2. 窮鼠はチーズの夢を見る
《ネタバレ》 原作未読なので比較できませんが、映画として見て割と面白かったと思います。 見た目も人当りも良くて、優しくて押しに弱くて流されやすい大伴。 浮気しながら妻も好きだし愛の形が違うとか臆面もなく言える。 多分何でもそつなくこなせて、人から好意を持たれるのが当然だと思って生きてきたんだろうな。 優しいというより心が無くて中身空っぽそう。 こんな人好きになったら地獄だなぁ、と思いながら見てた導入部分。 そんな地獄にどっぷりハマってる人がいましたよ。 大学の後輩今ケ瀬。 大伴の元カノに「粘着質なゲイ」って言われるほど、大伴にハマってしまって、もう気の毒なくらい。 ドストレートに気持ちをぶつけてくる今ケ瀬に、段々空っぽな心が埋められていく大伴。 それにしても、クズってわかってても、どんな酷い仕打ちを受けても、好きになっちゃったらどうしようもないんですよね。 頭では理解してるけど、どうにもならない。だって好きなんだから。 そんな今ケ瀬がいじらしいし、可愛そう。 でも、もし1ミリも彼に好意を感じてなければ怖い、勘弁してほしいほどの情熱。 二人の関係性や気持ちの揺れ動きが、主に成田凌の熱演によって伝わってきます。 大倉さんの演技は初めて見ましたが、ベッドシーンも多く、ジャニーズでもここまでやっていいんだとそっちに驚きました。 演技に関しては、心境の変化や今ケ瀬への愛しさがいまいちわかりにくかったです。 でもビジュアルや雰囲気は大伴役に合ってたと思います。 ラストは原作と違うようですが、これはこれで良かったです。 今ケ瀬が捨てていった灰皿を綺麗に洗ってテーブルに置いて、いつか彼が戻ってくるのを信じて待つと決めた大伴の、清々しく満足そうな姿。 今ケ瀬は、別の男に身を任せながら、途中で号泣。 だからきっと、今ケ瀬は帰ってくるし、人の気持ちがわかるようになった大伴と、二人で暮らしていけるんじゃないかなと思えました。 BLぽいけど、性別関係なく、人を好きになるってどういうことか、恋愛も含め人との関係性を自分に問い直せる作品だと思います。 [インターネット(邦画)] 7点(2021-02-14 02:26:43) |