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タケノコさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 583
性別 男性
年齢 50歳
自己紹介 管理人さま、レビュアーのみなさま、いつもお世話になっております。

タケノコと申します。

みなさまのレビューをとても楽しみにしています。
( まるで映画のように、感動し、笑い、ときに泣きます )

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1.  さびしんぼう 《ネタバレ》 
JACの俳優さん、いったい何回まわっただろうか、宙返り。でも尾道でよかったね、坂も階段もそこらじゅうにあるから。たんたんたぬきのキン○○にスカートめくりは、笑うべきなのだろうか。 こうして前半は、根が真面目な大林監督らしいお笑いコント、しかしハッキリ言ってしまえば、笑えない寒いギャグが延々と続きます。(スミマセン!) でも昭和のあの頃、よく自作のお好みカセットテープを作ったでしょう? 本作も同じで、たぶんA面とB面の二部構成なんです。前半 (A面) はノリのよい曲を並べて、後半 (B面) は泣きのバラード集。前半は失笑でもいい、笑っていてください。その代わり、後半は存分に (独りで) 泣いてください。 ショパンの「別れの曲」を聴きながら、懐かしい尾道の風景とともに、大林監督の世界を堪能してください。 「さびしんぼう」たる素晴らしさ、それはスクリーンの二人は完全にヒロキと百合子 (とさびしんぼう) であり、尾美としのりと富田靖子を感じさせないこと。 そのヒロキが自転車を押して百合子さんを送る場面、二人を照らす夕陽の何という美しさ。私にとって、ここが大林監督映画のベストショットです。ここに大林監督という作家と、ヒロキと百合子さんと、尾道という場所と、昭和という時代と、まるで時間が止まったまま、収まってる。もちろん、この瞬間がヒロキにとって幸福の絶頂ということもあるのだけれど (笑) 実は数年前、尾道を訪れて本作のロケ地を巡りました。舞台である西願寺は、忘れ去られたように映画の面影はもうなくて、何だかさびしそうでした。  最後に、大切なことを一つ。「さびしんぼう」は、男が感傷的であることを、それは大丈夫だからとやさしく肯定してくれました。だから本作を初めて観てから、私は変わりました。自分はこれでいいんだ、と安心できるようになりました。 だから言わせてください。 大林宣彦という偉大な "映画作家" であり、私のこころを救ってくれた恩人に感謝をこめて、ありがとう。
[ビデオ(邦画)] 10点(2020-04-12 23:04:12)(良:2票)
2.  ある日どこかで 《ネタバレ》 
まず、スーパーマン x ボンドガール x ジョーズ2 (の監督) 、という、無茶苦茶な組合せにして、この内容である。だから映画は作ってみるまで、どうなるかわからない (笑) この映画は、始めから最後まで、一部の隙も無く美しい。その映像美もそうだが、もちろん主演二人の容姿もそうだ。ジョン・バリーやラフマニノフによる旋律も、甘く切なく美しい。アンティークな美術品の数々は、「時間」の流れが優雅で美しいことを感じさせてくれる。本作を、まるで過去の恋人のように、忘れられない大切な映画の一つ、という人も多いようだが、それも頷ける内容である。 なお本作は、タイムトラベルもの、として認知されているようだが、私の考えは違った。私はこのストーリー全て、リチャードの「Running light」(走馬灯) 、と思う。彼が死ぬ間際に一瞬だけ脳裏をよぎった、永遠の愛の話。ある日どこかで、愛した人がいるなら、きっと最後にまた逢える、、。 最後の旅は、(最も美しかった) 過去へと時間を旅することに近いのかも知れません。 誰にとっても。
[DVD(字幕)] 8点(2024-08-15 23:42:41)(良:1票)
3.  ダウン・バイ・ロー
わかってる。 人生、「愛か友情か、さもなくば牢獄か」ってことだよね、ジャームッシュ。 愛がいつも寄り添うことならば、友情は心のつながりだけで成立するけど、いつか再会するための口実は必要、とも。
[DVD(字幕)] 8点(2020-04-29 18:57:41)
4.  いまを生きる 《ネタバレ》 
本来、学校の先生は形式通りのステレオタイプが理想的だけど、本作のように勉強しかとりえがないエリート養成学校のお坊ちゃんたちには、キーティングのように型破りな教師の方が面白いかもしれませんね。だって、学校を卒業した後の途方もなく長い人生で重要になってくるのは、勉強以外のことだから。・・って、それは学校の教壇で教えられるようなことじゃないから、キーティング、その人そのものが、彼らにとって良き人生の教科書なんだよね。彼自身が、それをわかってる。 そうそう、忘れてはならないのが、本作の映像美。校舎内の光と影、色づく木々を照らす陽光、池の水面に映る風景、、それはまさに、芸術性の高いものでした。実は、ティーンエイジャーがごった返す学校の風景は毎度チープな演出をされがちですが、そこは手抜きをすることなく、これほど「学校」の風景を美しく撮った映画も珍しいですよ。ご存知、映像美には定評のあるピーター・ウィアー監督ならでは、ですね。 一つの大きな出来事として、ニールは死んだ。自殺とか殺されたとか、それは別にして、映画としてあるのは、死という明確な事実の提示。そもそも、原題からして死にまつわる映画です。そこから対比的に "生きること" を鮮明に描き出すなら、死の描写は絶対に避けて通れない。 必死に生きるか、必死に死ぬか。 それは、どちらも命懸けだろうけど、必死にいまを生きること (それはつまりこれからを生きていくこと) を宣誓した生徒たちの、旅立ちでも巣立ちでもなく、これは力強い「船出」の物語。 立ち上がる者、そうではない者、、そのどちらも、生きていくなら乗らざるをえない、人生という果てしなく長い航海の始まりです。
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2019-10-13 12:32:47)
5.  Wの悲劇 《ネタバレ》 
三田佳子に三田村邦彦、そして薬師丸ひろ子演じる三田静香によるイニシャルⅯの悲劇、、ではなくてWの悲劇。 ハッキリ言って、前半は退屈でした。静香と昭夫の別れる別れないの押し問答とか、いつまでもやってろ、って感じで。 しかし物語も後半に入ったあたり、静香が羽鳥の身代わりになるところから、ドラマが大きく動きます。面白くなるのはここから。 彼女は勝ち取った芝居の役ともう一つ、"愛人の身代わり" という自分を演じることになります。ステージで演じる役と "悲劇のヒロイン" を演じる静香。皮肉にも、記者会見の演技は舞台よりもはるかに圧巻の「芝居」でしたね。 僕はこの映画を観て心底思いました。女優って恐ろしいわ大キライだわ、だけどすごいというのは認めざるを得ない。 どろどろとした女たちの戦いから一転して、最後は驚くほど爽やかな終わり方。舞台はひとまず千秋楽、でも彼女は「自分」という人間をこれからも演じ続けるのでしょう。 別れ際に涙を浮かべたその笑顔には、女優 薬師丸ひろ子 が多くの人に支持され、愛された理由がわかった気がします。
[DVD(邦画)] 8点(2019-09-22 17:31:41)(良:1票)
6.  家族ゲーム 《ネタバレ》 
横一列に並んだ食卓がとにかく印象的です。わざわざ車のシートに座って話したり、もちろん家庭教師とその生徒の構図もしかり、本作では誰もが向き合って対話をすることをしません。その全てがコミュニケーション不全のメタファーであり、家族の不協和音を視覚的に (そしてシニカルに) 描いた秀作であると思う。全盛期の森田監督の特徴としては、その特異な映像センスが挙げられます。張り詰めた空気、というのはなかなか映像にできないものだが、この監督はいとも簡単にそれを撮ってしまう。しかも初めから最後までそれが途切れないのは見事としか言いようがありません。BGM抜きに拘っていて、緊張感と静寂がよいバランスで持続しますが、最後はまるで嫌がらせのようにヘリコプターの音がうるさく響き渡ります。これが何かを示唆している、暗示しているといったご意見もあるが、ハッキリ言ってこれには意味などありはしません。でも平穏な昼下がりでありながら、何も起きないことがこれほど不安で胸騒ぎのするラストも珍しい。
[DVD(邦画)] 8点(2019-01-15 21:24:31)
7.  楢山節考(1983) 《ネタバレ》 
映画ではタブーとされるような性描写が多い。薄々そういう事実があることを知ってはいるが、多くの監督たちが目をそらして描こうとしなかった部分、人間のおぞましさを監督は真っ向から描いています。動物や昆虫が捕食や交尾をする一方、(逆に言えばそれしかない)、人間はただ食や性だけで生きているわけではありません。打算的であり、そして否応なしに集団や秩序に縛られて生きているわけです。母を背負い山に登り、捨てて、村に帰り何事もなかったように食し、またいつもの生活が始まる。"業"という重き荷は背負い続けて、また生きていく。罪深くて、(罪深いことをわかっていて)、それでも生きていこうとするたくましさ、人間の筆力に圧倒されました。負の側面で塗り固められてはいるが、私はこの映画は"人間賛歌"と思います。
[DVD(邦画)] 8点(2018-10-14 17:52:06)
8.  エル・スール 《ネタバレ》 
白と黒を基調とした人物の服装と風景によるコントラストが織りなす映像美は、光と影の芸術と言ってもいいだろう。天使のように無垢な少女エストレーリャが、アグスティンに寄り添い牧歌的な草原に佇む風景。彼女が純白のベールに身を包んだ聖体拝受の場面。彼女が窓越しに映るとき、窓の枠は絵画の額縁になり、彼女は窓に描かれた美しいモデルのように。息を吞むほどの美しい場面の数々に、きれいな映画に出会えた幸福感に包まれる。音楽が少なく物静かに話が進む中、「エン・エル・ムンド」が二回にわたって奏でる、音楽のコントラストも印象的だ。幸せの絶頂でも永遠の別れを予感させるそのときも、何一つ変わらず流れるその曲に、過ぎた時間と離れていく心の変化ばかりが虚しく際立つばかりだ。最後のレストランの場面、まるで会話が途切れるのを嫌うように語り続けるアグスティン。かつて幼い娘にとって謎であった父という存在。今はもう、父にとって娘という存在が"謎"なのかもしれない。アグスティンの熱っぽい視線に戸惑い、逃げるように店を出たエストレーリャの姿。気のせいだろうか、二人が見つめ合ったこの一瞬、私には二人が父と娘というよりは "男と女" に見えた。黙って逝った父の遺品に導かれるように、旅立ちを決意する少女。そして過去と決別するように、"南"へ。娘から、一人の女へ。在りし日の父への想いを胸に秘めて、彼女は大人への一歩を踏み出す。やがていつしか、父と娘の閉塞的な暮らしのなかにあった美しい風景は、その成長とともに記憶の中で色褪せていくのだろう。
[DVD(字幕)] 8点(2018-03-09 23:37:45)
9.  潮風のいたずら 《ネタバレ》 
ゴールディ・ホーンの魅力が全開・・! 高慢ちきなジョアナと家事に育児にテンパるアニー、どちらがお好き? 私は、ジョアナのコスプレしたアニーが一番お好き。カート・ラッセルの80年代ハードロックMTV風ファッション、実は好きなんです。「子供たちのいたずら」はちょっとシンドイ。アンドリュー、あんたは最高。でもグラント・ステイトン三世さんも、ちょっとバカっぽくて憎めないかも。二人のためではなく、家族のために妥協すること、変われること。これってコメディのふりして、実は結婚することの核心を突いてると思うの。それぞれ海に落ちて始まり、最後は二人で (自ら) 海に落ちて終わる。そして、何と本作のリメイクがあるとは驚きました・・。でもそれよりまずは本作のBlu-ray化を強く望みます (笑)
[DVD(字幕)] 8点(2015-12-14 23:27:11)
10.  エレファント・マン 《ネタバレ》 
怪奇趣味的な映像の中に、ジョン・メリックの慟哭が重く心に響き渡る。見てはいけないものを見たような息苦しい感覚、初めて映画を観て"罪悪感"に近い感情を覚えた。ここにあったのは人間の尊厳と偽善と少しの愛。その昔、心が美しい怪物のような人がいて、それを多くの人が寄って集っただけ。この映画はただそれだけ。救いは何もなかった。もし私が当事者たちではない第三者のつもりなら、たぶんリンチは笑うでしょう。この映画を観たあなたはもう、見世物小屋を覗きに来た見物客と同じなのだと。
[DVD(字幕)] 8点(2014-09-04 00:26:20)
11.  存在の耐えられない軽さ 《ネタバレ》 
プラハの春という時代を、儚くも力強く生きた三人を描いた物語。権力や武力による弾圧、男女の倒錯した三角関係など、人間が持つ狂気を様々な形で見せつけられた映画でありました。題名でもある"存在の耐えられない軽さ"とは、どうやら二つの意味があります。劇中のテレーザの台詞を素直に解釈すれば、私はトマシュの人生の軽さに耐えられない、と言っています。別の解釈をするならば、それはテレーザ自身に対する自虐のようにも受け取れます。「私が愛するのはあなただけ。けれどあなたは何人も同時に愛せる。私に対する愛情はそれだけ軽くなるのよ。」というように。いずれにせよ、この物語を目撃した人によってそれぞれ違った解釈をすることができる、抽象的な表現であることは間違いありません。トマシュとテレーザ、激動の時代を力強く生き抜いた二人は、唐突に、それも拍子抜けするほどあっさりと最後を迎えます。人生とは選択の連続であり、戻って選択をやり直すことはできません。ただ、もしトマシュがサビーナを選んでいたなら、運命も全く違った形になったのではないか、と考えさせられ、何とも遣り切れない気持ちになりました。
[DVD(字幕)] 8点(2014-02-16 21:52:40)
12.  蜘蛛女のキス 《ネタバレ》 
物語の大半はさながら主演二人の舞台劇だが、脚本と二人の演技力の高さにより見応えがあり、あきることなく話が進みます。圧巻なのはやはりウィリアム・ハート。モリーナがヴァレンティンに抱きしめられる場面では彼が本当に女に見えました。姿ばかりでなく、仕草と心まで完全に女になりきっています。役を演じるとはこういうことなのでしょう。作中、「愛に国境はない」といった台詞があります。そして自らの命よりも愛する人の身を案じたモリーナの姿に、愛にとって国境や性別などは少しも障害にならないという強いメッセージを感じました。
[DVD(字幕)] 8点(2013-11-17 20:27:59)
13.  バックマン家の人々 《ネタバレ》 
メンツすごいな。この、そうそうたる俳優たちが、そのオーラを消して全員でアメリカの中流家庭を演じているところがすごい。 特にラリー役のトム・ハルスが、モーツァルトのカリスマ性を微塵も感じさせないのがすごい (笑) 子役では、リーフ・フェニックス (ご存じ、後のホアキン・フェニックス) の、この頃から卑屈な感じの暗い目が印象的。こういう子がいずれ、ローマ帝国の暴君やら、ジョーカーになるんだ。 そうそう、私も「マグノリアの花たち」を思い出しました。本作の方がよりコメディっぽいけど、制作年がほぼ同時期だし、大家族が織りなすアットホームな雰囲気などはそっくりです。 映画の内容としては、見ての通りハッピーエンドなファミリードラマであり、一人一人コメントしていたらいくらでも書けそうだけど、一言で総括するなら、家族のほとんどが概ね長所と欠点があるのが良かったな。 あとやはり、冒頭でも書いたけど、これほどの俳優たちが一家族として一同に集う、、これこそが本作の本当の価値。有名人ばかりだし、ボリウッドや贅沢とはかけ離れたこういう平凡な庶民の役、みんな (で) やりたかったんじゃないかな。 なお、絵面的に弱いところは、スティーヴ・マーティンのカウボーイ姿でスパイスを効かせていると思えます。このエピソードを中盤あたりに配置するのも、気が利いてるね。 監督はロン・ハワードかぁ、、こんな昔に良い作品を撮っておりましたね。
[DVD(字幕)] 7点(2023-10-24 10:59:52)(良:1票)
14.  駅 STATION
この頃からだよなあ、北海道を舞台に降旗監督と山田洋次監督による高倉健さんの争奪戦が始まったのは (笑) 前半の犯罪サスペンスに対して、後半はワケあり中年男女による北の国からさすらい恋慕情編、、となっていて、よくよく考えれば無茶苦茶なストーリーですが、高倉健さんを観て、何かしらを感じるべき映画、もうそれだけでいいのかもしれません。特に、名カメラマン木村大作氏による駅舎の寒々しくも美しい雪の風景が、健さん (の孤独、力強さ) を十分に引き立てています。 その健さんと倍賞千恵子さんが赤提灯でしみじみ飲めば、まさに演歌の世界ですね。私は、2022年の大晦日に観ましたが、年の瀬に鑑賞してよかったとしみじみ思えます。
[インターネット(邦画)] 7点(2023-01-05 21:41:37)
15.  ジプシーのとき 《ネタバレ》 
例えば、楊徳昌の映画を観れば、たった数時間で台湾とそこに暮らす人々をよく知った気にさせられたように、エミール・クストリッツァはジプシー村に暮らすジプシーという、その生き様を僕らにわかりやすく教えてくれる。 そして監督の描く彼らの姿は、とても土着的で、遊び心があって、生と死があって、そして幻想的でもある。「魔術」などはちょっとした遊びで深く考える必要はないが、むしろそれを超越するほど彼らの実生活が幻想的、ということに注目するべきだろう。とりわけ、美しく幻想的なドナウ川の祝祭、その何という荘厳さ、、これはもう忘れることはないと思う。 人間たちと音楽、ガチョウ、宙づり、そしてコソコソと動く段ボール箱まで、とにかくこの映画は落ち着きがないように見えるけど、実は一画一画がとても洗練されていて、特に場面が切り替わった直後の意表をつく光景、これには監督のセンスの良さを感じた。 個人的には、「死」や生きることの悲しさをより強調した本作よりは、底抜けに楽しい「黒猫・白猫」のほうが好みではありました。
[DVD(字幕)] 7点(2021-01-10 13:36:00)(良:1票)
16.  ミシシッピー・バーニング 《ネタバレ》 
1964年、ミシシッピの自由の夏、KKKに消された3人の公民権運動家の事件をベースにはしています。 そして映画としては、FBI役の荒くれハックマンと若きデフォー先生が、悪徳ハートマン軍曹が牛耳る街にしてKKKの巣窟に勇ましく乗り込んでいくという、たいへん高い娯楽性も併せ持っています。人相の悪い俳優たち全員集合! ですかね。キャスト全員、悪役にしか見えんぞ (笑) 実際のFBIはここまで黒人に協力的ではなかったようですが、映画はこれでいいと思う。「真実」 だけを知りたければ、当時の新聞でも文献でも探して読むことをオススメしたい。他にも映画的な脚色はあるでしょうが、「こういう事件」が確かにあって、歴史が大きく変わったこと。そして、この映画によって黒人差別という負の歴史を後世まで伝えようとしていること。そこが最も大切。 冒頭のカーチェイスから始まり、自動車が登場すると物語が動くという、映画的なこだわりもあります。やはり最後も、焼け跡で黒人と白人の公民権運動家? たちがゴスペルを歌う姿を見届けて、二人は車でミシシッピーを後にします。
[DVD(字幕)] 7点(2020-04-05 12:00:06)
17.  フィツカラルド 《ネタバレ》 
映画史においても悪名高い二人(笑)、ヴェルナー・ヘルツォークとクラウス・キンスキーのコンビによる、渾身の冒険ロマン。南米はペルーのジャングルや湿地帯などどこ吹く風で、白いスーツで精力的な主人公フィツカラルドの姿が印象的。船による山越えばかりがクローズアップされているが、ジャングルの奥地を開拓する秘境探検モノとしても充分楽しめる。もし山を渡る蒸気船の空撮写真が存在したとして、どうせ合成写真だろう?と誰もが目を疑うだろう。それほど、現実離れした圧巻の光景と思う。秘境の奥地にオペラハウス建設という、途方もない夢を成し遂げたフィツカラルドの情熱。そしてこんな馬鹿げた映画を考えて、本当に実写で撮ってしまったヴェルナー・ヘルツォーク監督の情熱。真の圧巻は、蒸気船が山を越えた事実よりも、あきれるほどに壮大な彼らの野心であり情熱なのだろう。
[DVD(字幕)] 7点(2018-02-20 22:00:28)
18.  ときめきに死す 《ネタバレ》 
当時鬼才と言われた森田芳光監督の手腕が遺憾なく発揮された問題作である。全編に漂う退廃的な空気は秀逸で、他の凡庸な映画とはあきらかに一線を画すもの。響きわたるピンボールの音、ワープロの文字、土砂降り、寂れた駅舎。シュールな映像の断片を繋ぎ合わせた冒頭から既に、何か不吉なことが起こりそうな空気が蔓延している。唯一、杉浦直樹さん演じる大倉が時折見せるトボけた味わいが、緊張感あるこの作品にアクセントを加えている。衝撃的なラストは、視覚的ではなく状況で視聴者に理解させる手段もあったと思うが、映像でまざまざと見せつけたのは森田監督のこだわりであり個性だと言いたい。
[DVD(邦画)] 7点(2013-10-26 19:48:56)(良:1票)
19.  ゴンドラ 《ネタバレ》 
主演の少年少女はオーディションで選んだと思われるが、ここまで幸うすそうな二人をよく探し出したものだ。特に女の子は、まだ若いのに人生を諦めたような暗い双眸が印象的。物語にしても、この年代ならではの清廉さとか青春のきらめきとはほど遠く、あまり必要性の感じられない性描写もあるし、全体的にとても生々しくて、都会の空気そのものが二人を突き放すように冷たい感じ。母が在宅なのに、マンションの鍵を開けて中に入っていく少女の姿がとても痛々しい。 でも彼の故郷を訪ねる後半から空気は変わります。少女は田舎の風景に癒され、きっと人生の風景自体も変わって見えただろうし、彼にとってもいつもとは違う色をした一夏の風景だったはず。 タイトルのゴンドラ、そしてプールやブランコは地に足がついていない少年少女の心理の象徴。そしてラストは、まるで果てしない試練のような、見渡す限りの大海原。たった一人では足元のおぼつかない人生でも、二人で力を合わせて舟を漕いでいけば、何とか渡っていけるのだろうか・・。
[DVD(邦画)] 6点(2020-09-17 21:59:02)
20.  北京的西瓜 《ネタバレ》 
八百春や居酒屋における人々のやり取りは、カメラを意識しない自由さで、ドキュメント調のようなつくりになっています。このあたり台本はつくり込まずに、場面場面において出演者の即興に委ねた印象を受けました。そして超常現象も奇をてらった演出もなくて、およそ大林監督らしくない映画でしたが、、 最後、強烈なのがありましたねえ (笑) 特にカメラに向かって語りかける演出は、近年の戦争3部作を彷彿させます。しかし、確かに画期的な演出とは思いましたが、スタンダードな人間ドラマとして流れが秀逸でしたので、そこは中国で撮影したふりをしてでもそのまま行ってほしかった、という思いが強かったです。 ストーリーとしては、国際交流を描いた美談であるし心温まるいい話です。ただ春三さんは家庭や店が崩壊寸前になるまで中国人に肩入れして、家族に対してその謝罪が最後までなかったのは残念です。店が持ち直して事態が好転したため、そこだけがうやむやになってる。この映画だけを見ると、春三さんよりもむしろ彼を支え続けた美智さんの忖度や忍耐こそ讃えられるべきでは? ・・でもそう考えると本作は、大林監督の妻であり映画プロデューサーでもある大林恭子氏に、感謝の意を込めた映画かもしれませんね。
[DVD(邦画)] 6点(2020-05-06 13:11:31)
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