1. ハドソン川の奇跡
《ネタバレ》 フラフラになりながらも、最後まで制服を着続けて、職務を全うし、さらにフラフラになりながらも、自分の判断を信じ続けた機長の物語なのですが、繰り広げられる言い争いが、人と人との争い事ではないことに注目すべきではないでしょうか。 これ程、溜飲が下がるのは、極限の状況下で人の下した判断が客観的なデータに基づいた判断を上回ったからだと思った。金メダルを獲得することは間違いないけれど、人類の限界を目指すボルトの走りに感動するのと同じようなもの。 [映画館(字幕)] 7点(2017-02-21 01:38:04) |
2. 君の名は。(2016)
《ネタバレ》 君の名は。の面白いところは、記憶が薄れ、もはやその記憶が確かかさえも分からないが、運命的なものを感じる男と女が勇気を出して、振り返るというラストワンシーンを作るがために、体の入れ替わりや隕石やらのストーリーの大部分を一種のマクガフィンとして機能させていることだろう。正直、この大胆さには驚愕した。災害の風化という寓意は間違いなく存在するとは思うが、それよりも、秒速五センチメートルを意識したラストシーンだったと思う。 ピント合わせをしたかと思えば、引き戸の開閉を真横からローアングルで撮ったり、高速でカメラが移動したりと、実際かなり奇妙なことをしているのだが、リズムが生まれて悪くない。また、作画においては、モネっぽいと思ったのだが、光源あるいは光線そのものの使い方が印象的だった。例えば、三葉が消えるシーンで、光線を境とした、左右の立ち位置の徹底ぶりとかだろうか。隕石のシーンは、BGMや最早、お約束である女子高生の全力疾走の一押しもあって、本作の中で、素晴らしい出来には間違いないが、超越的な災害は残酷であり、また、美しいのだというクリエーターが抱える矛盾みたいなものも感じられて、ここら辺はジブリぽいと思った。 [映画館(邦画)] 7点(2017-02-08 02:22:29) |
3. ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション
《ネタバレ》 前半はいいけど、後半失速気味。なんでだろうって考えてみたら、冒頭の飛行機にしがみつくシーンにしたり、イルサをドレスアップさせたいが為のオペラハウスでの射撃だったり、トムに潜らせたいが為の水中シーンであったりと、ストーリーを度外視した馬鹿なアクション第一という感じだったけど、後半はストーリーとストーリーの整合性をとるためのアクションにしかなってないからだと納得した。 [映画館(邦画)] 6点(2016-05-12 12:39:36) |
4. 容疑者Xの献身
《ネタバレ》 実らぬ恋は死をもって成就するということは相場で決まっていて、その願いを確実に叶えるために石神は罪をわざわざ犯したのかと僕は受け止めました。利己的な自殺ではなく、愛する人の為に命を賭する。それは自決に近い。此れほど、人として生きた意義を感じれる瞬間はないと思う。その至上の幸福が突如、崩れ落ちる。その非情なまでの情感の振れ幅に圧倒されました。 いろいろな目線が交錯する中で、手を広げたくなるところ、あくまで一途に人を愛した石神の話に絞ったこと、脚本の自制に勝算があったかと思います。 [映画館(邦画)] 7点(2016-05-12 12:24:09) |
5. レ・ミゼラブル(2012)
泣いちゃいました。初めてです。俺も映画見て泣くようになったんだなって。驚きました。終始、セリフではなく、歌です。状況説明ではなく、溢れる想いを体で表現します。その声、それ以上に表情に感動しました。平穏の時代ではなく、革命期に生き抜いた彼等にしか歌えない歌、表現出来ない顔だったと思います。悩み、苦しみ、笑い、必死に生きた市民が良き未来を見据え、国家を憂い革命を起こす姿は鳥肌がたちます。そんなフランス革命期を感情を一面に押し出すミュージカルで演出するのはピッタリだと思います。この感動を言葉にするのは凄く難しいです。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2016-05-12 12:22:21)(良:1票) |
6. 情婦
《ネタバレ》 衝撃のラスト!?に目を奪われがちですが、ウィルフリッド卿が胸ポケットに忍ばせている葉巻を目ざとく見つけて依頼を引き受けるシーンや警察に葉巻を渡すと思いきやどさくさに紛れてネコババするシーンや鏡の反射を使いナイフの場所をヘルムに示唆するシーンのように本筋からは離れた一瞬のシーンから高い完成度の脚本による細かな演出と監督自身の今作への愛着が全体に行き届いていることが伺えます。痒い所に手が届くというかこういう気配りが堪りません。またこれらのことがウィルフリッド卿という人物について考え、愛着を持つことにも大きな作用を働かせています。ネタバレ厳禁というストレートなメッセージからも監督が本当に多くの人に楽しんでもらいたいという映画大好きな一人のファンとしての気概を感じます。 [DVD(字幕)] 6点(2016-05-12 12:22:01)(良:1票) |
7. 横道世之介
《ネタバレ》 横道世之介の映画ではなく、横道世之介についての映画でした。時には恋のキューピッド、時には親友、時には恋人となり、相手を和ませるような存在である世之介は、まさに作中に登場する世之介の隣の部屋で鳴るベルと重なります。存在が当たり前がゆえに、存在を忘れて、なくなったときには凄く寂しく感じられます。いい奴ほど自然体過ぎるから有り難みって感じさせてくれないからね。そして、そんな世之介は人助けをしたが故に電車に引かれて、亡くなりました。作中では詳しくは語られませんが、どのような死に際だったかは映画を通して見れば、容易に想像出来ます。そのための2時間越えの映画だったと思います。なにより、人の為に死んでしまうなんて世之介らしい死に方ではありませんか。危険を省みず、咄嗟に線路に飛び出したんだろうな。世之介は加藤の真似をして、カロリーメイトを頬張り、赤ちゃんを見れば、すぐに母に感謝の電話してしまうそんな単純な奴だから。そして、本当、世の中って残酷だなってつくづく思う。この前、母と夕飯食べながら、ニュース見てたら、事故で救助しようとした人が二次的に犠牲になったっていうニュースが流れてて、そのとき、母が「あんたはそんな立派なことせんでもいいんよ」ってボソッと言ってたのを凄く思い出した。そんなことがあったから、ラストの世之介の母の手紙は胸に刺さった。 優しく、立派な息子だったから誇りに思うとか、運命として割り切るには酷すぎる。本当酷。 [DVD(邦画)] 6点(2016-05-12 12:21:24)(良:3票) |
8. ズートピア
《ネタバレ》 思い込んではいけないよというメッセージ通り、目的がコロコロと遷移して、品の良い活劇といった感じで、評判通りの面白さ。 うさぎ警官ジュディが大きな動物を地を這うようなローアングルから見上げる視線。大きな動物がジュディを見下ろす視線。これがズートピアの二つの目線。うってかわり、記者を前に壇上に上がり、ジュディが皆を見下ろという視線の逆転のシーンからストーリーが予想外な展開を見せていくことは決定的でもあったともいえます。体格の差が如実に現れる様々な動物同士、目線を合わせることは不可能。同種同士でしか目線は合わせられない。その絶対的な視線の交錯という諦念から、ならば、視線を解放するという俯瞰で捉える大円団のラストシーンはやはり、この映画の見どころでもあって。えてして、逆にこの視線の欠如というものは相手を見ようともしない、よって思考の硬直化という逆説的かつ、最悪な帰結へと人間は自身を導いた皮肉ともいえるだろうか。 良くも悪くも、人というものは何かとカテゴライズをしたがり、理由であったり、意味付けして納得したい動物、つまり、視線の硬直、思考を硬直したがる動物ではありますが、だからこそナマケモノが怠けているというピッタリのイメージに可笑しくなり、逆にナマケモノが車を飛ばしているという真逆のイメージにも可笑しくもなる。にんじんの形をしたスピーカー内蔵のペンが伏線の一部として機能しているのも同様。 ズートピアを震撼させる事件が発生しまして、ジュディとニックが解決していくわけで‥これ以上は劇場でみてくださいとしか書けませんけど、最後のオチは多くのちびっこを楽しませる為にも、また、か弱きものが反撃する、窮鼠猫を噛むという一つのメッセージも込められているわけですが、そこにはそれ以上の思想は内包しているわけでなく、下らない帳尻合わせにしか僕には見えない。表向きは夢は叶うというもの。裏向きといっても、裏には見えないけど‥差別を取り扱う以上、やはり明確な敵が存在しては、だめじゃないか。 [映画館(吹替)] 7点(2016-05-12 10:02:30) |
9. おっぱいバレー
《ネタバレ》 いまや、おっぱいを見たければ、スマホで検索すればよい。あんなに坂だらけの学校なんて、かわいそうだ。時代背景や、このバレー部が住まう環境を見る限り、この不便さが強調されているような気がします。その意図として、例えば、坂という地形は、単に小言を漏らして這いつくばって歩いていくものとして、映画では機能しているわけではなく、矛盾とも見て取れる、少年の純粋なエロの欲望さを満たす道具や、汗水を垂らし駆け上がる青春と、綾瀬はるかの教師としての矜持を真摯に示す舞台装置ともなりえ、同時に海や工場を見渡せ、昭和のノスタルジアを惹起させる機能としても効いています。そういった一見、文明が追いついてないからこその欠落、その不便さというものが清々しい感動に昇華されるお手本のような映画ではないかと思います。 [地上波(邦画)] 6点(2016-05-05 22:19:05) |
10. 新宿スワン
《ネタバレ》 バカで素直。天は二物を与えてしまった奇跡の男、タツヒコが新宿でスカウトマンとして華麗に舞ったり、舞わなかったりする話。 メインキャストはもちろんのこと、ヒデヨシの金魚の糞みたいな方々まで教育が行き届いてて、割と楽しめました。ここら辺のスカウトとしての園子温の人選は認めるのは悔しいですが、好きです。他、一切全て嫌いですが。 [映画館(邦画)] 5点(2016-05-05 21:52:13) |
11. ファイト・クラブ
《ネタバレ》 傑作。キートンを彷彿とさせるコメディーです。 裸になって、殴り合い、九死に一生を得た末に、これでやっと変われるという言葉は中々に響ました。うんうんと頷きながら、俺は変われないなと絶望するのです。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2016-05-05 16:47:06) |
12. ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2
むむ、ハリー・パパと愉快な仲間たちが一番、悪ものでは‥ハリーに乾杯。 [映画館(字幕)] 6点(2016-05-04 01:50:20) |
13. 千と千尋の神隠し
《ネタバレ》 ジブリの中では一番好き。ジブリの代名詞とも言える空を飛ぶという自由の象徴に突き進んでいくと思いきや、あわや軽々しくそれを放棄して、恐ろしい程、静かになってゆく。決して盛り下がっているというわけではなく、清められているというか、見終わった後、凛とした気持ちになっている。そういったところがたまらなく好きなのです。 母の腕にしがみつき、夢かうつつか定かではない世界に入り込む千尋。かつての心もとない千尋のようなカヲナシに付きまとわれるようにまでになった千尋が、帰り道、今までの出来事がまるで嘘だったかのように母の腕にしがみついて、歩いている。成長というものは同一の環境下で為されて初めて、形容される言葉なのかと思い知り、そのストイックさに驚きを隠せません。変わったのは千尋ではなく、環境の方であり、元々眠っていた力が引き出されていただけ。でも、必ず、経験、記憶、そういった類のものは然るべきときに然るべく発揮されてゆく。だからこそ、千尋の紫色の髪留めが静かに、しかし力強くキラキラと光っていることに心が震えて仕方ありません。 [ブルーレイ(邦画)] 9点(2016-05-04 01:33:40) |
14. トウキョウソナタ
《ネタバレ》 ラスト、ピアノを弾く息子の姿を見守る香川照之が薄っすらと涙を浮かべる表情にはいたく感動しました。父として、サラリーマンとして、必死に背負い込んでいた体裁という肩の荷が降り、身も心も開放した男が、不意に幻想的で神々しいまでの美に邂逅した時、これ程美しく、生に執着した表情をするものなのかと。窓を閉めることから始まる映画であり、次男は窓が開いた開放的なピアノ教室に憧れ、母は屋根が開く車に心奪われ、父は窓から家にこっそり入る。ラスト、見事に窓が開け放たれて、カーテンがゆらゆら揺れている。窓の映画といっても差し支えないでしょうか。 [DVD(邦画)] 9点(2016-05-04 00:38:07) |
15. ちはやふる 上の句
《ネタバレ》 ちはやとたいちは良いけど、他三人のせいで乗り切れない。キャラが必要以上に濃くて、自分に合わないとキツイな。別に興味はないが、テンション高めの坊やは本当にカルタ強かったの。ネタじゃないなかったの。別に興味はないけどね。こういうのはあまり良くないと思う。カルタシーンでもカットカットの応酬で、一首を読み、それを聞いて、動き出す一連の動きの迫力は軽減されてる気がするのも不満かな。 でも、終始、ボヤけたあの照明はかなり印象的。ボヤけ過ぎて、5人の姿を撮れてないことも。それぐらいボヤけてる。雨が止んで、このボヤけた照明の復権こそがラスト、怒涛の畳み掛けの攻撃の始まりの鐘だったのでしょう。下の句では、このボヤけた照明が鮮明に映るシーンに注目でしょうか。 [映画館(邦画)] 4点(2016-05-04 00:27:08) |
16. 百瀬、こっちを向いて。
振り向くというラブコメには必須な動きを禁じられる、すなわち、それは、ひとえにショットが切り替えされないということ。壊滅的に面白くはないけど。 [インターネット(字幕)] 3点(2016-05-04 00:24:34) |
17. シュガー・ラッシュ
《ネタバレ》 義務として悪役を演じ、数え切れないほどの窓を壊してきたラルフが、主体的にヴェネロペの大切な一台のゴーカートを壊し、悪役を演じる姿にウルっとくる。そして、今度はヴェネロペのヒーローになる為、世界を壊す姿にまたまたウルっとくる。行動にストーリ的意味が付与される楽しい映画に間違いなし。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2016-05-03 23:52:57) |
18. ミスティック・リバー
《ネタバレ》 多くの痛み、犠牲の上に人は生きていることを極めて、引き延ばした映画ではなかろうか。自己肯定こそが人生だ。犠牲を忘れず、感謝するのが人の生きる道だ。そうだろう。別に、人殺しや、動物殺しを擁護する気はさらさらないが、下した決断にいかに自分に落とし前をつけるのか。反省するのか。なら、するなと言いたい。たとえ、捕まってブタ箱にぶち込まれて法で裁かれるのは然るべきことだが、自分の犯した罪に自分自身は胸を張るべきだと思う。 毎度のことですが、やはりイーストウッドの照明は末恐ろしいほど、神がかっていますね。 [ブルーレイ(字幕)] 9点(2016-04-28 18:50:08) |
19. 真夏の方程式
傑作、堂々たる出来。 共に横に並んで座るというイメージがこれ程までに意味を持つとは驚きです。小さな探偵くんに対し、頑張れと一方的に投げかけるのではなく、共に考えよう、一人ではないと呟く湯川。冒頭の議論のように、向かい合い、人に教授する立場の存在であるにも関わらず、横に一緒に座る。そのイメージは本当に力強い。面会室のガラスに阻まれ、向かい合うことしか許されない杏と義親とも対比されているかと思うと一層、感動的。あの事件だけでなく、文明の発展に伴い未来に残され、未だ答えの見つからない遺物に対しての、物理学者という立場としての言葉にも聞こえました。行きは、一緒に電車で島にやって来た2人。帰りは、一人。父ちゃんはうたた寝。行きは、進行左方向、帰りは右方向。ここにも相当、示唆なものを感じざるを得ません。 事件の動機が弱いのは確かでありますが、夏休みにたまたま島にやって来て、たまたま事件に巻き込まれる形となったあの子をストーリー軸に据えるのであれば、脈絡がないほどストーリーの理にかなっている。 [地上波(邦画)] 9点(2016-04-25 12:36:33) |
20. アナと雪の女王
劇場は冷房が効いてて、ちょっぴり寒かったです。 [ブルーレイ(吹替)] 4点(2016-04-25 03:13:00) |