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1.  ウィッチ 《ネタバレ》 
 魔女を描いた映画は多いが、これほどまでに絵画的で様式美に満ちた作品には出会ったことがない。音のメリハリも良く、不協和音で首筋を撫でられる快感は『リング』以来の満足度。   アメリカ入植時代の考証を、ファッションや生活様式だけでなく古い英語にまでこだわって行ったことにも非常に価値があると思う。特に黒山羊のフィリップが人語を操るシーンの、舌先で転がすような響きは蠱惑的ですらあった。   展開は地味だが、登場人物それぞれのモヤモヤが明快なので「家族が崩壊していく様」だけでじゅうぶん引きつけられたし、トマシンが魔女になる決意を明確にセリフで示しているので、バッドエンドの中にカタルシスもある。この先、これ以上の魔女映画はもう出ないと断言できる。
[インターネット(字幕)] 10点(2021-11-23 14:32:42)
2.  プラダを着た悪魔 《ネタバレ》 
 もう何十回見たかわからない。脚色が突飛すぎてキャラクターの誰にも感情移入できないし、泣けたりもしないのだが、マンハッタンを縦横無尽に駆け回るプロットと、ミランダとエミリーのセリフ回しがとにかく面白い。映像・音のすべてが気持ち良いテンポでできている。   ミランダの登場シーンやアンディの着せ替えシーンは絶対に映画でしかできない盛り上げ方だし、モチーフの反復による2つの世界の対比(「ミーティングに間に合わせるためにランチを捨てるナイジェル」「ミランダにキレてステーキを放り投げるアンディ」「炭水化物を摂らないエミリー」に対して、「いつも集まって飲み食いしている友人」「アンディのために夜食を作るネイト」「パリ行きがダメになった途端にパンを頬張るエミリー」)も面白い。   最後にネイトと復縁するアンディの心情はまったく理解できないが、これはわざとなのかなとも思う。なぜならこの映画は、ファッション界の悪魔的な魅力を描くことに成功していればいるほど、その世界を捨てるという決断がハッピーになりえないからだ。観客は無邪気に「ジャーナリストになる夢が叶ってよかったね」と思うことができない。だからこそ、観客に「ファッション界への未練」を思いきり感じさせるために、アンディはガキ臭い彼氏との元サヤに収まるのだろう。そして観客は、もう一度面接のシーンから映画を再生したくなるのだ。それが愚かなことだとわかっていても。
[DVD(字幕)] 8点(2024-02-03 09:14:02)
3.  メランコリア 《ネタバレ》 
 世界の終わりが来ることによって、鬱病患者とそうでない人間の立場が逆転するという構成が気持ち良かった。「鬱病の監督が撮った陰鬱なだけの作品」というよりは、むしろ逆かと思う。なぜなら、地球が滅びることを解放と感じて喜ぶ主人公が、姉やその子どもに対しては憐れみの感情をしっかり持っているのがわかるから。「世界が終わって嬉しい」という感情と、「家族が死ぬのは可哀想」という感情は、何の矛盾もなく両立する。そこに温かな余韻があり、セラピーめいた前向きさすら感じるのだ。落ち込んでいるときにこそ、見てみるべき作品なんじゃないかと思います。
[インターネット(字幕)] 8点(2023-02-06 22:11:31)
4.  ハッピー・デス・デイ 《ネタバレ》 
 まさに「小気味良い」と言いたくなる面白さだった。   ループものの定石である「パニック→受容→謎解き」の展開を終えたあと、主人公が「どうせ誰の記憶にも残らない」と自暴自棄になって、人前でオナラをブーブーしだす展開が新鮮で楽しい。終始、お笑い用語で言うところの「天丼」がスマートに用いられていて、セリフも今っぽくしゃれている。   結果ありきの不自然な展開(犯人を知りたいのなら、殺される直前にお面を取りさえすればいいのにそれをしない→お面を取ってしまうと「真犯人がいる」という大オチが成立しなくなるから…という都合)は少し気になったが、そもそもシリアスぶっていないので問題点というほどでもないように感じた。   不気味なマスクのデザインは『スクリーム』のゴーストフェイスをデザインしたトニー・ガードナーによるもので、90年代のメタホラーブームの香りを残すシニカルな作風に華を添えている。
[インターネット(字幕)] 8点(2021-09-20 14:21:36)
5.  バトル・ロワイアル 《ネタバレ》 
 公開当時、まさに15歳だった。当時もいろいろ思うことがあったが、20年も経った今だからこそ冷静なジャッジが可能な気がする。   そもそも2000年当時の私たちの間には、漠然とした無力感が漂っていた。バブルを逃げ切った大人たちの残飯処理をさせられているという自覚。なんとなく渦巻く「貧乏クジを引かされている感じ」「未来に希望を持てない感じ」……   そんな私たちが本能的に求めたのは、「クラスごと破滅するカタストロフィー」だった。「一握りの人間だけが幸せになれる可能性」よりも、「確実に全員が不幸になること」のほうが魅力的だったのだ。そういった世相を、深作監督は的確に見抜いた。だからこそ、この原作に興味を示したのだろう。   しかし監督は、リアルな若者像をそのまま写し取ることをしていない。登場する生徒はみんな鬱陶しいくらいに生き生きしていて、どこかアツい部分を持っている。みんな「生き残りたい」と願い、アホみたいにクサいセリフを吐いて、血まみれになって死んでいく。恋人との心中を選ぶ者もいるが、それだって「どう死ぬか」を積極的に選択するエネルギッシュな行為だ。あくまでも深作節。そこが、この作品の魅力になっていると思う。   それはラスト近く、担任キタノの〈楽しかったろう、好きなやつと2人で生き残って〉という皮肉なセリフに凝縮されている気がする。「お前らダルそうなふりしてても、本当は生き残りたいんだろう?」という、老監督からの若い観客へのメッセージだ。少なくともこれは、近年の若手監督が乱発するデスゲーム映画からは得られない何かだと思う。   それでもこの映画が「見せかけだけ」と言われてしまう最大の弱点は、「BR法」そのものの意味不明さだろう。これは、原作小説の設定(太平洋戦争で勝利してバリバリの軍国主義が続いているパラレルワールドの日本)をカットしたためなのだが、それならば、きちんと説得力のある設定を練ってほしかった。シーンと完全にマッチした天野正道のサントラも素晴らしいだけに、この一点がどうしても気になってしまう。
[映画館(邦画)] 7点(2021-07-24 17:36:14)
6.  クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん 《ネタバレ》 
 私は『オトナ帝国』を何回見てもボロボロ泣くが、へそ曲がりなので「クレしん映画=感動」とはみなしていない。しかし世間では、「泣けるクレしん映画」はもはやブランド化されていて、誰もがそれを期待している。  今回の『ロボとーちゃん』は、そんな風潮に対する製作者側の照れ隠しのようなものを感じた。後半の五木ひろしロボのくだりは、「感動作の面構えにせず、あくまでギャグで見せたい」という理由のみで付加されているように思える。なぜなら黒幕の「古き家父長制の復古」という野望と噛み合っていなく、ストーリー上の必然性がまったくないからだ(ギャグ単体としては個人的には笑えた)。   国民的アニメ映画の制作体制というのは、ポーカーで言えば「それなりの役が約束されている」ようなもの。ただし観客側は中途半端な役が見たいのではなく、きちっと5枚全体で「ストレート」や「フラッシュ」を見せてもらいたいのだ(すべての要素が完璧に絡み合った『オトナ帝国』は間違いなく「ロイヤルストレートフラッシュ」)。  その点、『ロボとーちゃん』は「泣けるペア+笑えるペアのツーペア」という印象。プロットに組み込めていない「余分な1枚」(黒岩署長がナルシストである意味・段々原の存在意義…など)も内包してしまっている。  でも、それぞれのペアがエース級なので満足感がある。7点以上をつけるには値すると思う。
[インターネット(邦画)] 7点(2021-02-21 12:21:04)(良:1票)
7.  パラノーマン ブライス・ホローの謎 《ネタバレ》 
 キャラクターはブキミカワイイし、ノーマンの切ない境遇もたしかに胸に刺さるのに、作劇がトンチンカンすぎて不完全燃焼してしまった。「何かが起こり始めている」という序章が長すぎて、やっとストーリーが転がり始めたかと思ったら、行き当たりばったりのパニックシーンばかりで物語の目的がいまいち見えず……(一応、目的は「墓の前で本を読む」ということなのだが、押し付けがましくてまったく腑に落ちない)   せっかくノーマンが「幽霊が見える」という設定なのだから、あの少女を冒頭から「正体はわからないけど、いつも見えている幽霊の一人」として絡ませればよかったのになと思った。そこから少女が他の幽霊とは違うことに気づいて……という展開にすれば、ノーマンとの絆も描けてクライマックスに感動できたと思う。   少女の声は『サイレントヒル』でアレッサ役をやったジョデル・フェルランドが当てていて、日本びいきのLAIKAスタジオらしさを感じた。魔女狩りに遭った少女を永遠に煉獄で生殺しにするのが日本なら、しっかりと救済を与えるのがアメリカ。両国の感性の違いが見えて面白い。
[インターネット(字幕)] 6点(2022-10-14 09:55:41)
8.  シャッター アイランド 《ネタバレ》 
 霧、水辺、炎、病院、精神病、鉄格子、象徴的な悪夢。そして、妄想による自己欺瞞で妻殺しの罪から逃避する主人公。クリーチャーが出てこないというだけで、ほぼそのままホラーゲームの『サイレントヒル2』だったし、更に言うならそのイメージ源である『ジェイコブス・ラダー』の変奏。制作陣はかなり影響を受けていると思う。特に“崖の下の死体”のシーンはゾクッとして良かった。   しかし表層的な作りは上手でも、人物描写はすっぽりと抜け落ちていた。だから、「どんでん返しは見え見えだったけど、トータルで良かったよね」という評価にならない。死んだ妻の登場シーンは「観客を混乱させたい」という狙いがあからさますぎて、ミステリアスというよりイライラするし、「二人の間にあった愛」が描かれないので「子殺し」の真相は荒唐無稽に映る。主人公はただプッツン女に人生を奪われたようにしか思えず、「最後の選択」に切ない余韻を感じることはできなかった。
[インターネット(字幕)] 6点(2022-10-03 23:37:15)
9.  ゲット・アウト 《ネタバレ》 
 あのジョージアン様式の佇まいと広大な土地からして、舞台となるお屋敷がプランテーションのオーナーハウスだったことは想像に難くない。「かつて黒人奴隷が労働させられていた場所で白人と黒人が(表面上)仲良くする」というのは、現代アメリカにおいては地雷原を歩くような行為だ(みんなそんなことは口が裂けても言わないが)。その空気感をまるごと利用しているのは斬新だった。   後半の展開は、意外というより茶番。オチが荒唐無稽なのは構わないが、それならば全体を調和させる何かが前半にもっと欲しかった。また、アーミテージ家の奴らをぶっ倒していくシークエンスで、ミッシー(彼女の母親)への一撃がサクッと終わってしまったのも気持ち悪い。主人公に催眠術をかけた主犯格への反撃なのだから、しっかりしたカタルシスが欲しかった。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-06-04 00:09:37)
10.  かもめ食堂 《ネタバレ》 
 画作りと独特の空気感は面白いのだが、「ハートウォーミングなドラマです」と言われると、どうもしっくりこない作品。   サチエもミドリもマサコも、特に強いこだわりがあってフィンランドに来たわけではないと言う。でも、北欧ってふらっとたどり着くような場所だろうか……まずここから、疑ってかかってしまう。「みんな嘘ついてない?」と。   サチエのパーソナリティーも最後まで掴めない。初対面のミドリを家に引き入れたかと思えば、人嫌いのようなそぶりを見せるのはなぜなのか。即興の「こじつけトーク」で舌をペロリと出したりするが、それは核心を突かれたくなくて、話題を逸らすための術なんじゃないのか。たまに垣間見せるホンネ(父との関係など)すら、嘘のように思えてくる。   いったん否定的な反応を見せてから、「いや、いいんじゃないですか」と付け加える会話の多さに、すべてが表れている気がする。この「本当は心を開いていない感じ」が、最後まで引っかかってしまった。
[地上波(邦画)] 6点(2021-05-20 19:21:16)(良:1票)
11.  殺人の追憶 《ネタバレ》 
 私は後味の悪い映画が好きで、この後に撮られた『母なる証明』を猛烈に支持しているが、この『殺人の追憶』には首をひねってしまった。美しいオープニング・イメージに心を掴まれながらも、おぞましい犯行シーンに戦慄しながらも、最後はイライラだけが残った。なぜなら、主人公に1ミリも「成長」が見られないからだ。   この観賞体験は、テレビ番組の「ザ・ノンフィクション」にとても近いと思う。「世の中には、こんな救いようのない人間がいるのか…」と胃が重くなる感じ。「他人の不幸は蜜の味」ではなく、ただただ臭いメシを擬似体験する感じ。それはこの監督の、ひいては韓国映画の持ち味として評価されている部分でもある。   しかし道中がエグく、後味が悪いとしても、カタルシスは用意されていなければならないと思う。『母なる証明』にはそれがった。あのお母さんは最後に、「社会的な意味での存在の変質」と、「母という本質のブレなさ」をダブルで提示してくれる。「母は母である時点で、存在としてすでに純化している」という反則技なのだ。   本作の主人公にも一応、「人を見る目があるという傲慢な自信が揺らいだ」とか、「容疑者を殺そうとする刑事を止めた」といった瞬間的な対比は用意されているが、あの局面であれば誰だって揺らぐし止めるだろう。そこに主人公の「成長」はなく、ただイライラさせられただけで終わってしまった。実話ベースとはいえフィクションなので、事件の凄惨さに胸を痛めて「考えさせられた」などというのは評価になり得ない。
[インターネット(字幕)] 5点(2022-08-08 06:40:33)
12.  ジュラシック・ワールド/炎の王国 《ネタバレ》 
 「恐竜を使ってこういう画を撮りたい」というコダワリは、このシリーズを続ける原動力として間違っているとまでは言わないが……もう「それだけ」になってしまってはいないか。インドラプトルがトリケラトプスの化石で串刺しになるシーンの向こう側に、作り手のドヤ顔が見え隠れする感じは不快ですらある。『ファイナル・デスティネーション』シリーズの、「こういう死に方面白くね?」のノリを恐竜でやっているだけである。   過去作のオマージュも散りばめられているが、これがまた安っぽい。特に、「あわや殺されるという瞬間に、横からTレックスが出てきて助かる」というシーン。これを何の脈絡もなく、「ほら、喜べよ」とばかりに入れてくるセンスの無さにガッカリ。   肝心の大筋はというと、人間たちが「恐竜保護派vs恐竜利用派」に別れて争うという、『ロスト・ワールド』の轍を踏む退屈な展開。「恐竜vs人間」以上に明確かつ感情移入できるスリルはないのに、なぜそこを大事にしないのだろうか?   初代『ジュラシック・パーク』はどうしてあんなにも手に汗握るか。それは劇中でもサトラー博士が言っているが、「愛する人が命を落とすかもしれない」という恐怖を擬似体験するからだと思う。それは人物が「生きている」と思わせて初めて成立するもの。気の置けない恋人同士(グラント博士とサトラー博士)。姉弟(レックスとティム)。血の通った脚本と役者の演技力が、観客に「この4人が死ぬところは見たくない」と思わせるパーソナリティーを生んでいる。   以降の作品の主人公たちは、どうにも生きていない。揃いも揃って「ひねった家族関係」の設定(両親が離婚していたり夫婦仲が冷めていたり兄弟仲が悪かったり)が与えられている上に、それを掘り下げるわけでもない(なぜなら本筋ではない)から、どうしても短い時間の中でパッと好きになりにくいのだ。オーウェンとクレアに至っては「ワケありの男女」というしょーもない設定で、この二人の間にどれほどの絆があるかもわからない。『ロスト・ワールド』以降、キャラクターたちが死のうが生きようがどうでもいいと思えてしまうのは、このあたりに原因がある気がする。   ただ、それでも「かっこよかった!」と思わせてくれるクリス・プラットのスター性はすごい。
[インターネット(字幕)] 5点(2021-02-28 19:13:05)(良:3票)
13.  ピーターラビット 《ネタバレ》 
 冒頭のおじいさんがサム・ニールだとは気づかなかった。面白かったのは、人間が電気ショックで何度も吹っ飛ぶところくらい。この内容で「ピーターラビット」の看板を掲げる意味はよくわからない。   アレルギー反応などのブラックジョークを入れるなら菜食主義なんかもネタにしてほしかったし、いっそ原作に寄り添って「食うか食われるか」みたいな、動物がお互いに食べ合うことの意義なんかを感じさせてくれるプロットなら面白かったのにと思う(それこそピーターのお父さんはミートパイにされているわけだし)。   隣家の畑を荒らすところから始まって、その畑で大手を振って過ごせるようになって終わり……という、不遜な若者が不遜な若者のまま終わる成長のなさもスカッとしない。
[インターネット(字幕)] 4点(2023-06-07 22:44:29)(良:1票)
14.  エクトプラズム 怨霊の棲む家 《ネタバレ》 
 遺体写真(ポストモーテム・フォトグラフィー)や交霊会などの19世紀的オカルト要素を盛り込んではいるものの、それらはあくまで味付けにすぎず、よくあるC級ホラーだった。そもそも原題は『THE HAUNTING IN CONNECTICUT(コネチカットの幽霊屋敷)』で、エクトプラズムはストーリーの中で特に重要な意味を持っていない。ズレた邦題はホラー配給の伝統芸とはいえ、なかなかの詐欺タイトルと言っていい。   登場人物たちは「息子がガンで死にかけているのに葬儀場だった曰くつきの物件を借りる」とか「見るからに不気味な開かずの扉がある地下室を自室に選ぶ」とか、リアリティのない行動ばかりとるので感情移入がまるでできない。後半で明らかになる幽霊屋敷の設定も、トンデモすぎてカタルシスを得られなかった(「この家は葬儀場だった→葬儀場の主人は、霊能力を持つ少年を使って交霊会を開いていた」まではわかるが、「その少年の霊能力をさらに高めるために、死体を黒魔術で蘇らせた」あたりからバカバカしくなってくる……)。   『キャンディマン』のヴァージニア・マドセンをホラーで見られる!という感慨とともにワクワクしながら観たので、ガッカリ感ひとしお。
[インターネット(字幕)] 4点(2021-09-06 11:00:02)
15.  暗黒女子 《ネタバレ》 
 「箱庭的な世界観+いかにも芝居っぽい演技」というのは、ジャンルによっては功を奏することがある。この『暗黒女子』も、そこをわかってこういう作りなのだろう。でも、ひとつ大事なことを忘れてしまっている。「耽美的な世界観を作るためには、ビジュアル的なキャスティングが完璧でなければならない」ということを。   学園の誰もが憧れる完璧なお嬢様・白石いつみ。ミステリアスな死を遂げた彼女を演じた飯豊まりえは、もちろん一般レベルで言えばかわいい部類なのだろうが、銀幕でアップにしたときに鑑賞に堪える美人とは到底言えない。口元が気になる感じが強調され、作品への没入感を見事なまでに削いでくる(花壇に倒れている画ひとつとっても、ソフトフォーカスで神々しく見せようとすればするほどギャグに見えてくるし、終盤で明らかになる性に奔放な一面は非常に安っぽい)。   では、「見た目よりも中身だよね」と言えるほどのミステリーがあるか……というとそうでもなく、最初から怪しいポジションの人物が黒幕というシンプルな構成。それも、現実的に考えたらツッコミどころ満載の筋運び。「ミステリーを楽しみたい」という欲求も「耽美的な世界観を楽しみたい」という欲求も満たしてくれない、毒にも薬にもならない作品という感じだった。
[インターネット(邦画)] 4点(2021-07-24 12:29:23)
16.  ヘレディタリー 継承 《ネタバレ》 
 私は悪魔ネタがけっこう好きだ。よく「日本はキリスト教圏ではないから、悪魔の怖さはピンとこない」という感想を聞くことがあるが、そんなこともないと思う。「邪悪な集団に追い詰められていく」というのはホラーの定番だし、『ローズマリーの赤ちゃん』は何度見ても背筋が凍る。サタニストがマンハッタンのアッパークラスに巣食っているという設定に妙にリアリティがあり、「悪魔に狙われている」という状況を早々に明かした上でのストーリーテリングが巧いからだ。   本作ではサタニストの存在が終盤で明らかになる上、存在感がどうもボヤッとしている。そもそも、主人公たちはどんな街に住んでいるのか。悪魔崇拝者たちは、どのようにカモフラージュして暮らしているのか。彼らのコミュニティとしてのリアルを描けていないので、現実としての恐怖感がまるでない。裸の信者たちがわらわら出てくるシーンはそれこそ『ローズマリーの赤ちゃん』っぽくておぞましいが、同時に苦笑いもしてしまう。   致命的なのは、誰も彼もが辛気臭い顔・行動を示すので「この家族がどうなろうと知ったこっちゃないよ」という気分になること。ルッキズム否定がトレンドなのかもしれないが、やはり「愛嬌のない者に感情移入はできない」ということを痛感する。息子役だけが中東系の顔立ちをしているのも、「何か意味があるのかな?」と思わせてしまう謎のキャスティング。ポリコレ対策だろうか。   恐怖シーンのひとつひとつはけっこうしっかりしているので、怖くすらない駄作と比べれば高評価になるのかもしれないが、名作として後世のホラーファンに「継承」されていくとは到底思えない。
[インターネット(字幕)] 4点(2021-05-22 01:44:25)
17.  ハウルの動く城
 「荒唐無稽と支離滅裂は違う」という言葉をどこかで聞いたが、まさにその通りだと思った。   『千と千尋の神隠し』も行き当たりばったりなストーリーだったが、あれは主人公が子どもなのでギリギリ納得もできる。ソフィはけっこういい大人なのだから、確固たる指針を持ってストーリーを引っ張っていく責任というものがあるだろう。場面場面で意志の強そうな言動をさせて、魅力的なヒロインっぽく見せるだけではダメだ。   肝心の中身がないから、小手先のジブリ節(食事シーンやマルクルの大笑いなど)も鼻についてくる。ソフィの涙の粒はいくらなんでも大きすぎてギャグかと思った。
[地上波(邦画)] 4点(2021-05-21 19:36:50)
18.  大統領の料理人 《ネタバレ》 
 宮廷料理人を辞めたあと、南極基地にいる主人公の現在を起点に描くことで、「主人公の過去のベールが一枚ずつ…」という予感をさせておきながら、まったく何も起きない。というより、主人公にうっすら嫌悪感すら覚えて終わった。   主人公の行動には、一貫性が見えない。大統領の料理人に抜擢されて、謙遜していたかと思ったら妙に自信満々で人に嫌味なんか言うし、飄々と過ごしていたかと思ったらブチ切れる(しかも原因は主人公の傲慢さや勘違いから来ている)し、大統領と信頼関係を築いたかと思ったらいきなり「実はクタクタです」とか言って辞める。   その支離滅裂っぷりを納得させてくれるだけの演技を主演女優ができているかというと、それもない。常に硬い無表情(おそらくボトックスとフィラーのせい)で、人間としての温かみみたいなものがまったく感じられない。料理はどれもびっくりするほど美味しそうに撮れているのだが、それすら救いにならないレベルで人物描写に味わいがない。   一応、「宮廷=料理を口にする人を直接見ることができない」「南極基地=職員たちがワイワイ食べる姿を見ることができる」という対比があるが、主人公の最大の欲求がそこにあるようには見えないのだ。宮廷での彼女は、「いくらコストがかかろうと、ハイカロリーで大統領の体に悪かろうと、アタシは最高の食材で作りますよ?」ということにしかこだわっていなかった。   南極基地の食堂のおばちゃんになったことについても、「資金稼ぎだった」「孤独に癒やされた」などとラストで語っており、「ああ、この人には、そのときどきの周囲の人間に対する愛みたいなものがないんだなぁ」という後味。じゃあそういうキャラクターを描きたかった映画なのか? というとそうでもなさそうだし……   作中、「料理は物語。一皿欠けても台無しになる」みたいなセリフがあったが、この映画こそ「てんでバラバラのコース料理を食べさせられて、しかもデザート(仕上げ)抜き」みたいな仕上がりだと思う。本当に謎でしかない。
[インターネット(字幕)] 3点(2022-10-15 09:51:29)
19.  メリー・ポピンズ リターンズ
 元祖『メリー・ポピンズ』が冒頭からメリー・ポピンズをチラ見せし、バートが歌う魅力的な「チム・チム・チェリー」のメロディで心を掴むのに対して、この『リターンズ』の冒頭10分は「設定を説明するためだけの会話の連続(とりあえず形だけの歌もあるよ)」という感じで、この時点でもう「ハズレだな……」と思った。   その設定も、借金がどうとか父の株券がどうとか、本当にどうでもいい。1ミリも興味を持てない。なぜ元祖のように「謎めいたナニーの魔法に翻弄されるうちに、機能不全ファミリーが再生していく」といったシンプルな作りにできないのか。   アニメパートは、黄金期のアニメーターの仕事に敵うわけがないのは当然としても、CGにあぐらをかいているのが見え見えで芳醇さを微塵も感じられなかったし、歌については1曲も耳に残らなかった。   エミリー・ブラントは歌唱力以前に、「陰」か「陽」かで言うと「陰」の女優だと思うのでそもそものミスキャスト感が否めない(尾野真千子が明るい役をやっているときの違和感に近い)。相手役のリン=マニュエル・ミランダも、ただただプエルトリコ系のクドさだけが目立った。キャスティングのポリコレにこだわるなら、ヴィクトリア時代の話など作らなければいいのにと思う。   とにかく作り手の情熱とか才能みたいなものがまったく香ってこず、「人から作品が生まれる」のではなく「企画ありきで人を集める(適任者がいなくても無理に作る)」という、近年の業界にありがちな1本に思えた。
[インターネット(字幕)] 3点(2022-04-27 08:09:14)
20.  シュガー・ラッシュ:オンライン
 ポリコレ臭くてかなわん料理を、演出のケレン味をふりかけて誤魔化すタイプの映画。近年のディズニーお得意のメニューだ。映像としては楽しいけれど、大切な「作品の核」みたいなものがまったく感じられない。プリンセスたちのネタ化も想像以上に酷かった。これにアラン・メンケンが曲を当てるのだから世も末。ハワード・アッシュマンが生きていたら、きっとこんな時代にはならなかったろう。
[インターネット(吹替)] 3点(2022-02-13 20:14:31)
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