」に反対では無い。だって、 『一人の命を奪った程度で、加害者の命を奪う理由にはならない』なんて変だもの。 別に、加害者の命よりも、被害者の命のほうが重いなんて言わないけど、 せめて平等に扱ったほうが良いんじゃないの? まぁ、尊属殺人は別だけど。愛情に包まれて育った人は、人を殺さないしね。 それにしても、あの死刑囚(=西島秀俊)、 うっかり同情しそうになる位の表現力だったわね。 悪いけど、刑務官の話はぶっ飛んじゃったわよ。 私は「死刑に反対」する人たちに、もっと戦って欲しいと思うわ。 もしかしたら私も論破されるかもしれないしね。 [DVD(邦画)] 7点(2012-01-08 20:54:39) |
8. CUT(2011)
強烈な映画「愛」に基づく、映画産業への「憎しみ」。 そう、怒りを通り越しちゃって「憎しみ」、そして「焦り」。 それらの巨大な感情を一つもこぼさず、ぎゅ~っとフィルムに詰め込んで、 それがスクリーン上で爆発した感じ。 秀二(=西島秀俊)の狂気もさることながら、 その狂気のカケラを追う陽子(=常盤貴子)の眼がとても良い。 過去の偉大な監督たちへの畏敬の念と、 その素晴らしい作品群に対する、あふれんばかりの愛情の表現は泣けるほど。 この映画で訴えている事を救えるのは、私たち(つまり、ここ『みんなのシネマレビュー』 を訪れるような)観る側の人間だけなのかな。 政治家が世論を気にするように、作り手は観客の動向を気にする。 だってそれが資本主義。でも悪くは無い。表現の自由がある。 [映画館(邦画)] 8点(2012-01-08 20:13:14) |
9. トニー滝谷
《ネタバレ》 私、コレ、好き。すごく好き。 色が好き。音も好き。声が好き。 そして一番好きなのは、 彼女が、洋服を買いあさるところ。 ずーっと、足元を追っているキャメラ。 不穏な感じが、ドキドキする。 人生って、 ほんの少し気になっていた小さな一言を、 (すごく控えめにせよ)言ってしまった事で、 全てを失うってこともあるのね。 「口は災いの元」なんていうような、単純なお話では無いわね。 彼(トニー滝谷)は、孤独を理解することが出来て良かったと思う。 物心が付いた頃に既に「孤独」だった人は、孤独が当たり前すぎて、 「孤独」がどういうものなのか分からないのよ。 「孤独では無い」経験して初めて、「孤独」を感じ取れる。 それは、「孤独」を知らないよりは、ずっと良いわよ。つらいけど。 もと(独り)に戻っただけでも、「孤独では無い」経験があるか無いかでは 全然違うのよ。 最後に彼女を断ったように、寂しさから逃げないで、 それときっちり向き合って、生きていって欲しい。 [DVD(邦画)] 7点(2012-01-07 22:34:46) |
10. リービング・ラスベガス
こんな映画、嫌いになりたい。 (音楽、最高。) [DVD(字幕)] 9点(2012-01-07 22:12:45) |
11. 道(1954)
《ネタバレ》 ザンパノ、私はあなたを応援するよ。 私が思うに、自己嫌悪と後悔は最も救いようの無い感情で、 そこから必死に逃げている人達もいるのに、 あなたはガッツリとそれを受け止めて、泣いた。 「馬鹿な女だ」、「独りほど清々しいものは無い」。 そうやって、自分の感情に気づかない振りして、 うそぶいて生きていくことも出来るのに、あなたは泣いた。 そして、そんなあなたが私を泣かせた。 [DVD(字幕)] 9点(2012-01-07 20:56:23) |
12. ニンゲン合格
《ネタバレ》 10年ぶりに動き出した時間。そこにあったのは、崩壊した家族。 周りの大人たちは、彼に「失ったものを取り戻しましょう」と言うけれど、 何かを失くしたのは、目覚めていた人たちのほうじゃないの? つまりそれは「家族の絆」だけど。 彼は何も失ってないわ。 ただ、ちょっと手に入れ損ねたものがあるだけよ。 それは、過去10年間で経験したであろう喜びや悲しみ。 でもそれは、時間をかければ、手に入る。 目覚めたばかりの兄に、父の居所を教えてもらう妹と、 母の今の居場所を知らない父(父にとっては前妻だけど)。 おまけに母は、実娘(彼の妹)がとっくに帰国していたことを、 10年間昏睡していた息子に教えられる始末。何やってるのよ。 窓から覗き見える食事風景。少しずつ戻って(増えて)くる家族。 それが、あとになって痛々しい・・・。 24年前に生まれた14歳が願った、『もう一度家族が揃うこと』。 叶ったよ!君の葬式でね。 「生きていて欲しかったなぁ」って切に思わせるラストは、すごく素敵。 でも今の時代、誰かが死ない限り一家全員が揃わない家族って、 少なくないんでしょうね。これまた悲し。 [DVD(邦画)] 7点(2011-12-20 23:26:04) |