1. きっと、うまくいく
《ネタバレ》 質の高い笑って泣ける大衆向け娯楽作品でした。楽しませる演出のツボを抑えている感じで高評価に納得の一方、少し不思議に思う部分もあります。 高い能力を持つ人物達が精神的に成長し、社会的に成功し自己実現をするストーリーですがどれだけの人が素直に心に響いたのでしょうか。 日本では自分の能力に自信を持てない人の方が多いのでは?特別な才能が無いと思っている人の方が多く、あったとしてもそれに気付いていない人の方が多いのでは? そういう人達はこの映画をどのように受け止めたのでしょうか。 そういう人達はこういう映画を観ることを避けるのでしょうか。 多くの人達はこの映画を観て本当に前向きな気持ちになれたのでしょうか。雰囲気に飲まれただけな人も多いのではと思うのは歪んでますかね。やり直しが難しい年齢の人達は一体何を思うのか。 自己実現に向けて自分に正直に夢や希望を持ち行動することが大切であることはなんとなく分かります。 でも、特別ではない能力、特別ではない精神を持つ人にはそれを維持することが難しいんです。 [DVD(字幕)] 7点(2014-08-20 00:09:27) |
2. CASSHERN
公開当時、賛の声はあったものの、デビルマンとセットで挙げられるほど酷評されていた記憶があります。これほどイマジネーション溢れる映画が酷評されるのかと衝撃がありました。 いかに多くの日本人が映像、芸術性軽視で映画を観てるのかが分かります。 是枝裕和、西川美和、中村義洋、沖田修一、深川栄洋らは確かにうまい。どれもクセのない美しい映像で心理描写も巧みだと思う。 しかし、小綺麗でうまいけど平凡の域を全く出ない映像ばかりの邦画界において、この映画は貴重な存在ではないでしょうか。 [DVD(邦画)] 7点(2014-04-02 19:38:40)(良:1票) |
3. 神様のパズル
テーマはとても興味深い。宇宙の誕生と人間が存在する意味。関係無さそうな二つの大きな謎をうまく関連付け、知的好奇心を刺激するハードSFの体裁を持ちながら、理屈抜きのエモーショナルな人間ドラマも併せ持つ意欲的な内容だと思う。演出は邦画の悪いところが出てると思う。向いてない表現に挑み見事に中途半端な仕上がりになってしまっている。もっと落ち着いた演出だったら傑作になってたかもしれない。 しかし、これはこれでアリかもしれないと思う。ブサイクな表現ながらも市原隼人の理屈抜きの勢い、エネルギーは伝わりました。 [DVD(邦画)] 7点(2014-03-17 23:37:38) |
4. 新しい靴を買わなくちゃ
《ネタバレ》 大人版ハルフウェイinパリ。ターゲットは純粋で夢見がちなアラフォー独身女性だろうか。ハルフウェイと同じように人の純粋な一面のみを抽出したかのようなラブストーリー。恋人達はとても幸せそうに手を繋いで歩いているからね、まるで全てのことが上手くいっているかのように見えるよね、真実は二人しか知らない。そんな話。日常を切り取ったかのようなとりとめもない会話が繰り返される。撮り方はおだやかで主張しない。ただ、高校生ならまだしも大人でそれをやるのは苦しいと思いました。 中山美穂の全ての言動が計算されたものに見えて仕方がない。おそらく、裏表の無い素直な女性という設定でしょうが、意図的に可愛らしい振る舞いをして男を誘ってるように見え、女性の嫌な一面を見せられてるような気持ちになる。甘えるタイミングも自然で絶妙。 向井理は何を考えてるのかよくわからない。言動はとても紳士的で誠実そのもの。しかし、女性の扱いに手慣れた様子も見え、全ての発言が上っ面で感情が伝わってこない。深入りする気もないくせに、彼女のナイーブな過去話も巧みに聞き出す。 私の心が汚れているから穿った見方をするだけで、汚れなき心をお持ちの方はまた別の捉え方をするかもしれない。 それにしても何でこんな深みもなければ展開も平坦でハルフウェイから何一つ進歩してない脚本に名のある役者やスタッフが揃ったんだろう?道楽か? そもそも、あっても無くてもどうでもいいような映画のレビューをしてること自体がバカバカしい。単に日頃の鬱憤を込めて何かを愚痴りたいだけかもしれない。 [DVD(邦画)] 4点(2014-03-17 18:52:31) |
5. リンダ リンダ リンダ
《ネタバレ》 スウィングガールズみたいなものだろうと思って見ていませんでした。冒頭の5分、どうやらスウィングガールズとは違う。入りの面白さ、画の面白さに軽い感動がありました。演出、カメラワークの素晴らしさは最後まで緩むことなく予定調和のラストは素直に感動しました。留学生の存在と自然でユニークなセリフの積み重ねの効果は大きいと思いますが、ストーリーは凡庸で、平凡な画を撮る監督だったら凡作以下になってたと思う。山下監督でよかった。傑作です! [DVD(邦画)] 8点(2014-03-08 01:47:40) |
6. R100
画で魅せる意識はこれまでで最も高いと感じました。映像表現の重要性にようやく気付いたかと偉そうですが思いました。アイデアを活かすも殺すも表現力。アイデアだけで通用したバラエティの感覚を映画に持ち込まれては困ります。しんぼるの昇天シーンから格段に進歩したと思います。 あと足りないと思うのは知性。ストーリーに知性が全く感じられません。相変わらず、単なるアイデアの羅列にしか見えません。これで海外の賞を意識してるのは理解不能。次作はそこを改善してきそうな気がします。全てのカットに意味と必然性を込めてほしい。次作はまともな映画が観れそうな気がしてます。 [DVD(邦画)] 3点(2014-02-27 19:23:34) |
7. 悪人
《ネタバレ》 この映画と人によって解釈が異なるレビューを見て、本当の意味で人の気持ちや考えを理解するのは不可能だと改めて感じた。 言葉で表現することに無理があるのだと思う。取捨選択の末に口から出た言葉は全然違うものになっていると思う。自分の気持ちや考えをどれだけ把握できているのかもよく分からない。 佳乃の父が「大切な人がいないから自分には失うものがないと思い込んで、それで強くなった気になる」と大学生に関して言っていたが、彼の何を知っている?歪んだ現代の若者というレッテルを貼ることでしか理解できないのだ。山道で蹴り飛ばした行為は最低だ。その点だけを責めれば良かった。仲間内での薄っぺらい会話など彼を理解する材料にはならない。 祐一と光代の関係に関して以前の自分なら、安い関係だ説得力が無い急展開だと切り捨てていたと思う。でも、日々孤独を感じている今なら彼らの気持ちに共感できる。孤独を感じる中で少しでも自分を求めてくれる人がいたら直ぐにでもその人に依存したくなるものだと思う。人を理解するのは難しくよく分からない存在でも孤独には勝てない。 祐一の祖母はずっと一緒に生活していながら祐一の気持ちを理解できていなかった。知人による祐一が可哀想だという言葉にも聞く耳持たず。悪徳業者の仮面も見抜けない。 祐一の母にお金の無心をしていた話もショックを受けた様子だ。本意は罪悪感を和らげるための母への気遣いであり、母も本当はそれに気付いていながら自分の気持ちを誤摩化すため被害者面してるだけだと思う。祐一は本当に不器用で分かりにくい。最後の首を絞める行為の意図も解釈が割れてしまっているのは演出の問題ではなく、人が人を理解できない本質的な問題だと思う。 タクシー運転手が祐一を悪人だと言う。光代は世間的には悪人なんですよねと返す。運転手の言う悪人と光代の言う悪人が同じ意味だとは思えない。運転手(世論)は悪人と言ったが、殺人犯全てが悪の権化であると思っているはずもなく、情状酌量の余地がある犯人もいることを当然彼も知っている。他人事の事件に対して深い考察もなく安易に言葉にしただけだと思う。 一言に悪人と言っても、その言葉に込められた思いや意図はそれぞれ違う。彼は悪人なのか、誰が悪人なのか、その答えは自分の頭の中にしかないと思う。言葉にした時点でその答えを共有するのは不可能なのだから。 [DVD(邦画)] 8点(2014-02-23 20:00:55)(良:1票) |
8. ハルフウェイ
《ネタバレ》 話が途中で終わっている感じなので続きを妄想してみた。 「東京に行ってほしくないです」 「ピピピピッピピピピッ(目覚まし時計の音)」 なんだかステキな夢だったけど、良いところで目が覚めた。ふと鏡を見た。 私は北乃きいみたいに可愛いくない。halfはハーフと読める。 母がさっさと朝飯食べろと喚いている。怒号が響く中、急かされながら朝食を食べ支度をし、家を出た。 もちろん誰も待ってはいない。私に彼氏はいない。 起伏の激しい片道10kmの通学路は、電動アシスト機能が付いてない私のママチャリでは一苦労だ。 何とか間に合った。息を切らしながら席に着いた。 辺りを見渡してみたが、岡田将生みたいな理想の男子はいない。 担任は小太りのオッサンで頭頂部がやや禿げている。成宮寛貴みたいなイケメンではない。鼻クソをほじって食べるのがクセだ。今も出欠を取りながら右穴をほじっている。 気分が悪くなってきた。保健室に行くことにした。 私が所属している書道部の部室の前を通りがかったので、中を覗いて見た。 案の定、顧問の先生が大きなイビキをかきながら寝ている。 40代独身。大沢たかおみたいにはイケてない。見た目は塚地武雅に似ている。 この人に彼女がいたことなんてあったのだろうか。恋愛相談なんて絶対にできない。 イビキが止まり無呼吸状態になったのを後目に保健室へと向かった。 保健室にはうざいギャルグループがたむろっていた。保健室の先生はノリが合うらしく彼女等から絶大な支持を得ている。 白石美帆みたいな可愛らしさはない。気が強くてケバいオバサンだ。オシャレな車も持ってない。 恐くて中に入れない。ヤバい、吐きそう。 「ヴォェェェェェェッッ」 今日は卒業式。私の青春も今日で終わり。あんな夢、見たくなかった。 どこで~めぐり逢~えるか~な あの日~夢見た季節と♪ by Salyu [DVD(邦画)] 6点(2014-02-20 19:28:47) |
9. 半分の月がのぼる空
原作未読。演出、カメラワーク、ストーリー構成が見事!!多様な照明に多様な構図。被写体との距離にも偏りがなく、長回しや手持ちカメラもほどよく散りばめられ、画的に飽きがこない。 しかし、一つ一つのエピソードが凡庸でつまらない…。凡庸なストーリーにテクニックを駆使してもったいないと捉えるか、撮り方のおかげで良作となったと捉えるか…。 [DVD(邦画)] 8点(2014-02-17 23:20:18) |
10. TAKESHIS’
シュルレアリスムとしては発想が凡庸。大衆映画にはほど遠く、芸術としてもありふれた妄想の域を出ていないと思う。画も面白味に欠ける。画がつまらないシュルレアリスムはつまらないの典型だと思います。 ダリやブニュエルにはほど遠く、近いのはケラリーノ・サンドロヴィッチ。 [DVD(邦画)] 5点(2014-01-17 21:10:10) |
11. ゼロ・グラビティ
2001年宇宙の旅以上のリアリティを期待して鑑賞。いきなりCGに見えるよくできたCGが出て来てがっかり。 ですが無重力の描写はかなりの説得力で、長回しによる没入感との組み合わせは効果抜群でした。自分に向かって物が飛んでくればCGに見えてもかなりの迫力を感じました。 しかし、パニック映画のような作りは正直残念。忙しなく襲いかかる生命の危機、仰々しく頻繁に響く効果音、よくしゃべる人物がリアリティを阻害してると感じました。技術がリアリティを追求し新たな境地に達しているのに対し、とにかく退屈させまいと間を嫌う従来のパニック映画を見てるような既視感もありました。 これが大衆のニーズなのでしょう。 個人的には、効果音や音楽無し、セリフを極力排除、無意味な死体脅かし無しで見てみたかった。 [映画館(字幕)] 8点(2013-12-24 12:36:50) |
12. 恋はデジャ・ブ
《ネタバレ》 古くさいだけで平凡で面白味のない演出。古くさいだけで平凡で面白味のないジョーク。無意味なカーアクションが2度もあったことも印象が悪い。 フィルの序盤の印象を含め美人に一目惚れしただけの恋を応援する気持ちにもなれず、80分ぐらいまではただただ不愉快なだけでした。リタに関してもたった1日で同棲まで関係が進むのは安い。 反則技で実った1日未満の即興的な恋には感動を覚えない。 演出と内容共に邦題からイメージされる安っぽいラブコメそのものでした。 [DVD(字幕)] 5点(2013-12-21 23:19:57)(良:1票) |
13. アルファヴィル
なんという映像センス!魅力的な画がテンポ良く次々と繰り出され、気を抜けるところがない。 特に最初のカットで一気に引き込まれて目が釘付けになった。 ストーリーは凡庸でパロディの様でもあったけど全然気にならない。ストーリーはどうでもよくなったというか、映像表現が華麗過ぎてストーリーに構う気にならない。 ストーリーのために映像があるのではなく、映像のためにストーリーがある。 [DVD(字幕)] 9点(2013-12-14 18:39:20) |
14. ●REC/レック(2007)
《ネタバレ》 私はホラーには全く興味がなくPOVにもさほど魅力を感じませんが、この映画は気に入りました。謎や変な違和感だらけなのが凄く面白いです。 序盤からとにかく細かい違和感が多かったです。老婆が一人で叫んでるだけなのに皆が下の階に集まり怯えるのは大袈裟ではないか?自称研修医はなぜドアの前にいたのか?なぜ研修医という設定?若い女性がなぜ老婆の部屋にいたのか?住民のインタビュー時の言葉のチョイスがおかしくないか?日本人はなぜおじいちゃんを長時間放置?など。 深く考えなければそういうもんかとさらっと流せたり、雑な作りの映画なんだろうと思えば気にならない微妙なことばかり。鑑賞時はテンポの良さと恐怖感に圧倒されあまり気にしてなかったのですが、よくよく考えてみるとしっかりした裏(前)設定の元に作られた緻密な脚本ではないかと思いました。 REC0を作ってほしいです。0を見た後に1を見たら新たに楽しめそうです。 ただ…思わせぶりなだけの可能性も否定できません…。 [DVD(字幕)] 7点(2013-11-22 19:13:44) |
15. 市民ケーン
つまらなかったです。ただ、よく言われてることですが、これは映画の教科書と言えます。だから10点です。つまらなかったですけど。さまざまな撮影技法や演出が効果的に、ふんだんに盛り込まれています。だから10点です。つまらなかったですけど。この映画を見れば、映画の楽しみ方の幅が広がると思います。だから10点です。つまらなかったですけど。内容や面白いかどうかは抜きにして、映像表現が優れた映画は高く評価したいと個人的には思っています。だから10点です。つまらなかったですけど。受け売りで言っているのではありません。そういう映画だからそうとしか言いようがないのです。だから10点です。つまらなかったですけど。 [DVD(字幕)] 10点(2013-10-23 18:49:09)(良:1票) |
16. 恐怖の報酬(1953)
《ネタバレ》 監督が一人とは思えないほどクオリティが安定してないと感じました。町の貧しさを示す導入部は優れた映像作品を予感させましたがそこがピーク。トラックが出発するまで約1時間も費やした割には人物描写や町の描写が映像的にも内容的にも物足りないという印象です。マリオとジョーが親密になる過程も淡泊だしマリオやジョーがお金を欲している理由もセリフでさらっと説明してしまっている。ビンバに至ってはほとんど描写がない。トラックの運転技術を競うシーンも淡泊で説得力がない。 トラックが出発してからはスリルの連続で凄く楽しめました。が、トラックの爆発や油まみれのシーンなど幾つか唸らせられるカットはあったものの、やや慎重さに欠ける運転の仕方やトラックの振動、ジョーを死に追いやったのに意気揚々としてるシーンなど細かい部分が雑で説得力に欠けると思いました。 最後のクロスカッティングはそれまでと異なるテンポで高揚感を感じました。この映画の最も好きなシーンかもしれません。 [DVD(字幕)] 7点(2013-10-13 19:37:36) |
17. プレイタイム(1967)
《ネタバレ》 モダンな美術で構成された映像がとても美しい。引き画が多く注意を引く人物や美術がワンカットに複数存在していることが多いので、ウォーリーを探せ的な面白さがあります。レストランで矢継ぎ早にユーモアが繰り出されるシークエンスは圧巻です。寒々としたモダニズム建築と喧噪を約2時間見続けた後の普通のパリの景色は穏やかな気持ちになりました。新鮮な映像体験となりました。 [DVD(字幕)] 9点(2013-09-23 21:03:57)(良:1票) |
18. イカとクジラ
不倫、セックス、マスターベーション、カウンセリング、なんてお馬鹿で駄目な私達、葛藤を経て最後は少し成長。このパターンにはもううんざり。 [DVD(字幕)] 6点(2013-09-16 16:51:50) |
19. g@me.(2003)
《ネタバレ》 音楽と演出のセンスが悪過ぎる。ゲームという言葉の使い方も不自然でダサイ。メイン二人の欧米人のような振る舞いも違和感でしかない。終盤の急展開だけがこの映画の見所。でもそれは原作のものであり、映画ならではの部分は全て標準以下の出来だと思う。それでもそこそこの平均点であるということは"意外な展開"というものを好む人が多いということでしょうか。 [DVD(邦画)] 3点(2013-08-25 23:31:01) |
20. 罪とか罰とか
伏線を張ることに一生懸命でしたが、肝心の内容が絶望的に面白くない。下品。くだらない。何の興味も持てない。笑えない。映像もつまらない。伏線回収さえあれば何でもいいという方にはおすすめ。ブラックジョークに関しては好き嫌い分かれると思います。 [DVD(邦画)] 3点(2013-08-18 18:25:51) |